世界的減税潮流の基礎3→小さな政府へ

お笑い芸人の場合、いつも同じネタでは客が飽きてしまうのでしょっちゅう新規の笑いを取る必要があります。
工業製品も製品寿命が長いだけであって一定期間で新製品を創出する必要がある点では同じです・・現状維持の企業と新製品を作り出す企業と比較すれば、現状維持型はジリ貧・規模縮小になります。
新製品の先行者利益を得る期間が短くなっているので20年も30年も同じものと言う訳には行きません・・短期間に新製品を出して行かないと競合メーカーに直ぐに真似されてしまいます。
喩えば、1国に1000の輸出企業があるときに1社平均数年に1回のモデルチェンジとすれば、クルマやスマホの例で言えば、特定企業ではモデルチェンジ直後が(成功した場合・・アップルのように失敗する例もあります)最大売上でその後徐々に売上減少して行くパターンですが、前年度比GDPゼロ成長の国は一見停滞しているようですが、日本国内企業平均では、(モデルチェンジに失敗・成功を均した結果、)トータルで製品陳腐化による売上減少を補っていることになります。
マイナスではなく0、何%でもプラス成長出来ているのは、一定の成長を遂げた先進国に於いては大成功している部類に入ると思われます。
ますこみは、新興国と成長率を比較して日本だけが成長率が低いと大騒ぎしてきましたが、・・新興国は勢いがあるのはあたり前・スポーツでも勉強でも新人は成長率が高いのは当然です・・トップアスリートになればトップの地位を守るのが精一杯で、(イチローを見ても分ります)前年比何%も走る早さやヒット率を上げるなどのレベルアップ出来るものではありません。
欧米や日本のように元世界の工場であった国の場合、過去に成功していた輸出用生産力が現地生産化進展によって縮小の一途になるのは本来の流れですから、GDPが前年比ほぼ同じと言うことは、国全体では過去に成功した輸出企業の国内生産が毎年現地生産化で減って行く分を補うべく同一企業内または異業種でも新たな輸出製品創出に成功していることになります。
ホンダで言えば完成品生産工場をメキシコ等へ移転しても国内工場を縮小しないで、輸出用部品等生産に変更した結果輸出金額が変わらなかったのかも知れません。
トーレで言えばレーヨン輸出金額が激減しているとしても炭素繊維の輸出は伸びているのと同じでこういう企業が多いでしょう。
あるいは十らでは輸出に関係なかった高給牛肉や果物などが伸びているかも知れません。
所得収支を除いた貿易収支の角度から見てもこれが言えます。
日本の場合、東北大震災直後原油大規模輸入拡大で貿易赤字になりましたが、その後盛り返して今では貿易黒字に戻っています。
ホンダのように現地生産化によって(国内生産がヘリ)輸出黒字が減って行く分野が続出しているのに、穴埋めになる別の輸出品が同一企業または異業種で育っていることを表しています。
以下の通り急激円高で24%の輸出減でも以下のとおりの黒字です。
Business | 2016年 08月 18日 09:58 JST
http://jp.reuters.com/article/july-trade-balance-idJPKCN10S2JQ
貿易収支、7月は5135億円の黒字 円高で輸出09年以来の減少幅

そのうえ、人口オーナス論によれば、国全体で言えば高齢者が増えている・・生産年齢人口が減って大変だと言う宣伝ですから、この論理によれば働いている一人当たりで言えば前年比同一生産・GDPを維持しているのは、一人当たりの生産性が上がって人口減を補っていることになります。
比喩的言えば、65~75歳になっても昨年と同じ体力・同収入ならば慶賀すべきです。
あるいは10年前には65歳人が100人に一人しか働いていなかったのに今は10人に1人働いていると仮定すれば、同年齢者全員で割れば平均収入が10倍になったことになるのかな?
平均収入とは実働者の総収入を実働者数で割ったものを言っているようですから上記のようにはなりませんが、(暇つぶし的に働く高齢者が増えると全労働者数で総収入を割ると平均賃金が下がるのは当たり前です・・マスコミの実質賃金低下批判がおかしいことを書いてきました)65歳就労者だけの総賃金を10年前と比較すれば、10倍の人が働いていれば概ね10倍になります。
個々人の生産性がそれほど上がっていなくとも昔働いていなかった高齢者が働くようになった分、(若年不足に対応して女性や高齢者が働き易くするロボット化の工夫もあります)実質的労働人口が増えるようになっているのも我が国の工夫の1つです。
石油ショックに対して省エネの工夫をし、中国のレアアース禁輸にレアアースに頼らない製品改良に成功するなども日本民族の適応力の高さを示しています。
全て共通していることは、比喩的に言えば、2分の1に省エネ→石油の効能を2倍に引き上げることですし、1万円消費していた人が20万円消費するようになれば、人の価値?大事にされかたが2倍になります。
同じ絵の具材料を使った1枚の絵画が100万より200万の方が、材料や書く人の価値が2倍になります。
国民レベル、鑑賞力を引き上げる→良いものにお金を出す人が増えることは国民にとって幸せですし、その結果より良い物が普及すれば、ひいてはうまい果物や牛肉、レベルの高いエンターテイメント・美術品など輸出出来るようになります。
民族としてやるべきことは国民レベルの引き揚げであって、レベルを上げないで消費量(だけ)を増やす、あるいは賃金を引き下げる目的で底辺層・・消費力の弱い消費者や労働者を増やして、国民平均レベルを下げても海外に売れるモノが出来ません。

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