政府と国民の違い(中国人との付き合い方)5

ロシア政府もソ連崩壊によって成立したばかりでまだ約二十年の歴史ですから、やることが中韓同様に直接的です。
ただし、ロシア共和国自体は(帝政崩壊後から)ソ連時代にもありましたので、約100年の歴史があります。
資源高で調子が良くなり同時に日本が震災で弱っていたときには、何の必要性もないのに(長期的には懸案事項ですがその頃具体的に係争にもなっていなかったのに・・)北方領土を現職首相がわざわざ訪問するなど実力を誇示して喜んでいました。
子どもっぽいことで喜びを見いだす国です。
子どもっぽく自慢したい気持ちが分らないでもないですが、日本の価値観ではこういう自然災害にあったときにはお見舞いするべきであって、攻勢を予定していても手控えるのが戦の流儀です。
宿敵信玄に塩を送った謙信が未だに尊敬されているのはこうした配慮によります。
・・・わが国の基準で言えば、他人の困ったときにつけ込むようなことをすると、自分を悪く思われるだけで損ですから自制するのですが、ロシアや韓国、中国にはこの程度の洞察力すらないのです。
しかし建国後僅かに約20年の国・・日本の歴史から見ればせいぜい乳児段階みたいな国だと見れば、乳幼児が歩けるようになれば誇らしいのと同様で、わざわざ子供じみたデモンストレーションをして見たかったに過ぎなかったのだと理解すれば合点が行きます。
稚気の赴くままに・・やらなくても良いことをしていた結果、シェールガス等の大量採掘が可能になって、ロシア産資源の売り先に困って来ると弱気になったらしく大地震後まだ2年足らずで、日本相手に親日ムード演出に必死になっているのは、歴史の古い日本から見ればコロコロ態度が変わって滑稽です。
同じ日本人同士でも、組織の古い所と出来たての集団とでは対応能力にかなりの差・・大人と子供のような差が生じます。
当選歴が同じ約8〜10回でも民主党と自民党とでは、組織運営の成熟度に大きな差があることを国民は身を以て知ったばかりです。
このように組織はそれ自体で1つの生き物のような所がありますので、組織=政府の歴史差による運営能力と構成員個々人の経験・民度とは違った面があることに注意を向ける必要があります。
October 19, 2012「中国に歴史があるか1」前後で書いて来ましたが、いまの中国政府はまだ成立してから約60年しか経過していません。
ロシアは建国後約100年(ソ連邦内の自治共和国でしかなかったので外交経験はありません)、ソ連邦崩壊後(対外的独立外交を始めてから)まだ約20年です。
この意味では、中国(中華人民共和国)政府は何千年の歴史があると根拠なく自慢していますが、とんでもないことで、一定規模の政府としては世界で1〜2位を争う新しい国・・未成熟国です。
図体だけは大きいので・・人間の体重を追い越している象の赤ちゃんが歩き始めたので(訳もなく威張り始めたので、)回りは気を付けないと危ない状態になったと言えるでしょうか?
日本のように官僚機構の同一・継続性があると徳川〜明治に政権が変わってもまだ少しは良いのですが、中共政府にはこれすらも(前身の中華民国とも、清朝とも)全く継続性がありません。
(ロシア政府は、ソ連政府の官僚機構を引き継いでいるので中共政府とはかなり違います)
政府の能力は幼稚としてもそこにいる人々は、日本人と同じように何万年も連続して来た人々ですから、支配下にある人民と中国政府とはまるで違うしたたかさ・意識があり得ることに注意する必要があります。
中国人の場合、異民族支配の時代の方が長かっただけではなく、今の中国人自身異民族のルツボでしかないので、(本来の漢民族なんてどこにいつころにいた種族を言うのかはっきりしませんが仮にどこかの種族としても、実はとっくに周辺種族と混交して消滅している筈です。)民族の一体感がないどころか目先、安定しない政情の結果、コスカラク生き抜くことが全てのような価値観で染まっています。
今の中国政府統治下の人民は反日教育によって、反日復讐というテーマを繰り返すことによってのみ辛うじてまとまり・一体感をもっているくらいでしょう。
日本の場合、政府や集落の連続性があるので政府とそこに住む人々とは昔から一体感で来ましたので、政府=そこの国民と、つい考えがちですが、世界中ではそんなことはない・・政府と被支配者とは全く別物・むしろ対抗関係にあるという認識を持つ必要があります。
政府は稚拙でも国民はしたたかです。

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