太陽光発電補助金の可否2

民進党政権が決めた過大な補助金漬け政策を自民党政権になってどんどん縮小してきたようですが、5月26日に見た資源エネルギー庁の記事によれば、それでも17年時点で毎年2兆7000億円・これがどんどん伸びて30年には年間4兆円にもなる予定の国策とのことです。
補助金=国民の負担で設置されるパネルその他の資材が中国からの輸入がほとんどですから、結果から見れば、国内企業発展のための補助金ではなく、中国企業のために補助金を出しているようなイメージの制度になっています。
元々太陽光発電はこれまで書いてきた通り、立地場所がコストのほとんどを占める以上設置工事等の技術革新程度を期待しても(逆に人手不足の結果現地作業コストは上がる一方です)どうなるものでもありません。
モジュールやセル等の資材も末端製造が新興国に移転し生産する時代であって、先進国国内生産時代ではないのですから、資材生産企業への補助金は全額外国に吸い取られる関係です。
(後進国の場合当初先進国からの進出企業が受注していても、自国企業が下請け関与しているうちに国産化する期待ができます。しかし先進国の場合には、もともと自国で生産できていたものをどんどん後進国へ出していき、そのうち逆輸入するようになるのが普通ですから、いくら国内補助金をだしても時間経過で自国内生産に戻ることはありません)
上記は国からの補助金だけですが、その他に地方自治体の独自の補助あるいは設備設置による減税等の手厚い事実上の補助制度が満載です。
参考までにhttps://www.kankyo-business.jp/subsidy/solar/
から都道府県市町村に入るので、身近な千葉市の補助金を見てみました。
千葉市の場合は以下の通りです。
https://www.kankyo-business.jp/subsidy/solar/result.php?state=chiba&city=chibashi

千葉市で利用できる補助金 (2018年1月24日 時点)
太陽光発電システム…3万円/kw、上限は9万円。市内業者施工の場合4万円/kw、上限は12万円。
太陽熱給湯システム…強制循環式10万円
エネファーム、定置用リチウムイオン蓄電システム…10万円
地中熱ヒートポンプシステム…経費の1/10、上限は20万円
太陽熱利用給湯システム(事業者向け)…経費の1/3,上限は100万円

その他事業者向け補助金(各種税制優遇も結局は取るべき税が取れないのですから補助金一種です)もあります。
国益としての総合視点でみる時には、その業界を日本で育成する可能性.必要性があるのかなどの見通しと、補助金漬けの製品に占める海外企業の市場占有率・国内勢の育成によってが巻き返せるかが重要です。
太陽光発電における国内産業の動向を見ておきましょう。
https://www.nikkei.com/article/DGXLZO15629850R20C17A4TJ2000/

太陽光パネル 減産相次ぐ 京セラ、国内生産撤退
2017/4/22 0:54
日本経済新聞 電子版
日本の太陽光パネルメーカーが相次ぎ国内生産の一段の縮小に追い込まれている。
京セラは三重県の工場を休止し、国内の組み立て事業から撤退する。
国内の太陽光パネル市場は売電価格の下落で需要不振が続いているうえ、大規模な生産体制を持つ海外大手が低価格攻勢を強めている。厳しさが増すなかで日本勢はコスト構造や販売戦略の見直しを急ぐ。
太陽光パネルで国内2位の京セラは三重県伊勢市の組み立て工場での生産を3月末ま…
https://www.excite.co.jp/News/economy_g/20170619/Toushin_3505.html
2017年6月19日 08時30分
太陽電池メーカーは消えるのか
http://rief-jp.org/ct4/79505
太陽光パネルの国内出荷量、2017年度は17%減。3年連続の減少で、出荷規模はピーク時の6割に縮小。政府の再エネ政策の不確かさを反映
・・・・国内出荷量のうち7割近い3591MWは、海外生産分となっている。

海外生産品が国内出荷の7割を占めているというのが昨年の実績で、18年では・・まだ最近の記事ですが、日経新聞ではもっと衝撃的な報道(国内生産が壊滅しそうな?記憶がはっきりしないのでネット検索しているのですが・・)があったのですが、ネットでは探せません。
こういう状態で何がなんでも原発再稼働反対で太陽光発電を賞賛しまくるメデイア界は、国益という総合的視点が欠けているのか特定意図を持っているのかの疑問を持つ人が多いのではないでしょうか?
中国の輸出攻勢に補助金をだす民進党政権の発想が理解しにくいのですが、トランプ政権ではセーフガードを発動していますが・・・。
https://www.jetro.go.jp/biznews/2018/01/9c32c8d2d6aa206c.html

太陽光発電製品に対してもセーフガードを発動へ-トランプ政権によるセーフガード措置(2)
セルの輸入は関税割当制、2月7日から適用
トランプ大統領は1月23日、太陽光発電製品の輸入に対してセーフガード措置の発動を命じる大統領布告(Presidential Proclamation)を発出した・・・
中国企業の迂回措置への対抗策と強調
USTRは、中国製太陽光発電製品に対して米国政府がADや補助金相殺措置を発動して以降、中国企業が生産拠点を国外に移転し、これら貿易救済措置の関税を回避してきたと批判し、今回のセーフガードが中国企業の迂回行為に対する対抗措置であることを強調している。

メデイアはトランプ批判満載でこういうニュースは目立った報道されませんが、こうしてみるとトランプ氏は対中国でやるべきことはきちんとやっているようで、これがトランプ氏の国内人気が根強い原因でしょう。
上記「太陽電池メーカーは消えるのか」の引用記事では「政府の再エネ政策の不確かさを反映」と如何にも安倍政権の「政策の不確かさ」をマイナス評価的に書いていますが、安倍政権になって毎年何兆円も中国へ垂れ流すような補助金にメスがはいったのは当然であり健全なことでしょう。
親中韓系が何が何でも「反安倍」に必死なのも、憲法論に限らず(「在日特権反対」というスローガンに象徴される在日系優遇策の数々)網の目のように張り巡らされた中韓系既得権権益打破の積み重ねが背景にあることがわかります。
加計学園問題は国内既得権益打破への反作用とみられます。

太陽光発電の補助金?2

太陽光発電が斜面の多い日本の地形や屋根上の設置では効率が悪いのと同じで、風力発電も安定した偏西風が吹く西欧とは大違いで気まぐれ的な風向きの多い日本では発電効率が低くなります。
その上電気は送電距離比例して電力が減衰していくので、円形に近い国(中国やドイツフランスなどの)ほど国境地帯の無人地帯からの距離が短くて有利です。
日本の場合、南西諸島や北海道の僻地あるいは各県付近の離島で土地利用費が安くて安定した方向の風が強いとしても東京など大消費地に送電するには遠すぎてペイしません。
どんな商品でも安定供給できないと顧客に見放されますから、安定供給できるかどうかは重要です。
個々人でも「明日仕事に来るかどうかはその日にならないとわからない」というのでは雇ってくれません。
モーツアルトのような特別能力があれば注文者も我慢しますが、凡人やほぼ同質の商品供給の場合、供給不安のある仕入れ業者は相手にされません。
太陽光発電や(安定した偏西風の吹く西欧や太陽光のある中東と違い)日本の風力発電は、安定供給に向いていない大きな弱点がありますが、この弱点補完のための強制買い取り制度によって供給不安リスクを電力会社に負担させることによって成り立っている・・これも大きな補助金の一種です。
天気の良い日はいらないが余ったら買ってくれ、曇天の日は半分雨の日は満量電気を売れと「強制」(強制しないならば別ですが)するのは、経済原理から言えば非常な負担・いじめです。
手作り自動車や家電製品、味噌造りや綿製品等について、いつ納品できるか分からないが納品したら、近代メーカーに対して家内工業コストを基準にした買い上げ強制制度があれば、各分野の近代産業がその負担分コスト高になって国際競争に生き残れなかったでしょう。
電力会社の買い上げ義務化は一見電力会社だけをいじめているように見えますが、国際価格で発電させない割高電力利用を強制し国民や企業に最終負担させれば結果的に国民敵視政策です。
(電気に電力以外の品質差がない=でき上がる製品が同じならば、仕入れ値の安い方を選ぶのが経済原理ですが、これを温暖化防止の(根拠なき)政治駆け引きで、欧州の自然環境に適合した再生エネルギーの使用を日本が強制されているように見えます。
科学論に仮託したこうした政治の動きをどう表現すれば良いかと思っていたら、これを「エコファシズム」という表現が流布しているようです。
電気の貿易コスト(要は移動コスト)が高いので電気は現地生産が原則ですが、その代わりに原燃料の自由貿易があって、燃料コストはほぼ世界平等(生産国は運賃や関税不要の恩恵程度)です。
火力発電の場合は設置コストが国ごとの土地利用や建設維持コストの格差くらいですが、火力発電では他の近代工業用地程度の広さで済む・原発や風力のような巨大な土地が不要なので大都市近くに立地できるし土地利用程度や気候風土に左右されないのでこの点でも世界ほぼ平等です。
ただし電気は輸出しないから国際価格を無視して良いとの発想があるとしたら間違いです。
日本は島国なので電気自体輸出も輸入もないですが、エネルギー源は全ての産業の基礎コストですから、火力.LNGその他の国際商品と競合しています。
電気はすべての産業の基礎ですから、電気コスト高はすべての分野に影響を与え・生活水準を下げ産業の競争力を低下させます。
ジーゼルやガソリン車の排ガスの健康被害は立証されているので、これを減らす努力が合理的ですが、ここ数十年?のCO2大量発生を地球温暖化進行の原因という宗教みたいな政治運動が支配的ですが、そもそもCO2原因による温暖化進行説自体が本当かどうかわかっていません。
もともと光化学スモッグなどが問題になった4〜50年ほど前に工業化+モータリゼーションによる2酸化炭素発生が、雲を大量発生させて曇天が増えて平均気温が下がり植物の発育が阻害される・・それを餌にする動物(人類)が生きにくい・太陽光に触れる時間が減ると動物の生育自体に悪影響が出るので、2酸化炭素発生を抑制すべきという運動(当時は新聞程度しか情報源がありませんでしたが・・)が普通でした。
私はもともと寒いのに敏感反応する方なので、この報道を(これは大変だな!と恐れていたので)よく記憶しているのですが、今になってネットで調べると、そのよう意見が宣伝されていたことすら出てきません。
この数十年では温暖化が進むという宣伝ばかりで、どちらが本当かよくわかりませんが、共通項はCO2敵視説です。
このように180度主張が変わってもCO2削減論だけがより強硬になっているには、裏に何か変な動機があるのかな?と疑問を抱く人が増えるのは当然でしょう。
どう言う政治的立場があってバックで何がなんでもCO2排斥に走るのかわかりませんが・・。
今になるとCO2批判で太陽光発電や風力に切り代わったとき・石油石炭火力が禁止された場合の結果を見ると、複雑な地形の日本向きでない・・日本がいくら技術力で優れていても大規模農業に適さないように日本が適応できない新エネルギーを推していた結果になります。
いわば大規模農業以外の穀物を食べるのを禁止するような政策です。
こうなると、ありきたりの陰謀説が出てきますが、陰謀がないにしても、日本がお先棒を担ぐような議論ではなさそうに見えます。
農業の場合、量の勝負は無理でも品質で勝負できるので、これに切り替えれば努力と技能次第で済みましたが、電気にはこれがないので困ります。
このまま再生エネ以外の電力発電を認めない方向に進むと、昨日から書いているように再生エネルギーのコストは技術力よりは、立地コストが大部分を占めるために、日本は技術力アップでカバーできない結果、世界の大国では複雑な地形を持つ日本だけが(高コストエネルギーに頼る)すごいハンデイを背負うことになります。
日経新聞朝刊5月26日7pでは再生エネ以外の投資には資金市場で資金が集まりにくくなりつつあるので、日本企業が獲得している石炭採掘権益を売却していく傾向が報道されています。
石油利用禁止の国際ルール・・英仏政府は2040年までのガソリンエンジン全面禁止が上記記事に掲載されています。
・中国もガソリン車では頑張っても日欧に追いつけないのでEVシフト・近いうちにEV以外の車を禁止方向にしているなど)が完成すると日本が困るのは確かです。
5月26日にグラフで紹介しましたが、日本の再生エネコストが世界相場の3倍とすれば、そのうち蓄電池能力が飛躍的に上がれば、中国製電気を蓄電池に変換して輸入しても中国の電気代の2倍程度でおさまる時代・国産電気不要・壊滅時代が来るかも知れません。
中国はEVカーでは特定電池使用車しか補助金を出さない形で韓国車の差別をして、韓国車販売がこの数年激減したのですが、同工異曲の差別で日本の蓄電池より中国製蓄電池が有利になるのでその内日本の蓄電池は中国では売れなくなるでしょう。
4〜50年ほど前には寒冷化すると穀物その他が減少し大変なことになるという脅しでしたが、今度は南極の温度が上がった、北極海の氷が減ったとか、ヒマラヤの氷河が減ってきたとか海抜ゼロメートル前後のサンゴ礁の島が水没するとか言い出しました。
それが事実としても、温暖化したら、(仮に10度Cも上がれば日常生活を含めて大変ですがせいぜい1度内外の温度差しかない議論のようです)何が悪いのか素人の私にはさっぱりわかりません。
北極海の氷が溶けて船が通れるようになると日本と西欧がぐっと近づくメリットだけでしょう。

太陽光発電の補助金?1

今後石油の時代だからといって、国内でほんのちょっとしか取れない以上国内石油生産を応援しても仕方がないし、小麦トウモロコシが家畜を含めた食料に必要といっても国内で(大規模補助金を出して)山の上まで開墾して大増産してアメリカと生産量やコストで競争しても意味がありません。
15年ほど前に日本の耕地整理事業に関して、農地の大規模化でアメリカやオーストラリア等と競争しても100対1の競争が80対1に変わる程度では量産競争で勝てないので、日本人の得意な手間暇かけた農産物・・少量でも味の良いトマト、和牛などを作る方が良いと書いたことがあり、その後日本の農業は少量でも良いものを作る方向になって国民の支持を受けています。
再生エネも同じで、中東や西欧でうまくいっているからといって、気候地形風土の違う日本が無駄に資金を垂れ流すような投資をすべきではありません。
熱帯の植物を北国でお金持ちが屋敷に温室を作って楽しんだりするのは自由ですが、国内でバナナ等のトロピカルフルートを作るために年間何兆円も補助金を際限なくつぎ込む必要があるでしょうか?
砂漠の国で莫大な補助金で日本の気候風土を人工的に作って、日本でしかできない食品等を作る必要がないのと同じです。
これを証明しているのが古代から始まっている物々交換であり遠隔地との交易システムです。
電気の場合輸入していないから分かりにくいものの、どのエネルギー源を使っても食物のように旨味が違うわけではないので、コスト効率の良いエネルギー源を使うのが合理的です。
資源大国アメリカでさえ、シェールガス・オイル等の採掘は採算がとれるようになるまで放置していました。
その間赤字でも費用をつぎ込んで頑張ったのではなく、他分野の科学技術発展の技術応用で採算がとれるようになったものです。
中国の誇るレアアースも中国だけで取れるのではなく中国は公害も気にしないし、人件費も安い、大量採掘可能等の総合条件で世界中の競合する生産国を価格面で蹴落としたにすぎません。
だからこそ反日攻勢のために生産を絞り価格を引き上げると、すぐに他の国での生産が復活したのです。
このように不得手なものに手を出さないのが世界の共通原則です。
日本は雨が多く多方面に向かった曲がりくねった谷川沿いの斜面が多い・この特徴が微妙な陰影を作り湿気の多さが酵母菌類利用発達を招来し、日本の酵母菌利用の基礎を作っています。
多方面に向いた斜面の多さが、カンカン照りの日でも一定の時間ですぐ日陰になるので、過ごしやすさにつながっていますし、ほんの数時間で日向と日陰が入れ替わる関係で植物が種類豊富になりこれに対応して生物種類が豊富です。
日本では四季の移ろいがあると習いますが、それどころか、100メート先の向かい側の斜面とこちら側では太陽光の当たる時間も風のあたり方も違う・同じ場所でも数時間で日の当たり方が違う・環境が変わって行く特徴こそ重視すべきです。
晴れた日でさえ数時間で陰影が変わる微妙さが、日本人の勤勉さや感度を磨いたので感謝すべきですし日本列島隅々まで植物が繁茂し植物の生えていない見渡す限りの荒野などどこにもないのが日本列島の特徴です。
(せいぜい鳥取砂丘くらいでそれが名物になるおめでたい国です)
いわば土地が利用され尽くしているので何か新たなことをしようとすれば既存植物系・生態系破壊→既存の人間利用の妨害などを引き起こし、保障コスト・原発で顕著ですが、立地計画段階で地元交渉政治家対策・地元にどれだけ雇用を増やすかなど総合コストがかかる上に、稼働後も定期改修停止後の再稼働に地元同意がいるなど地元交渉に膨大なコスト)が必要です。
斜面の多さが、棚田などの入り組んだ農地になり斜面利用のみかん畑や茶畑などになったのですが、同じ山の麓でもアルプスのような巨大な山地を基礎にした一方向への単純斜面ではなく、くねくねと曲がった谷川に沿って東向き北向きなど多様な斜面に棚田が広がり、人家もあります。
ドバイの大規模効率的太陽光発電の例を紹介しましたが、平板な砂漠にヘクタール規模の大規模ソーラパネルを敷き詰められる中東地域と日本の戸建住宅の小さな屋根屋根にパネルを敷き詰める作業とでは、飛行機でタネを撒くアメリカの農場と、棚田に田植えしていく農場とで農産物生産量の競争をしているようなものです。
戸建の屋根上よりも効率の良い耕作放棄地に立地するにしても、元の農地が世界規模で見れば狭いので、国際比較では効率が悪いし地主との交渉や農地の転換にかかるコスト(湿地系ですので腐食等の維持費)もバカになりません。
コストに占める技術力差小さいので、時間経過で設置コストが下がるどころか、逆に立地適地から先に物色されていくので、時間経過で効率の良い大規模空き地がどんどんなくなっていく、消費地から遠くなり太陽角度の悪い斜面や、小規模の農地や空き地に絞られて行き、より一層コストアップになりつつあるようです。
コスト高の原因を日本人の人件費が高いことを理由の1していますが、人件費が高いのは生活水準が後進国より高い以上当然であり、これを問題にするのは無意味・・生活水準を下げたら同等になるでしょうがそれでは本末転倒です。
設置コストの高さは、人件費の高さだけでなく戸建住宅の屋根の上に取り付けるのは原野等での設置と違い複雑な工程になるので、設置コストアップや維持管理費の高さの方が問題でしょう。
再生エネに関する高額買取強制政策は、衣料品やテレビその他の工業製品を作る数人規模の家内工業保護のために大手メーカーに対して市場相場の何倍もの価格での買い上げを強制しているような政策です。
(昔から小麦輸入品の政府による強制販売価格制度が知られています)
太陽光発電装置を高コストでやっと設置しても屋根に斜面がある関係で快晴でもすぐに影になってしまい日照時間全部を利用できません。
東向きの屋根の場合午前中だけ、西向きの場合、午後からだけです。
その上日本の気候はその日のうちに晴れたり雲ったりの変化が激しく安定性がありません。
規模で言えば耕地整理して少し農地を大きくしても、同じ品質のものを作って価格で勝負する限り米豪の大規模農業に叶う訳がないのと同じ構図です。
農産物や果実では日本人の手間ヒマかける特性を活かした小規模生産で高品質・・味の良さで勝負することによって和牛やサクランボのように、生き残りができていますが、電気は手間ヒマかけても品質の差が出ません・コストが上がるマイナス要素だけです。
石油燃料に製品に比べて3倍も高い太陽光燃料を使っても品質が同じどころか劣る・電気そのもの品質は同じでも火力系に比べて供給安定性がありません。
数日前に風力発電について少し書きましたが、風力発電設備をみるとお遊びのかざ車のように全方向性ではなく、一方向への固定制のように見えますが、(この辺は技術革新によって自在に方向を変えられるようになるかも知れませんが)日本の場合、強風の時に限って風向きがその日のうちにくるくると変わる特性があります。
強風の日に傘をさすと一定方向ばかりではなくいきなり横や斜めから吹いてきて苦労するので誰でも経験済みでしょう。
日本の強風は西欧の偏西風と違い台風その他気圧の関係で風向きが変わるのと海辺でも多くは山が接近していることが多いので、山にぶつかって方向性がめまぐるしく変わります。
山がなくとも強風の代表である台風の例で言えば「台風の目」の移動に伴い刻々と風向きが変わりますが、多くの強風はこの小型版ですから大変です。

稼働停止/廃炉の影響1(反対運動の論理)

蓮舫氏の国会質問〜フェイクニュースなどが挟まりましたが、原子力発電稼働停止や廃止と地域経済の影響に戻ります。
http://blogos.com/article/93288
記事
宇佐美典也
2014年08月27日 20:35
原発が止まった原発の街「柏崎」の現状
先日とある人のご案内で久しぶりに柏崎に行ってきました。柏崎刈羽原発を見学に行った後に諸々観光地ご案内して、帰ってきたのですが、彼の地の厳しい現状を改めて感じました。
まずは柏崎市の現状についてなのですが、近年なかなか厳しい状況が続いておりまして、1995年の10.1万人をピークに人口は減り続けており2014年7月現在では87928人となっております。タダでさえ苦境が会ったところに柏崎刈羽原発の稼働停止も重なり、人口減少のペースがやや加速しています。では柏崎の産業が原発に依存しているかというと決してそうでは無く、ブルボン(菓子)やリケン(自動車部品)といった全国ブランドの会社が今でも柏崎で活躍しています。原発は稼働してしまうと基本的にはスタンドアローンで稼働し続けるので、直接の恩恵を受けているのは実際に雇用されている職員や、地元の建設・メンテナンスメーカーなど一部に限られています。
柏崎における原発の恩恵の多くは間接的なもので <①原発立地 ➡②立地対策交付金、使用済核燃料税、固定資産税、法人市民税などの税収増 ➡③市民に還元>という具合になっています。
では柏崎の税収のいかほどが原発がらみなのかということで同市の平成26年度の予算を見てみますと、歳入の484億円のうち、原発関連交付金が26.0億円、使用済核燃料税が5.7億円、その他市の固定資産税90億円の内の2/3程度(50億〜60億円程度)は東電からのもの思われ、総計で毎年合計で80億円〜90億円程度と思われます。
そう考えると市税156億円の内の約半分、歳入484億円のうちの約15%弱が原発からの収入ということになります。こうみると「原発無しでも柏崎はやっていける」というのは市の財務面では無茶な主張ではありますが、市民の生活面では十分可能な話なのかもしれません。
実際一般の柏崎の市民の方が「原発再稼働に必死」と感じたことはありません。
なお固定資産税は「原発がいつか稼働する見込み」である限りは、赤字でも当面は入ってくるので柏崎刈羽原発の地震・津波対策が進んだ結果固定資産税は皮肉にも近年は増収しています。本来ならこれにプラスα(5億円〜10億円)の法人市民税が入ることになるわけですが、累損が膨らんだ東電からは当面法人税は期待できないため、短期的には柏崎市に取って原発が稼働しようがしまいが税収は変わらないということになりますが、やはり長期的には稼働してもらわないと100億円近い税収減に見舞われることになります。」
上記記事は当面の税収だけを問題にしていて、労働者がいなくなることによる市内業者の売上減や住民税その他の税収減を書いていません。
原発関連労働者がどれだけいるかですが、原発の場合それがある限り稼働してもしなくともそれほどの差がないようにも見えます。
再稼働に反対しているだけならば、固定資産税等は無くならない上に、維持管理用の労働力投入がなくなりません。
原発の運転自体がほぼ自動操業で多くは計器類の監視業務中心・・稼働停止中も維持管理労力は必要ですから労働者の激減もありません。
一般的製造業の場合仮に全自動化していても製造中には原材料の搬入・製品・廃棄物搬出等の動きがありますが、原発の場合ウランの搬入搬出がしょっちゅう必要がない上に製品は送電線によるので、一般製造業のように生産休止か否かによる活動量の差異は殆どありません。
結果的に一旦稼働してまった原発工場の場合、工場がある限り操業してもしていなくとも地元に落ちる金がほぼ同じ=企業にとって稼働してもしなくともランニングコストがあまり変わらないとなれば、稼働停止だけ続けば地元経済にはほとんどマイナス効果がない・・蛇の生殺しのようで電力業界が維持管理コストとばかりかかって疲弊する一方です。
「稼働に同意してほしいならばもっと好条件を出せ」というヤクザみたいな政治手法が可能になっています。
被害救済と言えば聞こえがいいですが、一種の被害者ビジネス・・ゴネ得(いう表現自体も頭から否定的な表現という批判があるかと思いますが)に徹するとその帳尻は電力料金に反映します。
結果的に電力会社が全部倒産しても良いと言えない結果、回り回って国民全部の負担になります。
廃止に決まっても完全廃止までに数十年かかり、その間に廃止に向けた新規労働力投入が増えて逆に活気が出る(福島原発では事故前よりも多くの労働量が投入されている)ので10〜20年は「地域経済・税収には関係がない」しかも反原発運動をしている方が自治体懐柔のため、あのてこの手の好条件提案を期待でき、政府投資を獲得しやすいという戦略でエゴを煽るポピュリズムが地域政治の世界を制しているのでしょう。
「釣った魚に餌をやらないのはあたり前」という論理で中国が進出企業いじめするのと同じ手法です。
一般製造業の場合には、あまりひどい要求をされれば投資資金を無駄にしても撤退する道がありますが、原発の場合今の技術では「稼働反対ならばすぐに撤退します」と言えない・相手の足元を見た卑劣なやり方です。
廃止を決めたら数年で解体撤去出来て跡形もなくなるような技術革新が進めば、先行投資を捨てる覚悟さえ出来ればいいので、原発立地自治体の無茶な主張はその限度内で治ります。
中国による先進国からの進出企業への(知財解放せよ技術移転せよ等の)一見無茶な要求は、世界企業に撤退決意させない限度内で行われていることになります。
16年の新潟知事選は以下の通りです。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/101700460/
2016年10月18日(火)
任期満了に伴う新潟県知事選は10月16日投開票され、無所属で新人の米山隆一氏(共産、自由、社民推薦)が前長岡市長の森民夫氏(自民、公明推薦)らを破り、初当選を果たした。
 東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼働が主要争点になったうえ、選挙戦の途中から実質的に与野党対決の構図となっていた。」
新潟県民にとってはすぐに撤退されると困るが、稼働停止だけならば地域経済に与える影響が運転中と殆ど変わらないから加津反対を主張する政治家に票が集まる構図です。
電力会社側から見れば稼働停止が続けば、停止中のコストが稼働中とほとんど変わらないで収入だけゼロですから、現地自治体の(「あれをやれこれをやれ」受入れないと同意しないという)無理難題でも受け容れるしかなくなります。
この結果現地では、現地要望を受け容れるための各種大規模補強工事が花盛り・・結果的に特需景気に沸いていることになります。
沖縄県民が基地反対の大義?によって反対運動が過激化する一方になってきたのは、
「いくら過激な主張をしてもアメリカ軍が撤退出来る訳がない」という思惑で反対運動をしてきた結果→冷戦終結に伴い米軍がフィリピンから完全撤退し、日本でも沖縄基地縮小→グアムへの集約化の方向が出てきたので一時大人しくなっていた印象でした。
2010年頃からこれを引き止めるために?北朝鮮が活発化し、中国による沖縄諸島全体への侵略意図を前提にした尖閣諸島に対する攻勢をかけ始めたことによって、今度は日本政府(日本人全体)が沖縄基地縮小どころではない状態・逆に防衛力強化必須化に追い込まれたことによって、俄然反対運動が勢いを持ってきた印象です。

世界の原子力発電状況1

この辺でメデイアによる洗脳目的のムード報道ではなく、原子力発電に関する事実としての世界の趨勢を見ておきましょう。
世界の原子力発電に対する趨勢は以下の通りです。
http://blogos.com/article/231650/
記事
石川和男
2017年06月29日 11:13
世界全体の原子力 〜 低下傾向が近年反転し、4年連続増加・
World Nuclear Association が今月28日付けで公表した “World Nuclear Performance Report 2017” によると、2011年から2012年にかけて著しく落ち込んだ原子力発電電力量〔Figure 1.〕と原子力発電設備容量〔Figure 2.〕は、2012年以降4年連続で増加傾向となった。
2016年には、9GWeを超える新しい原子力発電所が稼働を開始し、過去25年以上で年間最大の増加率だった。」
メデイアによって「原発廃止縮小が世界の流れ」というイメージが刷り込まれていますが、データで見ると違っていることがわかります。
蓮舫民進党執行部は、いくら早く全廃しても「配置転換や手厚い一時金支給などの補償のある正規雇用の労組には関係がない」まさか連合が反対しないだろうというと言う乱暴な見通し?で、地域世論無視の意見を発表してしまったのではないでしょうか?
ただしこのあとで書いていきますが、もっと詳しく見れば稼働停止や廃止決定しても地元経済は10年単位で見れば(全国民の犠牲によって)もっと潤うようですから、廃止や稼働反対運動はごね得で損をする国民との一体感破壊に働きます。
災害等で本当に困っている人を助けるのは納得ですが、「ごね得」のようになると負担させられるその他国民との一体感が破壊されていきます。
蓮舫氏の・国民分断につながるエゴ主張を日本のための全国民的ビジョンで正気の連合が受け入れなかったと見るべきでしょう。
ところで全国で多数展開している原発の急速な廃止となれば、配置転換や自然減もそうはうまくいかないので大多数は一時金での解雇になるしかない上に、「地域経済への影響」が半端ではありません。
地域経済というと地域限定のような響きですが、急速全廃となればほぼ全国一斉になる・・一箇所ではないので配置転換すべき受けザラがないので日本全体としての急激な雇用吸収ができない→社会問題が起きてきます。
ちなみに原発の全国立地を見ると以下の通りです。
日本全国の原発
2012010101.jpg

地域経済だけではなく、代替エネルギー開発の工程・・見通し策定すらできないのに稼働停止や廃止だけ先行すると、日本経済全体が立ち行かなくなるばかりか市民生活にもモロに影響が出ます。
その点を蓮舫氏はどう考えてどのように国民に説明するつもりだったのでしょうか?
政党代表が国会で政府に質問する以上は、どのような立ち位置があって、その主張があって、そのために政府に質問してその矛盾等を質問するという流れ・・政府に質問する前に自分の立ち位置を明らかにすべきだったでしょう。
森友・加計学園問題の追及もそうでしたが、民進党が予算審議を止めてまで続ける質問で国政のために何を言いたいのかさっぱりわからなかったのが、メデイアによる安倍政権の支持率下落・日本政府弱体化の目論見は奏功しているのに対抗勢力であるべき民進党支持率が低下してしまった原因です。

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