消費力アップと消費税増税論の矛盾1

金融緩和(金融調政策)によって直接的経済成長を期待する役割が先進国・純債権国・豊かな社会では終わっていることをここでは書いています。
億単位の預貯金を持っている人は、銀行金利が下がっても消費を増やしたりすることはありません。
世界の工場としての役割が終わって需要地・現地生産に切り替わりつつある現在、国内生産量は自国消費プラスαに規定されるのが原則です。
国力の源泉が今では消費力にあるとする意見をMay 7, 2016「資源+生産力から消費力アップへ1」以下で書いてきました。
成長戦略とは内需拡大化またはプラスα部分(マザー工場機能)を増やすしかないのですが、プラスα分は画期的製品で成功しても国内限定でなく現地生産に移行して行きますので、先行者利益期間が過ぎれば元に戻るしかありません。
千か万に1つの大成功を期待するよりは、庶民の消費底上げ政策の方が規模が大きく安定的です。
国民の方も、ある程度のものは手に入っているので、政府の号令一下・・金利をちょっと下げれば設備投資が増え、住宅や各種ローン購入者が増える・・国民が政府の思うように消費を増やしたり減らしたりする単純反応する人が減って来た・・直ぐ反応する時代は終わっています。
純債権国・紙幣あまりの社会では、供給過剰・・消費不足社会ですから、消費を増やす政策(明日以降書いて行きますが量は足りているので生活レベルの向上・・トイレがあるだけはなくウオッシュレットが普及するように、文化発進力の充実)が必須ですし、レベルアップ消費が増えて生活が充実することは国民福利増進にも叶っています。
絶対消費量を増やすには人口拡大と一人当たりの消費を増やす2方法がありますが、人口を増やす方法は、生活水準がそのままの前提ですから国民には、夢がありません。
一人当たり消費を増やすと量の欲求が限界に近づくので、商人はイキオイ全ての分野でレベルアップ競争になり、より上質・・豊かな生活が出来るようになります。
既存商品が行き渡っている豊かな国では、今後国内消費拡大・レベルアップにはどう言う政策が必要かコソが必要な議論ですが、少なくとも、消費抑制に働く消費税増税論は時代錯誤の印象を受けます・・。
学者官僚は「木を見て森を見ない」と言うか、時代の大きな流れがどうあるべきか・・質素倹約論はギリシャ等の債務国には合理的ですが、世界一の純債権国日本の政治としては非合理である点に気が付かないようです。
豊かな社会、純債権国では、貯蓄ばかりしないで逆に消費=需要を増やした方が良いのです。
満腹だからもう要らないと言うのではない・・・量を消費するのではなく上質化する工夫が政策に求められます。
土建的財政支出の時代が終わったのは確かですが、それと内需拡大の必要性が終わったのとは質・レベルが違います。
世帯数より建物の数が多くなれば、家の需要がなくなったのではない・・もっと広い家に住みたい・快適な家(上質な家具調度に囲まれた生活をしたい)・交通便利な場所に住みたい需要などが無限にあるのと同じです。
美術品でもより良い物を解体見たい欲求に答える・この種のレベルアップで国際競争して行くべきですが、この種のものは従来型GDPにはあまり影響がありません。
田舎に行くと料理の味や盛りつけの芸術性よりは量で勝負する傾向が目立ちましたが、国全体でえば、田舎者のスキなGDP競争から脱却すべきです。
今後は量を充足する時代から、上質な料理・農産物・・トマトでも良いものを作ったり味を楽しんで行く時代です。
実用品ばかりではなく、絵画・各種文化を向上させて行く(江戸時代に俳諧や川柳落語は歌、小唄、義太夫・・歌舞伎や各地のお祭り文化等々が発達したように)政策に注力すべきです。
・・・・我が国はその意味でも上質なものを愛する点では遣唐使の昔から世界に冠たる上質品愛好国家ですから消費の上質化競争では、更に世界をリード出来るでしょう。
そうすれば、名実共に世界の尊敬を集められるようになります。
ドイツの批判みたいで恥ずかしいですが、内需の貧弱なドイツの問題点は内需拡大と言っても基礎文化が貧弱だからレベルアップ出来ない(おいしい物を作ったり楽しむ能力が弱い)から・・量で止まってしまうからではないかと言うのが個人的意見です。
質素倹約論に戻りますと、痩せた人は栄養を取った方が良いですが、肥満の人は栄養を取り過ぎないようにするなど国によって、処方が違うべきです。
特定分野、例えば自動車税・ガソリン税や住宅取得税アップは自動車や住宅販売抑制になることは明らかです。
増税分野=その分野の消費抑制の視点で言えば、消費税増税アップ論は特定消費抑制ではなく消費全般を抑制するための政策になることは間違いがないでしょう。
財政健全化論と増税とは必ずしも一致するものではありません。
赤字原因を縮小したり、成長による増収もあり得るしどの税目を挙げるか(どの分野を非課税にするか)も必ずしも一致しない・そこには多様な論理があり得ます。
(喩えば高齢化問題と言えば、65歳以上の人口比ばかりマスコミが書きますが、保険赤字の原因も高齢化ばかりではなく医薬品や医療機器の高騰にも原因があることを「ダイジェスト報道5と正確(中立)性担保4」February 14, 2016前後で連載しました・・これからは65歳以上で働く人が増えて来るなど社会保障負担も変わってきますのでもっときめ細かい年齢別分野別議論が必須です)
政府のえり好みによる・・特定産業に下駄を履かせる・・政府官僚が市場選別よりも優れている前提)個別産業優遇の財政政策は限界があるので、全体の足場・・水平面の上下変動を通じて公平に影響を及ぼし、対等条件下で伸びる産業と伸びない産業が市場で決まって行く金融政策の方が自由競争にも適している・・合理的政策であることをこのシリーズでは書いてきました。

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