国政政党の役割4

昨日引用の続きです。
http://www.yomiuri.co.jp/adv/chuo/opinion/20171109.html

衆院総選挙、このあと小池都政はどうなる?
佐々木 信夫/中央大学経済学部教授
専門分野 行政学、地方自治論
都政はどうなるか、小池都知事は再起できるか
・・・・今回の衆議選では姉妹党と思われる「希望の党」は大惨敗した。特におひざ元の都内25小選挙区のうち勝利したのは1つであり、比例を含めても獲得議席は4に過ぎない。東京都内のこの結果が東京都政に影響を及ぼさないはずがない。
都知事の威信
選挙前でも、就任1年目の庁内の小池評価は46.6点。同時期の舛添要一は63.6点、石原慎太郎は71.1点。[7]。前任の都知事らと比較しても極端に低かったが、今回の国政進出でその信認は完全に失われてしまった。0点に近いのでは。信頼できないトップの言動、動きに部下が冷ややかな反応をするのは企業とて同じ。トップのリーダーシップは部下のフォロアーシップが噛み合ってこそ初めて機能する。小池氏はもはや1人で吠える空回りリーダーではないのか。
2足わらじ
・・・都議選後、「都政に専念する」と明言していたにもかかわらず、舌の根も乾かぬうちに「私が先頭に立つ」と国政政党を1人で立ち上げ、「政権選択の選挙」だとはしゃぎ走り回った小池氏。大敗後も、深く反省し「都政に邁進する」と口では言うが、党代表を降りる気もなく、党代表と都知事との2足わらじを相変わらず履き続けるというのだ。
・・大敗後も代表として国政政党の主要な意思決定に深く関与するという態度だ。「国政に色目を使わずに地道に都政の執行に専念すべきだ」(前掲・片山)といった知事経験者としてのコメントにも応えようとしていない。
国との関係
都民の人気が絶大でそれを背後に国にモノ申してきた小池氏とは違い、都民の支持がなくなったいま国側は全く怖くない。五輪準備もこの先、ゴタゴタ続きになるのでは。それに国が救いの手を差し出すとは思えない。
都議会との関係
・・・小池氏が掲げた“東京大改革は都議選に勝つこと、”この目標“は見事に達成されたが、それだけでは大した意味はない。自分を支える勢力にお友達が増えた程度の話だ。そうではなく、“古い議会を新しい議会に変える”との話はどうなるかだ。
・・・うも違う。小池氏の都民ファ運営が独裁との評で、既に2名の有力議員が離党した。「希望の党に連なる都民ファへの指導力が低下する可能性もある。都民ファは分解の過程に入ることも想定される。特に民進党出身の都議が動揺していると聞く」。
・・・都民ファの内部の最大勢力は実は希望の党の9割以上が民進出身者であるのとよく似ている。一番数が多いのが民進系議員で、もし彼らが集団離党すれば、もはや都民ファは1年生の小池塾生と一部の自民系議員だけになる。その自民も今回の復調で離党する可能性がある。このドミノで都民ファは少数会派に転落してしまう。
都民ファと与党を組む都議会公明(23議席)の動きも怪しい。国政同様に自公体制を望み、都民ファとの与党体制を解消する方向に行ったら、小池都政を支える勢力は無に帰してしまう。
小池都政の今後の課題―それを解決できるか
仮に小池氏が希望の党代表を辞め、都知事に専念するとした場合、この先小池都政はうまく前進できるかどうか。課題を幾つか挙げてみるが、なかなか難しいのでないか。
第1は、小池都政のこれまでの都政運営の仕方を変えられるかどうか。議会にも職員にも都民にも相談なく進めるワンマン都政のやり方をだ。情報公開、見える化を売りにするが、一方で政策形成や決定過程は外部顧問に依存し、組織を無視するワンマン決定でブラックボックスに近い。合意形成より知事独裁に近い都政運営をどのように変えていくのか、変えられるだろうか。
第2は、豊洲移転と築地再整備の折衷案を実際「形」にできるかだ。そもそも豊洲移転延期から2年以上が過ぎる見通しで時間とカネが相当掛る。しかも都議選直前、自分のAI(人工頭脳)で決めたという豊洲移転と築地再開発の両立という方針は、採算面からみても成立不可能ではないか。500社に及ぶ築地市場の利用業者の信用は完全に失われている。カネと時間を失い、信用を失ったこの大プロジェクトを立て直すことができるのか。
第3は、2020五輪の準備は相当遅れているが、ほんとうに大丈夫か。築地市場跡地を通す幹線の環状2号線の整備及びバス3000台以上が駐車できる駐車場の整備は、豊洲への全面移転が完了してからでないと始まらない。その移転自体、ズルズル延び来年10月以降という。それだけでなく、全体的に遅れているのが五輪向け都市整備だ。“総合的に判断”と言うが、ワンイッシューにこだわり整合性を欠く都市整備の現状を小池氏自身の力で変えられるか。間に合わないとなれば、急転しインフラ整備は国が前面に立ってやらざるを得ない状況に追い込まれる事態すらあるかも。そうなると、小池都政は国内外の信用を完全に失ってしまう。
第4は、本来都政が取り組むべき「都市問題」の解決、都市政策の実行ができるかだ。もともと都民は小池氏に政策問題の解決をあまり期待していない感じだが、しかしそうは言っていられない。
・・・・・・自分が関心のある無電柱化などに凝っているようだが、それ自体、都民生活上の優先順位は低い。上述の優先順位の高い問題にどのようなプログラムとスケジュールで取り組むのか。それには都庁という巨大官僚制を動かすエネルギーが要る。信用を失った中で、これができるか。
第5は、東京都内というコップ内だけでなく、日本全体の東京一極集中批判に都政はどんな対応をするのか。独りよがりの東京論をかざしていると、老人介護施設の首都圏広域展開ひとつ協力を願えない。五輪施設の他県整備でゴタゴタした小池氏の手法に不信を持つ知事、市長は多い。よく考えて欲しい。東京という大都市は水ひとつ、エネルギーひとつ、食糧ひとつ、自前で供給する能力のない、他に依存して成り立っている砂上の楼閣のような都市であることを。近隣諸県のみならず、全国、アジア、世界からの協力なくして東京は生きていけない。
建言「もう“国政との2足わらじ”は止めろ」
少数野党を率い国政に片足を置いたままで都政がうまくいくはずがない。ひとりの人間にそんなエネルギーはない。ここは政党代表を離れ、都政にしっかり専念すべきだ。それでも大変な時期のはず。都知事の通常の仕事、前例のない「老いる東京」問題、2020東京五輪の準備と、都知事が3人必要な状況にあるのだ。
・・・・・小池氏は都知事になる準備をしていた人ではない。突然前知事が辞職したから降って沸いたようにお鉢が回ってきたに過ぎない。なので、都政自体をもうひとつ判っていない感じがする。就任から1年以上経つ今でも、自分の皮膚“感覚”で都政を語っているようにしか見えない。本当にやるべきこと、都政を動かすプロモートは何かが見えていないのではないか。
労組の「連合」を頼りにしているようだが、選挙はともかく大都市経営には限界がある。民間との関係で片肺飛行の都政。これでは東京の持つ力を出せるはずがない。
・・・労組も大事だが、経済界、政界、区市、各種団体、都民、他県ともしっかりスクラムを組むべきだ。情報公開という意味で、五輪は五輪で今どんな準備段階にあるのか工程表を明示し、世に説明すべきだ。ひとつひとつ謙虚に物事を解決し実績を積んで行ってこそ、小池都政に“明日”は拓ける。」

国政政党の役割3

以上、小池旋風や総選挙について感想を書いてきましたが、専門家のわかり良い分析が出ているのに気がついたので長文のために部分的抜粋ですが、以下2日に分けて引用して紹介しておきます。
これによると小池氏は敵を巧みに作りあげる手法でメデイアとの合体でブームを起こしてきたが、都議選後敵がなくなって困っていたところで、解散があったので国政へ逃れて一時的に息を吹き返したという見たてのようで、これまで書いてきた私の個人的印象が裏付けられます。
いつも書くことですが、面倒な内部の利害調整・政治を怠り外敵を求める安易な手法に頼ると次から次へと外敵が必要でいつかは壁にぶち当たります。
以下に紹介する論文は読売のオピニオンに掲載されているのですが、政治家として何をするかの内容のない・スケープゴートを作り上げるだけの小池旋風を煽ってきたメデイア界がどう責任を取るのか?という私の関心・・問いも(遠慮がちに)発せられています。
下記引用の通り、2足のわらじで都政を放り出していることに対する厳しい批判を受けていたので已む無く14日には希望の党の代表を降りたようですが、往生際が悪かった点がどう作用するかについては、以下の引用記事には出ていません。
小池氏が今更パファーマンス政治をやめて都政に真面目に取り組むといっても、もともと利害調整の経験が乏しい小池氏に調整能力があるのかの疑問がある上に、都庁役人や都議会・都民が「都政を踏み台に利用」しようとした点がバレバレになった今となっては、真面目に協力できるか?ということです。
http://www.yomiuri.co.jp/adv/chuo/opinion/20171109.html

衆院総選挙、このあと小池都政はどうなる?
佐々木 信夫/中央大学経済学部教授
専門分野 行政学、地方自治論
飽くなき“権力亡者”にいつまでつき合う
昨年7月31日の都知事選で291万票を得て当選したのが小池百合子氏。今年7月2日の都議選で自ら立ち上げた地域政党「都民ファーストの会」を大勝(55議席)に導き、都議会自民を大敗(23議席)させた。都議会ドンとか都庁を伏魔殿と呼ぶなど敵視戦略で2つの選挙を制してきた。都議選に大勝利した瞬間が小池百合子主演の「小池劇場」(都政版)がピークを迎えた時だった。筆者は、その後の都政は敵を失い自らの仕掛けが敵になる、との見方からこの瞬間で「小池劇場は終焉した!」と本欄に書いた(17年8月31日付)。
ところが第2幕があった。もう1つの国政進出がそれ。安倍首相の突然の衆院解散、10月22日総選挙と慌ただしい動きが始まると、この時とばかり、“私一人で立ち上げます!”と国政新党「希望の党」を立ち上げた。(国政版)「小池劇場」の幕が開いた瞬間だ。マスコミなど世の中はテンヤワンヤの大騒ぎ。“希望のスター現れる”との囃し立てぶり。“初の女性総理誕生”とまで書く新聞もあった。
・・小池氏はあたかも首相の座に手が届きそうな絶頂の表情でテレビに出まくった。
民進党を丸のみして政権を取ろうとした希望の党、それをめぐるゴタゴタ。その主犯は小池氏だろう。中身のない看板だけの民進党の面々も同罪だが、都政を置き去りにし、都政の実績もなく問題提起だけで1年を過ごしてきた小池氏が“私が日本を変える大政治家”とばかりに振舞った罪は重い。そのことを見抜けないで馳せ参じた民進系議員、スターのように囃し立てたメディア、評論家の罪も重い。危うい世論の空気も。日本政治の空白の1ヶ月だった。
・・・その小池氏。大敗に驚き潔く身を引くかと思いきや、「深く反省し、お詫びしたい」と反省の弁を語ったが、それは口先だけ。都知事は辞めないし、依然として希望の党代表を続けるという。そうまでして権力の座に恋々とする、“飽くなき権力亡者”に都民はいつまでつき合うのか。
・・・今回の総選挙で希望の党が過大評価されたのは「メディアの責任が大きい。
マスコミの支持、世論を追い風にしてきた小池都政の推進力はこの先、確実に落ちる。
・・・小池氏は、問題の指摘は上手だが“課題を収拾できない人”と皆が見抜いてしまったからだ。
・・・・本人は「都政に邁進する」と嘯く。「都政を踏み台に首相へ駆け上がる」、その野望を全面に出しての国政勝負に大失敗し“劇場2幕”の幕が下りたにも拘わらず、この先も政党代表と都知事の2足わらじを履き続けるという。
・・・・常識では考えられない。果たしてこの先、都民の支持、都庁官僚の支持、都議会の支持、国民の支持は得られるのか。頼るのはマスコミの支持か。都知事の途中辞任が続く“混乱都政”の収拾を期待されての登板だったはず。だが、やっていることは、それに輪を掛けそれを上回る混乱、専横ぶりではないか。都知事ってそんなものか、都政ってそんな片手間の仕事なのか。都政をないがしろにし、自己ファーストで権力の座にしがみつく、そうした小池氏の姿に怒りと失望を感ずるのは、筆者だけだろうか。
この解散総選挙は何だったか、何に役だったか
現代はメディアの報道が選挙結果を大きく左右する時代だが、商業主義のメディアに翻弄され右往左往した有権者も多かろう。政権選択と嘯き「希望の党」にスポットを当てて小池百合子をスターのように扱ったメディアは今どう抗弁するのだろう。
選挙報道の新聞、テレビはどれも筆先は同じ、コメンターもみな同じ人。そこには小池氏を囃し立てるトーンはあっても有権者の目線に立った対論、争論、ディベートは殆どなかった。第4権力ともされるメディア、これが報ずる“過ち”を私達はどう見抜けばよいのか。」

執筆者はメデイア界で活躍しているからか、「私達はどう見抜けばよいのか。」とメデイアの影響力を過大評価していますが、いくらメデイアが煽っても彼女の政治が何をもたらすかを素早く見抜いた国民がいる・・すぐに彼女を支持しなくなった健全な結果を重視すべきです。
小池旋風がほんの短期間しか効果がなかったのは、メデイアの虚像(いわゆるフェイクニュースの走りです)拡散による誘導効果・メッキも一緒に見抜かれている点をこの論者はあえて過小評価していると思われます。

国政政党の役割2

ここでは政党全体の能力競争・・レストランのメニューにあたる選挙に必要な公約の内容を書いています。
実際に作れないメニュウ表記はフェイク・おとり広告になるのと同じで、メニーに掲げる以上は具体的準備が必要でしょう。
例えば、政治資金規正法関連や政務調査費の使途チェックばかりに特化するのは、政党ではなくオンブズマン程度の組織のやることでしょうし、汚職や不正経理チェックも警察や監査専門家が第一次的にやることです。
弱者目線で言えば福祉水準は手厚い方が良いし医療費は安い方が良いし子供も大事にした方が良いに決まっています。
しかし商人でいえば売り上げ金全部〜8割を生活費に使うと次の商品仕入れができないし、店舗や設備をリニューアルし優秀な人材を雇って行かないと競争に負けます。
結局は使途バランスをどうするかの問題です。
政治家・国の経営者になろうとするものは、いかにして収入(国の活力アップ)を増やすかの方向性を示してから、その配分を考えるのが普通です。
総収入があってこそ、使い道の考えも出てくるものです。
生活保護も手厚い方がいいものの、元気に働くものの生活水準とのバランスがあります。
希望の党の公約では不要不急のインフラ整備をやめて財政再建する・・消費税増税凍結と言うのですが、不要不急のインフラ工事をやめるといっても何を不要不急と断定して中止するかの意見がありません。
国家運営には、国民全般の生活条件の底上げ・の収入増をはかることが重要・その上での分配論ですが、収入面で言えば、どの産業分野を今後伸ばしていくべきかを言うべきであって、単に「産業の活力アップを目指します」と言うのでは空疎すぎます。
産業の活力アップ反対の政党はないでしょうから、どうやって活力アップするかの提案こそを公約すべきです。
例えば電線地中化自体は徐々に行われていて誰も反対はないのですから、この公約は従来は年に5キロのペースで進んでいたが、今後10キロのペースにするなどの速度アップのアッピールと思われますが、資金面の優先配分だけでは無理で、後記の通り逼迫している建設関連労働力をこの分野に優先的配分しない限りスピードアップできません。
電線地中化工事を早めるために、オフイスビルやホテルあるいは駅舎等々の新改築、オリンピック関連工事その他の前向き需要に応じた建設工事(新鋭工場や物流施設や、都心部の最新ショッピング施設新設工事などなど)を遅れさせることが経済活性化にどのように結びつくのでしょうか?
優先順位の決定がないまま・・不要不急のインフラ整備をやめるというだけでは、なにを止めるのかも不明で希望の党には何の政策もない・やりたいこともないのに権力欲だけで結党したと自白しているようなものです。
築地移転で言えば、1年間以上も空転させてまで土壌汚染を騒ぐ必要があったのかと言う・まさに時間の優先順位の判断ミスの疑問です。
政治は全体のバランスを見て取捨選択→具体的になると大方の場合「あなたの希望は後回しです」と言うしかないので利害対立が出てきますが、利害調整をしないで具体的意見を言えないのでは、国家運営を担うべき政党と言えないでしょう。
国政進出の政党設立は、小池氏が総理になりたいという野心で始めたことは周知の通りであったにもかかわらず、党代表の自分が立候補するか否かさえもはっきり出来ないまま公示日直前を迎えてしまいました。
都知事1年で都政を混乱させただけで何もしないで逃げ出すのか?という批判に耐えられなかったことがまず第一で、次に結党直後のフィーバーがどの程度続くか見極めてから決めたいという態度が見え見えでした。
若狭氏が結党準備をしていたのに、或る日突然に私がやりますと宣言していきなり自ら代表についておきながら、風向き次第で選挙に出るか出ないかを決めるというのでは、実現したいことがあって旗揚げしたのではないという前代未聞の自己都合の結党だったイメージを焼き付けました。
選挙に出ないで負けた場合には都知事の椅子にしがみついていれば、もしかして残任期中に都政で挽回できれば捲土重来を期する道があると見たのでしょう。
無責任な煽りばかりで自分が出馬するかどうかもはっきりさせられない・・それでもメデイアの煽る方向へ単純に同調する国民がそんなに多いのか不思議だと思ったのは私だけかと見ていましたが、結果は10月10日公示〜10月22日の衆議院選挙結果で判明しました。
October 28, 2017「アメリカンファーストと都民ファーストの違い」以来アメリカンファーストのフレーズに関連して、都民ファーストのフレーズとを比較しているうちに希望の党の旗揚げがあったので、変な方向にテーマが流れてしまいました。
小池氏の手法は、現実政治に関係のないキャッチフレーズを次々繰り出すだけ・それもヒト様(トランプ氏やメデイアで出ている)の借用の言葉が踊っているだけという印象で終わったのではないでしょうか?
アメリカンファーストはオバマ以来の国際力学の変化であって(応分の負担をしてくれないと)「もはや世界の警察官をやってられない」というアメリカの厭戦気分を背景にしていますので、時代背景のあるフレーズですが、都民ファーストには何らの合理性もないと書いてきました。
日経新聞には、消費税の地方分配率で、東京都が取りすぎているので東京都の取り分を減るべきという動きが出ていて12月16日朝刊ではその方向で決着したと書いています。
都民ファーストどころか「都が多く取り過ぎている」という批判の方が多いのを無視し(何か言い分があるかもしれませんが、何も考えずに流行語に飛びついただけの印象を国民多くがうけたでしょう)て国政に打って出ようというのですから、何を考えているの?という疑問を持った人の方が多いでしょう。
今回(昨秋)の選挙の結果、メデイアと政治家がタッグを組んで虚像・イメージを繰り返せば一定のところまで行けるが、国民が賢いので根拠のないイメージ効果持続期間(人の噂も75日?)が短いことが分かった状態です。
メデイアの世論誘導力が選挙のたびに落ちてきたことが、メデイアが目の敵にしていたトランプ当選だけではなく今回も証明されたようです。

 

継続保障4(三菱UFJBKの10年計画?1)

http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1710/25/news018.html

2017年10月25日 06時00分 公開
銀行業界に激震が走った。三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、三菱UFJグループ)の平野信行社長が9月、「事務作業の自動化やデジタル化によって9500人相当の労働力を削減する」と発言したからだ。
9500人というとグループの中核企業である三菱東京UFJ銀行の従業員の3割に相当する人数である。
平野氏は、あくまで「9500人相当の労働力を削減する」と言っただけで、9500人をリストラするといったわけではない。余った労働力はよりクリエイティブな業務にシフトするとのことだが、皆がクリエイティブな業務に従事できるとは限らない。実質的な人員削減策と受け止めた銀行員は少なくないだろう。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22847550Y7A021C1EA30003

銀行大リストラ時代 3.2万人分業務削減へ
2017/10/28 19:17
日本経済新聞 電子版
みずほフィナンシャルグループ(FG)など3メガバンクが大規模な構造改革に乗り出す。デジタル技術による効率化などにより、単純合算で3.2万人分に上る業務量を減らす。日銀によるマイナス金利政策の長期化や人口減などで国内業務は構造不況の色合いが濃くなって来たため。数千人単位で新卒を大量採用し、全国各地の店舗に配置する従来のモデルも転換を迫られる。

http://blogos.com/article/229520/

記事
沢利之
2017年06月18日 16:43
三菱UFJ1万人人員削減計画、早期退職で加速が好ましい
3日ほど前ブルンバーグが「三菱UFJグループが今後10年程度で過去最大となる1万人規模の人員削減を検討していることが分かった」と報じていた。
・・例えば今後銀行が生き残ることができる分野の一つに「資産運用部門」を上げることができるが、資産運用部門で求められる人材・スキルは預金吸収・貸出型と全く違う。これを同じ人事システムで処遇しようとすると資産運用部門の優秀な人材は退職し、外資系の資産運用会社に移籍する可能性が高い。
つまり銀行は総人員を減らすだけでなく、専門分野で活躍する人材を長期的に育成・確保する必要があるのだ。そのためには人事制度の改革と大胆な人減らしが必要なのである。

私は三菱の発表まで水面下の動きを知りませんでしたが、10年間で何万人不要になるなどという悠長な発表のずっと前から果敢なリストラ・・足し算ではなく人員入れ替えが必要という意見が6月時点で出ていたらしいのです。
既存権利に手をつけずにそのまま温存して定年になってやめて行くのを待つ・新分野兆戦に適した能力のある人員を新規採用・・足し算して行くようなやり方では、入れ替えに長期を要しすぎて技術革新の早い現在では、企業が潰れてしまうでしょう。
以前から書いていますが千葉の例でいうと、旧市街の改造には利害が錯綜して難しいのであんちょこに埋立地造成(幕張新都心立地など)や郊外に住宅団地を作る足し算式政治でごまかしてきました。
人口がいくらでも増えていく成長期には足し算政治で良かったのですが、人口が現状維持になってくるとスクラップアンドビルド・何か新しいことをやる以上は何かを廃止しないと財政的に持たなくなっています。
数年前から、千葉市では(政治によらない)大規模な都市改造が始まっています。
ちば駅から遠い順にパルコ、三越百貨店が昨年中に閉店し代わって新駅ビルが完成してちば駅周辺集中・コンパクトシティ化に急速に進み始めました。
最早従来の決まり文句であった旧市街の活性化(見捨てるのか!)などの2正面作戦を言う暇がない状態です。
選挙制度改革も同じで、産業構造の変化に合わせて都市部の人口が増えて、投票価値格差が広がると過疎化した地方の議員数を減らさずに増えた都会の選挙区を増やして相対的に格差縮小を図る足し算方式でしたが、これも限界がきてついに島根県などの合区に手をつけざるを得なくなりました。
三菱の発表を見ると銀行業界はいわゆる護送船団方式と揶揄されていましたが、未だに手厚い保護でぬるま湯に浸かっているのではないかの疑念を持つのは私だけでしょうか?
東京などの大都会に限らず、地方都市に例外なくシャッター通りが生まれてしまった原因は、都市再開発用に旧市街の土地や建物の明け渡し需要が必要になったのに既得権の壁が強すぎて旧市街地に手をつけられない・時代適合の新陳代謝ができない状態・戦後の貧しい住居がひしめいたままだったので、郊外にスーパーや若者の住む住宅団地などが立地してしまった結果です。
若者だって市中心地で新婚生活したいし、スーパー等の業者だってできれば人のあ集まる中心地で開業したかったでしょうが、既得権保護の抵抗が強すぎて(大規模店舗法など)新興勢力を寄せ付けなかったので結果的に中心市街地が地盤沈下してしまったのです。
これを国単位でやっていると日本全体が地盤沈下し周辺の国々・・韓国等が潤うことになります・・・この例としては、成田空港開設反対運動の結果、空港の開業も拡張も思うように出来ないうちに韓国仁川空港等に国際ハブ空港の地位を奪われてしまった例が挙げられます。
労働分野でも生産活動や事業分野が根本的に変わっていく変化の時代が始まっています。
これに対応して企業も・・従来事業の延長・・熟練によってその延長的工夫だけで、新機軸を生み出すだけではない(車でいえば電気自動車、・・車製造の熟練の技では対応不能・・金融でいえばフィンテックなど)全く別の分野で育った発想や技術が必要とされる環境に放りこまれる時代になりました。
今日たまたま、歴博(国立歴史民族博物館)発行の2017年novenber205号26pの研究者紹介を見ていると、コンピューターによる古文書解読(くずし字等解読アプリ」を開発した)すごさを書いている文章が目にはいりました。
私のような素人にとっては美術館・博物館等で壮麗な金粉を散らした立派な料紙に(例えば宗達の絵に光悦の)流麗なかな文字の「賛』や和歌があってもよほど知っている有名な和歌などでない限り読みこなせないのでは・外国人が意味不明のまま見ているのほとんど変わらない・・とても悲しいことです。
美的鑑賞ではそれでいいのでしょうが、文字の意味も知って鑑賞できた方がなお感激が深いでしょう。
くずし字を自動的に翻訳できるようになれば、大した労力・コストがかからずに展示の都度楷書に印刷したものを横において展示してくれるようになれば、私レベルの人間にとってはとても助かります。
協調学習利用のためにクラウドソーシングのシステム設計によってオープン化した結果、現在は災害史料に対象を拡大し1日1万ページのペースで翻刻が進んでいることが報告されています。
この人は1984年生まれで2017年4月に歴博に採用されたばかりとのことです。
話が横にそれましたが、その道何十年の経験を積んだ人しか「くずし字」を読みこなせない・この分野に新しい技術をひっ下げた分野外から新技術者導入の快挙の例です。

国家的事業と自治体の拒否権5(原発の可否は国政で!)

現在日本の法制度は何重にも地元自治体の協力を必要とするようにシステム化されていて、1つの事業についてある部分では地元の村や町の許認可・例えば国道を通すのに小さな公園や小学校の移転が必要な場合など重層的な地元自治体の協力がないとどんな国策も進まないようになっています。
3日ほど前に新潟県知事選挙で反原発派?知事が選挙に勝ったと報道されていてこれに迎合するように近くに学校があって、これではいくらなんでも危険だ、無理だと言う尤もらしい意見が流布しています。
そんな些末なテーマは、原発をどうするかの議論で決着がついている話のすり替えまたは蒸し返し論です。
成田空港の例を書いて来ましたが、日本に空港が必要でありどこに立地するかが国政の場で決まった以上、その空港予定地内の道路や公園を廃止するのは当然の原理です。
あるいは境界ギリギリに保育所などあれば、これを移転するのが本来です。
決まってから、計画地内あるいは直ぐ近くに道路、小学校や幼稚園があるからダメ、民家が空港内では困ると言う議論すること自体が馬鹿げていると言うか、論理すり替え・・新たな知見に基づいて考え直す必要があるならば、国政の場で議論すべきことです。
ダム工事や自衛隊基地その他国策的計画の場合、計画地周辺に民家も道路も何もない土地は普通に想定出来ません・・当然予定に入っているのが普通です。
工業団地計画でも、敷地内だけではなく周辺住民の危険を防ぐために国道等からの取り付け道路まで計画するのが普通です。
国政の場での決定段階で地元代議士が道路のつけ替えなどで住民にはこう言う不便が起きるとか、学校も移転する必要があるから困るとか逆に誘致する立場の人はその程度のマイナスは良いからそれでも地元産業振興のために誘致するかを決めて運動して来た結果でしょう。
今回のオリンピック会場経費問題もそうですが,誘致する方(会場までの道路整備など知られています)も審査する方も共に相応の周辺整備負担を考えて行動しているものです。
もしも原発近くに学校があって危険ならば地元自治体が移転すべきことであり、これを(補償交渉で「この範囲まで保障して欲しい」と言う議論までしたら誘致出来ないと思って黙っていたのか・)しないで今になって、「近くの学校が危険だから原発反対」と言うのは議論のすり替えです。
仮にどちらの責任でないとしても(津波のような大災害が想定されていなかったと言うならば、津波の危険があるならば原発がなくと移転すべき問題であり)保障の問題でしかありません。
危険でないと思っていたが大津波を想定すれば危険と言う判断に変わったとするならば、学校の移転などの対応を変えれば良いことであって(間違っていたとすれば、当時誘致運動していた人の責任であり、その分の保障をもらっていたのに移転しかなった場合もあり得ます?)そこからイキナリ原発をやめなければならないかの問題にはなりません。
ある場所で交通事故多発しても、すぐに通行止めにしないで、信号設置やカーブミラー設置などいろんな対応があるように、学校が近いのが危険と言う意見に変わったならば、学校移転を議論すれば良いことです。
柏崎原発のデータは以下のとおりです。
  着工 1978年12月 運転開始 1984年11月
着工後約40年経過と言うのですから、・・その前の計画や賛成反対運動の時間を考えると50年くらい前からの議論です・・原発後に学校が出来たのか前からあって5〜60年間誰も問題にしなかったのか?当時から危険性が問題になっていながら、誘致に決まったならばその直後に移転すべきだったでしょう。
学校は昔からある(筈・・原発設置後に作ったならば作った自治体の見通しミス)なのに、今になってイキナリ反対材料として言い出した印象があります
前からあった場合「何故学校そのままの前提で誘致したのだ」と言う内部責任追及の問題・・自治体の当時の責任者・・誘致活動した政治家などのミスを、何故交渉相手の政府や東電の所為にするのか不明です。
日本政府が外国と損な約束していたとしても、それは内部責任追及の問題であって次の担当者が引き継ぐしかありません。
オリンピック会場設営経費が高くなってしまった分を国際オリンピック委員会で補填してくれとは言えないのが普通です。
もしも現状の学校が危険ならば学校を移転すべきで、今まで問題がないとして移転しなかった地元自治体の責任を論じるべきです。
空港計画で言えば、計画区域内に道路や公園・小学校があるから空港作るなと言うのではなく、国政の議論で空港の必要性と設置場所が決まった以上は、国政決定に従う義務・・自治体は計画区域内に公的施設が邪魔にならないように移転すべきであって、(相応の保障は当然)公的施設や公園・保育所があり村道が走っているコトを理由に計画に反対出来る・公園や道路廃止手続などサボタージュが許されるのでは、国政は何も出来ない・・統一国家とは言えないでしょう。
この原理はダム工事(集落丸ごと水没する場合さえあります)でもゴルフ場開設(民営の場合公益性が低いので所有者同意が必要・・収用出来ません)でもみな同じです。
自治体が反対すれば国政が滞る前提でこれを悪用することを羞じない人材が増えて来ると、これを狙って国政上の議論で負けた政党が特定地方に人を集めて反対させる邪道がはびこります。
日本の人口1億数千万人として、僅かに0,001%でも意図的に集めれば過疎地では相当な影響力があります。
10月17昨日紹介した与那国島の住民投票の例で言えば、外国人の投票まで入れて賛否の票差が約200票ですから運動員が直前(3ヶ月前)に300人も移住届を出していれば反対結果になる仕組みです。
特定組織が3〜500人規模のキャラバン隊をいくつか組織して専従化させれば、問題のありそうで賛否拮抗している自治体を狙って、移住(住民登録だけ?)巡業?して行けば僅か数百人でもキャスチングヴォートを握れるので次々と決議を成立させることが可能です。
国政選挙では、補欠選挙を除いて全国一斉ですから、2重3重の投票権行使が出来ませんが、全国一斉でない自治体選挙や住民投票では、「ズル」が普通に行なわれている印象です。
国策(国会決議)で多数の支持を得られなかった政党支持層が、日本全体人口の0、01%以下でも、ある時期めがけて過疎地の特定の町やムラに数百人も集めれば大勢力になります。

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC