中国のバブル崩壊14

政治の世界で言えば、民意を無視出来る独裁制の場合急激な変化でポッキリ折れるのと同じで、民主制の利点はコマメに民意を反映出来る点にあることをJuly 14, 2013〜「民意に基づく政治4(大統領制と議院内閣制3)」July 16, 2013等で以前書きました。
韓国等の任期制大統領制は、選任するときだけ民意反映ですから、(任期中は民意を反映しなくても政権が保障されているので、その分退任時に不満が大きくなっていることも書きました。
(韓国の総理は朴大統領就任後すでに5人目の引責?辞任になっていますが、大統領の地位は法的に保障されていることを2015-5-1「覇道支配の終焉2」で書きました)
中韓は後発新興国のように金利引き揚げまでは必要がない・・それなりに体力があるので、金利を下げることが出来ていますが、日米のように思い切ったゼロ金利にするには体力的に無理があることが分ります。
日本の巨額スワップ保障を利用して格安為替操作して来たと推測されますが、日本の後ろ盾がなくなって今は出来なくなったのです。
中国の場合バブル崩壊で大変な状態になっているのに、5月8日に紹介したように中央銀行金利では5.35%もの高利(銀行金利になるとそのまた何%も上です)でしか借りられない状態です。
タマタマ今朝の日経朝刊第1面と7ページでは、不景気の進行に中国が堪らず?昨年11月から三回目の金利引き下げ決定したと報道されています。
マスコミは中国贔屓ですから、景気下降を止めるためとは言わずに(高度成長から)「安定成長へ決意」したと大見出しです。
一般的に安定成長路線へ舵を切ったと言えば、高度成長・・景気過熱を引き締める場合に使う用語ではないでしょうか?
実質は(本当はバブル退治のために金融気締めが必要なのに)景気底割れしそうでどうにもならないので、これを防いで何とか「安定成長期待へ」と言うべき内容ですから、噓ではありませんがこう言う小細工をするのが日本マスコミです。
今朝の日経朝刊によると、日本の公定歩合・基準金利にあたる金利を0.25%さげて5.1%、日銀預け入れ金利にあたる準備金金利が2.25です。
中国のバブルの規模・深さは先送りし続けて来た分に比例して半端はありません。
しかし引き締めするのが怖くて未だに公定歩合が5%台と言うのですから市中銀行の貸し出し金利の高さが想像がつくと思います。
公式統計に出ませんが、実際にはインフレ亢進中・だから国際競争力を無視した大幅賃上げも進むのでしょうが、ブラジル同様に大変な事態がじわじわと進行していることが分ります。
5月6日の日経新聞朝刊第1面には中国の自動車市場では、5000万台の製造能力があって、2500万台分も過剰設備・・5割しか操業出来ない状態で、値引き競争激化が紹介されています。
不動産バブルは2年ほど前に実際には崩壊していると言われていましたが、これによる景気底割れを防ぐために2戸目のマンション購入を認めるようにしたり(投機目的購入を政府が奨励するのですから、政府の矜持・理念も何もあったものはありません)需要のない鉄道建設に邁進して世界一の線路延長を自慢していましたが、(マスコミは中国の困った事情を一切報道しませんが)ネット報道では空席だらけの中国版高速鉄道が走っていると言われています。
こんな無理は、いくら民意無関係の独裁制でも長く続く訳がありません。
粗鋼生産量が国力基準になると知ると、需要無視して大規模な高炉建設を続けて採算割れ・野積みされた鉄鋼品を海外輸出をして世界価格を暴落させていました。
5月8日の日経新聞朝刊7ページには採算度外視の鉄鋼製品がアメリカに輸出されていて、アメリカ業界が困っている状態が報道されていました・・。
14年には13年比38%も輸入が増えたこと、主に中国からの安値鋼板が輸入されているために国内価格が13年に比べて14年には3割も下がってることなどが報じられています。
中国のバブル崩壊に関しては、May 16, 2014「中国のバブル崩壊14と虚偽宣伝の破綻6」まで連載しましたので、今回はそのその続きになります。
石化製品その他いろんな分野で需要無視の設備投資しては、赤字輸出で価格破壊をしていました。

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