日本ケミカル業界の現状

昨日みた通り韓国では原油相場に左右されてケミカル業界全体が大幅減益のようですが、日本のケミカル業界はどうなっているか比較してみます。
http://blog.knak.jp/knak-mt/mt-search.cgi?search

化学メーカーの2019年3月期決算
knak (2019年5月28日 09:12) | コメント(0)
化学メーカーの3月期決算がほぼ出揃った。
各社の決算状況は http://www.knak.jp/kessan/
化学メーカーの2019年3月期決算

日本のケミカル業界では韓国ケミカル業界の大幅減益基調と違い、信越化学だけでなく前年比増の企業もありまだら模様です。
どう言う違いか信越化学の業態を調べてみました。
http://blog.knak.jp/2019/05/20193-1.html

信越化学を見てみるとリーマンショック後の減益を経て徐々に回復し最高益更新中のようです。
石化製品の単価下落に韓国勢は困っているようですが、製品構成を見ると日本は塩ビ等石化一辺倒をとっくに卒業していることがわかります。
以下の一般的評論が見つかりました。
https://gyokai-search.com/3-chem.htm

化学業界の現状と動向(2017-18年)
プラントの停止、汎用品分野からの撤退など動きが活発化
近年の化学業界は、低価格した汎用品分野からの撤退、プラントの停止など収益性の向上を図る取組みを積極的に行っています。

たまたま日本での借換債発行失敗に驚いて韓国のケミカル業界の業績と日本業界との比較を見た次第ですが、日本は石油原料の一次?加工に頼る汎用量産型→市況型産業から早期転進に成功しているようです。
市況型産業の典型は半導体生産業界ですが、日本企業は早期に市況変動の激しい半導体生産から徐々に手を引いて、明日紹介するように製造装置や部材供給側に転身してきました。
備品供給も市況の変動を受けますが、末端売り上げが半分になっても装置供給側の影響は数%下がる程度でしょう。
ファナックその他工場設備の製造装置業者も好不況の波の影響を受けますが、一旦設置すると10年以上使うものですから、数年ごとの市況変動の平均値になる理屈です。
その他部品系も末端消費財完成材の売れ行きに影響を受けますが、緩衝になる工程が多い分ショックは間接的ですので波動のショックは緩やかです。
成熟社会化した日本の産業はあらゆる分野でBtoB主力に切り替わりつつあります。
今回の韓国の反日不買運動についても末端消費財を売る業界・ビールなどの影響は大きいですが、フッ化水素など高度部品は日本からの禁輸にビクついてついている状況で不買運動どころではありません。
韓国の対日貿易赤字の大部分がこういう高度部品に占められているので、不買運動をしてもその効果が知れています。

新興国市場(韓国ケミカル業界の現状)

韓国を含めた新興国市場(別名エマージング市場と言われる所以です)は成長が急激な代わりに政変を含めて危機も急激(ナセルによるスエズ運河接収など権力者の決断に左右されやすい傾向があり、他方大国に対して威勢の良いことを言うものの逆に大国の金融政策その他(米中対決など)の影響が増幅されて波及しやすい)ので、外資にとっては如何に速やかに進出撤退できるかが重要です。
結果的に韓国資本市場が「足の速い資金」流入が中心となっているとしても、新興国市場の特性であり止むを得ないところです。
韓国への資金流入が直接投資の場合定着性が高いのですが、足の早い資金中心の場合外貨準備が増えたと言ってもその分外資流入比率・リスク資金率が上がっただけの場合があります。
結局直接投資が増えているのか減ってるのかが韓国将来性を投資家どう見ているかの指標となります。
新興国市場とは新興→リスクも大きいが成長も激しいのが特徴です。
https://kotobank.jp/word/%E6%96%B0%E8%88%88%E5%9B%BD%E5%B8%82%E5%A0%B4-183672の用語解説は以下の通りです。

経済発展の初期にあって成長率が高いアジア、東欧、ラテン・アメリカなどの国々の証券市場を指す。代表的なものは、BRICsと呼ばれるブラジル、ロシア、インド、中国の市場。いずれも高い経済成長率を誇り、世界中から投資資金を集めた。しかし、規模や制度面などから見るとまだ全体的に未熟な段階の市場が多い。
また国内に十分な投資家層が育っておらず、規模が比較的小さい市場も多い。このため、海外からの資金の流入や流出で大きく株価が変動するリスクがあり、先進国の経済動向や金融情勢に影響を受けやすいという脆弱(ぜいじゃく)さが指摘されている。
(熊井泰明 証券アナリスト / 2007年)

韓国市場に関する約10年前の記事ですが
https://www.iima.or.jp/docs/gaibukikou/gk2009_07.pdfによれば以下の通りです。

資本市場月刊

アジア株式市場のいま
財団法人 国際通貨研究所開発経済調査部主任研究員糠谷 英輝
・・・月刊資本市場 2010.3(No. 295)66

存在感の大きな外国人投資家
投資家別の株式保有シェアを見ると、個人、事業会社、外国人がそれぞれおよそ30%を占めている(図表10)。また投資家別の株式売買シェアを見ると、ここでも個人が49%と圧倒的なシェアを持ち(注6)、これに外国人がシェア27%で続いている(図表11)。いずれにしても機関投資家の存在感は極めて薄く、株式市場は個人と外国人に大きく依存していると言えよう(注7)。■3.韓国株式市場の特徴韓国株式市場の特徴としては、外国人投資家の存在感が極めて大きく、国内機関投資家の育成が遅れていること、店頭市場であるKOSDAQが国際的にも大きな市場となっていること、ELW(Equity Linked Warrants)・ETF市場が急速に拡大していることなどが指摘できよう。
〈コラム〉「韓国は先進国か?」
・・・モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)の指数では、韓国は新興国(Emerging)とされている。MSCI指数における韓国の先進国への格上げは期待されているが、未だに実現には至っていない。MSCIは、韓国市場の障害として、通貨ウォンの交換性がないこと、外国人投資家がOTC取引を行えないことの2点を指摘している。

どこか別の説明では韓国はこの定義中、メキシコやインド等のネクスト11に入っているようです。
ここで個別銘柄・ハンファケミカルの企業情報を見ておきます。
https://korea-keizai.com/hanwha-chemical/

韓国経済・COM
ハンファケミカル【企業基本情報】
2019/01/07

図表省略しますが18年を15年に比べれば良いですが16、17年に比べると18年はかなりの売り上げと利益減です。
19年に入るとハンファに限らず化学業界全部が約半減状態らしいです。
https://korea-keizai.com/20190408petro-chemtech/

【業績速報】ハンファケミカル営業利益半分
2019/08/07
第2四半期の営業利益976億ウォン、 前年比47.1%減少
基礎素材の不振、太陽光の実績も期待に及ばず

1Qの当期純利益 LG化学53%↓、ロッテケミカル43%↓、ハンファケミカル56%↓
国内の石油化学業界が、市況がなかなか回復せず、第1四半期の業績が低迷する見通しだ。証券会社各社はLG化学、ロッテケミカル、ハンファケミカルなど石油化学企業の第1四半期の営業利益を前年比最大50%まで減少するだろうと見込んだ。

上記業界全体の業績推移を見るとハンファが日本での起債に失敗したのは、日韓関係悪化にのみ帰する訳にはいかないでしょう。
そうとすると米国での起債計画やり直しは、よほど金利を高くしないとまた失敗してしまうリスクが高まります。
国外資金調達に失敗して国内緊急融資に頼るとしても、業界全体が利益半減状態では、特定企業救済では済まない・業界全体で外債の借り換え債発行がスムースにいかない・救済問題になりかねないので韓国全体の金融能力にかかってくるリスク→為替相場への波及も視野に入れる必要が出てきます。
米中対決がどのようになるかによっても新興国市場に波乱が起きますが、韓国の場合最早新興国を卒業しつつあるのではないか?
停滞国へ逆進が始まっているかの疑問で書いています。

ヘイトスピーチ11(我が国ヘイトの現状1)

日本には公民権運動がなかったのはその通りかもしれませんが、米国判例の軌跡を省略して(集団誹謗規制の強調が却って公民権運動のマイナスになるという利益衡量があって、表現の自由の原則を守るようになった歴史を省略できるかの観点が必須でしょう。
日本では米英のような人種差別による不公平な法の運用・・同じ刑事法でも現場射殺や検挙でも黒人(日本の場合朝鮮人)に厳しく運用するような習慣がない(日本の場合朝鮮人の場合にはお目こぼしにする逆の運用です)から、そのような心配がないという在日の安心感が基礎にあるのでしょうか。
双方向適用になっても日本人は弱い者に優しいから、自分たちには法の厳しい適用はないだろうという安心感・・。
思えば韓国の言いたい放題やりたい放題の精神的根底には、日本は米英のような厳しい仕返しをしない・・失敗したら取り返しがつかないのではなくいつも許してくれるという「日本に対する甘えがある」と言われてきました。
朝鮮人の過激な行動が「集団に対する誹謗は名誉毀損にならない」という一方的論理で頰っかむりされてきた日本の場合、朝鮮人が同じバスに乗ったり日本人と同席するのを禁止するなど公式差別が一切なかったし、(アメリカの場合国民でありながら差別したのですが)帰化しない在日=外国人でありながらも参政権を除いて日本人とそっくり同じ待遇・公教育を受ける権利などがはじめっから保障されてきた違いがあります。
昨日紹介した論文は、アメリカには公民権運動あってその保護のための表現の自由の強調であったが、日本にはそういう歴史がない(から表現の自由をそれほど強調する必要がない?)と主張したいような印象の論文です。
日本には公民権運動がなかったのはその通りかもしれませんが、日本の場合「朝鮮人は同じバスに乗るな」「入場禁止禁止」などの差別もありませんでした。
その他公式差別が一切なかったし、よく知られているように朴正煕大統領は日本の士官学校出身の将校で日本兵を指揮していました。
アメリカの場合外国籍ではなくれっきとした米国国民でありながら「黒人」というだけで法律上も差別していたのですが、日本の場合帰化しないしたがらない・・在日=外国人でありながらも、参政権を除いて日本人とそっくり同じ待遇・公教育を受ける権利などがはじめっから保障されてきました。
朝鮮人の場合には、逆に自分たちから民族教育のためと言って、独自に朝鮮人学校を設立したり、民族学級を作るなど公平な公教育を拒んできたものです。(将軍様の肖像を掲げて愛国歌を歌ったり変な民族教育をするためにその時間分、一般的な数学や国語などの教育時間がへります)
また米国の公民権運動は、純粋に国内の人種差別撤廃運動であり(国内分裂騒動を策す)外国の支援を受けるものではないのに対して、朝鮮人問題はいつも韓国、北朝鮮との外交問題に絡んで特殊な政治問題化してきたものです。
朝鮮人学校は、北朝鮮の支援を受けて政治色濃く始まったものであり、現在も密接な関係があることを、7月27日以降紹介した論文では以下の通り書いています。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/eds/96/0/96_109/_pdf/-char/ja

韓ハン東トン賢
朝鮮学校とは,在日朝鮮人が,在日朝鮮人の子どもたちに対する自主的な民族教育を行っている全日制の学校である。
日本の学制に合わせて6 ・ 3 ・ 3 ・ 4 制で,小学校にあたる初級部54,中学校にあたる中級部33,高等学校にあたる高級部10の112計98(このほかに幼稚園が38。また初中や中高,初中高といったかたちで併設されていることが多いので,学校数としては63校),および大学にあたる大学校1 校(以上,2012年4 月現在)が,朝鮮民主主義人民共和国を支持する在日朝鮮人の民族団体,在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の管轄のもと,所在地の都道府県から学校法人ごとに「各種学校」の認可を得て,日本各地で運営されている

今回のヘイト問題過熱の始まりも韓国政府や在日による慰安婦問題の執拗な国際的宣伝活動が国際的に拡大するようになった(これに対する日本国内の反発・バックラッシュ?)がきっかけであることは周知の通りです。
戦後日本の朝鮮人問題は、在日や文化人が?人権問題を絡めることによる政治利用しているように見える点が不純な印象です。
台湾その他の外国人が今や日本にいっぱいいますが、朝鮮人のように特別在住資格を持たないその他外国人が、人権侵害を訴えていません。
彼らの主張によれば、半島出身者は差別されて不満いっぱいのはずなのに、戦後全員が帰れるのに帰らなかったり、戦技不法入国して住み着いた人が多いのは、朝鮮人の本音というか、実際の居心地の良さががどちらにあるのかを事実が証明しているのではないでしょうか。
在日外国人の中でもっとも恵まれている朝鮮人がより有利な特権を求める政治運動(だからこれだけ不満なはずの日本を出て行ってもすぐに戻ってくるのですが・・)では、その他日本在住諸民族が応援する気にならないでしょう。
日本の場合国内人種差別問題というよりは、在日が(北と南のそれぞれ支持する)本国の動向に連動する在日政治運動の側面を無視してはならないでしょう。
何かと言うと「ドイツの反省を見ならえ」と言いますが、日本はドイツのように朝鮮人を収容所にいれたりホロコーストした歴史もありません。
ドイツのユダヤ人迫害と同視させるための遠大な謀略の元に、海外で慰安婦騒動を起こしたのでしょうか・・・。
何かというと「ドイツの反省を見習え!」というスローガンが出てくるのは、このような戦略意図を表しているように推測されます。
ちなみに挺対協やのりこえねっと代表で知られる辛淑玉氏は、今やドイツの反省を学ぶためかな?移住したようです。
18年7月29日現在のウイキペデイアの紹介記事です。

辛 淑玉(しん すご、日本名:新山 節子(にいやま せつこ)、신숙옥、Shin Su-gok、女性、1959年1月16日 – )は、在日朝鮮人3世の人材育成コンサルタント。[1]、フリーライター、政治活動家。のりこえねっと共同代表[2]、TRAI(Trans-pacific Research and Action Institute for the hisabetu-nikkei)東京代表。先住民族アイヌの権利回復を求める署名呼びかけ人[3]。2017年12月1日、ハインリッヒ・ハイネ大学デュッセルドルフ日本研究所にて客員研究員。2018年からドイツに移住
ウィキペディイア記載経歴を見ると
「高校は東京都立第一商業高等学校に入学し、在学中は新宿の焼肉料理店「名月館」などでアルバイトをしながら、代々木ゼミナールと代々木学院に通ったという」
ドイツ移住に関する記事は以上の紹介程度でその原因詳細不明ですが、「在特会」側であれ、「在日」側であれ過激すぎる言動は、昨日(しばき隊が居場所をなくしている印象を)書いたように日本社会では双方ともに受け入れられなくなったからではないでしょうか?
ドイツ移住に関するウイキペデイア記事は以上の紹介程度でその原因詳細不明ですが、「在特会」側であれ、「在日」側であれ過激すぎる言動は、昨日(しばき隊が居場所をなくしている印象を)書いたように日本社会では双方ともに受け入れられなくなったからではないでしょうか?
日本研究の客員研究員という肩書き自体、意味不明に受け取る人が多いのではないでしょうか。
日本研究のためにいきなりドイツへ行く意味と「客員」という待遇自体の不可思議さです。
客員は一般的に無報酬という意味に使われていますが・・。

原発停止と(代替エネルギーの現状)3

科学技術の遅れとも言えないし、遅れ程度ならば追いつけないものでもないのに日本のソーラシステムが、西欧に比べて何故割高(約2倍)なのか謎ですが、ちょっと前に風力発電について書きましたが、地形上の問題かもしれません。
http://www.enecho.meti.go.jp/about/special/tokushu/saiene/saienecost.html
日欧の太陽光発電(非住宅)システム費用比較

太陽光発電(非住宅)システム費用について、日本(2016年)は28.9万円/kWであり、欧州(2014年)の15.5万円/kWと比べて、2倍近くの差があります。

年々安くなる世界の再エネ

世界的には、再エネルギーの発電コストの低減化は年々進んでいます。場合によっては、他の発電方法で発電された電力と比較しても、コスト面で競争力のある電源となり始めています。

太陽光発電と風力発電のコストの推移

(円/kWh)

太陽光発電のコスト

(円/kWh)世界的に、太陽光発電のコストの低減化は年々進んでいます。

風力発電のコスト

世界的に、風力発電のコストも低減化は年々進んでいます。

世界でもっとも安値の再エネ電力はいくらでしょうか。
それは、2016年のアラブ首長国連邦(UAE)における太陽光発電の入札案件で、入札価格は2.42セント/kWh、日本円で1kWhあたり3円ほどです。
なぜここまでコストを低減できたのでしょうか。
それにはさまざまな要因があると考えられますが、大きくは以下の2つの要因が低コストにつながったのではないかと推定されます。日照に恵まれた土地柄であるものの、それを差し引いても、日本と比べてかなりの安値といえそうです。
① 118万kWという大規模事業であったため資材の大量調達ができたこと、また単価が低い労働力を利用できたことから、資本費が日本の3分の1程度に
② 日照時間が長く、設備利用率が日本の1.5倍以上に
欧州における再エネの中心は風力発電であることも特筆すべきポイントです。ドイツでは発電電力量のうち9.2%、スペインでは19.2%を占めています。最近は洋上風力発電が盛んで、コストについても、2015年には13.72円/kWhだった入札価格が2017年には7.91円/kWhになるなど、急激に下落しています。
デンマークやオランダでは、洋上風力発電の設置に必要な環境アセスメントや地元との調整を政府が主導するなど、事業者の開発リスクを低減させる取り組みを進めており、これがコスト低減に寄与しているようです。

上記のような資源エネルギー庁の記事を見ると、技術革新でどうなるという要素が低い・逆に技術革新が進み人件費がアップし土地評価が上がるほどコストパフォーマンスが悪くなりそうです。

 

 

原発停止と(代替エネルギーの現状)2

そもそも代替エネルギー政策がうまくいっているか否か将来像のあり方を、裁判所が決めることではなく選挙・民意で決めることですから訴訟の争点にならないのは当たり前ですが・・。
要するに、民意を受けた政治が決めることです。
民主党政権の野田内閣が30年台という10年間の幅を持った閣議決定したことを紹介しましたが、これを「30年まで」と短縮して終わりを決めようとして昨年春ころに蓮舫執行部が民主党内で了承を得られなかったことがあります。
野田内閣当時の想定よりも「10年も早く代替エネルギー政策が進んだから」と言うのなら合理的ですが、根拠なく「今度選挙対策でこう言おう」というパフォーマンス狙いでは困ります。
日本は公害発生に触発されて結果的に公害防止技術が先行し、石油ショック→省エネ技術によって日本経済が世界で先行できたように、仮に再生エネ転換が進んで行った場合、日本がどういうメリットがあるかの将来展望・・どういう影響を及ぼすかの視点が重要です。
(公害の防除技術のように新規産業が育つならば良いですが・原発その他の多様なエネルギー源がある中でどの分野を伸ばしていくのが日本人の個性や風土に適しているか、国際競争に有理化など総合判断で選択していくべきです。
太陽光発電の場合、関連製品ではすでに成熟産業化→中国が巨大資本を投入して既に量産体制を確立している中国の独壇場ですから、この分野を伸ばしても日本企業が中国の及ばない高度技術で勝負できる段階が過ぎています。
量産技術確立後の家電製品等の商品ではいくら工夫しても意味がない・早くその分野から撤退して後進国に譲るしかないのが現在のシステムです。
原発事故後の新エネルギー源として量産技術の確立した分野を伸ばすのでは、人件費の安い中国等の新興・後進国の追い上げに負ける一方でしょう。
それでも他の電源より安いならば仕方ないですが、年間(ということは毎年のことですから、10年で何十兆の補助金です)何兆円も補助金をつぎ込んでまで国外企業の誘致に骨折るようなものではないでしょう。
ソーラーパネル製造でいえば中国からの安値輸入が席巻して国内産業発展どころか壊滅させてしまうのを放置して電源的には原発の穴埋めになっている・・だから原発停止させても大丈夫という説明では困ります。
日本は明治維新時の開国によって先進技術を自分のものにする能力があったので独立を守れたのですがその能力なく、単に消費するにとどまった国は国内産業が廃れて皆植民地化されていきました。
インドのイギリス植民地化の原因は、当時インド綿製品が東南アジア地域の支配商品であったのに、産業革命によって生産合理化に成功したイギリス製品進出によって、文字通り「死屍累々」白骨街道と言われる状態になった結果でした。
この辺は川勝平太氏の著書の受け売りで15年ほど前に書いたことがあります。
「どんどん高額補助金を出してそのお金でどんなに中国からの輸入が増えてもかまわない、結果国内産業は壊滅しても構わない・・電気の供給さえあればいいじゃやないか」というのでは無責任です。
他にも選択肢があるか否か、ここは身長ん原発は本当に今日明日にもやめなければいけないほど危険かどうか?日本の得意分野を伸ばす方向で新電源開発の工夫すべきでしょう。
・・アジア諸国の地場産業・インドの繊維産業が死滅し植民地化していったことの繰り返し?のように日本政府の年間2兆円以上もの補助金で中国製のパネル、モジュール、セル等が席巻してしまう政策をそのまま進めて良いかの総合判断をすべきです。
自由な競争に負けるのは仕方がないというのも一理があるように見えますが、他のエネルギーとの自由競争で勝てないから、国家として年間2兆円以上も補助金を出す(その他市町村ごとの補助金や工場等の立地優遇策もある・・農地転用の特例もあったような記憶です)のですから、太陽光発電業界が自由競争で勝っているのでありません。
そしてその業界内競争では中国製が市場支配力を持っているのですから、中国企業へ補助金を出しているような結果です。
国内産業保護のために関税政策があるように・・この後に紹介するようにトランプ政権は太陽光発電でセーフガードを発動しています・・日本の場合輸入制限の逆張り・・補助金を与えて輸入拡大を図るとは「奇怪」な政策です。
比喩的に言えば、大型乗用車を国内で作っていない・アメリカだけのときに、大型車だけ一台500万円の補助金を出すような政策の結果、中小型専門の国産車の売れ行きが3割減った場合、アメ車が自由競争の結果シェアーを伸ばしたというでしょうか?
中国製だけの補助金ではないですが、結果的に果実(国民の税金)が中国にわたる仕組みになっているとはおかしな政策でした。
インドがイギリスの紡績業に負けて植民地化したと言っても、イギリス製紡績品の輸入に補助金を出して輸入していたわけではありません。
太陽光発電設備に対して民主党政権が決めた補助金を見ておきましょう。

再生可能エネルギーを全量固定価格で買い取る FIT が民主党政権(現・民進党)で始まり、国民の負担が年々上昇していると NHK がついに報じました。
導入当初から予見されていたことですが、ようやく取り上げたと言えるでしょう。
年間2兆円が電気代として上乗せされていることが現状であり、将来的にはさらに負担が増すことが確定的なのです。
5年前の7月1日、太陽光発電など再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が始まってから、私たち電気の利用者が負担するようになりました。
再生可能エネルギーを普及させようと始まったこの制度。国は、電力会社に太陽光などで発電した電気をすべて買い取るよう義務づけました。その代わり、買い取り価格の一部を月々の電気料金に上乗せすることを認めました。」

上記文脈言えば2兆円は電気料金に転嫁した分だけのようですが、「買い取り価格の一部を月々の電気料金に上乗せ」と書いているので100%料金転嫁を認めた訳ではないので、電力会社の自己負担分がこれではわかりません。
例えば30%の価格転嫁を認めているとした場合に、30%が2兆円というのであれば、電力業界の負担分7割が電力業界の財務悪化、配当や設備投資や賃金抑制その他で結果的に国内負担になるので、その3、3倍の7兆円前後になります。
一部というだけでは、業界への転嫁比率がわかりませんが、転嫁比率によって国民負担額が大幅に変わります。
ですから上記「2兆円」全体の何%か内容精査しないと意味不明ですが、最低2兆円の負担がはっきりしてきたということです。
そこで資源エネルギー庁のデータに入ってみますと以下の通りでした。
http://www.enecho.meti.go.jp/about/special/tokushu/saiene/saienecost.html

コストの高さは、国民負担に影響を与えます。FITによる買取費用の一部は、賦課金というかたちで国民が広く負担していますが、2017年度の買取費用は約2兆7000億円、賦課金は約2兆1000億円となっています。
エネルギーミックスが想定する2030年の再エネ買い取り費用は、3兆7000億円から4兆円です。
再エネのコストをできるだけ低減させ、国民の負担を抑制しつつ、再エネ普及を図る取り組みが必要となっています。

17年に消費者の負担する電気料金アップは2兆1000億ですが、全体の賦課金は2兆7000億円と分かりました。
これがどんどん増えていく計画で30年の買取費用は約4兆円が予定されています。
ということは20年から30年の10年間合計で30兆円分を負担することになります。
10年間で30兆円もの負担増が妥当かどうかでしょう。

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