製品輸入国となった先進国

デフレについて書いたついでに今後の世界経済・・政治序列を考えてみますと、本来は貿易黒字国がその黒字の度合いに応じて国際的な発言力を持つようになるのが普通です。
グローバル化までは、後進国は先進国の経済援助・借款で導入した資金で輸入(貿易赤字分をファイナンス)していたので、経済支配を受けていたのは厳然たる世界政治の現実でした。
第二次世界大戦の敗戦国の日独は常任理事国になれない政治的には劣位でしたが、経済力を無視出来なくなったことから国連とは別にサミッとを作るしかなく、世界は先進5カ国(後にカナダイタリアを加えて7カ国になりました)のサミットで大枠が決められて運営されていたのですが、この同じことがG20になって来たのです。
この経済支配=政治支配の構図に風穴を開けたのは、対イスラエル問題での発言力強化を目指したアラブを中心とする石油輸出機構発足でしたが、これは資源輸出国=後進国による明示的な政治的発言力強化の嚆矢としてみることが出来ます。
その後ここ5〜6年資源枯渇問題から各種資源の値上がり傾向になっていたものの、これらは経済現象に過ぎませんでしたが、今年中盤からレアアースの輸出を制限し始めていた中国が、日本との尖閣諸島問題に絡めて秋から対日禁輸に踏み切ったのは、明示的政治利用の第2弾としてみることが可能でしょう。
ただし、これまでは虐げられていた小国が抵抗権的利用(・・すなわち正義は我にありとするものでしたが・・)として団結交渉権を獲得したようなものだったのに対し、中国の場合、5年ほど前の反日デモやチベット問題での反仏デモであれ、今回の禁輸(世界シェアー約90%ですので)であれ、自己単独の政治的に強い立場を利用して(中国市場に参入したいだろうと言う相手の弱みを突く国家組織的デモです)正義であろうとなかろうと自国の強引な主張を通すための恫喝外交に利用し始めた点が大きな違いです。
イギリスが、中国のアヘン輸入禁止に報いるに砲艦外交をして香港割譲を迫って歴史に汚点を残したのと傾向が同じと言えるでしょうか?
本当は放っておいても貿易黒字国はじりじりと発言力を強めて行けるので慌てて強引なことをする必要がないのですが、「我々は強引なことを出来るんだぞ」と世界に向けてに性急に誇示したがる幼稚性・・そこが中国の政治・国民レベルの低さ・未熟さが出ているのでしょう。

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