政党の存在意義(政策論争=対案の重要性)2

ところで、メデイアや文化人は「ドイツの何を見習え」と言うのでしょうか?
そもそも日本は国際送電網に繋がっていないのですから、ドイツのように外国に余剰電力を押し付けることはできません。
独仏等とは基礎条件が違っています。
仮に日本が韓国や台湾、フィリッピンその他アジア諸国と送電線で繋がっていた場合でも、日本が豊富な外貨準備にモノを言わせて?国内需要以上の再生エネルギーをどんどん生産させて高値で買い取って周辺国にダンピング輸出し、周辺国の電力会社をバタバタと倒産させてしまうような悪どいことを政府に求めません。
24日紹介した論文ではドイツ政府負担による「安い電力供給は周辺国には恩恵になっている」という印象の書き方ですが、これは欧米型価値観に毒されている我が国知識層の意見でしかありません。
欧米のアフリカ等への援助は食糧援助などその場限りで大量供給するので(アメリカの過剰農産物の捨て場にして)地元民族の細々と続いていた非効率農業を(意図的だったのかどうか分かりませんが)壊滅させてしまい、最貧国へ落ち込ませてはそこから抜け出せなくしてしまっているのです。
日本人は明治維新以降周辺国(朝鮮や台湾では)の民度引き上げや生産技術指導などに協力してきましたし、戦後もアフリカでは、上総堀という簡易な井戸掘り工法を指導したり漁業の仕方を教え、アフガン等では砂漠の緑化事業を指導したり、中国の植林事業を応援したり地道に農業再建に取り組んできました。
日本人は欧米のように相手をどん底に陥れる‥:生きる自信を徹底的に奪い去り自分が半永久的に勝利者として支配する考え方はありません。
日本は欧米の自分勝手な行動を真似しない方がいいでしょう。
原発問題から横に行きましたが、この辺でメデイアによる洗脳目的のムード報道ではなく、原子力発電に関する事実としての世界の趨勢を見ておきましょう。
世界の原子力発電に対する趨勢は以下の通りです。
http://blogos.com/article/231650/
記事
石川和男
2017年06月29日 11:13
世界全体の原子力 〜 低下傾向が近年反転し、4年連続増加・
World Nuclear Association が今月28日付けで公表した “World Nuclear Performance Report 2017” によると、2011年から2012年にかけて著しく落ち込んだ原子力発電電力量〔Figure 1.〕と原子力発電設備容量〔Figure 2.〕は、2012年以降4年連続で増加傾向となった。
2016年には、9GWeを超える新しい原子力発電所が稼働を開始し、過去25年以上で年間最大の増加率だった。」
2017-8-22「フェイクニュース7(データの正確さ)」に続く蓮舫氏の国会でのデータ?提示問題にもどります。

2017/03/06 に公開
蓮舫氏、鬼門の「原発」で論戦 
ドヤ顔で示したパネルを隠すハメに…
 「参院予算委員会は6日、安倍晋三首相と関係閣僚が出席し、内外の諸情勢などに関する集中審議を実施した。久々に首相との直接対決に臨んだ民進党の蓮舫代表が、論戦の主要テーマに据えたのはエネルギー政策だった。蓮舫氏といえば、検討していた「2030年原発ゼロ」構想が連合や党内の反発で撤回に追い込まれたばかり。「鬼門」の政策課題をあえて選んだ結果はいかに-。(松本学)
「得意げに蓮舫氏が示したパネルには、民主党の野田佳彦政権時代に掲げた「2010(平成22)年の総発電量1・1兆キロワット時を、2030年に0・99兆キロワット時に削減する」という目標が、すでに2015(平成27)年に達成されたとするデータが強調されていた。
「われわれはもっと少なくしていこうとしている。ところが、政府の長期エネルギー需給見通しをみると、むしろ増やしている。これはなぜか」
蓮舫氏はこうたたみかけたが、世耕弘成経済産業相にあっさり反論された。
「(パネルで)2015年実績として使っている数字は、大手電力会社10社の合計値だ。2010年は総発電量だから、再生可能エネルギーも自家発電も入っている。同じベースで比較しないとおかしい。2015年実績を総発電量ベースにすれば1・01兆キロワット時であり、野田政権の目標には達していない」
蓮舫氏は再反論はせず、岡山県真庭市の「バイオマスタウン構想」にさりげなく話題を移した。しかし、問題のパネルは掲げたまま…。世耕氏がその後「パネル下げていただけない? 間違ってますので」と促すと、いつのまにかパネルは姿を消していた。」
上記国会討論を見ると田中角栄元総理が演説でぶち上げて聴衆や座談会相手をケムに巻いていたのに、後でチェックするとほぼ根拠ないデータだったと言われているのと同じやり方です。
メデイアにすれば、民進党党首蓮舫氏が上記内容で政府を追及したとして蓮舫氏の出したデータをそのまま大々的に報道しても虚偽報道ではない・・あるいは、この日の国会質問をどのメデイアも黙殺して報道しないのは編集権の問題だということになるのでしょうが、全体的に見れば民進党の失敗行動を一切報道しないこと自体フェイクニュースの一種でないかの問題点があります。
フェイクとは、ズバリ虚偽ではなくとも編集権を含めて、全体として歪めて報道しているどうかの問題であるべきでしょう。
メデイアは、長年左翼系〜民進党には大甘基準でやってきた結果、(前原氏が過去に偽メール問題で失脚したことがありますが・・)何をしてもバレても元々の雰囲気・・却って鍛えられていない・脇が甘くなっている原因になっている可能性があります。
メデイアの報道姿勢の問題はこの辺にしても一方で民進党の実務能力不足を象徴するようなデータの出し方です。
政治実務というのはデータが正確であれば済むのではなく、将来発生する多様な可能性・・太陽光発電普及のために経済原理無視の高額買取制を実施すればこれによる経済活動の歪みをどう調整するかなど・・を透察した慎重な提案あるいは主張をすべきです。
短期に大変革すると既存電力業界の淘汰が起きる・特に原発施設は過疎地立地が多いのでいきなり廃止すると雇用も含めて地域の大問題です・・。
工場廃止等の場合、企業は転勤等配置転換で雇用を守るのが普通ですが、労働者や納入業者が抜けてしまった地域は(出張族相手の周辺ホテルや地元飲食店や弁当屋さんに始まり現場労働者家族の生活万般のゼロ化・教育その他消費ゼロ)急速な疲弊に見舞われます。
今回の原発ゼロを急速に進める意見が撤回に追い込まれたのは、民進党支持勢力の有力母体である連合内の電力労連の反発によるものですが、メデイアの姿勢はすでに批判したように「世論無視」と言う根拠なき民進党批判ですが、上記のとおり被害を受けるのは(正規」労働者よりは地域経済・・まさに全国各地に展開している「地域世論」です。
レンホー執行部は、「配置転換や手厚い一時金支給などの補償のある正規雇用の労組には関係がない」と言う乱暴な見通しで、地域世論無視の意見を発表してしまったのだと思われます。
ところが全国で多数展開している原発の急速な廃止となれば、配置転換や自然減もそうはうまくいかないので大多数は一時金での解雇になるしかない上に、「地域経済への影響」というと地域限定のような響きですが、急速全廃となれば一箇所ではないので・・配置転換すべき受けザラがないので日本全体としての急激な雇用吸収ができない→社会問題が起きてきます。
原発廃止方向であっても、反原発で当選したばかりのフランスのオランド大統領の「フェッセンハイム原子力発電所を閉鎖する条件として「立地地域の電力供給が保証され、発電所跡地の再転換や雇用が確保される」ことが前提である」という発言を8月24日に紹介しましたが、1箇所の廃止でさえこのような発言をしてこれを受け入れるフランス国民の成熟度・諸外国で原発縮小を長期展望で行なっている理由はここにあります。
左翼系政権でも現実的政治を行う能力のあるフランスと日本野党との違い・これが政権交代を可能にしてきたのでしょう。

独の国家補助金による電力輸出と独禁法の不公正競争政策1

ドイツの高額買取で生産された製品が合理的生産コスト以下で国際市場に出回り、いくら下がっても怖くない・成り行きで売れる値段までコスト無視で何年でも価格を下げ続けられる仕組み(高額買取制度というのはもともとコスト無視・市場価格との差額補填制度です)・・政府補助している点では中国の出血輸出とどこが違うのか?という疑問です。
国際相場よりドイツの電力料金が高いと言う意見を1昨日紹介しましたが、それなのにドイツが電力の輸出大国に何故なっているかと言えば、高額買取した再生エネルギーを国内電力会社に引き取らせずに国際送電網にそのまま放出させて成り行き相場でタレ流しているからです。
簡単に言えば、国内価格ではなく国際価格以下(「成り行きで売る」と言うことは、価格がいくら下がっても売り注文を下げない売り方ですから、国際市場では相場下落圧力になります・・)で売っていることになります。
日本や韓国のように一国閉鎖送電システムの中でいくらで高額買取しても概ね国内問題ですからいわば勝手です。
・・韓国も国際競争力維持のために国内電気料金を政策的に低く抑えていますが、その分どこかで歪みが出てトータル競争力では結果的に大差ないかも知れませんので、国際的には直接的問題が少なかったのです。
水道料金、道路港湾鉄道その他何でも、国民生活の基礎的コストを市場相場に委ねるかどうかは国内政治の問題で直接国際貿易に関係しません。
しかし鉄鋼製品その他国際取引商品まで国費投入で補助するとなると不公正貿易のパターンになってきます。
欧州のように送電網が共同化していて国際市況に連動している場合に、一国が桁違いの高額買取制度を実施して国際市場に市場価格で放出するようになると補助金の多い国がいくらでも値下げしていけますので結果的に市場独占してしまえます。
昨日見た論文では。おかげで周辺国が安い電力を享受できていると喜ばしいことのように書いていますが、ノーテンキで無責任な意見です。
アフリカが見るも無残な貧困状態に陥ったのは、欧米の偽善的無償食料援助が原因で地元の第一次産業が業が壊滅させられたことが原因です。
安ければ安いほどいい・無償ならばなお良いというものではありません。
生活保護に一度ハマると抜けられなくなるというのも同じです。
国家規模で大規模な無償食料援助されると無償に勝てる産業はないので、たちまち前近代的な焼畑的農業や狩猟その他の伝統的・古代型現地産業が壊滅してしまいます。
日本の敗戦時にどんなに食料に困っていても、アメリカの過剰農産物の捨て場にされ農業が壊滅しなかったのは美味しい産物に恵まれ国民の舌が肥えていたからです。
戦後直後に育った我々世代でさえも輸入米は「外米」とか「黄変米」とか言われて危険・不味いものの代名詞のイメージし残っていません・・。
豊葦原瑞穂の国に生れたありがたさで、アメリカが余剰農産物の捨て場に日本を利用し、日本の非効率な農業を壊滅させようとしてもうまくいきませんでした。
今や、日本のお米や果物に限らず牛肉さえもうまいので高級品として輸出されてますが、狭い国土で非効率だ(農業保護批判がメデイアの基本姿勢でした)関税撤廃解放して早く農業をやめた方がいいと言う宣伝・アメリカ式農業がいかに素晴らしいかばかり聞かされて育ちました。
現在のTPP交渉でも敗戦直後と変わらず、「農業保護のために近代産業が被害を受けている」という大合唱です。
洋画がいかに素晴らしいかを学校で教えても、自分のお金を出して買うのは日本画ばかり・公的美術館しか洋画をめったに買わないのに似ています。
話題が飛びましたが、ドイツ周辺国がドイツの財政負担によって安い電力を利用できるのは良いこと・メリットだというイメージの24日紹介の論文「オランダなど価格水準が高い国や供給力が弱い国は有利な価格で調達することができる。」という一見有り難そうな表現はまちがっています。
安い電力流入のためにフランスでは原発の出力を落とさねばらなくなっているというのですから、すでに弊害が出ているのです。
国家が資金補填した製品を国際市場に出すこと自体が民間の競争で言えば、自由市場制度破り政策・独禁法で言う公正競争違反政策です。
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)
(定義)第二条
(1)〜(8)省略
(9)この法律において「不公正な取引方法」とは、次の各号のいずれかに該当する行為をいう。
一〜二省略
三 正当な理由がないのに、商品又は役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給することであつて、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるもの」
昨日紹介した通りドイツが高額買取=市場価格以上で買取した再生エネルギーが市場にコスト無視で安く入ってくるフランスなどでは、既存原子力発電所などが出力を落として操業するしかないというのですから大変です。
特定エネルギーだけ補助金漬けになると正常なコスト負担するその他電力業界は価格競争でやっていけません。
ドイツは国内市場で再生エネルギーを市場相場で大量に放出すれば、国内電力料金が下落して褐炭等によるに電力生産が成り立たなくなるのでこれをしないで、国内相場は高いままで国際送電網の市場にだけに「なり行きで」放出しているとすれば・・外国だけが超安値電力が入ってきて参ってしまう・・ずるいやり方です。
フランスも負けずに原発電力を高額買取して国外には安く売ればいいのですが、この競争が始まると体力勝負になります。
こういう不公正な競争を野放しにすると、技術力がなくとも強いものが市場を席巻してしまう・技術革新で安く売って競争に勝つなら社会の進歩を期待できますが、体力に任せてコスト以下で販売を仕掛けるのではより多く国の援助を受けた企業が勝ち残る結果、効率の良い企業が負けてしまいます。
ですからこれを「不公正取り引き」として日本だけはなく国際的に同様の国内法が世界中で制定されてきたのです。
国内での不公正競争ならば、独禁法の取り締まり対象ですし、一旦この処罰を受けると諸々の社会的不利益を受けますが、国家間になるとWTOでも、これのルールを定めていますがこれがうまくいきません。
フランスは悔しくとも補助金競争を仕掛けるには国力差がありすぎるのと「原発は危ない」というメデイアのイメージ操作で負けているので、WTO違反でも全く反撃できていないというところでしょう。
ドイツは国内電力会社に再生エネルギーを高く買わせるのではなく、国際送電線網を通じてリアルタイムの市場相場で売却してしまう・・高額買取組織は差額を負担するのではやっていけないはずですから、その差額を国家負担にしているのでしょう。
このやり方は、中国国有企業の鉄鋼ダンピング輸出とどういう違いがあるか?ということですが、周辺国はドイツのご威光に逆らえず黙ったままのようです。
ドイツの再生エネルギー買取制度は、風力・太陽光発電等需要無視で生産させてこれを周辺国の犠牲にして自国でまず発展させようとする事実上の国策ダンピングです。
こんな身勝手な行動に周辺国がいつまでも我慢出るのでしょうか?
自分だけ良ければ・・という政策はいつかは反動がおきます。
蓮舫氏が国会で質問に使ったデータが実質フェイク的なものだったのと同様に、メデイアがドイツを賞賛するについては、欧州の電力市場制度の存在や隣国フランスがどうなっているかや各国の置かれた資源や電力供給構成などの背景事情を同時に報道しないと片手落ちです。
メルケル氏が日本訪問時に(ドイツは隣国とうまく修復できているのに)「日本が隣国ととうまく行かないのは、日本の真摯な謝罪が足りないからだ」と言わんばかりの韓国よりメデイアの質問に対して「良き隣人に恵まれたので・・・」と答えたことが知られていますが、何事も周辺状況・環境条件を総合してから意見を言うべきです。

独仏の原子力政策と環境条件2

http://www.de-info.net/kiso/atomdata03.html
ドイツのエネルギー関係データ
ドイツの電力輸出入
「柔軟性の低い大型発電所
需要の変動に対応し、再生可能エネルギーによる供給の変動を補完するのは従来型発電であるが、恒常的な需要、いわゆるベースロードをカバーする原子力発電や褐炭・石炭発電は常に一定量の発電を続け、容易に出力を落とせない。
いったん落とせば再稼働のためのウオーミングアップに膨大なコストがかかるからだ。とくに、国産の褐炭による発電は競争力が強く、高水準の発電が続いている。これに対して、臨機応変の稼働が可能なガス発電はコスト的に採算が合わず、設備の増強は進んでいない。
外国に引き取ってもらうことも
この結果、電力供給が国内需要を上回る状態が続いている。電力利用の効率化や景気の不振で需要が低下傾向にあるのも要因だ。
このため、電力取引所における価格は低下をたどっており、2015年はメガワットアワーあたり31.6ユーロとヨーロッパでも2番目に低いレベルにある。そのため、オランダなど価格水準が高い国や供給力が弱い国は有利な価格で調達することができる。
昨日紹介したところによると、最も電力料金の高いドイツが輸出超過国になっているカラクリには、上記事情・・過剰生産(不採算による差額を政府による高額買取制度で))を物ともせずにどんどん再生エネルギー生産をして、その分を市場相場で成り行きによって輸出していることによるようです。
いわば国内需要を超えた過剰生産させて余剰分を輸出に回させる・・その差額損失を政府が持つ(高額買取制度)のですから、中国が国有企業に採算無視の過剰鉄鋼生産させて国際市場にダンピング輸出させる・・企業赤字は国が面倒を見ているダンピング輸出と同じ構図ではないでしょうか?
ドイツでは原子力発電縮小が続いてもうまく行っているという日本の報道そのものはそのとおり・虚偽ではありませんが、近隣国疲弊政策とセットになっている点を合わせて報道すべきでしょう。
その上ドイツはもともと原子力に頼らずとも豊富な褐炭等の国内資源でかなり間に合っていたことを無視できません。
褐炭で間に合ってはいるものの先端技術であり将来の核兵器転用技術を確保しておきたい思惑から原子力にちょっと頭を突っ込んでおこうとしていただけだったから、原子力の将来性がないと分かれば危険を冒してまで研究開発する必要がない・「今後は再生エネルギーだ」と方向を極端に切り替えた単純性のように見えます。
韓国のように戦後はアメリカが覇者とならばアメリカ一辺倒(いきなりキリスト教徒が増えます)、今後は中国となれば、中国一辺倒という乱暴な政治です・・とあっさりと縮小方向へ舵を切ったように見えます。
日本同様の無資源国フランスでは電力用資源の輸入代金負担が大変ですから、日本の事故後でもやはり原子力の方がいいかという点では事故直後でさえ賛否が揺れていたようです。
揺れながら時間をかけて(得心を得て)方向を修正して行く方が社会の安定性があるように見えます。
以下は前オランド政権誕生ころ・約5年前?・・民主党政権が討論型世論調査を実施した時期とだいたい合っている・・かなり古い論文ですが、それでも以下の通りです。
http://www.chuden.co.jp/resource/corporate/catalog_05_ba_vol6_07.pdfによるとドイツの赤字輸出の構造は以下のとおりです。
「東京電力福島第一原子力発電所の事故から1年経った2012年5月に実施されたフランス大統領選挙では、原子力推進路線を維持することの妥当性を主張する保守政党のサルコジ氏と「減原発」を主張する社会党のオランド氏が争うことになった。
決選投票にもつれ込んだ結果オランド氏が僅差でサルコジ氏を破って大統領に選出されたが、これで原子力政策が抜本的に転換するわけではなさそうだ・・さらに、オランド大統領は原子力政策審議会に先立つ9月14日に、フェッセンハイム原子力発電所を閉鎖する条件として「立地地域の電力供給が保証され、発電所跡地の再転換や雇用が確保される」ことが前提であると述べている。
このような情勢を踏まえると、オランド大統領の在任中に従来からの原子力政策が大きく転換する可能性は低い。
では、フランス国民の原子力に対する意識は変わったのか。環境・持続可能開発・エネルギー省は12年8月に「フランス人とエネルギー」と題するフランスの原子力発電に関する世論調査を発表した。
この調査では「フランスの電源構成の4分の3を原子力が占めていることは、全ての点を考慮して、どちらかと言えば利益か、不都合か」という設問形式となっており、福島原発事故直後の11年7月には、「どちらかと言えば不都合」を選ぶ割合が50%に急上昇したものの、12年1月には再び「どちらかと言えば利益」を選択する割合が47%に上昇した。ここ10年間は「どちらかと言えば利益」とする割合は40%後半から50%前半で推移しており、福島第一原子力発電所事故の心理的な影響は一時的であったことがうかがえる・・・」
国益との兼ね合いで反原発のオランド政権でさえ実務に着くと大幅縮小をできなかったことが紹介されています。
ただしドイツの再生エネルギーの安値攻勢によって電力輸入国に転じた経緯はどう論文の続きによれば、以下の通りです。
「ドイツの脱原発と再エネ増加による影響
「前述の通り、フランスは原子力開発を積極的に進めた結果、英国、ドイツ、イタリアといった周辺国に国際連系線を介して余剰電力を大量に輸出する国となった。しかしながら、ドイツやスペインで風力発電設備等の自然変動電源が大量導入されるようになった00年代以降、国際的な電力輸出入の状況は変わりつつある。
例えば、ドイツの固定価格買取制度では系統運用者が再生可能エネルギーを全量買い取って、電力取引所に安い価格であっても成り行きで売却する。
その結果、需要が少ない夜間・休日には大量の余剰電力がドイツから周辺国に流れ込むことがある。このような場合、フランスでは火力発電に加えて原子力発電までが出力低下運転を行い、周辺国からの再生可能エネルギー電力をフランス国内で消費している。このため、周辺国への輸出電力量は年々減少している状況であった・・・」
上記を日本に当てはめれば、大手電力相場の2倍(分かりよい数字にしているだけで実際に2倍ではありません)の高価格で太陽光電力などを買いとっている場合に、その差額負担を電力会社だけではなく、消費者に求める問題が起きてきていますが、高価格で買い取った電力をドイツは電力会社や国民の電気料金に反映せずに・・日本と違い国際送電網が発達しているので・・市況のまま・・上記例で言えば、買取価格の半額で国外に売っている仕組みです。
「市況で売却する」といえば正常価格のようで聞こえがいいですが、ドイツが成り行きで大量に売れば市況自体が下がります・・中国の鉄鋼ダンピング輸出だって市場相場で売っているのですが、寝さgrウィおものとsメイズに売り込めば正常な市場価格が下がって行きますので世界が困っているのと同じです。
市場原理制度は適正コストまで下がるとそれ以下の売りがなくなる・・短期的には倒産寸での資金欲しさのバッタ売りがあってもそれは続かないのでそのうちに適正相場で落ち着く仕組みです。
中国のようにいくらでも国家資本で補助して際限のない低価格・コスト以下の販売競争を挑んでくると正常企業の方が資金負けしてしまいます。
だからこそ世界中で中国の鉄鋼製品赤字輸出を問題視してきたのです。
これが各国国内法・・独禁法で規制している不当廉売禁止の法原理です。

独仏の原子力政策と環境条件1

まずは、日本同様に電力資源の大方を輸入に頼っているフランスがどうしているかを見て行きましょう。
http://blogos.com/article/208920
記事
石川和男
2017年02月06日 06:55
先月17日のIEA(国際エネルギー機関)の発表では、
「フランスは、IEA加盟国の中でも低炭素エネルギー構成を実現している先進国。2015年でのエネルギー全体に占める化石燃料比率は47%に過ぎないが、エネルギー全体に占める原子力比率は46%(資料1)、電力分野での原子力比率は78%(資料2、資料3)となっている。」
「2015年までの電気料金の推移(資料8)を見ると、①電力自由化が始まった2000年頃を境として、各国とも電気料金は上昇傾向にあることや、イギリス・フランス・ドイツで比較すると、②産業向け電気料金ではドイツが突出して最も高く、③家庭向け電気料金ではドイツが最も高くなっていることがわかる。」
「電力量当たりのCO2排出量の推移(資料10)やGDP当たりの化石燃料由来CO2排出量の推移(資料11)を見ると、原子力大国フランスが常に低位安定であることがわかる。
日本で2011年以降に上昇しているのは、2011年3月の東日本大震災による福島第一原子力発電所事故の影響で日本国内の原子力発電が、一部では再稼働し始めているものの、実質的にほぼ全面停止状態に置かれているからである。」
上記を見るとフランスでは今でも原発依存度が78%もあり、原発比率の低いドイツでは電気コストが高くなっていることがわかります。
ところが、安いはずのフランスが電力輸入国でありドイツが輸出超過になっているのですから分かりにくいのは、西欧のほとんどが加入している送電線共通システムによって、電力の市場売買が成立している結果によると思われます。
http://www.renewable-ei.org/column_g/column_20150907.php
ドイツなしには成り立たないフランスの電力
2015年9月7日 林佑志 在独コンサル会社 欧州環境政策調査員
「ドイツの再エネが拡大し、脱原発も順調に進んでいると聞けば必ず出てくるのが「でもドイツはフランスの電力を輸入しており、原発の電力を使っているではないか」という反論だ。
フランスとの関係を見る前にドイツだけを見れば、物理的な電力フローではドイツは35.7TWhの輸出超過であり 、発電容量もピーク時をゆうに上回る設備を抱えており、あえてフランスから電力を輸入する必要はない。」
フランスの高圧送電系統の運営会社RTEが公表しているデータでは、実際の商業取引ベースで見た場合、2014年にはフランスはドイツから13.2TWhの電力を輸入している一方、輸出はわずかに7.3TWhであり、純粋な電力輸入国となっている ⅲ 。」
http://www.de-info.net/kiso/atomdata16.html
ドイツのエネルギー関係データ
ドイツにおける2015年の褐炭
産出量は約1億7,800万トンで、中国を上回り、世界第1位である。
産出量の約90%が国内の発電および地域暖房に消費される。それ以外は産業内自家消費およびブリケットに加工して販売される
巨大な掘削機で採掘された褐炭はそのまま近接する大型発電所に送られ、微粉化されて高効率の発電がおこなわれる。
褐炭による発電量は1,550億KWhで、全体の約23%を占める(2015年)。CO2排出量が多いこともあって、削減される方向にある。」
「ドイツのエネルギー資源 - 自給率、輸入依存度、輸入先
「ドイツのエネルギー自給率は原子力をゼロとしても約30%で、比較的高い。
一次エネルギー消費の12%を占める褐炭および11%余りを占める再生可能エネルギーが100%国内産であるほか、石炭や天然ガスも国内産が10%を超える。」

下の2つのグラフのうち、上はそれぞれの国との国境を通過した物理的電力量、下はそれぞれの国との間の商業的取引量である。
  データ出所:連邦統計庁貿易統計(GENESIS ON LINE)、速報値

 

5. 追 記
ドイツではエネルギー転換に伴ってさまざま問題も生じている。しかし、それらの問題は長期的な目標を達成していく過程でのことである。目標とは輸入燃料に依存しない、確実で安定したエネルギー供給、安全で安心、環境にやさしいエネルギー供給であり、ドイツを世界で最もエネルギー効率の高い、豊かな国のひとつとすることである(エネルギー・コンセプト)。再生可能エネルギーへの転換に伴うさまざまな問題を克服するために、発電、蓄電、エネルギー効率、環境などの面で技術開発やノーハウ蓄積が進められているが、それは将来にわたってドイツの国際競争力の維持・拡大にも寄与していくとみられている。(参考:「エネルギー転換に関するドイツ産業界の基本的考え方」)

上記の通り、ドイツと日本とではエネルギー資源・・基礎的体力条件が違うのですから、日本の場合、輸入代金の急拡大にどう備える事が可能かの研究・議論の蓄積先行が不可欠です。
ちなみにドイツは総合的に見て電力輸出超の国らしいです。
日本のように1国閉鎖電力社会の場合、最大需要期が(夜間電力も休日も同じ)ほぼ同時的ですから、設備を最大需要に合わせるしかないのですが、西欧諸国では送電網が行き渡っているのでドイツは冬に暖房用需要期が最大であるのに対し、夏は電力不需要期・・南欧諸国は最大需要期になっているなど、欧州の電力相互供給体制は合理化されているようです。
ただ、ドイツの電力が国際競争力があるのか?というとそうではなくてドイツは自国資源である褐炭などの自国資源利用中心のために、(一旦止めると再稼働に膨大なエネルギーが必要)需給に合わせて稼働率調整できない無理があるから、不需要期に赤字輸出している事が原因らしいです。
http://blogos.com/article/208920
記事
石川和男
2017年02月06日 06:55
に戻ります。
「2015年までの電気料金の推移(資料8)を見ると、①電力自由化が始まった2000年頃を境として、各国とも電気料金は上昇傾向にあることや、イギリス・フランス・ドイツで比較すると、②産業向け電気料金ではドイツが突出して最も高く、③家庭向け電気料金ではドイツが最も高くなっていることがわかる。」
電気料金の高いドイツからの電力輸出がなぜ多く・輸出超になるのでしょうか?
これには一種のダンピング輸出のカラクリがあるようです。

フェイクニュース7(データの正確さ)

現在の世論調査の方法は、戸別訪問しないで一定の乱数表に基づいて選んだ電話番号に・・せいぜい数千人規模・・自動的に電話をかけるシステムを構築していて、かける電話も録音内容を機械的に流すだけで大したコストもかからないし簡単に出来るようになっています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E8%AB%96%E8%AA%BF%E6%9F%BBによると以下の通りです。
標本数を算出するための公式がある(式は省略)。無限に数が多い母集団(「無限母集団」という。日本国における実際の母集団の数は約1億3000万)を対象に、信頼水準を95%として、標本誤差を5%以下とするために必要な人数を、高校で習う公式に当てはめて算出すると、「384人」と算出できる[3]。つまり、世論調査の標本数が384人以上なら、その調査は信頼できるということである。標本のサイズが大きいほど誤差が小さく、数千人の標本数だと、標本誤差は±3%以下になる。1万人を超える標本調査だと誤差を±1%以下にまで抑えられるが、標本のサイズが大きいほどコストが大きくなるので、世論調査にかかるコストと、誤差のバランスを考慮して、日本の世論調査ではだいたい数千人くらいの標本調査で妥協している。」
固定電話だけだと年齢層に偏りがでる批判から、最近携帯を利用した調査を併用する調査が増えているようです。
アメリカ大統領選での討論があってその翌日あたりにはどちらのポイントがいくつ上がったとか下がっとかの数字がすぐに出るのは簡単な調査方法によっているからです。
我が国でも、内閣改造があると数日後には世論調査内容が発表される訳です。
こうした世論調査の安易性を前提にすると「国家百年の計」ともいうべき原発政策に関して多数あるメデイアがこの5年間全く世論調査しなかったとすれば(私が探しきれないだけかも知れませんが)・・それ自体が異常・意図的な疑いが起きます。
堂々と討論できる出席者だけの意見とサイレントマジョリテイーが多く含まれる世論とでは、大幅に異なるのが普通であることについては、マンションや大規模工場などの新規立地説明会出席者の意見が全住民の意見比率とは大幅に異なることを例にして20日に書きました。
5年前の原発ゼロの是非に関する「討論型」調査結果47%を現在の世論であると主張することも、仮りに直近で世論調査していないとすれば、形式的な虚偽報道でないとしても単なる編集権の問題ではなく事実調査を意図的に回避している・・メデイアにとって不都合な予測がある時には5年間も調査をしないのか?という疑いが起きます。
国民関心の低い分野についてしょっちゅう世論調査する必要がないでしょうが、前々回の都知事戦の時に原発廃止を主張する細川元総理が立候補したこともありましたし、この後で紹介する現在の民進党の党首選挙戦でも大きなテーマになっています。
メデイがしょっちゅう話題にしながら、ムードを煽るばかりで「世論調査を全くしないのは奇異」としか言いようがありません。
そもそも東北大地震は11年3月ですから、それから今まで6年間以上の長期にわたってメデイアは原発の怖さを煽るばかりで、12年夏に民主党が長年主張してきた反原発運動に都合の良い結果が出るように政府主催で「討論型調査」だけして満足し(これが自民党政権ならば、政府調査の仕方を批判し平行調査していたでしょう)、民間で平行調査する気持ちもなかった・・討論型調査の前後を通じて国民意識調査を全くしなかったこと自体が異常です。
せっかく民主党政権が47%反対の公式記録を残したのに、新たに調査すると朝日新聞やメデイアの意図する方向と反対世論結果が出るの防ぐためにメデイアはこぞってその後一切の世論調査をしていないままにしている疑いが濃厚です。
そこで、「30年まで原発ゼロ政策に関する世論調査」で20日現在でネット検索すると12年の「討論型調査結果」を紹介する日経新聞と2012年8月21日ジャパン・フォー・サステナビリティ(JFS)「日本のエネルギー政策に関する国際世論調査」で「世界は7割が原発ゼロを支持」の2件シカ第一次的に出て来ません。
(次々の検索をすれば出るのかも知れませんが、そんな暇がありません・・5年前の記事が真っ先に出て来ることやその後の新しい大手メデイアの世論調査の結果が出る順位が下位になっていること自体不思議ですから普通に考えれば全くやってないか、やっていても不利だから?公表していないということでしょうか)
上記の2件の内、編集権の問題とは言え国際社会では「7割」という誘導的報道の影響力の大きさです。
内容を見ると政府など責任ある意見ではなく、ネットで理想的な「希望」を聞いたに過ぎないことが分かります。
「それぞれの回答を選んだ理由について、ゼロシナリオを選択した回答者のうち、「原発は事故のリスクが大きすぎる」(ゼロシナリオを選択した回答者の36%)「人類は核廃棄物を管理できない」(同17%)と、原発のリスクや核廃棄物の危険性を挙げた回答が最も多く、同シナリオ選択理由の53%を占めた。また、「日本が世界に規範を示すことを期待して」(同10%)のほか、「再生可能エネルギーをもっと増やせば実現可能」(8%)「省エネやエネルギー効率化で実現可能」(5%)と再生可能エネルギーへの期待や、エネルギー消費の見直しを求める意見が見られた。」
今朝の日経新聞朝刊3pに民進党代表選候補者双方の主張を表にしていますが、原発政策「30年代ゼロ目標」に関しては枝野氏が「どうすれば原発ゼロにできるか工程表を示し年内にも法案提出したい」前原氏は「30年代ゼロを目指してあらゆる政策資源を投入。工程表もしっかり作る」というものです。
これによれば、党内で「30年までにゼロにする」という主張自体を表明できる勢力がないことが明らかで、蓮舫党首が党内意見を全く無視していた・党首として党内運営能力さえなかったことが明らかです。
30年までゼロではなく、「30年代」という漠然とした目標にランクを落としてさえ、両代表共まだ工程表すら準備がなく、子供の夢みたいな主張にとどまっています。
そもそも主張というのは、こういうことで実現できるからこの案でどうでしょうかと提案するものであって、できるかどうかわからないが、まず主張するというのでは責任ある・大人の意見と言えるのでしょうか?
「何時までにどこそこへ行きたいがどのコースがいいか」という場合、,A案ならばどこそこ経由で10分前に着く、B案ならば2回乗り替えで15分前に着くというように物事は具体的です。
「行けるかどうかわかりませんが、C案はどうでしょう」と言ったら笑われます。
子供の夢は・・根拠なくパイロットになりたいとかノーベル賞を取りたいというのは「夢があっていいね」ということですが、・・政策発表は、具体的な実現可能性を前提にすべきことです。
実現準備のない「少なくとも県外へ」八ッ場ダムその他の実現性のないスローガンに自己陶酔していた鳩山政権=結果的に民主党が自滅したのですが、いまだにこの程度です。
ま、今回は工程表を作るというだけマシですが、政策発表をする以上は「こうやって実現する」という工程表があってから発表すべきではないでしょうか?
「国民を今より豊かにする」「好景気にする」「平和を守る」と言うスローガンだけなら誰でも言えます・・どうやって実現するかの道筋の提示があってこそ国民が選択出来るのです。
国家の原発政策としてドイツが原発全面廃止を決めたと原発事故当時〜以降大々的に報道されていましたが、それには資源国のドイツが元々原発に頼る比率が低かった現実を前提に資源のない日本との比較が不可欠です
その上で日本がどうやって実現すべきかということです。
環境条件の違うよその真似だけ主張してもどうなるものではありません。
広大な農地の広がるアメリカの真似をして飛行機で種まきをするのが正しい農法だと言っても意味がないように、おかれた環境に応じた生き方・産業があるのです。
以下原子力発電大国フランスから安く電力供給を受けられる関係をネット等で報道されていましたが、その虚実あるいは、環境条件などを探って見ましょう。

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