外資流入減3と中国経済

国内の無駄な投資の繰り返し・・例えば、無理してオリンピックを開催したが高い料金を払ってまでの入場者がいないので、兵士を動員して強制的に満席を演出する・・新幹線を作っても乗客がいない・・鬼城というゴーストタウンの建設・・建てたばかりの高層ビルが直ぐに倒壊するなど・・こうした無駄な投資の繰り返しが可能になっているのは、外資が入って土地代や設備工事代として資金が人民元に変換されているから出来たことです。
土地成金のどら息子が無駄遣いしているような状態で来たのが、最近までの中国経済でした。
無駄な工事等でも名目上のGDPが上がるし、最末端の最低時給労働で作った製品でも輸出額となれば完成商品額になるので一見膨らみます。
これらを集計して(その集計自体信用出来ないのですが・・・仮に信用出来るとしても)日本を追い越したと自慢しています。
本当に国際競争力のある企業ほど、その実力に比例して国外生産比率が上がって来ているのですが、この時代に国内総生産額を集計しても国力や発展性のメルクマールにはなりません。
ましてや重要部品を輸入して最末端の組み立て工程だけやっていて、最終製品出荷額で威張っていても意味がありません。
日本企業は最末端商品生産国としての中国が駄目なら他所で作れば良いだけですから、(最低レベルの工場なら世界中どこでも立地できますので)大して困りませんが、逃げられた中国では大規模な失業が発生します。
中国では昨夏の尖閣諸島問題以降日本車販売が不振のままです。
これの理由として「日本車の魅力がなくなったからだ」というマスコミ解説が多いのですが、それが本当ならば、中国以外でも販売不振でなければおかしいことになりますが、昨年来中国以外では日本車が最高に売れて売れまくっている説明にはなりません。
所謂「特アグループは放っておけば良い」と言う、ネトウヨの言うとおりになっています。
日本のマスコミは中韓と意見対立すると世界の孤児になるといつも言っていましたが、実際に世界の孤児になっているのは中韓の方です。
部品を輸入してその最終組み立て工程だけ担当して、出荷額が大きいと言っても出荷価格の90〜99%が仕入れ価格であれば、組み立て工場のある現地経済にとって僅か数%〜10%の取り分のために大量の人員を振り向けてそれでも仕事があってあり難いという程度の意味でしかありません。
世界経済の趨勢としては最終製品を組み立てて作る企業は、最低賃金・後進国に委ねるしかないことを以前書いたことがあります。
その意味では自前での最終製品製造にこだわっている日本国内家電産業系が、軒並み不振に陥っているのは当然のことであって異とするにはあたりません。
東レやクラレなど繊維系が日米繊維交渉の後に高機能繊維に特化して世界企業として成功していることを以前書いたことがありますが、電機系も高級部品産業化して行くしかないでしょう。
部品生産になって行くと言っても、炭素繊維のように素材に特化する・・半導体とか液晶という中間部品ではなく、そのまた素材に特化して行くべきです。
中国では輸入した部品を組み立てる最終分野中心ですから、表向きの出荷額は最大ですが、利幅・・付加価値がもの凄く薄い・・低人件費が特徴です。
中国輸出企業が僅かのマージン差で稼いだ貴重な資金で無駄な投資を続けていたら、たちまち倒産ですが、中国の場合は毎年1000億ドルもの外資が流入していたことをこの後で紹介します。
外資は工場用地取得費や工場設備新設費等として全額使います(使うために持ち込むのですから当然です)ので、個人で言えば、土地成金が毎年のように1000億ドルも土地を売って得た資金でそれで無駄遣い・・豪邸やアパート(テナントが入る見込みがなくても借金ではないので気楽です)を建てて来たような状態が中国では続いて来たとしたら合点が行くでしょう。

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