外出規制緩和基準3(ウイルス死滅が分かるか?1)

治療薬開発成功するまではコロナ禍沈静に成功した経験を活かすしかないのですが、これまでの経験を活かすならば、ロックダウン解除〜経済娯楽活動再開するにしても、従来と違った就労・娯楽パターンへの切り替えに成功した企業に限定すべきように見えます。
従来型のままでの経済活動再開では、何故今後安全になったと言えるのかの理解困難です。
13日日経新聞朝刊36p「疫病の文明論7中国の歴史」を読むと中国は古来から広大な地域と人口を擁していたので、集団免疫戦略で疫病が広まるとなすがままにする?しかないので、その内収まるので生き残った人が人口爆発で盛り返せばいいというような暗黙の合意・思想があるような解説です。
中国は古代から広大で人口が多いということ自体同意できませんが・・。
古代には国境がなく地球が広いという程度ならどこに住む民族でも同じです。
ちなみに疫病の疫とは、兵役の役の右側・・たて鉾を持って病と闘う文字で防疫とは文字通り戦争だったようです。
今回の武漢封鎖ではなぜか武装兵士が繰り出して要所要所を固めたほか、医師団、看護団その他要員を軍事組織のように編成して全国から動員して野戦病院を建て、戦時体制で対応していたのはこの歴史によるようです。
戦争なので負けてられない・・民間では「駆邪逐疫」で大人数動員で爆竹を鳴らしドラを叩いて大騒ぎするようです。
この文章を読んで(上記の通り中国の歴史としては同意できないものの)思いついたのですが、米国各州でロックダウン解除に動き始めたのは、米国得意のスクラップアンドビルド・・現在版の「どこかの町がダメになれば放っておけばいい、元気な町が頑張れば良い」ということでしょうか?
人間で言えば、なんとなくコロナに感染している人の圧倒的多数は下層労働者(不法移民が多い?)であると分かってきました。
米国ではとてつもない格差社会が構築されていて、住む場所も何もかも違い・・製造工場や各種サービス現場を再開した結果現場労働者がバタバタ死ねば、いくらでも移民を入れて補充すれば良い、いくらでも米国に来たい人はいるという姿勢があるのでしょうか?
武漢全面封鎖には驚きましたが、昔流に言えば、武漢城を厳重包囲して、城外へ人一人も出させないで城外への感染を遮断する・・その間に、城内に侵入したウイルス掃討作戦をするという現在版でした。
城を乗っ取った犯人も人質も区別なく容赦なく大砲や機関銃をガンガン打ち込むのと違い、一応籠城中の市民には食料配給し、治療行為をしていた点は現代的で、中国も結構やると思いましたが・・。
以上は冗談として、増加こそ止まっているものの日々の感染者数が高原状態で高止まり状態のアメリカや西欧諸国がどういう合理的成算があって解除に踏み切ったかに戻ります。
韓国が5月始め頃から解除に踏み切っていますのでその結果から見ていきます。
5月9日には韓国で規制緩和した結果、感染者が出かけたナイトクラブで大規模感染が判明したとニュースが出ています。
韓国も感染者との隔離・距離政策で感染縮小に成功した過ぎない以上、隔離前と同じ業態→濃厚接触再開すればウイルス感染が再開するのは当然ではないでしょうか?
韓国では新規感染が止まっていたので、国内にウイルスは最早存在しないと思い込んでいたのでしょうか?
あるいは集団免疫が成立していると思ったのかもしれません。
韓国内ウイルス絶滅論の合理性は、ウイルス生息環境に対する考え方次第ですが、プラスチックスや金属製の手すりドアノブ等に付着したウイルスは72時間も生きていると言われますので、この思考方式からいえば、生物体内に入り込まない限り最長何時間という実験をして生存期間が分かっているのでしょうか?
いろんな物質に付着させたり、乾燥した空気内で何時間とか紫外線に何時間など多種多様な実験をすれば、生物外での寿命がどのくらいかの実験はある程度可能でしょうが・・。
生物・・当面人間限定と思われますが、人間体内に入り込んだ場合の発症までの時間簡単に実験できず、いろんな結果からの推論でしかない点が、難しいところです。
発症者の感染場所機会を推定して、その日から検査して要請になった日までの期間が2週間前後が多い、あるいは最長で二十日前後しかないという経験に頼るだけであって、論理的に1ヶ月生きられるはずがないという論理が全くありません。
2週間〜20日以上の潜伏期間経過しても新規感染者が出ないとしても「逆は必ずしも真ならず」の原理通りで、ウイルスと体内抗争していた結果これといった発熱もなく数ヶ月経過で漸く完全駆逐(気がつかないうちに治った)した人がいないとは限りません。
日頃誰でも頻繁に経験する「軽い風邪にかかったのかな?」という罹り方をして忘れてしまうことが多いですが、このような軽い付き合いで終わる人が意外に多いのではないでしょうか?
こういう人はインフルエンザ等のウイルスを駆逐したのかゆるい症状で共存しているのか外形からは不明です。
この程度の人は検査を受けるチャンスが稀です
結果からの推論の場合、未発症のまま治ってしまった人は最後まで検査に来ないので、どの程度の期間、未発症・・体内でウイルスが潜伏していられるかの統計がありません。
まだどこでいつ感染したか不明の人が発症した場合には、感染したのが1ヶ月前か2ヶ月前かもわかっていません。
ほとんどの病気に急性〇〇炎と慢性〇〇炎や〇〇症の二種類がありますが、慢性の場合、我慢できない酷い症状がある人ばかりでなく時々調子悪いことがある程度の軽い人が一杯います。
このように病気と適当に付き合うのが上手な人がいっぱいいますし、大腸内で共存している大腸菌みたいにコロナウイルスをうまく飼い慣らしている人がいてもおかしくありません。
大腸菌の場合腸内にいる限り人に悪さしないのですが、糞便になって体外に出るとこれにそのまま接触するとお腹を壊します。

強制力に頼る社会の外出規制緩和基準2

昨日に続けてYahoo!ニュースからです。

出典>5月12日 厚生労働省発表(11日時点の集計)
国内の発生状況
現在感染者数 6,311 (前日比 -335) 新規感染者数 50 (前日比 -20)
累計感染者数15,874 死亡者数 643 (前日比 +22)退院者8,920(前日比 +389)

ヤフーニュースでは日本では10日現在で、1日の感染者数が70人、退院数は238人で、11日現在では1日間の新規感染者数50人、退院数389人ですから、ベッド数に余裕がでる一方です。
死亡者は大量感染後20日前後遅れて出るのでまだまだ増えるでしょうが・・・・。
それにしても米国の1日あたり感染者2万人、死者数17〜800人規模との差は桁違いです。
先行きの方針決定には絶対数の比較だけではなく減少傾向の見通しが重要とも言えますが、上記の通り日本の新規感染減少傾向〜減少率も急激です。
それでもなおもう少し様子を見た方が良いというのが日本国民の暗黙裡で一致した国民意思です。
海外動向はバラバラと数字が出るだけで時間差の把握をするにはあちこちに今日何人と出ていた過去ニュースの拾い出しが必要で一覧化しにくいので厚労省の国際データを参考にしてみます。
以前書きましたが統計になるには、海外発表→WHOの正規発信したのを厚労省が毎日12時までにキャッチした分を発表するので、諸外国の国内ニュースで速報された数字より、数日前のデータ→感染者や死者数が少なくなる傾向がありますが、その辺をご理解の上で関心のある国別に4日間でどのように推移しているかを比較してみてください。
(例えば10日の厚労省の表で言えば日本の数字は12時までに各地からの厚労省に届いた報告の集計ですが、WHOも米国も公式発表に至るまで、日本同様の手順があると仮定すればWHOの発表は現地時間12時までに各国から届いた報告の集計ですのでWHOの加盟国への発信は12時以降になります。
諸外国分を日本厚労省が把握し発表用の表作成などできた後→翌日の発表になります。
米国連邦政府の発表が各州からの報告が現地時間12時までに届いた(前日)分だけとすればこの報告発信は、WHOへの当日12時までの報告期限に間に合わないので翌日回しになります。
各州も各郡や市からの報告が当日12時までにあった分をその日に整理して州政府に送っても州の集計では翌日12時までの集計になります。
各郡の報告書も現地各医療機関や検査機関等からの報告書の締め切り時間までに届いた分となるし、(例えば、医療機関で午後10時に死亡した報告あるいは検査機関から午後8時に検査結果陽性が出たと保健所へ報告があっても保健所は前日分の報告が終わっているのでその都度逐一の追加報告をしないでしょう。
(何時間おきに1回などの報告ルールがあるでしょう)
以上のように重層的関係が多ければ多いほどタイムラグがあるので公式統計は数日程度の誤差があります。
新規感染といっても検査結果が出た日を報道しているようですから、検査用検体採取日ですらないし(場合によっては数日かかるようです)まして本当の感染日でない(検査を求める人は異常に気がついて申し込んでも数日ざらに待たされるとも言われます)ので「新規」感染者という表示は大きな誤解を招く表現です。
正確なデータは半年ほど経過して確報値に変わらないないとわかりませんが、国別の大まかな流れがわかるという意味で見ておくものです。
現状の国際比較・・5月9、10、12の4日間の国別変化を並べて引用して見ます。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11268.html
新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(令和2年5月12日版)
4.国外の発生状況について
・海外の国・地域の政府公式発表に基づくと5月12日12:00現在、日本国外で新型コロナウイルス関連の肺炎と診断されている症例及び死亡例の数は以下のとおり。

国・地域 感染者 死亡者
中国 82,919 4,633
香港 1,048 4
マカオ 45 0
日本 15,874 643
韓国 10,936 258
台湾 440 7
シンガポール 23,822 20
ネパール 134 0
タイ 3,015 56
ベトナム 288 0
マレーシア 6,726 108
豪州 6,941 97
米国 1,346,163 80,297
カナダ 69,156 4,906
フランス 139,519 26,643
ドイツ 172,576 7,661

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11232.html新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(令和2年5月10日版)

国・地域 感染者 死亡者
中国 82,901 4,633
香港 1,045 4
マカオ 45 0
日本 15,747 613
韓国 10,874 256
台湾 440 6
シンガポール 22,460 20
ネパール 109 0
タイ 3,004 56
ベトナム 288 0
マレーシア 6,589 107
豪州 6,914 97
米国 1,309,164 78,746
カナダ 66,780 4,628
フランス 138,854 26,310
ドイツ 171,324 7,549

4.国外の発生状況について

・海外の国・地域の政府公式発表に基づくと5月9日12:00現在、日本国外で新型コロナウイルス関連の肺炎と診断されている症例及び死亡例の数は以下のとおり。

国・地域 感染者 死亡者
中国 82,887 4,633
香港 1,045 4
マカオ 45 0
日本 15,628 601
韓国 10,840 256
台湾 440 6
シンガポール 21,707 20
ネパール 102 0
タイ 3,000 55
ベトナム 288 0
マレーシア 6,535 107
豪州 6,896 97
米国 1,282,003 77,178
カナダ 65,399 4,471
フランス 138,421 26,230
ドイツ 170,588 7,510

厚労省データ12日、(10日版)9日版死者や感染数を比較すると→日本643→613→601=42人死亡に対して米国の場合80,297(78,746)ー77,178=3119人死亡です。
感染者数では米国1,346,163(1,309,164)ー1,282,003=14万7390人増加に対し、日本15,874(15,7479)ー15,628=246人増ですから米国とは桁が違いますし、減少率も大違いです。
日本とは比較にならないほど巨大な数字の被害発生中に規制解除に動きだしたのは危険そのものに見えますがどういう成算があるのでしょうか?
日本メデイアは安倍政権の対応を批判するためにか?しきりにドイツの対応を見習えというのですが結果結果をみれば上記の通りで、日本がドイツのどこを見習うのか疑問です。

強制力に頼る社会の外出規制緩和基準1

ただし、地震や風水害に対する非難訓練があるようにシステム化の準備は必要ですが、強制力まで用意しなくとも日本の場合本当の非常時になれば民族一丸の行動を起こす能力がありますのでそれほど心配がいらないことを3月17日に書きました。
強制になると画一執行が宿命で、現場ごとの裁量に委ねると現場が混乱するので、部分的不都合が起きても強行する・・いちいち例外を認めがたい不都合がありますが、上からの命令がなくともみんなで同胞を守るために頑張るので結果的に個々人の事情に合わせた柔軟対応できるので一定の民度信頼関係があれば信頼で動貸した方がうまく行きます。
自粛要請の場合、例外行動をとる人には自粛できない相応の事情があるだろうからと周囲が大目に見る社会は無理のない良い社会です。
一方でいざという時にこそ本性の違いが出る・・・切迫状態もないのに、自粛だから守らなくても良いだろう式の行動に出た場合、即時的処罰はないものの時間をかけた社会の淘汰・冷たい目が待っている・・こういう社会です。
今日の日経夕刊には、「非常時には非常の手段」という題名で関東大震災時に逓信大臣だった犬養毅が預金払い戻しに殺到した超金金者に対して「通帳や印がなくとも言う通り払え」と命じた逸話が紹介されています。
震災の大混乱が終わり、検証したら不正引き出し請求した人が1人もいなかったとのことです。
信頼の政治をすれば、民もそれに応える民度です。
今回も特定業種(といってもそのまた一部の跳ねっ返りだけかな)では一部暗黙のルールなど守る義務がないと言わんかのような営業強行が目立ちましたが、このようなことをするとその業界に対する社会の目が厳しくなり、のちに考えるとあの時の営業強行が顧客層急減のエポックだったということになりかねません。
こういうことになりかねないので、村社会の時には一族から規範違反をしないように無言の圧力が必要だったのでしょうし、村社会が終わって桎梏がなくなり生きやすくなったとは言え、その代わり個々人の多くは企業社会その他の組織に組み込まれているので企業で一人でもニュースになるような不祥事を起こすと企業のイメージダウンになるので個々の企業や組織も社員の不祥事が起きないように必死ですし、業界団体も必死です。
興行界も、その道の顧客には個別企業名が知られているでしょうが、社会一般ではたとえばパチンコ業界や、風俗系で言えば、一般人にとっては何という店か、個別店舗名を記憶する人は稀です。
しかし、もともと「〇〇が趣味です」などというのは憚られる傾向があったところへ、社会を挙げての自粛に協力しない「〇〇」とのイメージが広がれば業界全体のマイナスイメージの増幅につながりかねない危機感を抱くのが普通です。
メデイアに出てくる知識人?系の意見は、〇〇人といってもいろんな人がいるのに〇〇系人は、〇〇と画一的断定で差別するのが「偏見」だという説明が多いのですが、他方で特定企業の不祥事があるとその企業に対するマイナスキャンペーンを張るのがメデイアです。
特定企業営業マンの不祥事があるとその企業の営業スタイル・・そういう体質を持っているのではないかと警戒するのは当然の防衛作用です。
法的に見れば、労災事故や企業活動の不祥事があると現場の責任に止まらず企業に対する罰金や営業停止処分制度等があるのは、組織体質と社会通念があるからそういう制度が一般化しているのでしょう。
新型コロナウイルスの話題は、年初から出ていましたが武漢が全面封鎖になった1月23日・・国際関心を集めていたその1〜2週間前を基準にすれば、ほぼ4ヶ月経過しました。
・・治療薬ができていない結果、どういう場合収束したとか収束に向かっていると言えるのか・・今わかっているのは、人の交流を縮小すれば拡大を止められることが分かってきた程度にすぎません。
この経験に頼る限り、ロックダウンによって新規感染が減ったすれば、減った原因のロックダウンを緩めればまた感染拡大するのではないか?と思うのが普通です。

https://www.afpbb.com/articles/-/3281791

ロックダウン一部解除、感染「第2波」に注目 時期や規模は?

2020年5月6日 11:56 発信地:パリ/フランス [ フランス ヨーロッパ ]

欧州で最も深刻な被害が出たイタリアとスペインは、約2か月ぶりに屋外での運動を許可し始め、米国の複数の州は企業の操業再開を許可。さらにフランスは、11日に外出制限の解除を予定している。

経済・娯楽活動再開→交流拡大しても何故再拡大にならないと言えるのか?の疑問がありますが、刑事処罰を伴う厳しい規制によって感染数鵜が急減した中韓を始め、感染数の拡大傾向が治ったといえ、高原状態が続く米欧でも規制緩和に動き始めました。
ちなみに米国の新規感染状態は以下の通りです。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58793210W0A500C2000000

米ジョンズ・ホプキンス大学の調べによると、米東部時間5日午後4時(日本時間6日午前5時)時点の新型コロナウイルスの感染者数は世界で約364万人、死者数は25万5千人に達した。感染者数が最多となる米国は119万4千人となり、死者数は7万人を超えた。新規感染者数は1日に2万人超と、高止まりが続いている。

グラフで示すとはっきりですが、要するに高原状態・・高止まり状態で収束どころではありません。
ヤフーニュースによれば日本の感染状況は以下の通りです。
https://hazard.yahoo.co.jp/article/20200207

新型コロナウイルス感染症まとめ
<出典>5月11日 厚生労働省発表(10日時点の集計)
国内の発生状況
現在感染者数  6,646(前日比 -176) 新規感染者数  70(前日比 -9)
累計感染者数  15,798  退院者数    8,531(前日比 +238)
死亡者数    621  (前日比 +8)

更新・継続原則社会1(日本)

普通の労働者がホームレスになるようないびつな社会になりつつある原因を法制度の違いで見ておきます。
例えば契約更新を原則としない社会では、2〜3年契約の場合、2〜3年ごとに契約が自動終了しますので、大家にとっては次にもう一度貸すかどうかは大家の気持ち次第・・一方的関係になります。
前の契約が月額5万円であったか10万であったかに関係なく、契約終了後の新規募集価格を「月額13万」とすれば、元借家人かどうかに関係なくそれに申し込まない限り借りられません→契約期間終了すれば契約がない以上(ラーメンを食べ終われば店を出るように)家を出て行くしかありません。
法形式上は新規契約なのでどういう新規提案しようと「契約自由の原則」という論理構造のようですが、この辺は毎回行く店を変えても良いパン屋やラーメン屋が商品値上げ自由なのと本質が違っています。
パン屋やラーメン屋が1ヶ月後200円値上げすると書いてあれば、次から別の店に行くか?など顧客の自由選択ですが、住居や商店の場合「そんなに上がるなら契約したくない」という選択はよほどのことがないと(例えば1000円上がるのが嫌で引越しできるか?)できませんので、大家のいいなりになる傾向が強まります。
この違いに着目して日本では、大正時代から労働契約や賃貸借等の継続性を前提とする分野(講学上「継続的契約関係」と言います)では契約期間が終了しても(正当事由は滅多に認められない・労働分野では解雇権乱用の法理が確立しているので)原則として更新しなければならない制度設計になっていることを13日に紹介しました。
(元請け下請け関係は一見毎回個別の契約のようでありながら継続取引を前提としている関係でよほどのことがないと発注を打ち切れない商道徳関係に縛られます)
契約期間の定めがあっても更新(従前の契約条件がそのまま継承される)することが原則ですから、契約期間終了日が来ても自動的に契約が終了しません。
借家人が同意しなければ、更新しない理由として正当事由があるかどうかを裁判して争う必要があります。
正当事由とは何かですが、その例示として法律に「自己使用の必要性等の外・・」ですから、商業的借家や借地にこういう必要性などあり得ないので訴訟する人が皆無に近くなっています。

借地借家法(平成三年法律第九十号)
(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
第二十八条 建物の賃貸人による第二十六条第一項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。
以前紹介しましたが平成の新法では自己使用等の他に「財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、」決められるようになった分流動化に資するようになっています。
「財産上の給付」申し出とは平たく言えば立退料の提案次第ということです。
参考までに大正10年からの借地法記載の正当事由の記載を紹介しておきます。
第4条
借地権消滅ノ場合ニ於テ借地権者カ契約ノ更新ヲ請求シタルトキハ建物アル場合ニ限リ前契約ト同一ノ条件ヲ以テ更ニ借地権ヲ設定シタルモノト看做ス 但シ土地所有者カ自ラ土地ヲ使用スルコトヲ必要トスル場合其ノ他正当ノ事由アル場合ニ於テ遅滞ナク異議ヲ述ヘタルトキハ此ノ限ニ在ラス
平成の大改革といってもこの程度の微温的改正でしたが大騒ぎになったものです。

この旧借地法や借家法は平成新法制定前の契約は旧法適用ですので、私も昨年から旧法適用事件で訴訟中です。
ただし判例理論が今の平成の法律とほぼ同じでしたので・いろんな法改正は判例実務の後追いが原則です・・不都合はありません。
14日に法家の思想紹介で書きましたが、日本はいつも法令改正前に実務が先行していく社会です。
社会の変化に法令が合わなくなる・・不都合が発見され、それを判例で修正していく流れで、その判例が世間の支持をうけて定着して行くとそれを新法令に変えていくという流れです。
象牙の塔にこもる研究者が社会の流れを先験的に見通して10年先の社会を前提にした法律案を提案するなど不可能なことですから、法はいつも実務変化の後追い作業になるのは当然です。
また現実に変化の芽も出ていないうちから10年先を見通した法案を提案しても国会での議決は不可能でしょう。
「今起きている変化の芽からこれが大きな潮流になりそうだからこの方向の規制をしたり緩める」というのを否定するのではなく、この変化が先に起きるのは実務界であり既存法令で不都合があるときに法規制の範囲をめぐる係争が増えてくるので半例が先行指標になるという意味です。
借地借家で言えば、時代の変化に合わせることも社会的にある程度(自己使用目的でなくとも都心のビル街で古い瓦屋屋根の家を温存しているのは社会的マイナスです)必要なので立退料支払いでの法の穴を埋めてきた実務慣行(知恵)があったのを法で明記し認証したことなります。
元に戻りますと、日本では期間満了=新契約ではなく・・「前契約ト同一ノ条件ヲ以テ更ニ借地権ヲ設定シタルモノト看做ス」・・ 契約が同一内容のまま継続ですから、家賃を高くするには家賃や地代賃上げ・契約変更の場面になることが重要です。
「契約は守られるべし」というのがローマ法以来の原理ですから、相手が応じない限り裁判所の変更可否の判断手続きが必須です。
(労働法では賃上げ〜賃下げ交渉)
13日に借地借家法で書いたように意見が合わないと契約関係を維持したままの法的争いに移行します。
訴訟手続き等で鑑定等を経て結果的に大家の値上げ要求が正しかったとしても負けた方は差額に利息をつけて払えば良いだけですから、それほどのリスクはありません。
大家の方は、鑑定費用や弁護士費用等を負担するので、日本の場合1〜2万円程度の値上げ目的では裁判で勝っても費用倒れです。
しかも裁判所はいくら土地が急激(個別取引事例ではなく統計的に)年間1割といえばかなりのインフレですが)に上がっていてもそのままの引き上げを認めない運用が定着しているので、この種の争いをする大家や地主がいない・・何十年も同じ家賃のままというのが普通になります。
イギリスのエンクロージャムーブメントで小作人がいとも簡単に追い出されてしまうのを奇異に思うのが日本人です。

米国の高家賃(収益還元法に頼る危険)2

日本は武士の台頭以来約1000年の間、観念論でなく実務に裏打ちされた合理的精神を大事する習慣を身につけてきました。
それだけに現場重視・実務に裏打ちされた意見以外には重きをおきません。
朝鮮半島では欧米の言う通りに実社会無視で法制度をどんどん近代化しても、いわゆる「恨の文化」・ねっとりした人間関係はそのままです。
あらゆる場面の意識実態が古代意識のまま日本支配が始まるまで温存されたままでした。
明治維新当時の朝鮮族が中国〜中国が日清践祚で負けると今度はロシアになびき、戦後は米国そして次の大国になりそうな中国に露骨になびく状態を事大主義と批判するのが普通です。
それは古代意識では強いものの専制支配に従うのが処世術として最善であった経験意識を現在にそのまま引きずっているからです。
古代意識をそのまま引きずっている朝鮮族・・・北朝鮮の専制支配体制の方が貧しく、自由がなくとも国民能力相応で国民に不満が少ない・・ストレスが少ないように見えます。
同じ朝鮮族の歴史を持つ韓国では、戦後米軍占領による上からのいきなりの民主化で戸惑っているうちに、日本の賠償に代わる巨額援助で高度成長に入り、その歪みが癒えないうち通貨危機に見舞われました。
IMF支配を象徴とする文化改造の直接支配をうけて民情無視の刑事手続や民事その他で欧米価値基準による乱暴な大改正がドシドシ行われ(戸籍制度も廃止になりました)て来たので、事大主義的価値観によれば、・・・2月8日に書きましたが、日本を法制度で追い越した自信に繋がっているようです。
韓国が制度だけ空回り状に近代化しても、古くから連綿とつながる意識は簡単に変えられない・・民情無視政治乱発プラス超格差社会のストレスが溜まりに溜まっているのは、このような背景によります。
今また、政策誘導により、2019-2-11「超格差社会・韓国4(住宅建設と個人債務膨張1)」で引用した通り(赤ちゃんまで含めて5000万余しかいない人口のうち1900万人以上が債務者と言うのですから)庶民がほぼ全員返し切れないほどの債務を抱える事態になっています。
不動産価格がいくら高騰していても家賃と価格が整合していれば良いかの議論の妥当性・・アメリカの事例に戻ります。
以下で紹介する米国の高額家賃化→ホームレス増加の事例は、IMFの実家ともいうべき米国でIMF的観念論・皮相な理論さえ整合していれば良い?という経済論が幅を利かしすぎた結果、「罠にはまったのではないか?」という視点で紹介していきます。
仮に価格決定の仕組みが経済理論的に整合していても生活費の大半が家賃やローンに消えていく社会・普通の労働者の給与で払いきれない・・一般人の多くが路上生活しかできない社会であれば、それは不健全で持続性(その理論はどこか間違っています)がないでしょう。
韓国のように子供の予備校等への出費に追われて生活が疲弊し、老後生活費がなくなり、老人自殺が増えたり予備校資金を借りた借金返済のために売春婦が増える社会もどこか間違っています。
韓国民が、教育費にかけるお金が諸外国よりも大きいとしてもそれが文化レベルをあらわしているとは思えません。
中韓では大学進学率が異常に高いことも知られていますが、それだけの受け皿のある産業構造ならば意味がありますが、産業構造無視で見栄のためにで増やしても就職先がないので中国では大量の蟻族を生み、韓国では反日運動しながら日本に来て就職運動し売春婦をするしかない状況に陥っているのです。
物事は一定のバランスを前提にしていて、「こういうものにこれだけお金をかけられるのだから、その他生活水準も推して知るべし」という基準でなりたっています。
お米その他の抜き取り検査は、一部の品質が全体を表すことが多い前提ですし各種テストも、このレベルのことを知っているならば他のことも同レベルで理解しているという推定でなりたっています。
(昨日書いた統計・サンプル調査もその原理の応用です
試験問題が漏れたりヤマ勘がタマタマ当たった場合には、この前提が崩れます。
教育費だけあるいは家賃だけ突出して高いのは、出題問題だけ特化した勉強をしているようなもので、社会全体の経済力や文化レベルを表していません。
韓国自殺率に関する本日現在のウイキペデイアです。

2010年のWHO統計では、人口10万人あたりの自殺者数で世界1位となった[4]。韓国の死因に占める自殺は過去10年間で倍増している[5]。韓国の場合、高齢者に自殺が偏っており、60歳以上の自殺率は、2009年は10万人あたり68.25人、2010年は69.27人と極めて高く、その背景には高齢者の生活不安が解消されていないことにあると考えられている[6]。

高齢者の生活苦は年金制度が充実していない前提だけでなく、壮年期に子供の世に教育費にお金がかかりすぎる点にあると言われています。
住宅費の高騰に戻ります。
5〜6年前に香港勤務の知人が会社借り上げマンション(日本の普通のマンション)家賃が50万円だったのが、いきなり100万円に上がったので会社負担とは言え狭いところに引っ越したと聞いたことがあります。
米国などではワンルームで月30万前後、ちょっとした所帯持ち用だと4〜50万円という噂をよく聞きます。
大都会では、普通の労働者は家賃を払ったらそのあとは食うや食わず・・ホームレスに転落する直前・スレスレ生活にはまっている人が増えている大変な生活が始まっているらしいですが・・。
日本で普通の人が路上生活しなければならない社会になるようなことを放置できるでしょうか?
こんなに高い家賃が米国、香港、シンガポール等では普通にあって、経済論理的に可能なのでしょうか?
以下紹介するカラクリ?によれば、収益還元法を逆手にとって、家賃をあげれば住宅価格を上げられるという逆張り仕組みらしいのです。
住宅価格が上がればその価格に還元利回りをかけると自動的に家賃をあげられる仕組みカラクリ循環的に利用しているように見えます。
強者による一方的値上げが抑止されている・正常家賃相場の国であってこそ、賃料を基準に不動産価格の高騰への抑止力を前提にして正常価格とバブルの違いを判断できるのですが、強者の論理で「一方的値上げ通告→嫌なら出て行け」という契約自由の原則を悪用できる社会では、賃料相場は日本人の考える社会的正義にかなった相場形成力を失っているのではないでしょうか?

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