中韓政府・組織は誰のため?1

中国の財政赤字が2010年には公式発表上3%に留まっていたとしても、昨日紹介論文のとおり雇用者報酬比率が13%も低下し続けているなかで比率の減った報酬から、政府が労働者から吸い上げる方が多い状態では、国民が可哀相・・国民のための政府ではない実態が明らかです。
リーマンショック後に50兆円ほどの財政投入があり、その後の成長停滞の穴埋め目的の財政出動(客のいない鉄道投資・オリンピックなど次々です)もあってその後かなりの財政赤字拡大になっている筈です。
国外からの借金・資本導入が限界に来ているならば、国威発揚・近隣国威嚇用の軍事費等を削減してでも国民福祉への分配を増やすべきでしょう。
上記論文のように国内消費を拡大し国民に豊かな生活をさせるべきで、このために中国政府は賃上げ政策をして来たのでしょうが、これが中進国の罠に引っかかって苦しんでいる状況です。
総収入を一定にして所得分配率修正をすることが必要だったのですが、幹部や国が巨額資金・・上前をはねる状態そのままで賃金だけ上げようとすると総コストアップですから、国際競争力に影響します。
国際競争力がなくなって経営が苦しくなって来たので、企業防衛のために却って(幹部の取り分そのままの場合)雇用者分配率を下げ続けるしかなかった→国民不満の限界が始まったのが昨今の混乱・動乱の始まり?ではないでしょうか?
(数年前から暴動が年間20万件と言われていましたが、昨年あたりからあまりにも増えて来たらしく発表さえやめてしまいました・・政府に都合の悪い一般報道は天津の大爆発・山東省爆発事故でも分るように直ぐ削除されます。)
長年の国民無視の体質の咎めが出て来たのですが、国民福祉方向へ舵を切り切れない点が中韓政府の苦しいところです。
中国は旧満州地域やモンゴル地域で、韓国は全国で日本支配下で万民平等・国民を大切にする政治経験が重荷になっていることが重要です。
この恩恵を受けた旧被支配者に対する元エリート層の反発が沈潜していたところで、庶民にまで教育したりする日本支配がなくなって旧支配層の被害意識が息を吹き返した点が台湾や東南アジアとの大きな違いです。
日本統治下で平等意識を持ってしまった人民に対する必要以上の抑圧が必要になって、日本支配を極端に(ねつ造してまで)悪く言うしかない政治状況がこうして生まれたのですが、日本ではねつ造批判ばかり気になって腹を立てていますが、根っこにあるのは旧支配体制(ヤンパンとその他の2項対立図式)の復活強化願望です。
(韓国では旧支配層・中国では共産党幹部の特権確保)
このやり方(支配x被支配の貫徹→格差拡大)が戦後70年も政権維持手段として続いて来たのですが、8月20日以降紹介しているようにあまりにも国民の貧困化が進んで来たので、韓国では過去に何回か借金帳消しにする徳政令が発布されてきましたが、(ある程度民主主義国家ですから)現朴大統領就任前から財閥批判=庶民無視の政策批判が厳しくなっていました。
朴大統領は選挙では財閥批判していましたが、政権をとって見ると支持基盤である財閥を切れないし、180度転換をするのは難しいので、大きな政策変更が出来ないままむしろその弊害が拡大する一方です。
この辺は中国共産党も政権基盤の弱さ(国民支持の正統性がないので)高成長の限界が見え始めたころから、(江沢民政権から)韓国の経験に習って日本批判を始めました。
しかし、成長率低下が一時的で終わり再び10数%台に戻る訳がなく、単純に下がって行く一方ですから、韓国同様に成長率がガクンと下がる都度日本批判のトーンを上げるしかない繰り返しに陥りました。
対外威嚇・国威発揚行為も、前政権よりも派手にやるしかないことの繰り返しになって、この結果国際的に孤立化が進んでいますし、対日批判では遂には暴動を演出したり、史実になかったことまででっち上げて映画を作るしかなくなったのが現状です。
対外非難・・敵を作ることで国内矛盾を誤摩化す方法は際限のないエスカレートしかないので、(ねずみ講みたいで)いつか限界が来ることの証明です。
これが中国の軍事力がアメリカを越えていれば世界征服まで行き着くでしょうが、今のところアメリカに挑戦出来ないので、アメリカが出て来ると限界に打ち当たって困っている状態です。
領海侵犯したり、あるいは全くなかった噓まででっち上げて言い出したのでは、日本が我慢出来なくなって反撃を始めたので、中韓両政府は(後ろ盾のアメリカに反撃することが出来ずに)これにどう対応して良いか分らずに国内外で立場がなくなって来た状態です。
国内矛盾の目をそらすために対外軍事遠征をして、逆に負けて帰って来たような状態が今の中韓両政府の現状です。 
具体的戦争して負けた訳ではありませんが、国際的に孤立してしまった上に経済的にも苦しくなる一方なので、(上海株暴落は国民に知らせない訳には行きません・・)国威発揚どころではなく、八方ふさがり・完敗の状態でしょう。

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC