米国の高家賃3(継続しない社会)

社会のあらゆる分野で更新(継続)原則社会にするか自動終了社会にするかは、社会の在り方の根本を規定するものですからこのような基本法が成立するかどうか自体が、庶民を大事にする社会か否かのバロメーターです。
日本では地代や家賃を地主や大家の都合で簡単にあげられない制度・・昨日紹介したように更新原則制度(終身雇用の定着もこの原理によります)が大正時代から始まって定着していますが、住宅価格が上がれば家賃もあがる→ストレートにホームレスが増える結果から見ると米国には(個別対応法があるとしても、それでは政策が後手に回ります)こうした基本的制度がないのでしょうか?
ネット企業ではアマゾンなどネット企業の横暴さについて、ある日いきなり出店条件改定を突きつけられたという悪評が目立ってきました。
日本のゾゾタウンの場合、アパレル等大手が多いので逆に出店中止の動きが出ている例が報じられていますが、報道に出ない中小の出店者は契約解消するといきなり販路を失うので一方的改定通告の言いなりのようです。
契約自由に対する「規制さえなければ何をしても良い」という「悪しき自由主義」・・「法家の思想・法万能主義」は性悪説に始まっていることを15日に書きましたが、この基本思想が米国社会を蝕んでいるのでしょうか?
(一般に「せいぜん、せいあく説」と習いますが、日本語で表現すれば「しょうよし」と「しょうわる」ですからピンとくるでしょう)
欧米で発達した近代立憲主義政体・3権分立制度は権力はいつも悪いことをするという性悪説的思想を骨格とした猜疑心を前提にしています。
今では三権の抑制均衡にとどまらず、公正取引委員会その他第三者的機関がどんどん増えているし、企業も監査役の充実にとどまらず外部委員や社外取締役制度の拡大(ゴーン氏の事件でより一層勢いを得ています)・近年流行のオンブズマン制度などはこれを権力同士の抑制均衡に任せずに多角的監視の必要性を拡大する動きと言えます。
西欧近代社会では人間は基本的に性悪(しょうわる)の人が多いから「しょうわる説」で国家や組織運営するし国民も皆納得しているのでしょう。
現在野党はこの動きを手放しで「良し」とする気風に便乗して古代法家の思想の純粋適用的国会活動をしているように見えます。
統計「不正」主張問題では(その後何が出るか不明ですが)今まで出ている情報では「やっていることが善意で結果が良くても職分を超えて仕事をすれば処罰すべき」との考えでルールに反してさえすれば、批判することを職業にしているのが現在野党のように見えます。
社会に警察や監察部門が必要なようにこういう部門に目を光らせる政治家も一定数必要ですが、これが政治全部の役割と思って国会議事がそれ中心にするのは社会のあり方として不健全です。
企業の総会で言えば経営計画の審議そっちのけで、経営陣に不正がないか・・しかも不正の有無ではなく「疑いの有無」ばかりに終始していて肝心の経営計画の議論をさせないような運営ではないでしょうか?
政治家の仕事が不正の「疑い」主張ばかりで良いと考えている人は、そこ(不正)に関心があるのではなく社会の少数者になっている僻みがあって、歪んだ視点ばかり増幅させる・・「自己内部に性悪(しょうわる)な部分を多く見たい心理の反映」ような印象を受ける人が多いでしょう。
事件処理で、「このことからなぜそういう主張に導けるの?」と驚くほど、相手の行動を捻じ曲げて解釈して憤っている人の感知能力の高さにど驚くことがありますが、「自分の場合こういうことをするのはこういう悪意を前提にしている」という自信があって主張しているとすれば「主張者の心の闇がすけて見える」ことになります。
日本では「法」があろうがなかろうが「やって良いことと悪いこと」の区別は庶民末端までみな知っていますが、上記のように「心の奥に性悪(しょうわる)気質が渦巻いている例外的な人も一定数います。
財布を落とした場合の届け出率は根拠不明ですが以下のように出ています。
xconsulting.jp/gyanburu/son/saifu.html

・・おそらく多くの方が財布が戻ってきたと答えるでしょう。なぜなら、日本において財布が戻ってくる確率と言うのは、私たちが想像している以上に高いのです。その確率は63%になり、世界的に見てもかなり高い確率なのです

高いといっても63%ですが・・。
ただし、落とした財布が100%落とし主の想定した時間場所で拾われるとは、限らないので37%の人が懐に入れているとは限りません。
(いつどこで無くしたかをはっきり知っている人はそんなにいません・・自宅内で探し物が思いがけない場所から出てくることが多い・・生活道路を歩いていると手袋の半分とかマフラーなど不思議なものが落ちていますが、落とした人はコートを着た時にマフラーを忘れたか、コートと一緒に手持ち移動のビル内で落としたか・/手袋の場合切符を買うときに落としたか?などとと思うのでしょうが、実は思いがけないところに落ちているのです・・電車移動の場合10分違えば乗った駅前広場と降りた駅前では全く別の場所で落としたことになり違った警察に行きます・・・財布の中に身分特定事項があれば検索可能でしょうが、特定事項が少ないとちょっと場所が違うだけで遠く離れた別の警察署に行くことになりそうです)
全国で落とし主の表れない数字を引き算しないと届けても戻らなかった人の数字だけでは正確な比率が出ません。
道徳律レベルにもどりますと「個々人の良心」に頼る率が比較的低いのでこと細かに契約で縛り法規制に頼るしかないのが米国社会なのでしょうか?
日本だって大正時代に借地法が出来、昭和で借家法が全国施行になったのは「えげつない商法」が少しでも出てくると放置できなくなったことによります。
日本の場合明治民法(現行法)で契約自由の原則その他西洋法制度を取り入れましたが、少しでも法制度悪用の動き・・日本的価値観で見ると「心得違いの動きがホンの少しでも出てくると大騒ぎになり、放置できなくなったことによります。
こういう場合にもイラン等の過激な主張・・欧米式近代法制度自体を根本から否定するのではなく、国民共同の価値観が欧米的法形式・流儀を利用して確認される点が、日本とイラン等と違いますし、膨大なホームレスが生まれてもさしたる国内議論にならず放置されているように見える米国との違いです。
香港、シンガポールなどIMF式自由を謳歌している地域(資産家移住奨励)で家賃急騰が目立つのは、・高額家賃を払える人がいる限りいくら上がっても良い・(払えない底辺労働者はマレーシアに出ていき、そこから通えばいい?)外部からの移住者が多く共同体意識が元々ないのが原因かも知れません。
ホームレス対策は、共同体意識によらない皮相的人権擁護論では、発生原因を見ない傾向・・(貧困者向け公営住宅が足りないのは結果でしょう)対症療法にとどまり限界があるように見えます。

更新・継続原則社会1(日本)

普通の労働者がホームレスになるようないびつな社会になりつつある原因を法制度の違いで見ておきます。
例えば契約更新を原則としない社会では、2〜3年契約の場合、2〜3年ごとに契約が自動終了しますので、大家にとっては次にもう一度貸すかどうかは大家の気持ち次第・・一方的関係になります。
前の契約が月額5万円であったか10万であったかに関係なく、契約終了後の新規募集価格を「月額13万」とすれば、元借家人かどうかに関係なくそれに申し込まない限り借りられません→契約期間終了すれば契約がない以上(ラーメンを食べ終われば店を出るように)家を出て行くしかありません。
法形式上は新規契約なのでどういう新規提案しようと「契約自由の原則」という論理構造のようですが、この辺は毎回行く店を変えても良いパン屋やラーメン屋が商品値上げ自由なのと本質が違っています。
パン屋やラーメン屋が1ヶ月後200円値上げすると書いてあれば、次から別の店に行くか?など顧客の自由選択ですが、住居や商店の場合「そんなに上がるなら契約したくない」という選択はよほどのことがないと(例えば1000円上がるのが嫌で引越しできるか?)できませんので、大家のいいなりになる傾向が強まります。
この違いに着目して日本では、大正時代から労働契約や賃貸借等の継続性を前提とする分野(講学上「継続的契約関係」と言います)では契約期間が終了しても(正当事由は滅多に認められない・労働分野では解雇権乱用の法理が確立しているので)原則として更新しなければならない制度設計になっていることを13日に紹介しました。
(元請け下請け関係は一見毎回個別の契約のようでありながら継続取引を前提としている関係でよほどのことがないと発注を打ち切れない商道徳関係に縛られます)
契約期間の定めがあっても更新(従前の契約条件がそのまま継承される)することが原則ですから、契約期間終了日が来ても自動的に契約が終了しません。
借家人が同意しなければ、更新しない理由として正当事由があるかどうかを裁判して争う必要があります。
正当事由とは何かですが、その例示として法律に「自己使用の必要性等の外・・」ですから、商業的借家や借地にこういう必要性などあり得ないので訴訟する人が皆無に近くなっています。

借地借家法(平成三年法律第九十号)
(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
第二十八条 建物の賃貸人による第二十六条第一項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。
以前紹介しましたが平成の新法では自己使用等の他に「財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、」決められるようになった分流動化に資するようになっています。
「財産上の給付」申し出とは平たく言えば立退料の提案次第ということです。
参考までに大正10年からの借地法記載の正当事由の記載を紹介しておきます。
第4条
借地権消滅ノ場合ニ於テ借地権者カ契約ノ更新ヲ請求シタルトキハ建物アル場合ニ限リ前契約ト同一ノ条件ヲ以テ更ニ借地権ヲ設定シタルモノト看做ス 但シ土地所有者カ自ラ土地ヲ使用スルコトヲ必要トスル場合其ノ他正当ノ事由アル場合ニ於テ遅滞ナク異議ヲ述ヘタルトキハ此ノ限ニ在ラス
平成の大改革といってもこの程度の微温的改正でしたが大騒ぎになったものです。

この旧借地法や借家法は平成新法制定前の契約は旧法適用ですので、私も昨年から旧法適用事件で訴訟中です。
ただし判例理論が今の平成の法律とほぼ同じでしたので・いろんな法改正は判例実務の後追いが原則です・・不都合はありません。
14日に法家の思想紹介で書きましたが、日本はいつも法令改正前に実務が先行していく社会です。
社会の変化に法令が合わなくなる・・不都合が発見され、それを判例で修正していく流れで、その判例が世間の支持をうけて定着して行くとそれを新法令に変えていくという流れです。
象牙の塔にこもる研究者が社会の流れを先験的に見通して10年先の社会を前提にした法律案を提案するなど不可能なことですから、法はいつも実務変化の後追い作業になるのは当然です。
また現実に変化の芽も出ていないうちから10年先を見通した法案を提案しても国会での議決は不可能でしょう。
「今起きている変化の芽からこれが大きな潮流になりそうだからこの方向の規制をしたり緩める」というのを否定するのではなく、この変化が先に起きるのは実務界であり既存法令で不都合があるときに法規制の範囲をめぐる係争が増えてくるので半例が先行指標になるという意味です。
借地借家で言えば、時代の変化に合わせることも社会的にある程度(自己使用目的でなくとも都心のビル街で古い瓦屋屋根の家を温存しているのは社会的マイナスです)必要なので立退料支払いでの法の穴を埋めてきた実務慣行(知恵)があったのを法で明記し認証したことなります。
元に戻りますと、日本では期間満了=新契約ではなく・・「前契約ト同一ノ条件ヲ以テ更ニ借地権ヲ設定シタルモノト看做ス」・・ 契約が同一内容のまま継続ですから、家賃を高くするには家賃や地代賃上げ・契約変更の場面になることが重要です。
「契約は守られるべし」というのがローマ法以来の原理ですから、相手が応じない限り裁判所の変更可否の判断手続きが必須です。
(労働法では賃上げ〜賃下げ交渉)
13日に借地借家法で書いたように意見が合わないと契約関係を維持したままの法的争いに移行します。
訴訟手続き等で鑑定等を経て結果的に大家の値上げ要求が正しかったとしても負けた方は差額に利息をつけて払えば良いだけですから、それほどのリスクはありません。
大家の方は、鑑定費用や弁護士費用等を負担するので、日本の場合1〜2万円程度の値上げ目的では裁判で勝っても費用倒れです。
しかも裁判所はいくら土地が急激(個別取引事例ではなく統計的に)年間1割といえばかなりのインフレですが)に上がっていてもそのままの引き上げを認めない運用が定着しているので、この種の争いをする大家や地主がいない・・何十年も同じ家賃のままというのが普通になります。
イギリスのエンクロージャムーブメントで小作人がいとも簡単に追い出されてしまうのを奇異に思うのが日本人です。

継続契約保障と社会変化4(離婚法制の変化・破綻主義へ)

継続的契約関係ではDecember 9, 2017の「継続契約保障と社会変化3(借地借家法立法3)」で書いた続きになります。継続関係解消で似たような事例では、偕老同穴の誓い・共白髪の末まで・・と契ったはずの夫婦関係も何かの事情変化でわかれる(離婚)しかない事態が起きます。
この場合も戦前の旧法では、法律上は相手に契約不履行・・不貞行為等の違反・落ち度がないと離婚を求める権利がありませんでしたが、戦後は破綻主義といって、破綻している以上無理にこれを維持させるのは意味がないし逆に害悪があるということで離婚できるようになりました。

民法旧規定
第二款 裁判上ノ離婚
第八百十三条 夫婦ノ一方ハ左ノ場合ニ限リ離婚ノ訴ヲ提起スルコトヲ得
一 配偶者カ重婚ヲ為シタルトキ
二 妻カ姦通ヲ為シタルトキ
三 夫カ姦通罪ニ因リテ刑ニ処セラレタルトキ
四 配偶者カ偽造、賄賂、猥褻、窃盗、強盗、詐欺取財、受寄財物費消、贓物ニ関スル罪若クハ刑法第百七十五条第二百六十条ニ掲ケタル罪ニ因リテ軽罪以上ノ刑ニ処セラレ又ハ其他ノ罪ニ因リテ重禁錮三年以上ノ刑ニ処セラレタルトキ
五 配偶者ヨリ同居ニ堪ヘサル虐待又ハ重大ナル侮辱ヲ受ケタルトキ
六 配偶者ヨリ悪意ヲ以テ遺棄セラレタルトキ
七 配偶者ノ直系尊属ヨリ虐待又ハ重大ナル侮辱ヲ受ケタルトキ
八 配偶者カ自己ノ直系尊属ニ対シテ虐待ヲ為シ又ハ之ニ重大ナル侮辱ヲ加ヘタルトキ
九 配偶者ノ生死カ三年以上分明ナラサルトキ
十 壻養子縁組ノ場合ニ於テ離縁アリタルトキ又ハ養子カ家女ト婚姻ヲ為シタル場合ニ於テ離縁若クハ縁組ノ取消アリタルトキ
第八百十四条 前条第一号乃至第四号ノ場合ニ於テ夫婦ノ一方カ他ノ一方ノ行為ニ同意シタルトキハ離婚ノ訴ヲ提起スルコトヲ得ス
2 前条第一号乃至第七号ノ場合ニ於テ夫婦ノ一方カ他ノ一方又ハ其直系尊属ノ行為ヲ宥恕シタルトキ亦同シ

上記の通り相手方になんらかの原因がないと離婚の訴えが認めれない仕組みでした。
民法現行規定

(裁判上の離婚)
第770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
《改正》平16法147
2 裁判所は、前項第1号から第4号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

上記「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」がこれ(破綻主義採用)にあたるという解釈が定着しています。
第二項の「一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。」場合とは、離婚に至った事情を総合し、離婚請求される方の生活保障等のバランスを考慮することになっています。
破綻主義と言っても当初は有責配偶者(例えば浮気している方)から、自分の浮気や暴力が原因で「夫婦関係が破綻した」という理由の離婚請求を認めない・・いくら高額慰謝料・終身の生活保障をすると言っても)妻が「懲らしめや復讐のために?」拒否すると離婚が認められない解釈でした。
この間の研究については以下の論文がネットに出ています。
ただし、論文発表時期明示がないのですが、かなり古い時期の分しか引用されていないので、現在の参考にならないかも知れませんが、問題点が十分に掘り下げられていますので深く知りたい方は、以下を参照してください。
https://ci.nii.ac.jp/els/contentscinii_20181112095822.pdf?id=ART0001408704

いわゆる制限づき破綻主義の判例法理について(その1)梅木茂
1聞題の所在
2 有 責配偶者の離 婚請求拒否法理 の背景
3.判例の動向 な らびに考察
「法 は かくの如き不徳義勝 手気儘 を許すもので は ない.道徳 を守 り,不 徳義 を許 さない ことが法の最重要 な職分である.総て法はこ の趣旨にお いて解 釈されな け れ ば な らない、・・・前記 民法の規定は相手方に有責行為のあることを要件とするもの でないことは認 め る け れ ど も,さりと て前記の様な不徳義 得手勝手の請求を許すものではない.(最高裁 昭和27.2.19判決最高民集6.2.110)

借地借家法成立前には、相場の数倍の立ち退き料支払いを申し出ても借地人が拒否すればどうしょうもなかったし・・労働契約解約のために契約上の退職金の数倍の上乗せ支払いを申し出ても労働者が応じなければそれまでだったのと「軌を一」にしていました。
その後(昭和62年)破綻後一定期間経過と子の養育や相手方の生活保障等のセットで有責配偶者からの請求でも離婚が認められる最高裁判例(いわゆる破綻主義)が出て、これが定着しています。
離婚を認めるかどうかは離婚後の相手方や子供の生活がどうなるかの問題であるという実態を直視してその面の判断が重視されるようになってきたのです。
こういう判例が出る前から庶民の世界・・現場労働系低所得階層・特に職を転々とする傾向のある男相手の場合には、相手が浮気でいなくなったのであろうと理由が何であろうと、慰謝料を1円も払わないからと離婚しないと頑張っていてもどうなるものでもありません。
こういう場合には早く離婚して母子手当て・母子優先のいろんな制度(公営住宅の優先入居その他)利用をして生活の安定を図り、場合によっては次の男と再婚した方が有利なので、どんどん別れていくのが私が弁護士を始めた昭和40年代でも普通でした。
仮に相手の居所がわかってもあちこちフラフラ職の定まらない(こういう場合生活費も入れない男が普通)男相手に「慰謝料を払わない」から「払え」と裁判しているよりは早く別れて社会保障手続きする方が簡明ですし、次の相手と再婚する方が手っ取り早いからです。
たまたま夫が行方不明で離婚届けを出せない場合に、(再婚前に次の子供ができると大変なことになるので)はやく離婚するために弁護士費用を払ってでも法的手続きするのが普通でした。
長々とした裁判になる事件の多くは、相手が高額収入・・安定職業に就いている場合で話の通じない・ほどほどのところで手を打つ能力のない・・同士の争いが普通でした。
最近家事事件が多くなっているのは、男も子育て参加の掛け声によって男性も子供に対する愛着が 強くなってきた結果、親権者や子供との面会にこだわる人が増えたことによります。

継続保障4(三菱UFJBKの10年計画?1)

http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1710/25/news018.html

2017年10月25日 06時00分 公開
銀行業界に激震が走った。三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、三菱UFJグループ)の平野信行社長が9月、「事務作業の自動化やデジタル化によって9500人相当の労働力を削減する」と発言したからだ。
9500人というとグループの中核企業である三菱東京UFJ銀行の従業員の3割に相当する人数である。
平野氏は、あくまで「9500人相当の労働力を削減する」と言っただけで、9500人をリストラするといったわけではない。余った労働力はよりクリエイティブな業務にシフトするとのことだが、皆がクリエイティブな業務に従事できるとは限らない。実質的な人員削減策と受け止めた銀行員は少なくないだろう。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22847550Y7A021C1EA30003

銀行大リストラ時代 3.2万人分業務削減へ
2017/10/28 19:17
日本経済新聞 電子版
みずほフィナンシャルグループ(FG)など3メガバンクが大規模な構造改革に乗り出す。デジタル技術による効率化などにより、単純合算で3.2万人分に上る業務量を減らす。日銀によるマイナス金利政策の長期化や人口減などで国内業務は構造不況の色合いが濃くなって来たため。数千人単位で新卒を大量採用し、全国各地の店舗に配置する従来のモデルも転換を迫られる。

http://blogos.com/article/229520/

記事
沢利之
2017年06月18日 16:43
三菱UFJ1万人人員削減計画、早期退職で加速が好ましい
3日ほど前ブルンバーグが「三菱UFJグループが今後10年程度で過去最大となる1万人規模の人員削減を検討していることが分かった」と報じていた。
・・例えば今後銀行が生き残ることができる分野の一つに「資産運用部門」を上げることができるが、資産運用部門で求められる人材・スキルは預金吸収・貸出型と全く違う。これを同じ人事システムで処遇しようとすると資産運用部門の優秀な人材は退職し、外資系の資産運用会社に移籍する可能性が高い。
つまり銀行は総人員を減らすだけでなく、専門分野で活躍する人材を長期的に育成・確保する必要があるのだ。そのためには人事制度の改革と大胆な人減らしが必要なのである。

私は三菱の発表まで水面下の動きを知りませんでしたが、10年間で何万人不要になるなどという悠長な発表のずっと前から果敢なリストラ・・足し算ではなく人員入れ替えが必要という意見が6月時点で出ていたらしいのです。
既存権利に手をつけずにそのまま温存して定年になってやめて行くのを待つ・新分野兆戦に適した能力のある人員を新規採用・・足し算して行くようなやり方では、入れ替えに長期を要しすぎて技術革新の早い現在では、企業が潰れてしまうでしょう。
以前から書いていますが千葉の例でいうと、旧市街の改造には利害が錯綜して難しいのであんちょこに埋立地造成(幕張新都心立地など)や郊外に住宅団地を作る足し算式政治でごまかしてきました。
人口がいくらでも増えていく成長期には足し算政治で良かったのですが、人口が現状維持になってくるとスクラップアンドビルド・何か新しいことをやる以上は何かを廃止しないと財政的に持たなくなっています。
数年前から、千葉市では(政治によらない)大規模な都市改造が始まっています。
ちば駅から遠い順にパルコ、三越百貨店が昨年中に閉店し代わって新駅ビルが完成してちば駅周辺集中・コンパクトシティ化に急速に進み始めました。
最早従来の決まり文句であった旧市街の活性化(見捨てるのか!)などの2正面作戦を言う暇がない状態です。
選挙制度改革も同じで、産業構造の変化に合わせて都市部の人口が増えて、投票価値格差が広がると過疎化した地方の議員数を減らさずに増えた都会の選挙区を増やして相対的に格差縮小を図る足し算方式でしたが、これも限界がきてついに島根県などの合区に手をつけざるを得なくなりました。
三菱の発表を見ると銀行業界はいわゆる護送船団方式と揶揄されていましたが、未だに手厚い保護でぬるま湯に浸かっているのではないかの疑念を持つのは私だけでしょうか?
東京などの大都会に限らず、地方都市に例外なくシャッター通りが生まれてしまった原因は、都市再開発用に旧市街の土地や建物の明け渡し需要が必要になったのに既得権の壁が強すぎて旧市街地に手をつけられない・時代適合の新陳代謝ができない状態・戦後の貧しい住居がひしめいたままだったので、郊外にスーパーや若者の住む住宅団地などが立地してしまった結果です。
若者だって市中心地で新婚生活したいし、スーパー等の業者だってできれば人のあ集まる中心地で開業したかったでしょうが、既得権保護の抵抗が強すぎて(大規模店舗法など)新興勢力を寄せ付けなかったので結果的に中心市街地が地盤沈下してしまったのです。
これを国単位でやっていると日本全体が地盤沈下し周辺の国々・・韓国等が潤うことになります・・・この例としては、成田空港開設反対運動の結果、空港の開業も拡張も思うように出来ないうちに韓国仁川空港等に国際ハブ空港の地位を奪われてしまった例が挙げられます。
労働分野でも生産活動や事業分野が根本的に変わっていく変化の時代が始まっています。
これに対応して企業も・・従来事業の延長・・熟練によってその延長的工夫だけで、新機軸を生み出すだけではない(車でいえば電気自動車、・・車製造の熟練の技では対応不能・・金融でいえばフィンテックなど)全く別の分野で育った発想や技術が必要とされる環境に放りこまれる時代になりました。
今日たまたま、歴博(国立歴史民族博物館)発行の2017年novenber205号26pの研究者紹介を見ていると、コンピューターによる古文書解読(くずし字等解読アプリ」を開発した)すごさを書いている文章が目にはいりました。
私のような素人にとっては美術館・博物館等で壮麗な金粉を散らした立派な料紙に(例えば宗達の絵に光悦の)流麗なかな文字の「賛』や和歌があってもよほど知っている有名な和歌などでない限り読みこなせないのでは・外国人が意味不明のまま見ているのほとんど変わらない・・とても悲しいことです。
美的鑑賞ではそれでいいのでしょうが、文字の意味も知って鑑賞できた方がなお感激が深いでしょう。
くずし字を自動的に翻訳できるようになれば、大した労力・コストがかからずに展示の都度楷書に印刷したものを横において展示してくれるようになれば、私レベルの人間にとってはとても助かります。
協調学習利用のためにクラウドソーシングのシステム設計によってオープン化した結果、現在は災害史料に対象を拡大し1日1万ページのペースで翻刻が進んでいることが報告されています。
この人は1984年生まれで2017年4月に歴博に採用されたばかりとのことです。
話が横にそれましたが、その道何十年の経験を積んだ人しか「くずし字」を読みこなせない・この分野に新しい技術をひっ下げた分野外から新技術者導入の快挙の例です。

継続契約保障と社会変化3(借地借家法立法3)

12月6日に出たばかりのNHK受信料に関する最高裁判例で時間軸をhttp://www.toranosuke.xyz/entry/2016-1105_nhk-saikosaiによって見ると以下の通りです。

事件の概要 *6
2006年3月、テレビを設置、「放送内容が偏っていて容認できない」と契約拒否。
2011年9月、NHKは男性宅に受信契約申込書を送付したが、応じず。
契約の申し立てを行った時点で契約は成立すると、NHKは主張。
1審:東京地方裁判所判決(2013年7月判決)
2審:東京高等裁判所 (2013年12月18判決, 下田裁判長)

となっていて、超長期の時間がかかっています。
弁護士が判例を説明して、企業からどのくらいの期間で決まりますか?と聞かれてもそう簡単には答えられないの実情です。
これでは企業活動(大手マンション業者の場合には、見込みだけであちこちにちょっかいを出しておいて買えるようになった順に仕入れていけばいいのですが、事業用地取得・・デパートの出店や工場進出などの場合には売ってさえくれれば駅に近ければどこでもいいという訳にはいかないので長期間不確定では事業計画がなり立たない・・不向きな制度設計になっています。
判例さえあれば良いかというと実務的には大違いなのが分かるでしょう。
この法制度がない時代にも事実上適正な立ち退き料支払いの示談で出てもらって都市再開発などができていたのですが、建築後4〜50年以上のあばら家に住んでいる借地人や借家人に正当な立ち退き料の提案をしてもアクまで「金の問題でない」と言い張られると法外な立退き料を払うしかなく、法的に強制する方法がありませんでしたが、判例は徐々に自己使用目的でなくとも金銭補完を認める方向に動いていたのです。
借地制度は、戦後牢固とした勢力を張る「何でも反対派?」(社会変革反対)政党の基礎的制度ですから、解約の自由度をあげる改正には頑強な反対が続いていました。
これでは時代即応の都市設計・再開発が進まない不都合があったので、借地借家法が新規立法の機運が盛り上がったのです。
昨日借地借家法の付則を紹介しましたが、「付則」とはいえ、これが最重要部分で(超保守系)革新政党との妥協によって、既存契約に適用なしとする妥協がされたので、過去の契約に関しては、従来通りとなってしまいました。
今どき新規借地契約をする人などめったになく、存在する借地権等はいつ始まったか分からないほど親や祖父の世代からの古いものが中心ですから、新法では古くからの借地の再開発案件には利用できないままですから、新法制定による都市革新促進効果は(定期借地権付き大型マンション等でたまに利用されることがある程度で)限定的になっています。
時代遅れのブティックやレストラン等の場合、この先何十年も建て替え予定がないのに「今度家を建て替えたら綺麗にするから」というだけでリフォームを一切しないのに似ています。
このように「弱者救済」の掛け声ばかりでなんでも反対していると木造密集アパートばかり残って行く・・近代化阻害ばかりでは災害対応も無理ですし、国際都市感競争に遅れをとるのが必至です。
車や電気製品のように短期に買い換えて行く商品の場合には、新製品からの規制・・排ガス規制というのは意味がありますが、超長期の借地契約でしかも無制限的に更新が保証されている借地関係では、(しかも新規借地契約など滅多になく旧契約が問題なのに、)今後の契約からの適用ですと言っても社会的にほとんど意味がないことなります。
都市再開発や新規事業用地取得の障害になって困っているのは、新規借地ではなく明治大正昭和前半に、大量に生み出された山手線の内外に多い古くからの借地です。
古くからの借地が事実上無期限に更新されていく前提ですと新法制定の効果がほとんどなくなります。
現代型借地契約として時々見かけるのは、大型マンションの場合、多数地権者からの買収が必須ですが、開発用地内の一部地主が先祖伝来の土地を売りたくない(一時に大金が入ると税負担が大きいなどいろんな事情で)と頑張った場合、便法としての「定借」が利用されるようになっている程度でしょうか。
あらたに生まれた定期借地権の利用形態としては、ビル用地の一部に所有権を残しておいても50年程度の長期ですから、(自分が生きている間には)配当金をもらうだけの債権に似ていて「保有」している意味が実際に無い(50年先に何か言えるというだけ)のに比して、マンション等ビル保有者の方は50年先にどうなるか不明で不安定になるマイナスだけで新規借地を奨励するべき社会的意義がほとんどありません。
マンション法の累次の改正で特別多数で所有権の一態様で有る共有者に対してさえ、強制的改築(建物取り壊し決議)ができるようにになっているのに、地主というだけで(全体敷地の1%しか持っていない地主が合理的理由なく拒否権を発動できる)老朽化したマンションの死命を制することができるのは、おかしなことだという時代が来るべきでしょう。
長期的には借地という半端な制度は臨時目的の1時使用目的以外にはなくなって行くべきではないでしょうか?
自分で利用する予定のない土地を持つこと自体がおかしいのであって、必要な人がいて相応の価格で買いたいといえば手放すのが筋です。
数十年あるいは50年以上も先まで土地利用計画すらないのに、売るのを拒否して所有権維持にこだわる人をなぜ保護するのか分かりません。
こういう不合理なヒト・しかも社会にとって迷惑なひとを保護するために、(既存借地の流動化を図るためならばわかりますが)いつでも返してもらえるような法律(新借地法)を作るのは方向性として間違っています。
有効利用もしていないのに「あくまで売りたくない」と言い張る所有権者の乱用と同じで、いったん借りたら既得権になって周辺の発展を無視して巨額立ち退き料を積まれてもアクまで「この古い家が好きです」と言い張って占拠し続けるのを社会が保証してやるべき・・どういう借地人でも「何が何でも保護すべき」という論者がいるとしたらこれも異常で、どういう社会のあり方を想定しているのか不明です。
バブルの頃に小さなラーメン屋か薬局だったかで何億という立ち退き料支払いが何件か話題になっていましたが、そのたぐいです。
※ ただしH6年の最高裁判例によって相当の対価が提供されていれば正当事由が補完されるようになってることは昨日紹介した通りです。
都市再開発での借地権問題同様に既得権には手をつけない・先送りしか出来ない問題は、厳しい解雇規制の結果、国際競争にさらされている大手企業の雇用現場で起きています。
企業でよくいう新事業向けに再構築し直すときに旧事業向けの余剰人員をリストラしないで、定年退職対応の新人不補充・(解雇規制があるため)「自然減を待つ」というのも同工異曲です。
1〜2ヶ月ほど前に三菱UFJBKの(フィンテック化進展等による)大規模人員不要化発言が話題を集めましたが、不要になるというだけで希望退職を募るのかすらはっきりできない・・不明の批判を受けているのは、解雇制限法理による点は、借地法関連の保護法理が支障になっているのと根底が同じです。

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