格差社会(独2)

ドイツのホームレス実態続きです。

好調ドイツで深刻化する「見えない」貧困 人々は語らず、政治家も目を背ける

好調ドイツで深刻化する「見えない」貧困 人々は語らず、政治家も目を背ける
Dec 25 2017
◆ホームレス増加。低所得者向け住宅の減少が影響?
ドイツでは約86万人の人がホームレスとなっており、路上生活者は5万2000人、友達の家やシェルターを渡り歩く人々は、80万人以上だという。
DWは、ホームレスが増える原因のひとつとして、政府の補助を受けた安い賃貸住宅が減りつつあることを上げる。30年前の西ドイツでは400万戸の低所得者向け住宅があったが、現在では130万戸まで減少した。家賃は市場が決める今では手ごろな賃貸物件は稀で、特に単身者向けは高騰している。1700万世帯が一人世帯なのに、1~2ベッドルームのアパートは市場に520万戸しか出回っていない。その結果、一人暮らしの多い都市部の家賃が上がっている。
家賃を払えずに住む場所を失った人々は、ホームレスとなり比較的生き延びやすい都市部に集まる。
◆貧困は話題になりにくい?政治の対応も遅れている
政府の調査によれば、貧困の危機にある人は2014年には16%となり、1995年より4%増加した。失業率は非常に低いが、パートや低賃金、不安定な仕事に就く人々がより増えているため、経済成長の恩恵を受けられない人が増えているという。高齢者が最も打撃を被っており、貧困ライン以下で暮らす退職者は全体の15%だという(CNN)。ホームレス・シェルターで働く職員は、多くの人がひどい状況のもと暮らしているが、「ドイツでは、貧困についてあまり話さない」と嘆いている(The Local)。
貧困は確実に広がっているのに、ほとんどの政治家は先の選挙戦でも沈黙を守ったままだったとCNNは指摘する。

ネットによればドイツにはホームレスの政府統計がないとも書かれていて、慈善団体等の推計によっているようで、このため65万とかばらつきがありますが、米国よりひどい状態です。
なんとなく、コロナ禍での日本の死亡者(20年9月15日現在1,451)数と米欧の死亡者数の比較に似た傾向になっているのが不思義です。
ちなみに9月17日日経朝刊10p記載の世界各国地域新型コロナ感染者数(死者数)によれば以下の通りです。

米国  65544820(194536)
独     263222(9356)

日本は15日現在で厚労省発表では 感染者75,958  死者1,451とのことで、米国死者は日本の130倍以上、ドイツは約7倍です。
ドイツの人口は日本の約半分で比率が桁違いです。
コロナ禍による世界の死亡率は、ブラジルやインドを見ても社会格差比率に大方比例しているのではないでしょうか?
以上のように世界では優等生と言われるドイツでさえも格差社会の進行でホームレスが増える一方のイメージです。
欧米の格差は種として移民増加によるものでしょう。
日本では底上げが成功して多くの国民が豊か感満喫中ですが、貧困者がへれば助けを求める人も減るし貧困層をターゲットにして日常活動をしてきた共産党員も減り赤旗読者も減るのは当然です。
真面目にやってきた政党の活躍すべき場面がなくなったのは、貧困撲滅運動の成果であり、長年の共産党活動の成功の証であると自賛して、発展的解消を祝うべきかもしれません。
ただし保守系政党としては、長年の経済政策の成果というのでしょうが・・。
特定政党が貧困層を問題にしたから貧困がなくなるのではなく、日本社会は同胞・絆のつよい社会・・もともと大企業トップと庶民との所得格差の小さい社会である点から、経済成長の果実が底辺層にいき渡りやすい社会です。
この点経済成長がストレートに経済格差拡大に結びつく諸外国との大きな違いと言えるでしょうか?
日本の場合特殊政党が格差反対論を打たなくとも経済成長すると自然に底上げされる社会です。
要は成長戦略さえ軌道に乗せれば良いので、為政者にとって楽な社会ではないでしょうか?
欧米の真似をして格差反対だけ唱えてれば支持が集まると安易にキャンペインを張ってると政党の役割を果たせず支持が増えません。
貧困が減ってきたのは、貧困を頼りにしてきた政党には気の毒ですが日本社会にとって良いことです。

底上げ成功社会と格差社会1(米独)

日本の場合、厚労省の30年31年令和元年の3年分統計を見ておきます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_00075.html

ホームレスの実態に関する全国調査(概数調査)結果について
平成30年1月に実施したホームレスの実態に関する全国調査(目視による概数調査)結果がまとまりましたので、別紙のとおり公表します。
ポイント
1.ホームレスが確認された自治体は、300市区町村であり、前年度と比べて8市区町村(▲2.6%)減少している。
2. 確認されたホームレス数は、4,977人(男性4,607人、女性177人、不明193人)であり、前年度と比べて557人(▲10.1%)減少している。
3. ホームレス数が最も多かったのは東京都(1,242人)である。次いで多かったのは大阪府(1,110人)、神奈川県(934人)である。
なお、東京都23区及び指定都市で全国のホームレス数の約4分の3を占めている。
4. ホームレスが確認された場所の割合は、前年度から大きな変化は見られなかった。
(「都市公園」22.7%、「河川」31.0%、「道路」18.0%、「駅舎」4.9%、「その他施設」23.4%)

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04461.html

平成31年1月に実施したホームレスの実態に関する全国調査(目視による概数調査)結果がまとまりましたので、別紙のとおり公表します。
1.ホームレスが確認された地方公共団体は、275市区町村であり、前年度と比べて25市区町村(▲9.1%)減少している。
2.確認されたホームレス数は、4,555人(男性4,253人、女性171人、不明131人)であり、前年度と比べて422人(▲8.5%)減少している。
3.ホームレス数が最も多かったのは東京都(1,126人)である。次いで多かったのは大阪府(1,064人)、神奈川県(899人)である。
なお、東京都23区及び指定都市で全国のホームレス数の約4分の3を占めている。
4.ホームレスが確認された場所の割合は、前年度から大きな変化は見られなかった。
(「都市公園」22.7%、「河川」30.3%、「道路」18.7%、「駅舎」5.2%、「その他施設」23.1%)

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_12485.html

ホームレスの実態に関する全国調査(概数調査 … – 厚生労働省
令和2年1月に実施したホームレスの実態に関する全国調査(目視による概数調査)結果がまとまりました
【調査結果のポイント】
(1) ホームレスが確認された地方公共団体は、255市区町村であり、前年度と比べて20市区町村(▲7.3%)減少している。
(2) 確認されたホームレス数は、3,992人(男性3,688人、女性168人、不明136人)であり、前年度と比べて563人(▲12.4%)減少している。
(3) ホームレス数が最も多かったのは大阪府(1,038人)である。次いで多かったのは東京都(889人)、神奈川県(719人)である。
なお、東京都23区及び指定都市で全国のホームレス数の8割弱を占めている。
(4) ホームレスが確認された場所の割合は、前年度から大きな変化は見られなかった。

上記の通り日本では年平均約1割づつ減少しているし、国祭的に見ても絶対数の少ない社会です。
ちなみに米国のホームレスは以下の通りです。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/presidential-election_2020/report/society/society_15.html

「ホームレス57万人」の衝撃  2020.01.28
アメリカ政府が今月発表した統計では、その数は全米で56万7715人。
前年に比べて2.7%も増えている。
州別に見ると、最も多いのが西海岸のカリフォルニア州。次いでニューヨーク州、フロリダ州の順に多い。

西欧の模範とされるドイツはどうでしょうか?
日本ではドイツの良い面ばかりしか報道がなく知られていませんが、ドイツではホームレスが意外に多いようです。
https://blog.goo.ne.jp/mikakohh/e/5813536fb2ee374940d6b8938ee4cd79

景気のいい話題の多いドイツにおける悲しい統計が、貧困率やホームレスに関する統計です。BAGWの最新の予想によれば、2018年のホームレス数は120万人にのぼることになるようです。

https://parstoday.com/ja/news/world-i54716

7月 31, 2019 20:24 Asia/Tokyo
ドイツDPA通信によりますと、同国政府の公式統計によれば、ドイツ各都市のホームレスは65万人以上とされ、彼らは路上や公共の場所で夜を明かしています。
様々な推計によれば、2014年の時点でドイツにはおよそ33万5000人のホームレスがいるとされていましたが、この数は翌年におよそ50万人に達しました。

憲法論と具体論の重要性(韓独など憲法裁判所の観念)2

昨日紹介した最高裁判決中の寺田治郎裁判官の補足意見は多数意見とは違い争訟性があるが、宗教教義に立ち入れないので、結局原告は錯誤内容を主張できない・許されない?ことを理由に棄却すべき・だが被告が控訴していないので高裁に差し戻しても棄却できないので、結局的に却下という結論を同じくするというもののようです。
(勉強不足の私にとっては、補足意見の処理の方がわかり良いように見えますが、ちょっと技巧的にすぎるということでしょうか?)
日弁連では、ある単位弁護士会で懲戒処分したことに対して対象弁護士が弁明を聞く手続違反があるとして異議申し立てしていたところ、日弁連がこの手続き違背を理由に破棄して単位会に差し戻した事例があります。
ところが、その事件では対象弁護士が単位会の懲戒処分後他の弁護士会に移籍していたために原単位会に差し戻されても原単位会では(対象弁護士はもはやその単位会の会員ではないのですが・懲戒処分後日弁連に継続した後に事件が原単位会に戻った場合には、その手続きの範囲内でその間に他の会に移籍していてもなお原単位弁護士会で処分できるような規定が整備されていなかった・今も同様です)再審査できない状態だったので、日弁連で自判しないと事件が宙に浮いてしまう事例であったのに、日弁連が差し戻してしまったことがあります。
上記最判の運用を見れば、こういう場合差し戻さず「自判」すべきだったことになりそうです。
憲法論といっても、具体的当てはめが重要という意味で正当防衛の議論などで紹介しましたが、争訟性が必要・・具体的事件になって「事件に即して考えるべき」という仕組みを18年1月22日までに私が書いてきましたが、これが結果的に正しいことを証明しているように見えます。
具体性のない段階で決めると原理論で決めるしかない・・観念論では先のことは何もわからないのに、「英断」してしまう・・政治的立場による「乱暴」な意見になりがちです。
憲法判断だけ別に行うシステムの国では、憲法裁判所構成員が裁判官だけではなく、ドイツのように議会の政党比で選出したり一定数しか元裁判官を要件にしていない国が多いので、これを憲法「裁判所」と言ったり言わなかったり(フランスは憲法「評議会」)するのは、この点の違いでしょう。
ウイキペデイアによれば、韓国の場合は以下の通りです。

韓国はドイツ型と考えられる。韓国では1987年改正の現行憲法によって、通常の最上級裁判所である大法院とは別に憲法裁判所が設置された。憲法裁判所の裁判官は、大法官となる資格を有する者(その具体的内容は下記の表を参照)の中から、大統領・国会・大法院が3名ずつを指名する。憲法裁判所の権限は、ドイツ型の制度を敷いている諸国と同様、憲法解釈のほか大統領の弾劾、政党の解散、機関争訟(行政機関相互間、たとえば国と自治体との間で発生した対立の処理)といった重要な職責を与えられている。

朴槿恵大統領の弾劾・罷免をした例を見てもわかるように 、ほとんど時の政治動向・世論そのままで動く政治機関です。

フランスの憲法評議会
他国の憲法裁判所の多くが、その裁判官の資格として、通常の裁判所の裁判官の経験や法曹資格を定めるのに対して、憲法評議会の委員(9名)には、特に任命資格などが定められず、その構成も大統領・国民議会議長・元老院議長からそれぞれ3名ずつ任命すると定めるなど、政治的機関としての色彩が強い・・・。

憲法論と具体論の重要性(韓独など憲法裁判所の観念性1)

理念の言い合いでは最後は罵り合い・解決になりませんが、私の地元自治会婦人部では「生を受けた以上全うせてやりたい」ということから、「公園に罠を仕掛けて捕獲すると避妊手術して放してやり、避妊手術済みの猫には責任を持って毎日一定の場所で餌やり」しています。
それでも「避妊手術すること自体許されない」という人がいますので、自治会でやるのではなく「有志」が寄付でやっているようです。
避妊手術費用や毎日の餌代等一定の費用がかかるので有志の寄付(私も寄付しています)によっていますが、動物愛護という掛け声だけで野良猫の繁殖放置でも困る矛盾解決努力の結果、避妊していない猫を無くしていく努力がある程度効果を奏しているようです。
近所の野良猫は毎日餌もくれるし目の敵のよう追い回されなくなったからか?入れ替わり立ち替わり来ては(みんな顔見知りばかりで知らない猫はいなくなりました)我が家の庭で安閑と昼寝をしています。
冬には、日の当たる場所に落ち葉をある程度掃き集めると、その上に座って私が残りの落ち葉を掃き集めるのを じっと見ている猫もいます。
佛教〜儒教〜実学(御定書の編集などによる判例重視)への流れについては、03/13/08「政策責任者の資格9(儒教道徳と市場経済4)」前後で連載しました。
この意見の延長で、儒学の深遠な哲理では、赤穂浪士を裁く基準にならず困ってしまった例を引いて「非理法権天と野党1」December 25, 2016でも書きました。
なお、そこでは最近盛んになっている近代立憲主義の萌芽について、「非理法権天」の法理主張が始まった流れ・公儀に対する政策批判道具として用いられた経緯も少し紹介しています。
18年1月27日日経新聞土曜夕刊10p(最終裏)には、「法廷劇が問う撃墜の是非」の題名で面白い記事が載っています。
以下は私の要約です。

満員のサッカー場に突入予定のテロ犯によるハイジャック機を、空軍少佐が独断で急発進してこれを撃墜し乗客等合計164人の命が奪われ、他方7万観衆の生命が救われた。
少佐は英雄なのか殺人罪で処罰すべきかの判断を観客が、芝居が終わるまでに一人一人回答する・一種の陪審劇です。
ドイツで実際に10年ほど前に起きた航空安全法の議論を下敷きにしたものだそうです。
この法案は連邦憲法裁判所によって違憲とされたらしいのですが、2015年の公演開始以来世界各地の「評決」では、無罪にすべき・合憲論が圧倒的多数で、ロンドンやウイーンでは全公演で無罪だったと出ています。
ちなみに作者のシーラッハは、違憲判断支持らしいですが、作者の思惑・意図とは逆の結果になっているようです。
ちなみに日本公演結果は、(現在も進行中らしいですが)上記新聞記事記載まで12回の公演では6対6で欧州と違いどっちつかずになっている・・・テロの脅威実感の低さがこの結果になっているとの記事の解説です。

ドイツや韓国では、具体的事件に関係なく観念論で成否を判定する憲法裁判所があるようですが、具体的事件に関係なく判定するのでは、裁判所というよりは学問所みたいな仕組みです。
慰安婦騒動や徴用工問題がこじれる原因になったのも、韓国の憲法裁判所が政府が日韓条約で権利放棄しても国民を拘束できないと観念論で判決したことが始まりです。
国政の重要事項を現実に即して考えるか、観念論で決めるのが良いかは国によって違いますが、わが国や英米法のように「争訟性」具体的事件の当事者が訴訟提起できる・・現実に即して考えるのが正しいと言えるでしょうか?
具体的事件が起きる前からある法律が憲法違反かどうかを決めるのでは、例えば現亜pつ訴訟やその他多くの裁判は政治効果の大きなものがありますが・特に憲法判断は政治効果に直結する高度な政治行為です。
このように政治に直結するので実務(商売人ほどその商売)に詳しくないとはいえ、裁判実務に精通した裁判官が判断するし、詳細事実認定をした上で判定するものです。
憲法裁判制度は、具体的事象が起きない内に判定するものですから、原則として抽象論で決着しがちです。
集団自衛権論でいえば、具体的事件が起きて政府の他国援助が自衛権の範囲を超えているかどうかで具体的に判定する必要がある・事案が発生しない段階で「こういう違憲の場合しかない」と前もって言えないはず」という意見を書いてきました。
憲法裁判所制度は、神様のようにあらゆる事象を前もって見通す能力を前提に「違憲」になるという断定するものですから、そもそも無理があります。
民族性として「一般人とエリートでは格段の能力差がある」→エリートの指導に従って行動すべきという思想を前提にした制度です。
我が国では憲法裁判所制度ではなく具体的事件があって初めて・前提となる法律が憲法に違反しているかどうかを判断する仕組みです。
これは、ボトムアップ社会に適合した議院内閣制などと共通した制度設計というべきでしょう。
以下に紹介するように、憲法81条では「最高裁判所は一切の・・終審裁判所」となっているので最高裁判所以外の憲法裁判所の設置は予定されていません。

憲法
第76条 すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
第81条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

次に抽象的に憲法判断を求めらるか?というと、76条で「すべて司法権は・・」となっています。
司法権とは具体的事件を法に基づいて裁くものですから、争訟性がないと末端裁判所に訴え提起しても却下される仕組みです。

裁判所法(昭和22・4・16・法律 59号)
3条 裁判所は、日本国憲法に特別の定のある場合を除いて一切の法律上の争訟を裁判し、その他法律において特に定める権限を有する。

いわゆる「板マンダラ事件」に関する最高裁判例です。
http://www.cc.kyoto-su.ac.jp/~suga/hanrei/84-3.html

寄附金返還請求事件
最高裁判所 昭和51年(オ)49号
昭和56年4月7日 第3小法廷 判決
[1] 裁判所がその固有の権限に基づいて審判することのできる対象は、裁判所法3条にいう「法律上の争訟」、すなわち当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であつて、かつ、それが法令の適用により終局的に解決することができるものに限られる(最高裁昭和39年(行ツ)第61号同41年2月8日第3小法廷判決・民集20巻2号196頁参照)。したがつて、具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争であつても、法令の適用により解決するのに適しないものは裁判所の審判の対象となりえない、というべきである。
[2] これを本件についてみるのに・・・以下略
・・・・本件訴訟の争点及び当事者の主張立証も右の判断に関するものがその核心となつていると認められることからすれば、結局本件訴訟は、その実質において法令の適用による終局的な解決の不可能なものであつて、裁判所法3条にいう法律上の争訟にあたらないものといわなければならない。
[3] そうすると・・論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。・・被上告人らの本件訴は不適法として却下すべきである・・・」
※寺田治郎裁判官の補足意見は多数意見とは違い争訟性があるが、宗教教義に立ち入れないので、結局原告は錯誤内容を主張できない・許されない?ことを理由に棄却すべき・だが被告が控訴していないので高裁に差し戻しても棄却できないので、結局的に却下という結論を同じくするというもののようです。
(勉強不足の私にとっては、補足意見の処理の方がわかり良いように見えますが、ちょっと技巧的にすぎるということでしょうか?)
日弁連の事例では、ある単位弁護士会で懲戒処分したことに対して対象弁護士が弁明を聞く手続違反があるとして異議申し立てしていたところ、日弁連がこの手続き違背を理由に破棄して単位会に差し戻した事例があります。
ところが、その事件では対象弁護士が単位会の懲戒処分後他の弁護士会に移籍していたために原単位会に差し戻されても原単位会では(対象弁護士はもはやその単位会の会員ではないのですが・懲戒処分後日弁連に継続した後に事件が原単位会に戻った場合には、その手続きの範囲内でその間に移籍していてもなお原単位会で処分できるような規定が整備されていなかった・今も同様です)再審査できない状態だったので、日弁連で自判しないと事件が宙に浮いてしまう事例であったのに、日弁連が差し戻してしまったことがあります。
上記最判の運用を見れば、こういう場合差し戻さずに「自判」すべきだったことになります。

独の国家補助金による電力輸出と独禁法の不公正競争政策1

ドイツの高額買取で生産された製品が合理的生産コスト以下で国際市場に出回り、いくら下がっても怖くない・成り行きで売れる値段までコスト無視で何年でも価格を下げ続けられる仕組み(高額買取制度というのはもともとコスト無視・市場価格との差額補填制度です)・・政府補助している点では中国の出血輸出とどこが違うのか?という疑問です。
国際相場よりドイツの電力料金が高いと言う意見を1昨日紹介しましたが、それなのにドイツが電力の輸出大国に何故なっているかと言えば、高額買取した再生エネルギーを国内電力会社に引き取らせずに国際送電網にそのまま放出させて成り行き相場でタレ流しているからです。
簡単に言えば、国内価格ではなく国際価格以下(「成り行きで売る」と言うことは、価格がいくら下がっても売り注文を下げない売り方ですから、国際市場では相場下落圧力になります・・)で売っていることになります。
日本や韓国のように一国閉鎖送電システムの中でいくらで高額買取しても概ね国内問題ですからいわば勝手です。
・・韓国も国際競争力維持のために国内電気料金を政策的に低く抑えていますが、その分どこかで歪みが出てトータル競争力では結果的に大差ないかも知れませんので、国際的には直接的問題が少なかったのです。
水道料金、道路港湾鉄道その他何でも、国民生活の基礎的コストを市場相場に委ねるかどうかは国内政治の問題で直接国際貿易に関係しません。
しかし鉄鋼製品その他国際取引商品まで国費投入で補助するとなると不公正貿易のパターンになってきます。
欧州のように送電網が共同化していて国際市況に連動している場合に、一国が桁違いの高額買取制度を実施して国際市場に市場価格で放出するようになると補助金の多い国がいくらでも値下げしていけますので結果的に市場独占してしまえます。
昨日見た論文では。おかげで周辺国が安い電力を享受できていると喜ばしいことのように書いていますが、ノーテンキで無責任な意見です。
アフリカが見るも無残な貧困状態に陥ったのは、欧米の偽善的無償食料援助が原因で地元の第一次産業が業が壊滅させられたことが原因です。
安ければ安いほどいい・無償ならばなお良いというものではありません。
生活保護に一度ハマると抜けられなくなるというのも同じです。
国家規模で大規模な無償食料援助されると無償に勝てる産業はないので、たちまち前近代的な焼畑的農業や狩猟その他の伝統的・古代型現地産業が壊滅してしまいます。
日本の敗戦時にどんなに食料に困っていても、アメリカの過剰農産物の捨て場にされ農業が壊滅しなかったのは美味しい産物に恵まれ国民の舌が肥えていたからです。
戦後直後に育った我々世代でさえも輸入米は「外米」とか「黄変米」とか言われて危険・不味いものの代名詞のイメージし残っていません・・。
豊葦原瑞穂の国に生れたありがたさで、アメリカが余剰農産物の捨て場に日本を利用し、日本の非効率な農業を壊滅させようとしてもうまくいきませんでした。
今や、日本のお米や果物に限らず牛肉さえもうまいので高級品として輸出されてますが、狭い国土で非効率だ(農業保護批判がメデイアの基本姿勢でした)関税撤廃解放して早く農業をやめた方がいいと言う宣伝・アメリカ式農業がいかに素晴らしいかばかり聞かされて育ちました。
現在のTPP交渉でも敗戦直後と変わらず、「農業保護のために近代産業が被害を受けている」という大合唱です。
洋画がいかに素晴らしいかを学校で教えても、自分のお金を出して買うのは日本画ばかり・公的美術館しか洋画をめったに買わないのに似ています。
話題が飛びましたが、ドイツ周辺国がドイツの財政負担によって安い電力を利用できるのは良いこと・メリットだというイメージの24日紹介の論文「オランダなど価格水準が高い国や供給力が弱い国は有利な価格で調達することができる。」という一見有り難そうな表現はまちがっています。
安い電力流入のためにフランスでは原発の出力を落とさねばらなくなっているというのですから、すでに弊害が出ているのです。
国家が資金補填した製品を国際市場に出すこと自体が民間の競争で言えば、自由市場制度破り政策・独禁法で言う公正競争違反政策です。
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)
(定義)第二条
(1)〜(8)省略
(9)この法律において「不公正な取引方法」とは、次の各号のいずれかに該当する行為をいう。
一〜二省略
三 正当な理由がないのに、商品又は役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給することであつて、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるもの」
昨日紹介した通りドイツが高額買取=市場価格以上で買取した再生エネルギーが市場にコスト無視で安く入ってくるフランスなどでは、既存原子力発電所などが出力を落として操業するしかないというのですから大変です。
特定エネルギーだけ補助金漬けになると正常なコスト負担するその他電力業界は価格競争でやっていけません。
ドイツは国内市場で再生エネルギーを市場相場で大量に放出すれば、国内電力料金が下落して褐炭等によるに電力生産が成り立たなくなるのでこれをしないで、国内相場は高いままで国際送電網の市場にだけに「なり行きで」放出しているとすれば・・外国だけが超安値電力が入ってきて参ってしまう・・ずるいやり方です。
フランスも負けずに原発電力を高額買取して国外には安く売ればいいのですが、この競争が始まると体力勝負になります。
こういう不公正な競争を野放しにすると、技術力がなくとも強いものが市場を席巻してしまう・技術革新で安く売って競争に勝つなら社会の進歩を期待できますが、体力に任せてコスト以下で販売を仕掛けるのではより多く国の援助を受けた企業が勝ち残る結果、効率の良い企業が負けてしまいます。
ですからこれを「不公正取り引き」として日本だけはなく国際的に同様の国内法が世界中で制定されてきたのです。
国内での不公正競争ならば、独禁法の取り締まり対象ですし、一旦この処罰を受けると諸々の社会的不利益を受けますが、国家間になるとWTOでも、これのルールを定めていますがこれがうまくいきません。
フランスは悔しくとも補助金競争を仕掛けるには国力差がありすぎるのと「原発は危ない」というメデイアのイメージ操作で負けているので、WTO違反でも全く反撃できていないというところでしょう。
ドイツは国内電力会社に再生エネルギーを高く買わせるのではなく、国際送電線網を通じてリアルタイムの市場相場で売却してしまう・・高額買取組織は差額を負担するのではやっていけないはずですから、その差額を国家負担にしているのでしょう。
このやり方は、中国国有企業の鉄鋼ダンピング輸出とどういう違いがあるか?ということですが、周辺国はドイツのご威光に逆らえず黙ったままのようです。
ドイツの再生エネルギー買取制度は、風力・太陽光発電等需要無視で生産させてこれを周辺国の犠牲にして自国でまず発展させようとする事実上の国策ダンピングです。
こんな身勝手な行動に周辺国がいつまでも我慢出るのでしょうか?
自分だけ良ければ・・という政策はいつかは反動がおきます。
蓮舫氏が国会で質問に使ったデータが実質フェイク的なものだったのと同様に、メデイアがドイツを賞賛するについては、欧州の電力市場制度の存在や隣国フランスがどうなっているかや各国の置かれた資源や電力供給構成などの背景事情を同時に報道しないと片手落ちです。
メルケル氏が日本訪問時に(ドイツは隣国とうまく修復できているのに)「日本が隣国ととうまく行かないのは、日本の真摯な謝罪が足りないからだ」と言わんばかりの韓国よりメデイアの質問に対して「良き隣人に恵まれたので・・・」と答えたことが知られていますが、何事も周辺状況・環境条件を総合してから意見を言うべきです。

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