文化発信源の多様化3(西欧の限界1)

内需力・国民を本当に大事にしているかどうかこそが、この先の国際経済競争で勝敗を分ける指標です。
西欧の場合どうでしょうか?
西欧の誇るオペラやクラシック音楽は・・王侯貴族階層が顧客ですが、日本の歌舞伎や浄瑠璃は庶民が支えて来たものです。
絵画や音楽も西欧は教会音楽や王侯貴族の肖像画中心でしたが、日本では古くから花鳥風月を描き庶民まで楽しむものですし、音楽も雅楽の外平安末期頃から今様・琵琶法師を代表としていろんな歌謡が庶民から始まっています。
万葉集では、各地地方の庶民の歌が一杯掲載されていますし,日本の和食文化は庶民から始まったものが中心ですし、今も現場からラーメンや餃子などB級グルメが発信され続けています。
ノーベル賞でさえも現場研究系の田中氏が授賞したことでは世界をびっくりさせました。
日本企業の強みは現場力にあると言われています。
遊び心、例えば昔から庶民が楽しんだ「なぞなぞ」その他の言葉遊び(掛詞・語呂合わせを基本とする)もそうですが、これが和歌や連歌〜俳諧、狂歌・川柳〜現在の落語やお笑い芸人の世界に引き継がれています。
歌舞伎などの飛躍した人物設定も突飛な連想・・連歌は連想遊びの高度なものです・・利用したモノでしょうし、草の根の文化が日本文化の基礎です。
欧米が世界に覇を唱えられた原因を見ますと、英米仏等産業革命先進諸国は産業革命による先行者利益によりますが、その後の発展性に乏しいのが20世紀に入ってからの惆楽の原因ですし21世紀に入っていよいよ衰退が明らかになってきました。
新大陸アメリカを起点にベルトコンベアー方式〜コンピューター革命等の生産技術革命はありましたが、アメリカは資源に恵まれていた点が主たる取り柄であって、文化力による上乗せ能力が低い点は同じです。
遅れて参入したドイツの挑戦はば同一文化圏内競争ですが、日本の挑戦には文化自体の違いが徐々に出て来ました。
欧米の植民地支配が過酷になったのは、文化力に自信がなかったのでその違いを悟らせないように白人の優越性を洗脳し、一方で現地文化を根絶する思想があったからのように見えます。
植民地支配では白人の優越性思想・人種差別意識の徹底で現地人に対する無力感を植えつけて現地人の成誇りを奪い,それでも努力して自民族の主体性回復を図る人が出ると過酷な弾圧をしていました。
南米の原住民を殆ど皆殺し?文化を根こそぎ奪い抹殺してしまい、・・今になるとインカ帝国の事績を伝承する人間すらいなくなるほどの徹底したジェノサイドぶりに人のすることかと戦慄を覚えない人は人間の心を持っていないのではないかと疑いたくなります。
ヒットラーのジェノサイドはいきなり出現したものではありません。
アメリカインデイアンに対する過酷な抑圧も良く知られています。
いわゆるブランド戦略なるものの浅薄さに気が付いている人が多いでしょう。
先進国に対する素朴な憧れに悪乗りしただけのことで、文化度が全く感じられないものをさも高価なもののように勝手に決めつけてボッているだけです。
田舎者に、がらくたを高価なものだと騙しているような商法です。
騙すと言うよりそれしかない・・その程度が自慢の文化と言うことでしょう。
産業革命に始まる生産力競争は・・装置産業が基本ですから、遅れて来た挑戦者の方が(資本さえあれば)効率の良い機械一式を備えることが出来,キャッチアップが簡単ですので普通は有利です。
この競争を阻害するために植民地支配民族に競争に対する絶望感を植え付ける・・人種差別を徹底して来た所以です。
西欧対等者であるドイツの挑戦激化に対する欧米の解決方法は、相手を引き摺り下ろすこと・・独に対する大戦争への引きずり込み、2度の世界大戦は挑戦者を叩き潰すと言う延長思考で起きたものです。
欧米の異教徒に対する差別化の穴をすり抜けて来た日本に対する叩き潰し方は、ドイツに対するものとは本質が違い・・アメリカインデアンに対する卑劣な扱い・・民族劣化・殲滅作戦とも言うべき戦争ですから太平洋戦争は西洋での大戦とは本質が異なっていました。
欧米は、異教徒でありながら台頭して来た日本人に人種間競争を意識させないために?名誉白人なる称号を与えてくれていましたが、日本人は欧米の人種差別に対する疑問を持ち続け、アメリカ本土居住日系人が個人が黒人解放運動を地道に進めて行く人が出て来たほか、政府としても国連で人種差別禁止の正式提案をして米英を怒らせたことが、アメリカの対日戦計画開始になったものです。
日米戦争の本質は、経済戦争の名目を取っているものの、台頭して来た唯一の有色人種をこれ以上多めに見ていると他の有色人種の反抗を誘発する危険を感じた欧米諸国一致の戦略で(日本の同盟国である筈のヒットラーのアメリカ大統領への祝電が如実に物語っています)植民地支配に喘いでいる他の非支配民族同様の地位に落としてしまう欧米全体の暗黙の合意実行に移したものでした。
名誉白人の地位は、植民支配地の王族をパリ、ロンドン等に招いて良い思いをさせておいて、反抗すればすぐに没落させるぞと脅していたようなものです。
ヒットラーがアメリカの対日開戦に「◯◯をやっつけろ」とアメリカに祝電を送っているくらいで本質はソ連もドイツも便宜上同盟や不可侵条約を日本と結んでいただけで黄色人種に対する敵意の方が優っていたのですから、ソ連が最後に裏切ったのは当然の帰結というべきでしょう。
対日戦ではアメリカインデイアンに対するのと同じ思想・・アメリカは当初から主に白人間のために成立している戦時国際法など人道的取り決めを・・日本も締約国ですが・・対日戦では守る気持ちなど全くなかった理由がここにあります。

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