日中の制裁合戦6(バブル崩壊3)

中国人総体のレベル以上の宣伝・評価によって外資が次々と参入したことによって、実力以上のあぶく銭の所得を得ていた・・バブルと言えば不動産価格ばかりに目がいきますが、国・人民全体に対する評価がバブル(粉飾)だった・・中国の輝かしい未来と言う虚像・バブルがはげ落ち始めました。
内政での手詰まり打開のための軍備拡張と対外威張り散らし行為でしたが、まだ実力差があることと国際関係の制約で戦争に打って出ることが出来ません。
威張り過ぎたので経済面ではジリ貧が進むばかり・・・やることがないので昨年から韓国同様に世界中で対日批判宣伝に精出し始めたと解釈すべきでしょう。
低賃金を売り物に企業を引き入れたので、多くの投資(資金流入)が集まり景気が良かったのです。
例えばトヨタその他の日系企業や台湾半導体受託製造工場等が進出するには、ドルを元に両替した大金を投じて土地を買ったり借りたりして、工場設備工事を行ないますので、ゲンキンが中国国内で溢れ(人民元をドルに変えるために元紙幣の大量発行が起きます)、同時に両替したドルが大量に中央銀行に流入します。
この資金が巨額外貨準備になって行ったのであって、貿易黒字によるばかりではありません。
日本の高度成長期に近郊地主が工場用地等等として土地を貸すときに巨額保証金を預かって預金しているようなもので、中国の外貨準備と言っても言わば他人の金ですから、資金引き上げが始まるとこの外貨準備を取り崩す必要があります。
中国への投資は短期資金が少なく工場設備等資金ですから、日中対立が生じたからと言って日系企業は株式のように叩き売りすることが出来ません。
この辺を中国は有利と読んで対日暴動を仕掛けたのでしょう。
日本は資金を引き上げることが出来なくとも、じっと我慢でじりじりと売上回復を待ちながら新規投資を縮小できます。
これが現今の日系自動車メーカーの売上漸増(この間欧米系や現代自動車などに差を付けられましたが・・)に繋がっています。
その代わり投資先を東南アジアに変更して中国の輸出市場を奪い始めました。
バングラデシュ等では、低賃金の魅力で大規模縫製工場が繁盛して中国輸出産業の打撃になっています。
現在の社会では新規投資=技術革新ですからこれがとどまると負けですから、ファミレスやコンビニであれアパレルであれ、製造業であれ、大手企業は常に新規投資して新陳代謝を計っていますので、既存設備を叩き売りしなくともカントリーリスクの高い地域に新規投資しなければ、その地域の産業は旧モデルのママですからジリ貧になります。
充分に日本に投資させたからもう用がないと言う程度の理解で・・この辺の機微が中国には分っていなかったのではないでしょうか?
中国の場合他国より優れた技術があって世界の工場になったのではなく、低賃金労働者が多数いる・・貧しいことを売り物していたのですから、カントリーリスクが高く低賃金の魅力がなくなれば(この約10年で賃金が約3倍になったと今朝の日経新聞朝刊4ページに出ています)現地消費分の需要以外に外資にとって魅力がありません。
対中紛争を抱える日本に限らず、欧米資本も新規縫製工場としては、中国ではなくバングラデシュ等他のアジア諸国へ新規投資している現実を見れば明らかです。
今後巨大人口を目当てに(賃金が3倍になれば消費力も3倍になります)現地消費用の投資がまだ続くでしょうが、最早世界の輸出工場としての投資は期待出来ません。
ドイツやアメリカからの投資が日本の投資減少に代替していると報道されていますが、主として中国国内市場向けの工場(現地販売用車製造工場やスーパーなど)中心です。
今後急激に国際競争力を失い、貿易収支が悪化し始めると輸出で儲けていたからこそ高級品を買えた・・輸出製造工場で働いていた人が失業者になって来ると今のところ旺盛な内需すらも近いうちに失速する時期が来ます。
従来如何に中国投資が魅力的かの報道を熱心にしていた大手マスコミも、上記記事のとおり最近では実態を無視出来なくなって来たようです。

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC