貨幣経済と同居協力扶助の義務

2010-9-10「妻のサービスと代替性1」前後に書いたように、赤提灯や飲み屋の女将のサービスの方が家庭より良いに決まっているのですから、一度行くと病み付き・・煙草みたいになります。
勿論、足ツボマッサージや耳掃除などでも奥さんにしてもらうのでは遠慮があります・・頼んでもやってくれないでしょうが、その店に行ってやって貰うのはお金を払う以上、喜んでくれるだけで何の遠慮もいりません。
貨幣経済化が、各種家庭内サービスを請け負う各種商売・・一種の外注産業を発達させたとも言えるでしょう。
これらの風俗系は、江戸時代の吉原のように一生に一回の冥土の土産としてお金を貯めてから行くのではなく、ホンの僅かなお小遣いで一回一回行ける所が味噌です。
こうした繰り返しがあってつい家に帰る時間が遅くなったり使い過ぎる人も出て来て、ついには家に全くお金を入れなくなり家に寄り付かなくなる人も出て来ます。
こうした事態が増えてくると、家で帰りを待っている妻子のために何らかの手当が必要になってきます
賃収入・通勤時代になってみて初めて、農耕時代には考えられもしなかった夫婦の同居協力義務・・婚姻費用分担義務が脚光を浴びるようになったと思われます。
農業収入の中心時代には家に持ち帰るお金は元々なかったし、通勤がなかったので毎日出かけることもなく、そんなことを法で決めなければならないなどと考える余地がなかったでしょう。
給与所得あるいは貨幣収入中心時代が来ると、餌を運んでくる・・外で働いて賃収入を得てくるのが夫だけになると、家にいる妻の地位不安定さが極まって来ます。
そもそも外から賃収入を得るのが、何故男でなければならないかの疑問ですが、これは江戸幕府の成立と公的事務部門の担当者の関係を見れば明らかです。
昔から武力が政権成立の必須条件でしたから、政権が成立すると安定期に必要な事務部門への武士の転用が進んだからです。
本来戦闘要員である武士がそのまま事務部門に向いている筈がない・・・李氏朝鮮では武班と文班に別れていましたが、我が国ではこの分業をせずに武士の転身を図って上手く機能してきたのです。
その代わり武士は儒学の教養を要求されましたので、いきなり文人の能力が要求されたのですから大変でした。
ワールドカップで活躍したサッカーの選手にその功労として官僚に取り立てるから法律の勉強をしておくように命じたようなものです。
それで調子が狂って「冗談じゃないよ!」とばかりに旗本白鞘組を結成したのが、粗暴系一筋で変身出来なかった水野十郎左衛門などのグループだったのでしょう。

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