上海株暴落〜通貨切り下げ4

対日関係で言えば日本は対中巨額赤字ですから、中国は「日本から買ってやらないぞ!」と言うわけにはいかずに、仕方なしに反日暴動したりレアアースの禁輸で締め上げるつもりが、逆効果になってしまったのは記憶に新しいところです。
昨秋から中国の日本へのすり寄り開始以降、日本への旅行を推進して爆買いの恩恵を誇示していますが、日本全体では、大した効果がないのでマスコミ宣伝にもかかわらず国民の多くは冷めていて・・「来たくなければ来ない方が良い」と言う人が今でも大多数でしょう。
折角心を癒すべき落ち着いた観光地が、けたたましい中国人ばかりでは、旅行意欲が失せてしまうマイナスの方が大きいかも知れません。
中国人が多く行くような店には日本人が敬遠して買い物に行かないようになります。
言わば自宅の風通しの良い部屋や居間を泊まりに来た客がいつも占拠していて、住んでいる人が家の隅で小さくなっているような印象です。
上記のとおり顧客であってこそある程度のわがままが効くのですが、露骨なダンピング競争を始めて輸入を減らせば国外への発言力が低下するのが目に見えていますが・・そんな先の心配などしていられない程政権が追いつめられている・・・・中国政府は目先の金が欲しいのかも知れません。
海外発言力低下分補充のために軍事予算を増やすのでは悪循環ですが、国内でも公安予算を増やして不満を押さえつけるしかない状態のようです。
生産力維持のために無駄な鬼城建設や鉄道工事をしたり需要不足分は出血輸出して何とかしていましたが、一方では、地方政府救済→シャドーバンキング救済→結局は資金不足になりますから、金融緩和を繰り返したのですが、金利が下がれば逆に資本が流出します。
今度は資金集めのために株式ブームを煽って庶民から資金吸い上げをはかったのですが、これも限界が来て(戦時中お寺の鐘まで供出していたことを思い出します・・いつか底をつきます)大暴落になってしまい、人民元買い支えのドル資金に困って実勢にあわせるべく公式に切り下げるしかないほど追い詰められていたと見るべきでしょう。
(数十年前のポンド防衛失敗と同じです)
通貨切り下げを数日やってみたら、巨額資金流出が始まったので、大慌てで3日でやめたと言うところでしょうか。
内需拡大で間に合わない不満に対しては、何をやってもうまく行かないので、今後も公安予算を増やして対応する・・海外にも軍拡による威嚇で適応して行くつもりでしょうか?
中国がどんなに威張っても自前の技術力で発展したのではなく、輸出前提の組み立て工場の誘致(経済特区)・・新興国経済型経済成長パターンで成長して来た事実は争えません。
中国は工場誘致を利用した成長限界に直面して踊り場にさしかかっている(中進国の罠)基礎的状況から逃れられません。
成長の踊り場にさしかかったことによる停滞・急ブレーキによる急激なマイナス成長・・国民不満に直面しているならば、今後中国の進むべき道は、国内に公平な制度の構築をするとともに輸出主導経済から内需拡大・・人民の生活水準向上策しかありません。
急成長時には、特定幹部が巨利を貪ってもまだ何とかなっていましたが、低成長になると幹部が巨利を貪る弊害・不満がも目立ってきます・・出来たおできを潰すような汚職取締よりは、社会の基礎たる公平な制度構築が必要です。
いろんな意味での転換・・中進国並みになるためには国民の技術レベルアップ・公平な制度と資金力が必要で、大量生産工場のように、企業誘致(資本導入による国内資金流通の1石2鳥効果)さえすれば直ぐに転換出来るものではありません。
大量生産工場誘致で急膨張・急成長した成果の裏腹の関係ですが、巨大な工場労働者をレベルアップに成功した少数の新規産業がそのまま全員吸収出来る訳がありませんし、巨額外資を必要としないので出て行きます。
日本企業の対中投資で言えば、大規模工場閉鎖→新規立地する東南アジアへ資金流出の動きが始まっていて、これに対する穴埋めが出来なくなって、資金不足に悩む・・これまでの逆回転が始まっています。

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