国連秩序と核兵器拡散1

パックスアメリカーナと言うと何か有り難い感じですが、平たく言えば「アメリカの言うこと・やることが正義」として強制出来る世界秩序の別名です。
アメリカによる戦後支配とその限界を書いているうちに、中国の反日暴動にそれてしまいましたが、元に戻ります。
アメリカは一定の豊かさのある国に対しては諜報機関を通じた政権幹部の汚職・不倫等のリークで政権を揺さぶる方法で他国支配を意のままにして来ましたが、これの通じない国が現れて来ました。
イラン等聖職者の支配する国ではマスコミを通じた汚職や不倫等のリークの意味がなくなってしまいました。
アフガンの場合もイラン同様に、アメリカによるどんな経済制裁も気にしない国民性があると思われます。
こう言う国にはマスコミを通じた煽動も経済制裁の効果がないばかりか、却って反米意識が強固になるばかりですから、アメリカは武力侵攻するしかなかったと見るべきでしょう。
そこで湾岸戦争・イラク侵攻以来アメリカによる明からさまな武力侵攻が繰り返されるようになって来たのですが、当初は独裁政権を打倒して国民を救済するかのような名目が唱えられていましたが、アフガン戦争になると独裁・国民救済の名目すらなくなってしまいました。
9.11の報復としてのアフガン侵攻を見ると、アメリカは気に入らなければこれと言った大義名分がなくとも気に入らない国に侵攻することの出来る国だということを世界に示したことになります。
国家の歴史で見ると、国内混乱を治めるのに武力に頼るようになると統治能力の欠如を示すことになって、人心が離れてしまうので却って政権の最後を早めてしまうのが普通です。
戦後約70年間(それなりに自制しているでしょうが・・外部から見れば・・)アメリカがやりたい放題?して来た過程で、アラブ等の国では国内政治家が清廉で国民の支持を受けていても、国を挙げてアメリカに敵対している限り圧倒的な兵力差があるのでアメリカに攻撃されればおしまい(第二次世界大戦で負けた日本がその先例です)ということが分ってきました。
この過程で小国がアメリカによる要求に屈服しないで済ますためには、核兵器さえあればアメリカは無茶を出来ない・・経済制裁しか出来ないことも分って来ました。
今回のイランによる核兵器保有行動・動機の底流には、アフガン侵攻を見た結果アメリカに対する不信感・何をされるか知れない恐怖感が大きくなった裏返し行動と見るべきでしょう。
イランあるいはアラブ諸国では国民大衆が反米意識が強いようですし、イランでは聖職者が絶対権力を保持していることから政権関係者の金銭的腐敗もなさそうな(この辺が中国とはまるで違います)ので、軍事攻撃を受けるリスクさえなければ、経済制裁などあまり気にしなくてもいいのです。
そのうえ、経済制裁と言っても半永久的なものではなく、インド&パキスタンなどの例によれば、開発成功後直ぐに制裁が解除されています。
核兵器プラス運搬手段の開発に成功してしまうまでの短期間(今後10〜15年前後もあれば開発可能でしょう)の経済制裁を我慢すれば良いとなれば、その間だけの我慢ですから、制裁にメゲズに開発をやり遂げる可能性があります。
元々食うのにさえ困っているのですから、北朝鮮だって近いうちに核兵器を自前で保有出来るとなれば、それまでの短期間の経済制裁くらい、今更どうってことはないでしょう。
一連の核拡散が進む世界の動きを見れば、アメリカの言いがかりによってはいつ滅ぼされてしまうかも知れない恐怖があちこちで芽生えていることの裏返しと言うべきでしょうか?
アメリカによる強権行動が行われれば行われるほど、この恐怖から逃れる必要のある・・アメリカに楯突きたい国々に対して、アメリカは自衛のための核兵器とその運搬手段保有の拡大意欲を後押しして行くことになります。
アメリカ与国は、核の傘というレトリックに騙されて・・逆らえないので騙されているフリをしているしかなくて無防備のママで弱体化が進みます。
(近い将来北朝鮮が核保有国になると、日本は中国だけではなく、北朝鮮にも脅かされてしまう時期が来るでしょう。)
世界を見渡すと、アメリカ敵対国の方が核武装が進んでアメリカからの政治的自由を獲得出来るパラドックスになります。

反日暴動2と分散投資

私たち子供の頃にはアメリカの情報操作による教育時代でしたので、日本は軍事力で中国進出を果たした・銃剣で脅して進出したかのように学びました。
でもよく考えてみると、その当時日本はまだ五大国の最末席であって日本よりも先に中国に進出していた米英仏等に軍事力では足下にも及ばない実力でしたし、彼らを非力な日本が軍事力で押しのけて中国市場を寡占出来るような実力はあり得なかったことが分ります。
第一次世界大戦で欧州が疲弊して新規投入資金が不足していたことと、日本の工業力がアップして、かなりの分野で同等の工業製品を作れるようになったので、中国市場での日本との輸出競争で欧米が負け始めたことによります。
第一には距離の近さのメリットですし、第二には、同じアジア人同士であることから体格寸法その他日本製の方が使い勝手が良かったことが大きいでしょう。
これだけ世界が狭くなった今でもインポートもの洋服を買えば分りますが、袖が長くて日本人には調整しないと着られない不便さがあります・・。
欧米では現地仕様に合わす心構えが今でもないのですから、白人優越意識の強かった戦前の横柄な欧米の態度を想起すれば、現地人体格に併せて作る気持ちなどは全くなかったでしょうから、機械その他の規格が大き過ぎてアジア人には操作し難かったのです。
きめ細かな対応をする日本製に低級品から順に中国市場で負けるようになったのは当然です。
当時はまだ日本製は軽工業品・消費材中心でしたので、銃剣で脅して日用品を売りつけるなど考えられないことを学校で習ったことになります。
欧米諸国は世界中が植民地として占領し尽くされた後に最後に残った中国と言う巨大市場争奪戦で日本に負け始めたことを以て、(日本が戦争に負けてしまったことを良いことに)日本が軍事力による脅迫で進出支配していたと実態を枉げて宣伝していたことになります。
当時上海であれ、どこでも列強が自国居留民保護のためと称してに自国軍隊を駐屯していたことは日本同様であって、日本軍はその真似をしていたに過ぎず日本軍だけが駐屯していたのではありません。
今回も昨年からの欧州経済危機によって、欧米資本が潮を引くように引き上げる中で、日本だけが逆張りで資金投資を続けていました。
ちょうど第一次世界大戦後の状況と資本状況が同じです。
今回の反日事件を契機にして日中の経済比率を見直して見ると既に日中相互で約3割に上っているのですが、これは諸外国から見れば(・・小国同士ならば別ですが世界第2位第3の経済大国の過剰な結びつきは危険に思われるでしょう)緊密過ぎる関係になっています。
これ以上更に日本だけが投資を続けるのでは、日本のプレゼンスが中国で大きくなり過ぎるマイナスがあります。
中国人にとってもあまりにも日本の存在が大きいと面白くなくなる日が、やがてやってきます。
個人の交際でもあまり親密になり過ぎると気がつかないうちに相手に重たく思われてしまうリスクが生じるのと同じで、程々の付き合いがスマートというものです。
まして上下関係になると下の方にとっては重たく感じることが多くなります。
国家企業関係であれば、優越性のある方が嫌われます。
日中両国の経済関係比率が上がるのは、距離が近いことによる利便性の故にある程度仕方のないことですが、欧米による嫉妬への警戒だけではなく、日本自身にとっても相手が内心重たく感じ始める前に自制する・・リスク分散の視点が必要です。
これまで日本はアメリカ依存度を減らすために東南アジア製品等による迂回輸出に精出して来たのですが、対中国関係でも同じ配慮が必要な時代が来ています。
現在、対韓国貿易でトヨタがアメリカ製の車輸出を始めましたが、スマホでも分るように微細な部品のシェアーを高める工夫などで商品名から日本色を消して行く努力があちこちの分野、国で必要となってきます。
今回の反日暴動に続く不買運動はあまりにも日本の存在が中国で大きくなり過ぎない内にリスク管理の必要性を予告してくれた天啓と見るべきかも知れません。
ちなみにトヨタは中国で20%の占有率が7〜8%に下がったというのですが、(トヨタ1社で20%というのですから日本車は大変な比率だったことが分ります)トヨタにとっては中国生産の比率が今のところ小さいので、トヨタは世界全体では今年は史上最高益になると発表しています。
分散投資の重要性を教えてくれる数字です。

日本のプレゼンス拡大と反日暴動1

日本で中国寄りの民主党政権になってから起きた中国漁船による尖閣諸島での漁船体当たり事件は、せっかく中国寄りに舵を切り始めていた民主党政権の日本をアメリカに押し返してしまいました。
しかもこの暴挙はその他の東南アジア諸国と日本の対中連携を生み、アジアでは中国は孤立化の道になって戦略的に不利なことですから、政治的決断としては損得勘定が未熟過ぎて不可解な行為でした。
尖閣諸島周辺に地下資源があるとしても、中国にとって尖閣諸島の領有主張さえすれば直ぐに自国領土になる訳ではないし、当面これと言った経済メリットがなく当面は周囲から警戒される損失だけです。
May 25, 2012のブログで尖閣諸島上陸問題は、中国に対してアメリカ筋によるささやきがあってアメリカに嵌められたのではないかという意見を書きました。
このときは中国がアメリカにうまくはめられて国際孤立を招いているという視点で書いたのですが、嵌められたとするにはあまりにも単純な嵌められ方ですので、(中国は国が新しくて政治経験が乏しいとしても、あまりにもお粗末過ぎるので)アメリカに嵌められたと見るのは無理がありそうな気がしてきました。
もしも中国がアメリカに嵌められた結果アジアで孤立してしまった・・失敗したとするならば、軌道修正して前回の漁船体当たり行為を、個人の跳ねっ返り行為だったということにして終わりにすればいいことで、続けて今夏の大々的上陸決行や反日デモや日系企業施設の打ち壊しまで国策でやる必要がなかったことになります。
マスコミ報道では中国国内不満の吐け口に使っているというのですが、経済停滞による不満は日々蓄積して行くものですので、一過性の暴動演出ではガス抜きとしての持続性が足りませんから、マスコミの大方の意見は誤りではないでしょうか?
まして日系企業だけで約1000万人の雇用をしているというのですから、(その他日本人相手のホテルや不動産業・駐在員向けマンション、飲食業などの膨大な関連産業があります)日本製品不買運動による経済停滞下での雇用不安の拡大は半端なものではありません。
反日暴動がなくとも元々放っておいても経済停滞が始まっていて雇用が縮小しているのですが、この縮小分を日系だけにしわ寄せすれば、日系関連者だけが困るのでその他の業界は日系企業の売上縮小分の穴埋め埋め特需で潤う・・成長したような気がするメリットを狙ったものでしょうか?
日系企業関連者の・収入減や不満に対しては、愛国心に訴えて我慢させれば良いということでしょうか?
日系自動車の販売減に乗じて欧米や中国国産自動車販売が伸びているようですが、伸びたと言っても日系自動車半販売減の100%補充出来ていないないようですから、全体としての経済縮小が始まっていることの隠蔽にはなっているでしょう。
それにしても日本からの投資勧誘(日中対立中にもこそこそと投資勧誘要員が日本企業を回っているとのことです)を平行して続けながら(日本からの投資がないと上海株が下落したままになってしまいます)、一方で反日運動を継続する中国政府の態度は不可思議です。
中国政府はどう言う成算・意図があって、未だに領海侵犯・挑発行為や反日不買運動を続けているのでしょうか?
江沢民がアメリカで第二次世界大戦中の米中同盟を強調した演説(日本敵視)をOctober 26, 2012に紹介したことがありますが、その後日本の経済進出が進み過ぎていることに対する中国側の危機感(欧米のやっかみ)が背後にあるのでしょうか?
特に今回の欧州危機発生後世界から中国への投資が激減・・むしろ回収が進んでいるために2012年11月12日日経夕刊記事によると上海株価指数は07年頃の最高値から3分の1に沈んだままです。
中国では資金不足に陥っていて・・景気対策として鉄道その他の投資は計画発表だけで一向に現実化していないとも以前から言われています。
この状態下で日本だけが逆に前年比増で対中投資・・資金投入にのめり込んでいました。
日本だけの集中的・洪水的対中投資に対しては、日本国内では右翼系経済人が「危険だ、リスクが大きすぎる」と以前から反対していただけではなく、中国自身にとっても一国に頼り過ぎることに対する危機感を持った可能性があるし、欧米にとってはなおのこと巨大な中国市場が日本の独壇場になることに対する危機感が強まっていたでしょう。
要するに日本国内右翼も含めて世界中が、日本経済界の中国集中投資に危機感を抱いていたことになります。
この後に書く予定でしたが、話の勢いでここで少し書いておきますが、太平洋戦争の遠因は第一次世界大戦後における日本の中国市場寡占状態に対するアメリカによる対支門戸開放・機会均等要求に端を発したものだったことを忘れてはならないでしょう。
日本が他国を引き離して中国での存在を大きくし過ぎるのは、歴史経験から言ってもアメリカの嫉妬を招く危険が大き過ぎます。
(日本の国際孤立の下地になった日英同盟の廃棄も、第一次大戦後の日本の中国市場寡占に原因があったのです)

中朝の反抗2

北朝鮮は将軍支配をやめることになる民主化要求だけはどんなマイナスがあっても飲めない・・国益よりは将軍支配維持の方が優先する国ですから、制裁強化によって経済的困窮にいくら追い込んでも、中国から引きはがせません。
等しく貧しい場合、それでも李氏朝鮮時代に比べれば良い方でしょうから、政権転覆にはなりません。
イランの場合も、制裁によって経済困窮が進めば進むほど国民大衆の反米意識が高まる関係ですから、経済制裁によって親米政権に代わることはあり得ないと思われます。
この点はリビヤ、エジプト等の政変によって生まれた政権が反米になっても同じ関係です。
彼ら民衆による政権は、アメリカと対立して経済が苦しくなってもその理由で自分たちの立ち上げた政権を非難しないでしょう。
石油利権の恩恵の分配によって何とか独裁を保って来た国々が、ここ何年かの石油価格の下落によっておこぼれを配れなくなったことがアラブの春を引き起こした経済原因ですが、中国も成長停滞が始まったことによるおこぼれ分配縮小による不満のはけ口に困っています。
独裁国家を経済的に見れば、巨額収入を得る特権階層とそれ以外に分かれる社会ということですから、この点はアラブの王族と共産党幹部とは名称が違うだけです。
中国に政権崩壊が起きるとすればネットの発達による民主化要求によるのではなく、成長が停滞して分配資金が縮小して来たときに、食えなくなったことによる命がけの暴動・巨額利権を独占して私腹を肥やしている指導層に対する怨嗟の声によることになります。
食えなくなったら数日から1週間後にはどうせ死ぬのですから、そうなった民衆ほど怖いものはありません。
そのときには中国の存在するこの地域で、古代から繰り返して来た流民発生による王朝崩壊図式の繰り返しになるのでしょう。
昨日から書き始めたアジアにおける米中角逐に話題を戻しますと、今回の尖閣諸島問題が大きくなればなるほど、日中間の政治・経済・文化関係が縮小することになるので、これも日本と中国の密接な関係の冷却化・引き剥がしの(ミャンマーに次ぐ)成功例になります。
アメリカの民主化要求は全世界規模で行なわれていて、中国に対しても本来例外ではあり得ません。
中国では反日教育をしてきましたが、反米教育は殆どしていませんので民衆には反米意識は伝統的にありませんから、権力側が対アメリカ協力姿勢をとってもアラブ諸国と違って国民の反発はなく、直ちに政権が瓦解する訳ではありません。
しかし、民主化要求だけは、これに応じると共産党独裁政権を維持出来ないのと、成長停滞開始による社会矛盾の激化が始まりつつあるこのときには、アメリカのご機嫌を取るために微温的にでも民主化を進め広げるどころではありません。
むしろこれまでなかったネット検閲まで新たに始めて、今まで以上に民意を封じ込めたくなったのが中国政権です。
(これの協力命令に応じないグーグルが2010年3月に撤退になりましたので、アメリカの民主化要求は他国に対する高見からの問題ではなく、アメリカ企業自身が踏み絵を突きつけられ・・アメリカは敢然と拒否してグーグル全面撤退となりました)
正面から反民主化行為・検閲協力を挑発されてアメリカを代表する大企業が全面撤退に追い込まれたとなれば、アメリカは黙ってられない筈です。
イランの場合、既に民主化されていて政権関係者が私腹を肥やしていると言う不満が民衆にはありませんので、アメリカとの対決によって国民が困窮しても政権に向かって牙を剥くことはありません。
中国の場合、ここでアメリカと対決して経済がもっと激しく停滞したら、私腹を肥やしてる政権幹部に対する国民の不満が爆発してしまいます。
中国は核兵器を持っているのでイラクのように軍事攻撃される心配はないものの、アメリカと正面から事を構えて経済成長が止まるリスクを取れません。
そこが民主化を果たしているイランやアラブ諸国との違いであり弱みです。
中国は民主化要求だけはのめない・・言論の自由に関するネット検閲要求・・グーグル問題では米中共に国是にかかかわるので双方妥協出来ないが、それ以外の経済進出は歓迎するので「穏便に・・大目に見てくれないか」と言う取引(この種では口頭約束も文書もあり得ませんが、相手の軟化を期待して静々とやるものです)になってもおかしくありません。
アメリカも中国に対する経済制裁による中国国内の大騒乱は世界経済への影響が大き過ぎて困るので、妥協するしかない面があります。
グーグルが中国の検閲を受入れないで撤退する代わりに、アメリカの別の企業をその何倍も受入れてお茶を濁すのであれば、経済的利益のためにアメリカが民主化要求を引っ込めたのと結果は同じです。
日本は約3年前に民主党政権成立によって軍事的にもアメリカ離れが起き始めていたのですが、2010年9月7日狙い済ましたかのように中国政府の後押しで漁民と称する者達による尖閣諸島への領海侵犯行為と漁船による体当たり事件が行われました。
中国との緊張勃発によって日本民主党政権は、アメリカ依存を強めるしかなくなるし、日本の各種商品・車は売れなくなるし、その隙を衝いてGMやフォードは売上を伸ばすなどの経済メリットの外に、中国はアジアで孤立して行くので、中国との覇権争いになりつつあるアメリカにとっては尖閣諸島問題の勃発は良いこと尽くめです。
こんなにアメリカにとって絵に描いたようなうま過ぎる話・・中国の政策ミスは本当にあり得るのか?
と言う疑問が湧いてきます。
この段階では欧米や韓国企業等が得して日本だけが損をしているように見えますが、実は中国政権幹部の利益維持のための民主化拒絶と引き換えに人民が割高な商品を買うしかなくなっている・・損をしていることになります。
日中紛争の結果トヨタのシェアが20%から7%に減ったということは、中国人が自由に選択出来ないために、性能と値段の関係で有利な車を買えなくなって、割高な車を買わされていることになります。
同じことは、その他の商品・部品でも言えます。
今年の年末旅行商戦では日本から中国への旅行者が5〜8割減と報道されていますが、その分何倍もする欧州旅行が何割も増えていると報道されています。
日本人も経済的に不合理な選択をしているのです。
日本人はお金持ちが多いとは言え、中国韓国等安い所へしか行けない人は我慢しているということでしょうか?

中朝の反抗1

北朝鮮がアメリカによる安全保障を欲しがっていることや、あくまで核兵器保有にこだわるのは、理不尽なイラク侵攻に虞れをなした対アメリカ恐怖症・・パラドックスですが、恐怖感が強くて簡単に妥協出来ないので突っ張るしかない状態になっています。
アメリカによる将軍様体制保障さえしてくれたら良いという北朝鮮の立場は、国民に対する反米教育をそれほどしていないから、成り立つ論理なのでしょう。
アラブ諸国と違って、建国以来アメリカと正面から敵対して来たことによって、傀儡政権ではなかったことから具体的な被害を受けて来た歴史がないので、国民レベルでのアメリカに対する不満が蓄積していないことによります。
もしもアメリカが民主化要求を引っ込めて将軍体制保障下でアメリカと正常な交際が始まると、一昔前の中南米独裁政権やアラブの王様や独裁政権とアラブの国民関係同様になります。
アメリカによる半端な承認を得るやり方は、当初は開放経済化によって高度成長するので何とかなりますが、一定期間経過で成長の停滞が始まると、石油収入の一部を分配して不満を抑えて来たアラブ産油国が分配出来なくなった場合と同じような騒乱が待ち受けています。
(等しく貧しい方が政権維持し易いのですが・市場経済化で大もうけした人が出て来ると・・それも政権に近い人が多いのでなおのこと国民は不満を抱きます)
中国もアメリカから共産党独裁を大目に見てもらって市場経済化の果実だけ得ていたのですが、停滞の始まりかけた中国は、おこぼれの分配が出来なくなって来てアラブの独裁政権並みの瀬戸際が目前に迫って来ました。
ですから独裁を当面大目に見てもらう方式は、時間の経過で無理が出て来て独裁は自然崩壊するので、アメリカとしては先ずは市場経済化を迫る方が合理的です。
北朝鮮は国民の反米意識が具体的ではないとしても、中国同様に民主化要求には絶対従えませんから、今のところこの面で6カ国交渉が行き詰まっている状態です。
中国がグーグル事件以降、民主化要求に逆切れ的拒否反応・・・開き直って膨大なアルバイトを雇ってネット検閲して都合の悪い文字が出れば直ぐに消去する体制を維持しているのは、政権崩壊が迫って来たことの逆証明と言えるでしょう。
民衆暴動に対する中国の必死さが、ここ数年の北朝鮮問題の交渉停止に連動していると見るべきでしょう。
北朝鮮が最近打ち上げ失敗したロケットの砲身?が中国製であることが報道されていましたが、中国が北朝鮮の強硬態度を背後で後押しているのは、アメリカによる民主化要求に対する利害が一致しているからです。
対北朝鮮関係は、米中対決が露骨になってくれば来るほど、何ら進展しないことにならざるを得ません。
我が国では中国の海洋権益拡大志向・・小さな島の取り合いだけが注目されていますが、ヘゲモニー争いは国単位でみれば協力国の奪い合いですから、アジアにおける親密国の奪い合いに関する米中角逐が始まっていて、中国の影響下にあったミャンマーの引きはがしにアメリカが成功したところです。
ミャンマーは、政権が個人崇拝になっていないのと政権の腐敗が進んでいないので国益にさえなればある程度民主化に応じても良い状態なのでしょう。
世界中で中南米に始まり多数の独裁政権がアメリから公認されて来た(韓国だって全斗換大統領までは軍事政権でした)中で、ミャンマーだけが経済制裁を受け続けて来たのは、イギリス支配を軍事力で覆した恨みが底流にあるからでしょう。
軍事独裁政権特有の一族が要職についたり、私腹を肥やすような腐敗はミャンマ−ではないように見えます。

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