朴外交と内政能力

以前どこかで書いたと思いますが、韓国の政治改革は教科書どおり?欧米の要求どおり極端に行なう傾向があり・・この点で実情にあわせてモタモタしながら進む日本より進んだ制度になっている箇所が多くなっています。
90年ころまでは民法その他基本法は戦前の日本制度の模倣のままだと言われていましたが、以後急激に日本離れが進み欧米の指導どおり?これが良いとなればドンドン取り入れて?抜本的に入れ替える改正が進んでいます。
いつか紹介したと思いますが、戸籍制度も完全にやめてしまいました。
FTAが良いとなれば国内利害調整など無視して突っ走ります。
(私たちの世界で言えば、刑事事件での身柄拘束率が極端に減少し、日本より形式上は進んでいます。)
韓国政体は実質期間限定の独裁制であると書いてきましたが、この性質上反対派を蹴散らして強行採決→法案成立させる国でしたから、これが良いという指導を受ければ国内の実情無視して、法制度的(実際の運用はどうであれ)には強権突破でどうにでもなるのでしょう。
中国などで知財等法制度だけ近代化しますが、その運用面では外国人や政敵だけ独禁法や賄賂で取り締まるなどがあるのと同じです。
複雑な利害調整なしで強行採決するばかりならば、中国のように始めっから民意を問わない制度の方が国民もそんなものだと納得し易いかも知れません。
日本には不都合な真実が伝わって来ないですが、社会の実態がついて行かないのに、法律だけが超近代的な制度になっている無理があちこちにあると思われます。
昨日名前だけ紹介しましたが、あまりに強行採決続きで社会の制度疲労が出て来たので、李前大統領末期だったかに?国会先進化法と言うものが出来て、議長による職権上程が禁止されてしまったらしいのです。
職権上程が出来ないと野党との合意がない限り審議の対象に出せないと言うことで、強行採決出来なくなってしまったと報じられています。
議長の職権上程禁止だけならば、与党が委員会の多数を占めれば委員会で強行採決すれば本会議上程出来そうですが、この辺の韓国での具体的手順を知らないので、野党の合意がないと何故上程できなくなったのか今のところ分りません。
その他に人事承認案件もあって簡単に承認されず、過去のスキャンダル暴きになって候補者が尻込みするようになっていると言われています。
(少しは大人の話し合いが出来る社会に近づいたから強行採決が不要になったと言うよりは、弊害が大きくなり過ぎたからか仕方なしに修正したと思われます。)
この結果、朴政権は政権発足後何日も閣僚の任命さえ出来なかったことや最近でもセウール号沈没事件の責任を取って、首相が辞任表明後後任首相候補が次々と辞退に追い込まれて、結局辞任表明した首相の留任なってしまうていたらくです。
内政に関しては、何もかも野党の協力がないと法案が通らなくなって朴政権は立ち往生状態と言われています。
朴政権の内政能力のないことの言い訳に国会先進化法の責任にして、日本のマスコミが解説しているのかも知れませんが・・。
それもあって、国内政治能力欠如を誤摩化すために外交は国内利害調整なしに勝手にやれるので、反日宣伝外交に飛び回っていると言うことでしょうか?
実際には外交交渉はその成果によって、内政に直接反映します。
TPPに限らず全て実のある外交交渉であれば、その効果が直接国民の利害に関係し新たな法の制定が必須ですので、内政以上に利害調整能力が要求されます。
重要な外交案件は相手国の安定政権を相手にしないとまとまらないと言われているように、重要案件ほど国内利害の対立が起きますので、国内利害調整能力がないと、何も決められない筈です。
朴外交は日本を誹謗中傷をするのみで、内政に利害が起きるような対外取り決めをしないで内容のないことに精出しているから、好き勝手にやれているのかも知れません。
(外国に反日記念館や慰安婦像を建てる程度では国内関連法の整備・・利害調整不要・・反対派がなくて気楽です。)
反日宣伝をしても利害調整の必要な国内法制定は不要ですが、日本の悪口を言いふらした対日マイナス効果は、日本との冷却化を招いて長期的に国民が大きなマイナス負担することになりますが、直ちに関連国内法を議論する必要がないと言う目先の逃げ道にしているだけかもしれません。
勿論中国を何回訪問しようとも、国内法案成立(即ち利害調整)を必要としていません。

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