中国購買力持続性4(債務膨張)

世界中から借金して贅沢していても買ってくれさえすれば売る方は喜びますが、貸す方はデフォルト危機を恐れてその内貸さなくなりますから、結局一定期間経過でアウトになります。
これの先取り現象が為替相場の動向・・人民元での取引量縮小傾向です。
相場には一一時的に行き過ぎがあるとしても、中長期的にはその国の経済力に連動することを否定出来ません。
中韓の発言力維持を期待する立場からは、中韓に対して内需比率が低過ぎる・・内需拡大が必要と言う意見が多いものの、真水の外貨準備が足りない場合、絵に描いた餅・・内需拡大可能なのは資金豊富な国の話です。
内需比率とは個人に喩えれば、収入から自己消費にまわせるお金のことです。
事業者の場合、売上ががいくらあってもそれを仕入れ代金や家賃や労賃に払ってしまい自分が使えるお金がほとんどないのでは、本当の豊かさではありません。
若い世代の場合、仮にAが月収60万、Bが月収35万円とした場合、Aが内30万円を将来のために・・自宅購入資金準備(貯蓄)や老後資金用の貯蓄などに回して、日常生活費が30万円の場合と、Bが月収のうち5万円を貯蓄に回して生活費に30万円使っている場合、ABの生活水準は変わりません。
違いが出るのは、子育てや住宅ローンの支払が終わってからのことです。
高齢化して仮に収入が10分の1になっても過去の蓄積の差・・自宅ローン支払い終わり家賃不要の人と家賃を払い続ける人・・その他取り崩せる貯蓄のある人とない人、個人年金を積んでいた人はそのバックが始まるなどの差がついてきます。
格差社会論で書いてきましたが、高齢化社会ではフローの収入格差見ても実際の豊かさは分りません・・ストックが重要で実際にどれだけ消費出来ているかによります。
現在の統計処理では相互扶助関係の人脈を含めてストック把握が出来ていないので、ストック社会で個々人のフロー収入の統計だけを見て議論してもあまり意味がないことを議論しているのです。
高額所得者の妻や次世代が働きに出ていなかったのが景気が良くて20万程度で働くようになるとこれが統計に出て、低賃金労働者が増える・・格差拡大する統計処理です。
(大きなお屋敷の有価証券何十億と有しているお祖父さんおばあちゃんの収入ゼロだからと最貧層にカウントしても意味がないでしょう)
蓄積の乏しい国・社会ではフロ−収入格差が生活水準に直結するでしょうが、(上記のような大金持ちだけなく1億前後から、5000万〜自宅があるなどいろんな階層がありますが・・)蓄積のある国の場合フロー格差がストレートに生活水準格差に直結しません。
アメリカのニュースを見ているとリーマンショック時の金融危機等でホワイトカラーが解雇されると直ぐに路上生活者になる状態が報道され・フードスタンプに列をなす風景が出ていますが、日本では考えられない風景です。
ただし、日本の日比谷公園でのテント村の報道でもヤラセっぽい(非正規が解雇されたら明くる日から路頭に迷ってテント生活する人って本当にそんなにいるの?)と書いたことがありますが、マスコミが一部だけ誇張している可能性があってアメリカ全体の傾向がどうか不明ですが・・兎も角日比谷テント村騒動の結果、アメリカ社会の格差問題に関する報道まで噓っぽい印象で関心が薄れてしまいました。
日本でヤラセ報道をしたことによって、多くの日本人にアメリカ社会を逆算してアメリカの報道を実態を表していないと印象付けてしまうのはアメリカに限らず西欧その他の国際状況を日本人が見る目を狂わせる危険性があります。
実は、アメリカヤ西欧の格差社会化の問題点は本物でこれが西欧でのテロ頻発の基礎的原因ですし、トランプ旋風でも証明されました。
アメリカ社会の報道の方は実態にあっていたのに、アメリカや西欧の問題点を何でも日本に当てはめて主張したい左翼系文化人が日本社会をこれに合わせるために日比谷公園にテントを張ってマスコミと共同して、ヤラセ・虚偽報道していたことが、日本人の国際情勢把握を遅らされた原因です。

政府と国民4(2項対立2)

2項対立論者は、何かあると国民が困ると見るか、政府や与党=抑圧者だけが困るだけと見るかの2択視点を前提としていて、不祥事や災難が起きるとこれを喝采する方が正しいか困ったことだと思うかによってどちらの側かの区別をしようとするものです。
社会実態はもっと複雑多義であると思う国民が圧倒的多数でしょう。
熊本地震当初ミノモンタ氏のように根拠なく政府批判的アタマごなしの論調(現地応援の政府高官による弁当差し入れ希望のツイッター批判など)が頭出しされていましたが、昨日あたりの報道では政府の対応をプラス評価する意見が多かった世論調査結果が出ています。
ミノモンタ氏のツイッター炎上に関して、政府批判の揚げ足とりに精を出すよりは先ず助け合うことが必要だろうと書いておきましたが、ネット世論発達で、マスコミによる一方的な政府タタキが出来なくなって来た様子・・2項対立論を煽るよりは一丸となった同胞救済が先と言う意見の方が多かったようです。
万年単位で人智が遅れているアメリカ人が乱暴な2択基準を持ち込んで教育強制したために、この70年間世社会を2項対立でしか判断出来ない人材がアメリカのトラの威を借りたマスコミを筆頭にエリートとしてのさばっていたに過ぎません。
今日の風情・・春めいた気分とか初夏らしい空気などにあわせてどのような装いが良いか、どのような色柄が良いか迷っているときに「今日は春か夏かどちらかだ!」「晴れるか雨か」と言う基準で早く決めろよ!と夫に言われると黙ってしまうしかありません・・。
黙っている人(女性・・サイレンとマジョリテイー)はモノゴトの基準が分らないのではなく、大雑把な基準しか分らないテーマ設定者を議論にならないとバカにしているだけです。
単純化・・ミノモンタ氏流に良く考えもせずに一刀両断的に発言する人がもてはやされて来た)に適している戦後エリートを基礎的人材源とする革新系・・民主党政権時代にいわゆる二者択一的判断・・(曖昧模糊とした主張が許されない)吊るし上げ・人民裁判的「事業仕分け」が同政権の目玉だったことがその本質を如実に物語っています。
2項対立的仕分けによれば、政府が何のためにあるのか犯罪摘発は国民のため必要なのか、政府に抑圧・搾取されている国民反抗抑圧のための「摘発組織」としてあるかのテーマとなり、政府をフランス革命前の抑圧組織として理解しているグループは政府統計処理などの充実に対して、何でも反対に傾き易くなります。
テロや災害のない平和安心社会を望む庶民はこれに必要な装置・・プライバシーとの比較の上で街灯設置数が多く街路や公園が明るい方が良いし、防犯カメラ設置場所が多い方が有り難い・・ひいては仮名取引などの不透明社会を望みません。
引っ越せばそのとおり住民登録するし、自分の行動を秘密にしたいと思う人は少ないでしょうからいろんなデータ化に協力的・寛容→アングラ系が跋扈しない社会を望みますが、2項対立図式・・秩序は人民抑圧のためにあるとするグル−プでは現在日本を現在中国社会そのものと見ていて、政府と人民は対立関係にあるべき・・・現に対立していると理解しているように見えます。
社会を権力に連なる階層と非抑圧者の2種類に単純化してみる・・現実の日本を見ずに数千年単位で遅れている中国社会と同視しているからです。
日本社会は昔から(フランス革命よりもずっと前から)、そんな単純な社会ではありません。
食中毒事件1つ例にとってみても、庶民が安心して外食出来なくなる点では社会の信頼関係破壊ですし、地震災害、交通機関混乱や爆破テロもすべて政府権力者が困るだけではなく国民も等しく困るので避けるべき・・事前情報収集体制の整備を求めます。
情報収拾・・預金残高の動きが政府に分っても自分が何も悪いことしたくなければ少しも困りません。
ちなみに、マイナンバ−制度や防犯カメラ、航空機搭乗者者名簿、ホテル宿泊名簿も同様で伝染性疾患患者が出た場合その足取りを調べるためなど必要性があれば調査するだけであって、近所の人が、自分の行動を自由に知ることと同じではありません。
隣近所の人に一々自分の行動を知られたくないのと、統計処理とプライバシー保護とは直接関係ありません。
マスコミが大量データ漏洩を如何にもプライバシー侵害のように宣伝しますが、業者は自分が個人的に知っている友人知人のデータを欲しくって情報を買うのではありません。
漏洩したビッグデータを各種業者は更に加工して成人式直前の女性だけの名簿とか化粧品購入層など需要に応じてダイレクトメール業者に売るのが普通で、商品販売業者(例えば資生堂)でさえその名簿を入手する必要がない・・ダイレクト業者に何万人分として発注するだけでしょう。
このように漏洩名簿は専門業者ごとに加工されて行き、抽象化されて行くのが普通で、隣近所の知り合いが隣の人の情報を欲しくてこれを入手するなど滅多にあり得ない仕組み・・マスコミが喧伝しているようなプライバシイー侵害リスクに直結しないのが原則です。

人材と身分保障4(僻地・末端の重要性1)

裁判官の身分保障からセブンイレブン騒動に深入りしてしまいました。
任期満了しても容易に再任拒否出来ない日本の慣行を書いているうちに取締役会の権限のあり方論に逸れてしまいましたので、元々のテーマである裁判官の身分保障に戻ります。
再任拒否さえ難しい社会・・解雇も降格もしないで、地方末端の事業所や営業所長あるいは子会社に転籍させておけば大過ないだろうと言う扱いが日本社会では普通になっていましたが、こうした従来型価値観・運用に最近無理が出て来ました・・。
昨年だったか群馬の食品工場での異物混入が大事件になったように、今ではどんな末端でも変な人が一人でもいたら困る社会になっています。
ベネッセの情報大量漏洩事件も、たった一人の不心得者の仕業でした。
裁判所もカタ田舎での事件は全国的意味のない旧来型の遅れた事件しかないと言う意識でやってきました。
何%か分りませんが、外れの裁判官が、(多くは小規模裁判所に配属です)どこかで無茶な判決を出すとどうなるかが重要になってきました。
こうなって来ると能力的に問題があって、解雇しないで地方へ飛ばしておけば良いと言う運用では収まらなくなってきます。
話が飛びますが、身障者雇用の義務づけが盛んですが、昔は知恵遅れの人が下働きしていても客の方が大目に見てくれていたのですが、顧客に余裕がなくなったのか、(子供の声がうるさいと言う保育所設置反対運もその一つですが・・)要求水準が高まる一方ですからどこでも困っています。
農作業や植木屋の下働き程度の場合、親方が選定している下で大きな枝などをそろえたりするあらかたの掃除程度でをしていれば、最後のきちっとした掃除はプロが仕上げれば良いので片付けが下手でもまじめに働いている限り「よく働いているね」と褒められたものですが、半導体やクルマその他の部品になってくると、障碍者が作ったので少しくらい不出来があっても許容して下さいと言うのでは危険です。
プール監視員でも知恵遅れが見張っているのだから、少しくらい溺れている人を見落としても仕方ないとは言えません。
サービス業では、お皿がキレイに洗えてなくとも、口の聞き方が悪くても客に我慢しろとは言えません。
しょうがないなと思って「頑張りなよ!と笑顔で言っても、次には行きたくなくなるでしょう。
そこで一定率雇用義務違反で懲罰金?を納めても雇用しない方が安上がりと言う運用が増えます。
マイナンバー法の利用開始で一気に小規模市町村の運用能力に注目が集まっていますが、田舎だから能力が低くても良いとは言えない時代が来ています。
基礎的底上げのために平成の市町村合併が必要になっていたと思われます。
14日から熊本の連続地震には、被害者の方々には「気の毒・・」としか言いようがないですが、使えない公的施設の多さをみると普段から地震対策が甘かったのではないかと言う印象を拭えません。
空を飛ぶ飛行機は地震に関係なさそうですが、ターミナルビルの破損のせいですぐに使えなくなったのも素人的には意外でした。
道路や鉄道と違って途中の経路まで管理しなくていいのですから、空港設備くらいはきっちり管理しておいて欲しいと思いますが・・。
今の社会では、倒壊しなければ良いのではなく、「地震があっても利用継続出来る」かどうかが重要ですので、天井や照明器具などの備品設備をもっと耐震用に出来なかったのか不思議です。
※仕事から帰って中部大学教授武田邦彦先生の(虎ノ門ニュース)ユーチューブをみると政府・地震学のオーソリティーが、東海地震や東南海地震ばかり強調していて、熊本地域について0〜6%前後の確率発表していとこと、0%〜と言われた地域は安心してしまう教育効果があります。
こう言う報道を30年以上もして来た政府・学会の誘導責任がが大きな原因と分りました。
地元の防災意識が低過ぎるのではないかと言う印象の上記意見は訂正します。・・ここまで挿入です・・

上記によれば、地震がどこに起きるか今では全く分らないのが真実らしいですから、東海地方以外のどこの地域でも、いつ起きても良いような準備競争社会にすべきです。
「・・ここは地震がないから大丈夫」と言っているような市町村は企業進出競争に負けるようにすべきです。
病院や老人ホームも倒壊しないだけではなく設備そのものがそのまま使えるように固定しておくとか、電気や水が止まっても何日自給自足(医療継続)出来るかの基準で市場競争すべきです。
病院や老人ホームも倒壊しないだけではなく設備そのものがそのまま使えるように固定しておくとか、電気や水が止まっても何日間自給自足(医療継続)出来るかの基準で市場競争すべきです。
東北大震災もそうでしたがサプライチェーンが全国に散らばっているので、地方の地震でも多くの企業の操業が停止する時代です。
地震そのものは防げないとしても企業にとっては直截被害のなかった工場では、審dの6〜7などのランクの応じて何日間補給がなくとも生産出来るか,被災地の工場では何日で復旧出来るかが重要ですから、基盤インフラ管理の市町村もその後の初動体制等の対策をきちんとしていないと工場立地・誘致競争に負ける時代が来るでしょう。
電気ガス水道・県道や市道など項目別に震度6〜7でA市は数日で復旧出来るがB市は10日かかると指標化するようになれば,住民も個人的に何をどこまで準備すれば良いかなど準備目標になるし企業誘致競争の指標になるでしょう。

信頼社会の再評価2(コーポレートガバナンス4)

トップダウン否定のコーポレートガバナンス論が実態に妥当する制度ではないのは、日本や中国・台湾などアジアだけはなく、アメリカでもアップルのジョブス氏の例を見れば明らかです。
日本社会は原則としてボトムアップアップ社会ですが、創業者や中興の祖があって企業や組織が成り立っていることをみると、ときにはトップダウン型の人材を必要としていることを表しています。
アメリカでもジョブズ氏の先見の明があってこそアップルの成功があったのであって、誰もが納得する多数が決めた製品しか作らないのでは、アップルの大成功はあり得ませんでした。
アップルのiPhoneが昨年秋発売新製品が想定外どおり?の苦戦に陥っていることが4月16日の日経新聞1面に(1〜3月期に続き4〜6月期も前年同期比3割程度の減産)と出ています。
ジョブズ氏亡き後の新製品がどうなるか?と言われていた危惧がそのとおりになって来た印象です。
人権派は、秘密保護法や組織犯罪処罰が近代法原理に反するというのですが、秘密保護法のない国・共謀を処罰しない近代国家がどこにあるかの質問に革新系文化人が答えられないままです。
西欧近代の法理と言っても、喧伝されるギリシャ・ ローマの民主主義が一握りの市民だけのことだったように、西欧の近代法理はきれいごとでしかない現実があります。
死刑廃止と言いながら,一方でちょっとして事件でも犯罪者をその場で原則として射殺してしまう乱暴な実際の運用を紹介したことがあります。
西欧かぶれの文化人が集団自衛権容認が戦争法だと宣伝していますが、そのような解釈をしてどこの国とも相互防衛条約を結ばない国が(スイスを除いて)いくつあるかを明らかにすべきです。
ベトナム、フィリッピンが日本や米国を頼りにし、小碓とラリアまで日本と防衛協議するようになったのは、中国による事実上の侵略実行に危機感を抱いて始めたことであって,中国を侵略しょうとしていると思っている人はいない・・そう言う主張している国があるとすれば、世界で中国だけではないでしょうか?
国際紛争に関連する主張はどこの利益を代弁しているかが重要です。
企業のコーポレートガバナンス・・トップダウンに戻りますと、うまく行ったときには黙っていてタマタマ失敗するとオーナの暴走と非難するのがこれまでのマスコミ姿勢でした。
何回も書くようにどんな名人上手でも一定割合での失敗があるものです。
その失敗を前提にしても成功率の高い人に5〜10年先に進むべき計画を委ねるしかない・・結果的に取締役会が追認機関になっていることを理由にして、何か事件が起きると取締役会の無責任?運営を批判するのですが、西欧伝来の元々法制度に無理がある・・取締役には元々そのような実質的権限がないとするべきです。
法を悪用して?形式権限行使すると逆に実質的権限濫用の疑いが生じます。
セブンイレブン騒動では、最終的に動きが見えてきましたがその後の人事案も社外委員2人の意向によって、全て覆されて決まって行く様子です。
社外委員制度が機能していて、(今回は鈴木氏が耄碌して、老害が出ていた可能性がないとは言えませんから)目出たいのかも知れませんが、今年の2〜3月ころに就任したばかりの部外者が人事案についてまで最終決定するのって、タマタマその結果が正しいとしてもこれが社外役員の本分だと言う認識が広まると口の出し過ぎと言う批判がその内出て来るでしょう。
取締役が監督権限を行使しないので、屋上屋を重ねて?社外委員会などの承認がないと何も出来ない仕組みにしても,社外委員会も結局はその会社の実態不明なので、カリスマ経営者の提案を実際にはその委員会も追認するしかないのが実務の世界です。
屋上屋をかさねるたびに追認機関が増えているだけです。
カリスマ経営者の独断による経営政策がタマタマ失敗したとしても、それはリーダーの暴走でもガバナンス失敗でもありません・・企業人としては失敗する場合も読み込み済みでカリスマ性のある人にリスク込で委ねていると言うべきでしょう。
勝率が下がれば単に「最近カンが悪くなったようですから交代して頂きましょう」と言うだけでよいのであって「違法」だとか、道徳非難する必要はありません。
新規事業挑戦の可否はトップダウンを認める代わりに失敗すれば結果責任をとるのは必要ですが(任期等で身分保障する必要はありません)、道徳非難をすべきではありません。
本来リスク込ミで監督や企業トップに方針決定を一任するものですから、試合に負けたり投資失敗したときに道義非難(・・東京裁判のように違法と称して刑事処罰する方向を煽る傾向がありますが・・)する方がルール違反です。
西欧で発達した統治に関する近代原理は公共団体に妥当する論理・・公的団体の場合議会等の監督を受けた範囲で行なうべきですから、これを逸脱すること自体で違法ですが、日進月歩の事業体統治には妥当しません。
スポーツの監督はコーチ陣の合議で指揮するのではありませんし、軍の指揮命令も同じです。

人材と身分保障4(社長の器1)

千葉県は高度成長中だったので、流れに遅れないと言うスタンスでもお互いに何とかなっていましたが・・。
新興国ではみんなが北国の春みたいに、一斉に先進国モデル導入ですので早く始めた方が勝ち見たいところがありますが、先頭集団の日本の場合だれかの真似をして1ヶ月でも早く始めれば良いと言う社会ではありません。
誰もが賛同するような事業進出では他社よりせいぜい半年くらい早く出店・出荷する程度の違いしかなく、長期的には経営が左前になります。
人材登用の基準に戻りますと、政治決定には国民の協力が必要なために構成員の納得・・根回しが必要ですが、新規事業に乗り出すか否か・・その決断を誰に任せるかになると社員の協力がいると言う意味は薄れて、顧客の心・社会のニーズをイチ速くつかめるかの方が優先ですから、社内のみんなが認める反対のない手堅い事業が良い訳ではありません。
組織のトップには、町内会や各種業界団体など団体自体現状維持的組織の場合には構成員の気持ちを読む程度・・敵のいない円満な人がいいでしょうが、新規挑戦の必要な競争の激烈な個別企業にとっては社外・・世間のニーズをより早く・・設備投資の時間差を考えると数年先に読む力が重要になります。
社内の誰もが気が付かない先を見る目が常人より優れている人が必要であり、組織構成員の心を読むのが中心の人材・・社内コンセンサス重視で出世して来た人材・・社内の誰もが認めるようなことしか提案しない人が企業トップではジリ貧です。
鈴木氏の新規事業判断がいつもあたって来たから今度も重視すべきと言うのではなく・元々新規挑戦は外れる確率もありますが、それでも前に進む・やるしかないのが企業です。
・・海のモノとも山のモノとも分らないリスク決断(将来企業を引っ張って行くリーダーを決めるのは「やらしてみないと分からない」と言う意味では、新規事業決断と同じです。
内部構成員のコンセンサス重視で成功して来た有識者・・リスクを取れる人の採用判断の是非を失敗しないことを信条にうまく(イエスマン?)生き残って来た人間(元警視総監等)が集まって多数決で決める事自体が馬鹿げていませんか?
内実は新聞報道しか分らないのですが、鈴木氏の意見・「現社長は社長の器ではない」と言う意見が否定されたのは彼の社内でのカリスマ性否定・・あなたの言うことは聞いてられないと言う意思表示ですから、彼が退任するのは潔いし、正しいことでしょう。
結局は鈴木敏文氏退任の後で、(彼が君臨していることによって自己流を発揮出来なかった場合もありますので)現社長がどう言うリーダーシップを発揮出来るかにかかっているでしょう。
解任(再任拒否)理由に挙げている鈴木氏の見立て・今の社長は(イエスマン?で)創造性がなくて将来を任せられないと言うのは彼の意見であって真偽は分りません。
ところで、セブンイレブンでは社長候補ではなく社長にしてしまっていたので、解任ではなく任期満了まで待って再任をやめようと言う提案らしいですから、任期中の解任・・中国で行なわれて来た皇帝を廃帝にするのとは意味が違い、一応ルールを守っています。
この辺マスコミが頻りに「解任」と言う大見出しにしているのは、一定の方向へ世論誘導したい意図が感じられます。
ところで昨日の新聞によると15人の取締役中2人が棄権で7人が賛成6人が反対で過半数取れず否決されたと言うのですが、任期満了の場合放っておけば社長でなくなるので、逆に鈴木氏以外の誰かの提案した再任提案が過半数取れたかどうかだと思いますが、不思議な解説です。
任期満了だったと言う解説が間違いだったのかと思って7日の朝刊3pを読み直してみるとやはり任期満了と書いてあって、ただ、「交代案の提案」と書いてあります。
交代案否決=事実上任期満了のとき再任同意だから続投と言う流れなのでしょうか?
でも交代反対が15人中6人しかいないならば、任期満了時に再任決議は出来ないのではないかと思いますが・・。
元々交代案を出す必要がなかった・・任期満了時の再任案に反対すればよかったことになりますが、鈴木氏としては技巧を弄してまで持論を通したくないと言う潔さ・・15人中反対が6人もいるのでは、カリスマ経営者としてはやってられないと言うことでしょうか?
本来試運転であれば社長候補で様子見をすればよかったのですが、企業には皇太子のような制度がないので試運転をさせたいと言う意図で本来社長候補であったのを社長にして、自分が会長になっていた点がややこしくなっているようです。
本気で後を任せられるかを見るテスト期間のつもりだったと言うのが鈴木氏の思いでしょうか?
この辺の評価が、陋習にこだわっている古い体質が出て来たと言う評価になる・・外部識者と言う流行の器・・指名委員会と言うモノが合理的で素晴らしいかどうかの分かれ目のように思えます。

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