失政隠し(政敵粛清)の功罪2

中国の人件費上昇によって元々バングラデッシュやベトナムその他に輸出基地が移転し始めている打撃が大きいのですが、食品輸出工場の非衛生報道は、この動きに拍車をかけるものになっています。
食品工場だけでも膨大な人口が働いていたでしょうから、政府が何か外資たたきをやるたびに底辺層の大量失業拡大が続き、日々の生活に苦しむ大量の人々が輩出されて行きます。
(後述のように短期的には)大きな失政と言うべきでしょう。
政府が外資たたきをやればやるほど失業が増えるので、(レアアースの禁輸でも中国のレアアース生産が激減して業界は不況に苦しみました)失政の都度不満のガス抜きをどうするかに悩んでいるのが共産党政府で、愛国心に火をつけて誤摩化そうとして反日や領土拡張政策をやってみてもうまく行きませんでした。
今度は反日教育強化を続ける外にさしあたり巨額汚職摘発による政敵粛清で、不満のガス抜き政策に転じて1石2鳥のつもりのようです。
しかし、政敵粛清を兼ねた巨額賄賂摘発は、非主流幹部だけを狙い撃ち摘発しているのですから、国民から見れば却って共産党幹部や高官が私腹を肥やしていると言う世間の噂や風聞を政府自身が承認した・・自白した結果になります。
過去の権力者が私腹を肥やしていたと政府自身が認めた場合「現権力者・習近平とその周辺の方がもっと(遠慮なく)私腹を肥やしているだろう」と言う権力層・大幹部への不満がもっと確信的になります。
アメリカ企業の子会社だけ抜き取って非衛生ぶりを大々的に報道すれば、その他の食品工場も似たようなもの・・外資の厳重検査のない民族系工場はもっと酷いだろうと日本の消費者が中国からの輸入品全部を敬遠するようになるのと同じ・・政敵粛正のために汚職を上げれば、粛清されない政府幹部はもっと大きな汚職しているだろうと国民が思うようになるのが予め理解出来ていないのです。
中国の政策はレアアース禁輸や、反日暴動や対外軍事膨張政策でも目先相手が驚くので、全て成功したつもりでいるようです。
すべて 自分に正義がないのに相手を非難すれば、間接的に自分にそのマイナス効果が戻って来ますが、間接的効果は国民レベルが低いと理解し難いようです。
ヤクザが相手を脅かして「自分の怖さを思い知ったか!」とタンカを切って意気揚々と帰ったつもりでも、その後町の嫌われ者になるからトータルで損していることが分らないのと同じです。
中国の政策は戦略的で?外資狙い撃ちや政敵を狙い撃ちなど戦略が見え透いているので分りよい・・その場の効果は、劇的です・・今回の米系の食品工場は、マスコミ大報道があれば即廃業でしょう。
レアアース禁輸や反日暴動・外資狙い撃ちや汚職摘発は、その効果が長い目で見れば自分に戻って来るのが国民も政府も気が付かない・・分る能力がないようです。
最近の食品工場事件では、僅か数日で中国製品オールシャットアウト→民族系工場の輸出に波及効果が出ますが、この程度のことも予め理解できない政府と言う評価が一般的と思われます。
ただ社会の進歩と言うのは複雑なもので、短期と長期では効果が違ってきます。
レアアース禁輸は日本を苦しめる目的に失敗し、短期的には中国のレアアース生産売上が減ってしまいましたが、日本の省資源技術開発によって資源が短期間で浪費し尽くされずに長期的に輸出資源として利用できる・・息長く儲けられるようになった利益の方が大きかったかも知れません。
食品工場の衛生問題の摘発は短期的には自国企業にもマイナス影響が及びますが、その教訓で国内の衛生観念の向上に何がしかの効力が生じて長い目で見れば中国の民度底上げに繋がるでしょう。
政敵粛正目的とは言え、政敵が超巨額の私腹を肥やしていたと公開すれば、将来的に権力者自身の私腹肥やしは抑制されて行くことになるでしょう。
このように社会事象は長期的に見れば別の効能もあって一概に言えませんから、私が一方的に書いている面(別の見方もあるなと思いながら一々そこに触れないで書いています・・)を読者は自分の視点で別に考えていただく必要があります。
自己保身と私益拡大中心の中国政府権力者が、自分の任期を越える数十年先の社会利益を考えて「ここ数年は大損しても良い」と言う政治をしているとは思えないので、このコラムでは政府の短期的利益目的の視点に合わせてその所期した効果が出ているのか?逆ではないかと言う視点でその功罪を書いています。

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