原油相場上昇と再稼働の必要性?(代替エネルギーの現状)1

15年以降の国際収支・・14年4兆円弱の経常収支黒字から15年にはひと桁違いの16兆5000億円の黒字復活は、この危急存亡の直前に14年夏ころからの原油相場下落を起爆剤にして急速に救われたことになります。
福島原発事故も、首都を巻き込んでもおかしくないほどの大事故に発展する事故でしたが、(これを見込んでドイツは大使館の臨時移転をしました)吉田所長らの決死の奮闘により首の皮一枚で大惨事を免れ、経済面で見れば日本も恒常的赤字国転落か?瀬戸際で助かった天佑でした。
(個々人は一人残らず、電力節約に努めましたし、供給側では省エネ技術革新に取り組み、被災工場やプライチエーンの必死の復旧努力により一日も早い生産再開・これが一方で輸出激減を抑え、石炭火力の復旧による原油輸入を一滴でも減らす努力・文字通り不眠不休で日夜励みました)
単に天佑を祈っていたのではなく、国民一丸となって頑張ったことに対する神の恩寵です。
https://eneken.ieej.or.jp/data/5474.pdfによると発電電力→消費量は以下の通りです。
震災以後3カ年の火力発電投入燃料推移
計量分析ユニット需給分析・予測グループ 研究員吉岡 孝之

電気事業者の発電電力量2は2010年度比で震災直後の2011年度に7%減、2012
年度に10%減、2013年度も10%減となった。
・・・・節電努力等の継続もありさらに大幅に増加することはなかった。

二度にわたる蒙古襲来時と同じで、天佑を待っていて天佑があったのではなく、供給側も消費側も国民一人残らず持ち場持ち場で国のために必死になって持ち応えているうちに
「神の嘉するところとなって」
原油情勢が好転したものです。
14年の原油相場下落によって日本は一息つけましたが、1昨年から原油相場の反騰により風向きが変わってきました。
http://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/bunseki/pdf/h18/h4a0606j5.pdf
【我が国の原油輸入と対中東貿易】

世界的な需要の拡大を背景として、ここ数年間、原油価格は高騰を続けている。
昨年後半、米国で発生した大型ハリケーンの影響もあり、さらなる上昇となった原油価格は、今年に入って一時的に落ち着きをみせたものの、産油国の政情不安などから再び上昇の兆しを強めている。
15年末には約 32 ドル/バレルであったWTI原油先物価格(期近物)は、16年末には約 43 ドル/バレル、17年末には約 59 ドル/バレルに達し、18年4月には 70ドル/バレルを超える値を付けるにいたった(第II-3-8図)。
消費する原油のほとんど全てを輸入に頼る我が国にとって、原油価格の高騰は看過できない問題であり、今後もその動向には引き続き注視が必要である。
原油の輸入金額が増加している最大の要因は輸入単価が上昇しているためである。
国際市場での価格の高騰を受けて、日本への輸入単価も15年末の約 30 ドル/バレル
から17年末には 60 ドル/バレル近くにまで上昇している(第II-3-10図)。実際、原油の輸入金額の伸びを要因分解すると、16年半ば以降、前年同月比で二桁以上の伸びを示しているが、輸入数量の寄与分は小さく、ほとんどが輸入単価上昇による寄与であることがわかる(第II-3-11図)。原油の輸入金額は、我が国の貿易収支に匹敵する水準まで増加しており、黒字額を大きく押し下げる要因となっている(第II-3-12図)。
中東からの輸入金額の総計をみると、17年には約9兆7,000億円と10年間で3倍程度にまで拡大している。輸入金額の8割以上は原油で占められており、原油以外の鉱物資源の輸入金額も増加しているものの、原油の輸入金額の伸び幅が大きく、輸入金額に占める割合は上昇傾向にある(第II-3-15図)。

以上文中引用の各図省略

上記の通り、原油相場の持ち直しにより、昨年では、原油輸入額だけで日本の貿易収支黒字に匹敵する数字に戻っている・原発事故直後と似た関係に戻っています。
脱原発に踏み切るための代替電力の研究開発進捗を総合的に見るには、原油相場が重要です。
代替エネルギー予定増加が予定の半分しか進んでいなくとも、原油が半値になれば、原油依存度が2割上がっても痛みをある程度吸収できますが、逆に相場が2倍になると原油依存度を半分に減らさないとやっていけない計算です。
たまたま、14年からの原油相場半値前後への下落と石炭火力増加によって、日本経済は首の皮一枚でつながっていたに過ぎませんから、原油相場が持ち直してきた以上代替エネルギーがどうなったかは重要です。
海渡氏が今まで何とかなったというだけの根拠で即時全面停止を求めているとすれば、(そんな無責任主張とは思われませんが・・)困ります。
ちなみにコスト関係は21日に紹介した通りですが、再生エネルギーの場合、立地環境が限定される上に安定供給ができないのでその面でも難があります。
もしもこれまで綱渡り運営で何とかなってきたからそのツナ渡りを今後もやれば良いと言うならば、おかしなな意見ですが、余裕電力がなくて大きな事故が起きたらどうするか?一定の安全保障のためには一定の余裕がいるのではないか?国家運営として許されることなのかの詰めた議論が見当たりません。
事故直後の原発事故による電力不足の急場を凌げたのはもともと安定供給用に余剰電力を確保していた石油火力発電があったから休止中の(余剰・最大ピーク用の温存設備)石油火力を一斉稼働できた・・だから直後には原油輸入が106%も伸びたことによります。
ただ、フル稼働状態でいつまでも続くわけがありません・・急場は不眠不休で働けますが、いつかまとまった休憩が必要なように発電設備も交代用の設備を使い切って何年も(小刻み回収・・騙しだまし使い続けるわけにはいきません。
石炭火力は機動的運用になじまないのでもともとほぼ100%稼働状態で、しかも被災した石炭火力があったので、すぐには石炭輸入増にはなりませんでしたが、被災後2〜3年で石油火力よりもコストの安い石炭火力の復旧が終わり新増設も進んでいるようです。
http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/shoene_shinene/sho_ene/karyoku/pdf/h29_01_04_00.pdf

我が国の電源構成の推移
総発電電力量

 
2030年度

出典:資源エネルギー庁 総合エネルギー統計等 11

ぜかグラフ画像の転写がうまくいきませんので、総発電量の数字だけ転記すると以下の通りで、石油ショック時に「ほぼ100輸入に頼る日本経済はおしまいか」と大騒ぎになった石油ショック時と同様に国を挙げて省エネに邁進している実態が見えます。

10年→11408億kwh

13年→10584億kwh

15年→10181億kwh

電源構成比の変化は以下の通りです。

      電源種別    原子力        石油     石炭     LNG    再生

10年      → 25%            10%    26%    29%   10%

13年         → 0                17%    31%    41%   11%

15年(足元)     → 0                12%    22%    40%   15%

 

 

自衛力4→稼働率1

ただし、これまでの引用記事は2015〜16年前後の情勢やデータですが、国際情勢は日々新たですから、国際孤立の深まっているロシアが大幅譲歩して17年に最新式戦闘機輸出+エンジン輸出「模倣して作っても構わない」と言わんかのように?に応じたようです。
これによって少しは(また模造する対象品レベルが上がったので?)中国の戦闘機技術がアップするでしょう。
http://www.ssri-j.com/SSRC/abe/abe-338-20170928.pdf

中国がロシアから新型117Sエンジンを大量購入
漢和防務評論20170829(抄訳)阿部信行
(訳者コメント)
「SU-35の対中輸出は、ロシアにとって大幅譲歩であったようです。
中国はロシアの足元を見て、有利に交渉を進めたようです。特に新型117Sエンジンを購入機数24機に見合った数よりも多く購入し、開発中のJ-20に搭載し試験飛行を行おうとしている、とKDRは見ています。
ロシアは、インド市場が縮小したため、どうしても中国市場を確保しておきたいのでしょうか。
ロシアは、現在対米、対欧州関係が不安定で、政治外交面でも中国を引きつけておきたいはずです。」

ウクライナ紛争による制裁の打撃とロシアの(資源下落による)経済苦境の複合の結果(その上インドからも購入拒否を受けている結果)ヤムなく中国に対し技術の模倣されるのを承知でしかもおまけのエンジンまで付けて売るしかなくなったので、(これまで冷戦期の「最新型?」の模造しかできなかった)中国軍機の近代化が進む可能性があります。

横道に逸れますが、プーチンはウクライナ侵攻で国威発揚のつもりですが、その結果国際孤立してしまい、本来国防上最も警戒すべき中国に擦り寄るしかなくなっている現実が見えます。
数年前に開催された中国共産党の(日本と戦っていないのに)対日勝利70周年記念行事には主要国首脳が欠席する中、半日運動中の韓国パク大統領と並んで主要国首脳で唯一参加させられた挙句に、式典では古代中国王朝の式典列席する属国的な侮辱的立ち位置でした。
そのような挙げ句の果てに将来自国の脅威になるべき武器輸出まで飲まされてしまっている・・中国のいいなりにならざる得なくなっている現状が見えます。
将来何の脅威にもならない弱いウクライナを侵略し、重要な脅威になる中国との関係で国家の威信を失う行為・・これがプーチンが国内で誇っている国威発揚の現実です。
ところで、これまで書いてきた通り戦力には戦闘機の数だけではなく滞空時間の関係で同じ飛行機が1日に何回出撃できるかが重要ですが、戦闘機等の稼働率の方が実質的な重要性があります。
一般に言われる稼働率が9割の自衛隊と2割前後の中国軍とでは稼働率の差によって、実働戦力が大きく違ってきます。
戦闘機等の稼働率は軍機密中の機密でしょうが、実質的に見れば部品供給能力の技術格差になります。
一般的にソ連時代の稼働率は10%前後であり、最新型(といっても冷戦時代に開発したのものですが・・)冷戦終期のSu-27では20%前後と言われています。
昨日コラム最後の行に純正部品と模造部品の品質の違いを書きましたが、中露の場合稼働率を上げられないのは、本体製造技術自体が米国の最先端技術の剽窃・・スパイ活動によっている点・自前技術ではない点に稼働率が低迷する原因があります。
中国の多くは1950年代のお古であり、実戦で使えるのは、昨日紹介した米軍調査によるSu-27とその改良版しかありませんが、航空技術力ではまだロシア以下とされているのは少数を買って後はそれを分解してはその模造品を作っているに過ぎない以上当然です。
ロシアはその模造生産を怒っているので、(日本は二度と新幹線を輸出しないと怒っているのと同じです)だからこそ次の最新型戦闘機の供給を中国が求めても断られていたので、ロシア軍以上の稼働率は想定できないという見方が普通です。
そこで、中国全土で実働できる中国戦闘機は48機しかない・だから漁船の侵入程度でお茶を濁しているという意見が普通に出回っているのです。
日本のアメリカ製戦闘機等の整備技術の高さには定評がありますが、それは日本が最先端戦闘機を作れないからアメリカ製を買っている・模倣しているのではなく、米軍占領政策の結果、日本の高度な技術力を恐れて日本の航空機製造を禁止して強制的に買わされてきた・・航空機製造禁止によって技術者が新幹線製造に結集したことで知られている通り・・ことに原因があります。
本来できるのに敗戦の結果、作らせて貰えないだけですから、たまたま部品しか作らせて貰えなくとも部品を作れば本国アメリカよりも精巧に作れるのは当たり前です。
上記の結果、車に限らず日本製品全般に故障率の低さが国際定評ですが、整備能力は産業スパイが技術情報を盗んできても身につくものではありません。
ソ連がロケットや戦闘機を作れても車や家電など民生品を作れないのは、家電製品までスパイしていてはコスト割れなのでスパイに頼れないからだと「ロシアの台頭と資源(民族文化の有無)2」May 23, 2017,前後書いたことがありますが、ソ連は自分で作ったはずの戦闘機なのに稼働率が20%に留まっているのは、自前技術ではなかったからでしょう。
日米がともに稼働率90%の高水準を持っているのは、日本の整備技術の高さによるところが大きいと思われます。
この信頼があってこそ横須賀が米軍空母の母港になっているし、沖縄その他の基地を米軍利用価値があるのです。
ちなみに韓国の場合どうなっているのでしょうか?
http://www.recordchina.co.jp/b194476-s0-c10.html

2017年10月20日、韓国・東亜日報は、韓国空軍のF−15K戦闘機が修理部品の不足で飛行不能が頻発していることが分かった。
国会国防委員会所属の金学容(キム・ハクヨン)議員(自由韓国党)が空軍本部から提出を受けた資料によると、F−15Kの「修理部品不足に起因する飛行不能(G−NORS)」事例の発生件数が15年の50件から今年上半期には60件に急増した。同期間の飛行不能時間も7.9日から16.8日に増加した。
金議員は「空軍が部品を使い回しする方法で運用しているため、部品を取られた戦闘機が有事の際出撃が不可能」と指摘した。
F―15Kは朝鮮半島有事の際、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の地下執務室を精密打撃する「タウルス」ミサイルを装備する機種で、1機当たりの価格が1000億(約100億円)。全60機が配備されている。

だからといって稼働率が何割と安易に断定できるものではありませんが・・・部品が足りないというのでは危機的です。
日本の場合いざという時にエンジン不調で飛べないと困るので、いつも戦闘機1機あたり予備のエンジンを2〜3台用意しているのが普通と言われています。
もちろんその他部品も同様でしょう。
それでも定期改修あるは能力増強(新型ミサイルに搭載切り替など)などで大改修中ではすぐに飛べないので、平均稼働率が90%程度に落ちると言われています。
航空母艦の場合には一旦ドック入りすると半年間は就役できないと言われていますので、常時就役するためには2空母打撃群以上が必須と言われるように整備能力は戦力の重要指針です。
(これが仮に3ヶ月〜1ヶ月〜2週間と短縮していければ実働戦力の大幅アップになりますから、整備期間が重要です。)

自衛力3→戦力比較2

昨日紹介した日本側の記事・主張に対する中国側の記事です。
http://news.searchina.net/id/1583322?page=1

2015-07-30 06:17
中国メディア・台海網は27日、日本と中国の空中戦力を比較し、「日本が中国に遠く及ばない」とする評論記事を掲載した。
日本の航空自衛隊を紹介。西部、南部、中部、北部の部隊に別れており、「F-2」、「F-15J」という2種類の戦闘機が主戦力になっているとし、尖閣諸島で中国と全面衝突の事態となったときには北部の部隊がロシアの警戒にあたり、残り3つの部隊が動員されることになると解説した。
3つの部隊に配備されている戦闘機は合わせて「F-15J」が105機、「F-4E」が59機、「F-2A/B」が20機であるとし、もっとも性能的に優れているF-15Jが、中国の戦闘機である「Su-27」、「J-10A」、「J-11A」と同レベルだと紹介。一方で、「J-10B」や「J-11」といった改良型戦闘機に比べるとレーダー性能は非常に大きく劣ると分析した。
中国の第3世代戦闘機600機と戦い得るのは、F-15J戦闘機105機しかないと論じるとともに、那覇基地にある19機を除く他の基地に配備されているF-15Jが作戦に参加するには、給油機の助けが必要であるとした。
中国は尖閣諸島海域の作戦に出動可能な飛行場が27カ所あり、戦闘機も200機を超えていると紹介。給油機なしで1日最多4回出動できるとしたうえで、1日あたりのべ800機の戦闘機が同海域での戦闘に参加しうるとした。
また、10分間隔の空中戦ごとに双方が10のエレメント(2機編隊)を出動させたばあいは3時間で、30のエレメントを出動させたばあいは2時間で日本の空中戦力を消滅させることができるうえ、自機の損失は30機以内に抑えられるとシミュレートした。」

中国は古来から、三国志でいえば、曹操が赤壁の戦いに際して(三国志の「物語」ですが)「百万曹軍呉に会猟せんと欲す」と孫権を脅したことで知られるように、本当の戦いになると自国の兵が弱いのを知っているので、その前に圧倒的兵力を誇示して、相手をビビらせる・戦意喪失戦略→虚仮(コケ)威しが基本であることも割り引いて考える必要があるでしょう。
中国の主張とどちらが正確かは不明ですが、中国側では発着基地が多いことを自慢していますが、この辺は日本は沖縄本島に限定された基地が攻撃されると戻るべき基地がなくなるリスクがありますので、実際には中国に有利でしょう。
ただ日本自衛隊は米軍との共用基地が多いので、そこを攻撃する勇気が中国にあるかは別問題です。
たとえば、有名な普天間基地は自衛隊と米軍の共用可能施設になっています・米軍が奪回作戦に直接参加してくれなくとも自衛隊は留守部隊不要の有利さがあります。
都道府県別の全ての米軍施設規模と都道府県別の米軍施設で検索すると日本国内での米軍専用施設が少なく、概ね共用施設で、沖縄に関して専用施設が多いものの、普天亜飛行場は共用になっています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/

飛行場 普天間飛行場 — 航空自衛隊那覇基地

中國の出撃基地がいずれも尖閣にほぼ等距離・近い利点は客観的な地理条件ですからこの情報も大方正確でしょう。
距離関係が正確とすれば、1日に4回の出撃可能と出ている点も検証可能・多分正確でしょう・・。
そうとすれば、仮に日本勢の8割が遠くからの出撃のために1日に2〜3回しか出撃出来ないとすれば、中国と日本の物的航空戦力が互角であっても現場の戦闘力では3対4以下の劣勢になってしまいます。
双方物理的軍事力については、お互いの宣伝では正確性がないので、第三者の記事を見ておきます。
http://www.recordchina.co.jp/b118129-s0-c10.html

世界の空軍力、中国4位、日本5位の結果に―米誌
1位米空軍2位米海兵隊・省略
3位ロシア空軍
旧ソ連の解体後大半の空の力はロシアに掌握された。ロシアはこの巨大な遺産に数十年間依存してきた。ロシアは1500機の戦闘機、400機の軍用ヘリを持つ。大半の戦闘機は老朽化しており、実質的に更新されておらず、就役も途絶えている。MiG-29、Su-27、MiG-31戦闘機は、冷戦前のままだ。ロシアの軍需企業はT-50/PAK-FA戦闘機を生産中だ。これはロシア初の第5世代戦闘機だ。報道によると、ロシアは新型戦略爆撃機のPAK-DAの開発を行っている。
4位 中国解放軍空軍・解放軍海軍航空兵
中国人民解放軍は中国武装部隊の保護シェルターで、主な飛行部隊は解放軍空軍と解放軍海軍航空兵に分かれる。解放軍空軍と解放軍海軍航空兵は1321機の戦闘機 攻撃機、134機の爆撃機 給油機、20機の早期警戒機を持つ。中国には他にも700機の攻撃ヘリがあり、その大半が中型クラスだ。一見したところこれは大規模な空中部隊で、巨額の国防費が費やされてはいるが、これらの軍機の大半は時代遅れとなっている。先進的と言えるのは500機のみで、これらの戦闘機は1980年代にロシアが開発したSu-27と国産多機能戦闘機のJ-10の改良版だ。残りの819機は1970年代のもので、外国空軍の深刻な脅威にはならない。

米国の調査ですから諜報力は確かだと思われますが、これによると昨日みたhttp://www.thutmosev.com/archives/26946289.htmlは米国データに基づく意見であることになります。
米紙では「先進的とみられる・・」と遠慮ガチに書いていますが、約30年前の冷戦期に開発された古いものを買い受けた中国がロシアとの協定を破って自前で改良を加えて後進国へ輸出をした・・これに怒ったロシアが後継機の供給を渋っている状態ですから)もので、本物(ロシアの運用)以上の信頼性がありません。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8350

チャイナ・ウォッチャーの視点
2016年11月30日
小原凡司 (笹川平和財団特任研究員)技術の違法コピーでロシアと交渉決裂
J-20が注目されるのは、中国が自力で開発した高性能戦闘機である可能性があるからだ。中国が現在、主力として使用している戦闘機は、ロシア製のSu-27とそのライセンス生産機であるJ-11である。しかし、ロシアは、中国がJ-11をライセンス生産するにあたって、多くの違法な技術のコピーを行ったとして、中国が空母艦載機として導入を希望していたSu-33の輸出を拒否した。両国間で、技術提供や価格などについて折り合いがつかずに交渉が決裂したとされているが、ロシアが拒否したのは、中国が少数の機体しか購入せず、後は違法にコピーするということを実際に行なってきたからだ。
このため、中国は、ウクライナからSu-33の試作機を購入してコピーし、J-15戦闘機を製造してきた。ところが、この時、中国は設計図を入手できなかったと言われている。J-15の艦載機としての能力が著しく劣るのは、当然の帰結と言えるだろう。エンジンの出力が足りないために、艦上で運用する際の燃料や弾薬が、陸上から運用する際の6分の1の量しか搭載できないとするものもある。
中国がコピーしたJ-15は使い物にならなかった。2016年5月現在、J-15の製造は16機で止まったままだ。航空機や艦艇といった武器装備品は、いくら部品を正確にコピーしても、完成品の性能はオリジナルにははるかに及ばない。航空機であれば、時には、まともに飛ぶことさえできない。航空機の開発・製造は、それだけ難しいのである。それでも、中国はメンツにかけて「自国の技術」で問題を解決したいのだろうか。

いわゆるトヨタその他民生品での純正部品と模造部品には品質性能に違いがあると見るのが普通です。

稼働停止/廃炉の影響1(反対運動の論理)

蓮舫氏の国会質問〜フェイクニュースなどが挟まりましたが、原子力発電稼働停止や廃止と地域経済の影響に戻ります。
http://blogos.com/article/93288
記事
宇佐美典也
2014年08月27日 20:35
原発が止まった原発の街「柏崎」の現状
先日とある人のご案内で久しぶりに柏崎に行ってきました。柏崎刈羽原発を見学に行った後に諸々観光地ご案内して、帰ってきたのですが、彼の地の厳しい現状を改めて感じました。
まずは柏崎市の現状についてなのですが、近年なかなか厳しい状況が続いておりまして、1995年の10.1万人をピークに人口は減り続けており2014年7月現在では87928人となっております。タダでさえ苦境が会ったところに柏崎刈羽原発の稼働停止も重なり、人口減少のペースがやや加速しています。では柏崎の産業が原発に依存しているかというと決してそうでは無く、ブルボン(菓子)やリケン(自動車部品)といった全国ブランドの会社が今でも柏崎で活躍しています。原発は稼働してしまうと基本的にはスタンドアローンで稼働し続けるので、直接の恩恵を受けているのは実際に雇用されている職員や、地元の建設・メンテナンスメーカーなど一部に限られています。
柏崎における原発の恩恵の多くは間接的なもので <①原発立地 ➡②立地対策交付金、使用済核燃料税、固定資産税、法人市民税などの税収増 ➡③市民に還元>という具合になっています。
では柏崎の税収のいかほどが原発がらみなのかということで同市の平成26年度の予算を見てみますと、歳入の484億円のうち、原発関連交付金が26.0億円、使用済核燃料税が5.7億円、その他市の固定資産税90億円の内の2/3程度(50億〜60億円程度)は東電からのもの思われ、総計で毎年合計で80億円〜90億円程度と思われます。
そう考えると市税156億円の内の約半分、歳入484億円のうちの約15%弱が原発からの収入ということになります。こうみると「原発無しでも柏崎はやっていける」というのは市の財務面では無茶な主張ではありますが、市民の生活面では十分可能な話なのかもしれません。
実際一般の柏崎の市民の方が「原発再稼働に必死」と感じたことはありません。
なお固定資産税は「原発がいつか稼働する見込み」である限りは、赤字でも当面は入ってくるので柏崎刈羽原発の地震・津波対策が進んだ結果固定資産税は皮肉にも近年は増収しています。本来ならこれにプラスα(5億円〜10億円)の法人市民税が入ることになるわけですが、累損が膨らんだ東電からは当面法人税は期待できないため、短期的には柏崎市に取って原発が稼働しようがしまいが税収は変わらないということになりますが、やはり長期的には稼働してもらわないと100億円近い税収減に見舞われることになります。」
上記記事は当面の税収だけを問題にしていて、労働者がいなくなることによる市内業者の売上減や住民税その他の税収減を書いていません。
原発関連労働者がどれだけいるかですが、原発の場合それがある限り稼働してもしなくともそれほどの差がないようにも見えます。
再稼働に反対しているだけならば、固定資産税等は無くならない上に、維持管理用の労働力投入がなくなりません。
原発の運転自体がほぼ自動操業で多くは計器類の監視業務中心・・稼働停止中も維持管理労力は必要ですから労働者の激減もありません。
一般的製造業の場合仮に全自動化していても製造中には原材料の搬入・製品・廃棄物搬出等の動きがありますが、原発の場合ウランの搬入搬出がしょっちゅう必要がない上に製品は送電線によるので、一般製造業のように生産休止か否かによる活動量の差異は殆どありません。
結果的に一旦稼働してまった原発工場の場合、工場がある限り操業してもしていなくとも地元に落ちる金がほぼ同じ=企業にとって稼働してもしなくともランニングコストがあまり変わらないとなれば、稼働停止だけ続けば地元経済にはほとんどマイナス効果がない・・蛇の生殺しのようで電力業界が維持管理コストとばかりかかって疲弊する一方です。
「稼働に同意してほしいならばもっと好条件を出せ」というヤクザみたいな政治手法が可能になっています。
被害救済と言えば聞こえがいいですが、一種の被害者ビジネス・・ゴネ得(いう表現自体も頭から否定的な表現という批判があるかと思いますが)に徹するとその帳尻は電力料金に反映します。
結果的に電力会社が全部倒産しても良いと言えない結果、回り回って国民全部の負担になります。
廃止に決まっても完全廃止までに数十年かかり、その間に廃止に向けた新規労働力投入が増えて逆に活気が出る(福島原発では事故前よりも多くの労働量が投入されている)ので10〜20年は「地域経済・税収には関係がない」しかも反原発運動をしている方が自治体懐柔のため、あのてこの手の好条件提案を期待でき、政府投資を獲得しやすいという戦略でエゴを煽るポピュリズムが地域政治の世界を制しているのでしょう。
「釣った魚に餌をやらないのはあたり前」という論理で中国が進出企業いじめするのと同じ手法です。
一般製造業の場合には、あまりひどい要求をされれば投資資金を無駄にしても撤退する道がありますが、原発の場合今の技術では「稼働反対ならばすぐに撤退します」と言えない・相手の足元を見た卑劣なやり方です。
廃止を決めたら数年で解体撤去出来て跡形もなくなるような技術革新が進めば、先行投資を捨てる覚悟さえ出来ればいいので、原発立地自治体の無茶な主張はその限度内で治ります。
中国による先進国からの進出企業への(知財解放せよ技術移転せよ等の)一見無茶な要求は、世界企業に撤退決意させない限度内で行われていることになります。
16年の新潟知事選は以下の通りです。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/101700460/
2016年10月18日(火)
任期満了に伴う新潟県知事選は10月16日投開票され、無所属で新人の米山隆一氏(共産、自由、社民推薦)が前長岡市長の森民夫氏(自民、公明推薦)らを破り、初当選を果たした。
 東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼働が主要争点になったうえ、選挙戦の途中から実質的に与野党対決の構図となっていた。」
新潟県民にとってはすぐに撤退されると困るが、稼働停止だけならば地域経済に与える影響が運転中と殆ど変わらないから加津反対を主張する政治家に票が集まる構図です。
電力会社側から見れば稼働停止が続けば、停止中のコストが稼働中とほとんど変わらないで収入だけゼロですから、現地自治体の(「あれをやれこれをやれ」受入れないと同意しないという)無理難題でも受け容れるしかなくなります。
この結果現地では、現地要望を受け容れるための各種大規模補強工事が花盛り・・結果的に特需景気に沸いていることになります。
沖縄県民が基地反対の大義?によって反対運動が過激化する一方になってきたのは、
「いくら過激な主張をしてもアメリカ軍が撤退出来る訳がない」という思惑で反対運動をしてきた結果→冷戦終結に伴い米軍がフィリピンから完全撤退し、日本でも沖縄基地縮小→グアムへの集約化の方向が出てきたので一時大人しくなっていた印象でした。
2010年頃からこれを引き止めるために?北朝鮮が活発化し、中国による沖縄諸島全体への侵略意図を前提にした尖閣諸島に対する攻勢をかけ始めたことによって、今度は日本政府(日本人全体)が沖縄基地縮小どころではない状態・逆に防衛力強化必須化に追い込まれたことによって、俄然反対運動が勢いを持ってきた印象です。

原発再稼働の是非と原子力政策1

現在政治家が優柔不断で決断力がなくて誤摩化しているのか、重要なので機が熟すのをじっくり見定めているのかの違いは、経済政策のように瞬時に決めて行くべき緊急性があるかどうかによります。
原発の新設をどうするかは国家意思が決まらないうちは手を着けなければ良いことですが、福島原発事故当時稼働中の原発をどうするかは緊急の課題です。
そこでもっとも津波に弱いと思われていた御前崎・浜岡原発は即時停止方向に決めた他は通常どおり運転し、その間新たな規制基準を作成して、定時点検による休止後新たな基準で再開の是非を決めると言う方式がとられています。
ところで、新設とは違い既存施設を再稼働するかどうかは、燃料棒の違いによっては実はそれほど緊急に国論を決めなければならないことではありません。
MOX燃料棒の場合には、再稼働しないで、今の施設のままで放置しておいて(廃炉すると決めても冷却しないで放置すると燃料棒がすぐに危険になる・・冷却不要・・危険でなくなるまでには何年もかかるようですし・・)、その間に津波で冠水・電源喪失すれば、稼働中と似たような被害が起きる点は同じです。
電源喪失の危険性・・大地震の確率はよく分らないとしても、稼働中ではない使用済み燃料棒も電源喪失して冷却し続けられなくなると大変なことになる危険性は同じです・・。
このために福島原発事故の場合、大騒ぎして全国から高所(高層ビル)放水用の消防車を動員したりして高所に保管中の燃料プールへの注水作業に必死になっていたことを想起すれば良いでしょう。
(ニュースでは東京都の石原都知事の発言だけでしたが、千葉市の最新式消防車も出動した・・その費用を請求中と震災後大分経った頃に聞いたことがあります)
燃料棒の違いによっては冷却する必要がないらしいのですが、その違い・・どこの原発ではどう言う燃料棒を使っているのかが報道だけではよく分りません。
MOX燃料棒使用原発の場合、「再稼働しなくとも、プールで冷やし続ける必要のある使用済み燃料棒の危険と再稼働したトキの危険性との違いが何か」と言う点にあるように思われます。
新設するかどうかの議論は、何の危険もないところに危険物を設置するのですから危険性が「あるかないか」ですから、大きな違いがあります。
(「50歩100歩」と言う言葉がありますが「ゼロと5〜10」の倍率は50歩100歩の比ではありません)
だからこそ、新設して行くどうかの基本方針を決めるには、国民意思が揺れ続けているのですが、その前に既存設備をどうするかの議論が決まった(この間にいろんな議論が煮詰まって来るでしょうからその)後に、じっくり決めれば良いことかも知れません。
この辺は歴史の長い我が国の優れたところで、慌てふためいてさしたる議論もしないで、直ぐに原発ゼロを決めてしまうドイツ等とは民族レベルが違います。
革新系文化人はドイツの英断を賞讃する傾向がありますが、自分自身じっくり考える能力がないから乱暴な決定を英断として賞讃する意見になるのでしょうか。
福島原発事故当時を思い出してみると、ドイツは事故直後慌てふためいて東京の大使館を閉鎖して大阪へ移転していました。
私は当時ドイツ銀行に対する投資信託もどきの遺産相続の関係で解約手続中でドイツ大使館にドイツの裁判制度関係の照会をしようとしたら、東京の大使館が閉鎖されてみんな大阪に逃げている・・窓口が大阪になっているのに、驚いたことがあります。
日本中が大地震に遭遇して大変な心労の最中に、このようなことしたら日本人がどう受け取るかの配慮が全くないのです。
国家を代表して来ている以上は、東京都民が移転しても国家代表として踏みとどまるくらいの気概が必要ですが、率先して東京を引き払って,日本を貶める急先鋒(韓国以上の露骨な動きに日本人は驚きました)をやってしまいました。
メルケル氏は震災後約4年経過後日本初訪問しても被災地へ足を運ぼうともせずに、岡田氏と慰安婦問題を話し合って日本批判したと報道されています。
何ら下準備もなしに鳩山総理が、イキナリ大幅なCO2削減を国際公約したり沖縄の基地移設問題で根拠・下準備なしに「最低でも県外へ」と主張していたのですが実際には、何も実現出来なかったことがあります。
この無責任発言が未だに我が国にとって沖縄基地移転問題解決にとって大きな負の遺産としてのしかかっているのは周知のとおりです。

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