中韓の外貨準備2

中韓共に目先の金儲け主義ですから、リスクが高い分・高金利の新興国債券への投資・保有比率が高いと噂されていました。
ところが、原油安が象徴しているように資源国・新興国経済が悪化しているここ数年の国際経済情勢が、中韓の保有外貨の評価減=モロにマイナスに響いている様子です。
中韓の国内景気減速と資源国経済減速が同時進行している点が、マイナスのダブル・トリプル効果を生んでいる様子です。
日本の上得意は北米ですが、韓国は中国比率が高く、中国は欧州比率が高いのですが、それぞれ経済危機状態ですから大変です。
中国による爆買いを前提に資源国が潤っていたし、オーストラリア等が中国寄り変化が生じていたのですが、中国の経済減速が資源下落の引き金になってきました。
米国向け輸出比重がもの凄く高い富士重工の業績と資源国や中国向け輸出比重の高いコマツの業績変化を比較すれば見れば明らかです。
この経済関連構図から見ても、AIIB設立を巡る日米対中韓+欧州+資源国オーストラリアと言うグループ分けが必然だったのかも知れません。
韓国が日本の円安によって経済苦境に陥っていますし、アジア危機当時と比べて今は外貨準備が3000億ドルもあるので日韓スワップ終了しても大丈夫と主張しているのですが、これが本当ならば、思い切った金利引き下げ→ウオン安にして円安に対抗すれば良い筈ですが、これが出来ずそろりそろりしか金利引き下げしか出来ないのは真水の外貨準備が少ないからと言われていますが、中国も同じ体質・・外貨準備の実質的内容が悪いのではないかと推定されます。
韓国は為替操作国として有名で、製品共通性の多い日本はこの為替操作のために長年苦しめられて来ましたが、中国も為替操作のために人民元を売ってドルを買い集めていたのと同じ構図が推定されます。
ドル買い支え=元やウオンの低め誘導・為替操作による大量のドル取得=同額の人民元やウオン紙幣が国外に流出していますので、これがこれからボデーに効いてきます。
外貨準備の内、ドル買い支え資金分はこれと同額の借金証書=人民元やウオン紙幣を発行してしまっているのですから、同額の実質借金をしているのと同じです。
買い支えで取得したドルをアメリカ国債購入資金にしている場合、人民元やウオンが値下がりする局面が来れば、誰でも損したい人はいないので、国外に流出している=国外で誰かが保有している人民元やウオンを売ってドルを買い求める動きが始まります。
中国では東南アジア諸国への生産基地の移転が始まって、国内生産が縮小過程に入っていて、他方で不動産バブル崩壊が始まっていることは明白です。
これを防ぐために思い切って金利を下げると不良企業の延命リスクがあるだけではなく、人民元大暴落の引き金になるのが怖いので、預金準備率引き下げや特定金融機関向け資金供給(紙幣供給量を増やす)政策中心になっていると言われています。
バブル崩壊・・国内製造業不振による景気悪化防止のために、思い切って金利を下げると不良企業の延命リスク・・バブル退治より更なる拡大策・・になるだけではなく、人民元大暴落の引き金になるのが怖いので、預金準備率引き下げや特定金融機関向け資金供給(紙幣供給量を増やす)政策中心になっていると言われています。
金利を下げる代わりに紙幣発行量を増やすと紙幣価値が下がる→人民元下落圧力が高まる→人民元防衛のために外貨準備の取り崩しが多くなるので、結果的に人民元が下がる点は同じです。
新興国では金利引き下げはすぐに通貨下落に繋がりますが、紙幣大量供給でも効果が出るまでの時間差がある程度でしょう・・先送りでしかありません。
日本財務官僚が頻りに財政赤字→暴落=金利上昇を強調しますが、日本の場合世界最大の純債権国ですから、ゼロ金利にしてもマイナス金利にしても円や国債暴落の心配をする必要が全くありません。
日本の金利が安ければ、信用のある円を日本で借りて金利の高い外国へ持って行って利ざやを稼ぐ円キャリー取引を誘発して円が逆に上がる傾向になります。
世界の金利水準は国力・世界の信用に反比例するのが経済原則です。
アメリカ経済が好調を維持しているので、低金利政策が近い内に修正されそうというのが・・当初は昨年9月の予想でした。
アメリカの金利が少し・・精々0、何%上がると言う噂・・新興国からアメリカへ資金が流出する予想だけで、新興国・見かけの統計・発表は健全でも実質的にはおかしいと市場が見ている国が通貨下落に見舞われるのが普通です。
今朝の日経新聞朝刊5ページにはインドネシアの通貨下落とインフレによってジョコ大統領支持率が急落している状況が紹介されています。
現在の主要国金利と弱小国の代表としてブラジルの金利変化を明日のコラムで比較しておきましょう。

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