専制君主制と虚偽データ2

5月24日に紹介したグラフによれば、中国の外資流入額は2008年までは年間1000億ドルを割っていたようですが、この後に紹介する(グラフに続いて掲載する予定で書いてありましたが虚偽データ〜モラル崩壊のテーマが挟まって先送りになりました)勝又氏の引用する報道記事によれば、ここ数年では毎年1000億ドル以上もの資金流入があって、中国経済が成り立っていたことが分ります。
リーマンショック以降の中国の内需拡大は、この外資流入増加・・年間1000億ドル=約10兆円もの連続流入によって可能であったことが分ります。
この分だけも10年間で、1兆ドルもの外貨準備が増えて行く計算です。
(中国の外貨準備著増と言っても、農協預金が増えたよううな性質のものです。)
日本で農協系金融機関に潤沢な資金があったのは、近郊農家が農地を売ったことによる土地成金の預貯金によるものであって農業収入が増えた訳ではありません。
近郊農家へ資金流入が停まった後には、農協系金融機関の影響力が縮小しています。
中国の場合も、外資導入・工場用地取得費とその後の工場建設費等資金流入が縮小するとアラブ産油国で石油が出なくなった場合のように、我が国で言えば、土地バブル崩壊後元気を失った農協系金融機関のように元気がなくなるのか?の関心でこのコラム書いています。
ただし、23日に紹介したグラフもそこに出典が出ているように、中国政府発表によるしかないので、真実はまるで分りません。
数字の誤摩化しがあって数字の絶対額は信用出来ないとしても、GDP・貿易黒字等水増しは一定のルール・傾向でやっているとしたら、グラフを見ることで長期的傾向は把握出来るかも知れないという意味で掲出しています。
この点では、2013/05/13「上海総合株価指数2」に株価指数の変動をグラフ掲出したのと同じです。
しかし、トレンドを知られるのが中国に不利になれば、この改ざん比率もまた変えて行くのでしょうが・・・。
外資がドンドン入っているときには少なめに発表して差額を貿易黒字として如何に中国の将来性が高いかの国威発揚宣伝に使っていたでしょう。
外資流入が減ってくれば、信用不安が起きて我れ先の外資流出が起きるのを阻止するために、今まで少なめに発表していたのを真実に近づけさえすれば、トレンドとしてはまだ増えているかのように発表することが可能です。
中央政府がある程度上がって来たデータに一定比率の改ざんを加えて発表している外に、貿易決済を仮装して流入していたヤミの短期資金流出入額も巨額だと言われています。
このヤミ流出入分を加えて、どれだけ外資が流出入しているのかが、マイナス局面では重要です。
中国経済に魅力がなくなるとこの規制違反・・バレルとどんな処罰があるか分らない大きなリスクを掛けてまでヤミで潜入するメリットがないので、ヤミ流出入収支分から(足が速い)先に減って行きます。
経済の変調を見るには、政府の都合の良い意見を書くエコノミストやマスコミの意見よりも、流出入外資の動きを見るとこれが一番海外の動き・評価を表して正確です。
外資には長短資金の2種類がありますが、長期資金は引き揚げが難しいので流入の増減という片方の側面だけしか短期的には見ることが出来ません。
しかも工場進出等は長期計画で決まって行くもの(計画してから相手国政府の許認可を得るだけでも年単位の時間軸)ですから、半年〜1年の動向を直ぐに知るのには不向きです。
23日に紹介したグラフを見れば分るように、2008年には契約額が減っているのに、資金流入額が増えているのは1〜2年前の契約の実行がずれるからです。
短期資金の動きは資本自由化されている国の場合、許認可が要らず即時性(コンピューター取引ですから数秒で動きます)があるので、数ヶ月のトレンドを見れば経済の傾向が分ります。

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC