建物は独立の不動産(不動産登記法1)

土地と建物を別の所有権対象にしているのは、(ここから派生する建物所有目的の借地制度その他)我が国特有の制度です。

民法
(定義)
第八十五条  この法律において「物」とは、有体物をいう。
(不動産及び動産)
第八十六条  土地及びその定着物は、不動産とする。
2  不動産以外の物は、すべて動産とする。
3  無記名債権は、動産とみなす。

学者の説明では、民法自体で決まるのではなく不動産登記法で土地と建物別々に登記することになっていることによって建物のみの売買等が可能になっている・・別の不動産と言うことです。

不動産登記法(平成十六年六月十八日法律第百二十三号)
 不動産登記法(明治三十二年法律第二十四号)の全部を改正する。
(定義)
第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一  不動産 土地又は建物をいう。
以下省略

旧登記法(H16年改正前・・明治32年法)は以下のとおりでした。

第3章 登記ニ関スル帳簿及ビ図面
第14条 登記簿ハ土地登記簿及ヒ建物登記簿ノ2種トス
第15条 登記簿ハ一筆ノ土地又ハ一箇ノ建物ニ付キ一用紙ヲ備フ 但一棟ノ建物ヲ区分シタル建物ニ在リテハ其一棟ノ建物ニ属スルモノノ全部ニ付キ一用紙ヲ備フ上記定義

明治29年法律第89号により定められた民法第一編第二編第三編(総則、物権、債権)及び明治31年法律第9号により定められた民法第四編第五編(親族、相続)で構成されており、全体が1898年7月16日から施行・・は明治32年ですから民法と旧登記法は一体に解釈されていました。
我が国でも、マンションが普及して来た結果、通称マンション法が出来て敷地権と言う法概念が(改正年月日は忘れましたが20年ほど前から?)生まれて来ましたが、それでも(顧客保護のために)一体処分する必要があると言うだけで、マンションの場合でも、敷地・土地は別の物権であることを前提にしています。
今でも借地権付きマンションが割安価格で時々販売されていることから見れば、別々の権利対象であることが素人にも分るでしょう。

建物の区分所有等に関する法律
(昭和三十七年四月四日法律第六十九号)
(定義)
第二条  この法律において「区分所有権」とは、前条に規定する建物の部分(第四条第二項の規定により共用部分とされたものを除く。)を目的とする所有権をいう。
2  この法律において「区分所有者」とは、区分所有権を有する者をいう。
3  この法律において「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう。
4  この法律において「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう。
5  この法律において「建物の敷地」とは、建物が所在する土地及び第五条第一項の規定により建物の敷地とされた土地をいう。
6  この法律において「敷地利用権」とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利をいう。
 第三節 敷地利用権

(分離処分の禁止)
第二十二条  敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。

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