衰退産業延命1(ゴーン逃亡)

官民ファンドなどと表現するのは臣民用語を焼き直したに過ぎず、メデイアがこのように表現するようになったのは、政府が経営内容にまで介入どころか決定権まで持つようになった事に対する「これでは第三セクターどころではない国営でないか?」という婉曲的、遠慮がち批判かもしれません。
戦後「臣民」表示が国民主権の精神に反するようになって都合悪いとなれば「臣民」意識そのままで言葉だけ「官民」にすり替えるなんておかしいと思っていましたが、この10年ほど政府介入が大きくなりすぎている点に対してメデイア界が、これでは戦前の国策事業とどこが違うの?という抵抗精神で官民協働・半官半民と揶揄する高度表現するようになったのでしょうか?
そもそも昨日書いたように、これから伸びるなら応援するのは意味がありますが、実力が落ちてきた事業の延命のために税を投入する発想自体がおかしいのです。
野球や相撲スケート等の名アスリート、企業の敏腕営業マン、社長その他全ての分野で現役としての実力低下が始まればコーチ〜監督〜営業現場から管理職へ、社長から会長、相談役〜業界活動等に転身を進めるべきです。
今世界を騒がせてレバノン政府等を困惑させているゴーン氏を例にすれば、日産立て直しに成功した数年で役目を終えたとして潔く転身していれば華麗な経歴だけ残ったのでしょう。
大改革に向いた才能と改革後の維持とは能力発揮場面が違うのに、(「創業と守成いずれが難きか?」の故事の通りで)地位にしがみつき金銭欲?にこだわったばかりか、恥の上塗り?的な国外逃亡という悪手に頼ったためみっともない連鎖になりました。
国外違法出国は関係者多数に違法行為による訴追される負担を負わせる外、関係政府等に困惑を引き起こすのは目に見えた筈です。
我々弁護士こういう相談を受ければ、自身が新たに違法行為を行うだけでなく、本来無関係な多くの人を違法行為に引きずり込み、迷惑をかけることが目に見えているのでこれをやると
「この人はもともとこういう他人を巻き込んでも違法行為を犯すことをものともしない人だという評価が定着してしまい総合的なマイナス効果の方が大きい」
ことを説明して同意せず実行を思いとどまらせる努力をする・説得に応じなければ辞任することになるのが基本セオリーです。
ゴーン氏は起訴事実の有無という客観的事実で争うより国際世論を味方につけたいという戦略とすれば、このような違法行為を行うことが、国際世論の支持につながると判断したのでしょうか?
国際世論は時間が経たないと結果が出ませんが、稀代の成功者イメージが違法行為の積み重ね・・周りを巻き添えにしてきた・汚れ役には相応の巨額対価を払ってきたので彼らは検挙されるのを覚悟の上だから迷惑をかけていない・・としても「闇の金によって何でもやる」イメージが出来上がっては逆効果でしょう。
国によって受け止め方が違うでしょうが、ゴーン氏が期待するはずのフランスやレバノンでは富裕層との格差に対する不満が盛り上がっている最中です。
こういう国では富裕層実力者が裏でゴーン氏に甘い約束をしたかもしれませんが、巨額資金で違法行為を実行するゴーン氏を英雄扱いどころか、表立って彼を擁護すれば政治リスクが大き過ぎます。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/11/post-13354_2.php

激動のレバノン、大規模デモと経済危機の背景とは
2019年11月10日(日)13時22分
レバノンは10月半ばから、首都ベイルートその他の都市で反政府デモによる混乱が広がり、サード・ハリリ首相が辞意を表明する事態となった。既に危機に陥っていた経済への信頼感は揺らいでいる。
反政府デモの参加者らは、政治エリート層が商売と政治を結ぶ恩顧主義の網を通じ、国家資源を使って私腹を肥やしていると批判している。

私服を肥やしている政治家に対する不満が高じて政権崩壊・その後新政権構想がまとまらないまま漂流している政治状況下ノレバンで、私腹を肥やす象徴的事件のゴーン氏を政治家が公然と庇える状況ではなさそうです。
フランスも格差に不満を抱く反政府デモが昨年から下火にならず続いていることから、マクロン政権はゴーン氏逮捕当初同情的ニュアンスでしたが、国民反発が強かったのですぐに引っ込めて今やゴーン抜きのルノー日産関係再構築に必死です。
レバノンでもフランスでもゴーンが日本で検挙されて帰国できないことを理由に、事実上眠っていた彼に対する疑惑の捜査再開に動き出しそうな雰囲気です。
https://bunshun.jp/articles/-/23607

ゴーン被告、帰国後も雲隠れ 市民から怒りの声も―レバノン
ゴーン氏をめぐり、治安当局は「合法的に入国した」と見なし、法的措置を取らない姿勢。主に富裕層の間で歓迎ムードもあるようだ。しかし、日本で汚職の罪に問われ、司法手続きに従わずに国外逃亡したことについて、怒りの声も聞かれる。
自宅近くで商店を営むハリル・イシュライムさん(65)は「レバノンでは不正がはびこっていて、違法にお金を得た人間が戻ってくるのは当たり前のことだ」と現状を嘆いた。日本では難しくても「レバノンで法の裁きが必要だ」と訴えた。

フランスの状況は以下の通りですが長くなり過ぎるので一部しか引用しません・興味のある方はご自分でどうぞ。https://news.yahoo.co.jp/byline/puradonatsuki/20200102-00157408/

ルノー社労働組合、怒りのコミュニケ発表
フランスの庶民は?
昨晩、筆者はフランス人5人と食事をしたが、ゴーン氏逃亡の話を「おもしろい!やったね!」と言う人は一人だけだった。その他の5人は、「金にあかせてなんでもする人というイメージが再確認されただけじゃない?」と。
Twitter上でゴーン氏逃亡劇を面白がる人もいるが、どちらかと言うと「卑怯」というコメントが多いように感じた。左派「不服従のフランス党」マノン・オブリー氏は「税金逃れをしたあとは、日本の司法から逃れてレバノンへ。富裕層がいかに法から逃れ、国を分断していることか。
いったい彼らはいつまで罰を受けない状態がいつまで続くのだろうか?」と投稿。

フランスの庶民の意見は日本人の期待に合うような意見だけ拾ったかもしれませんが、常識的というか私の意見同様です。
フランスでもゴ-ン氏の旧悪に対する捜査が再開しそうな雰囲気です。
MSNニュース記事からです。

ゴーン被告は法の裁きを受けなければならない-ルメール仏財務相
Tara Patel 2020/01/06 17:48
(ブルームバーグ): 元日産自動車会長のカルロス・ゴーン被告は同様の状況にある他の人と同じように法の裁きを受けるべきだと、フランスのルメール経済・財務相が6日述べた。
ルノーは仏当局に情報を伝え、当局は同社の要請に基づき調査を開始したと同相がラジオ局フランス・アンテルの番組で明らかにした。
同相によれば、ルノーはアムステルダムに拠点を置くルノーと日産自動車の統括会社「ルノー日産BV(RNBV)」に関連する1100万ユーロ(約13億3000万円)についても調査を求める準備ができているという。

労働分配率低下論2(省力化投資と人材レベル強化策)

企業は売れ行き不振対策として値下げ競争に突入すると、将来性がないので新製品工夫しか生き残りできないのと同様に人手不足だからと(省エネ努力しないで)単なる給与引き上げ競争に入るのでは先行きの展望がありません。
これは個別企業だけの問題ではなく、国単位の国際競争での生き残りの成否でも同じです。
人手不足対策として企業が省力化に躍起になっているのは合理的ですから、外国人労働者導入を極小にするために機械化が進む・人件費率が下がるのは当然です。
オートメ化どころかAI化が進むと人間の仕事がなくなるという意見もありますが、今のところ、日本社会は、失業の増大で困っている社会ではなく、人手不足で困っている社会です。
将来に備えるために人手不足の今こそ、このチャンスを生かして省力化投資→高度設備操作に対応・適応できる人材育成に力を入れるべきです。
身近なコンビニ店員で見ていても、商品配置場所案内等の従来型能力にとどまらず、ATM操作から劇場.航空券購入その他店員の対応能力の多様性・進化には驚くばかりです。
多様な処理能力が発揮される前提として、レジその他の処理が簡便化してかかりっきりにならなくて済む合理化・.これが失業になるのではなく、コンビニのマルチ化・サービス提供余裕を与えている・実態があります。
お陰で消費者はあんちょこに高度な利便性を享受できているのです。
省力化と人材レベルアップが一体化してこそ高度なサービス社会を維持できることが分かります。
AI化が進むと、知的レベルの高い人でも職を失うかのような意見がメデイアでは一般的で不安を煽っていますが誤導です。
最低作業とされていた現場系・土木工事現場でも(下水道やガス工事を通りがかりにのぞいてみると)パソコン画面を見ながらの工事が増えているし、コンビニ店員の例を書きましたがヨドバシカメラでも同じで高度な商品知識や、高度知的レベルがないと働けない時代がすでに来ているので人材の底上げ、高度化投資が社会にとって重要です。
この点では、国民の底上げ・従来型義務教育だけではまともに働けないのが常識ですから、高校授業料無償化などの政策は時宜にかなった方向性でしょう。
弁護士業務も従来型作業の多くの部分がAIにとって代わられるとしても、その代わりにさらにマルチ的な別の能力が要請される時代が来るはずです。
その代わり昨日書いたように高度作業に適応できる個々人の所得が上がっていくのが理想的です。
20代に名門大学を出て一流企業に大卒時に就職できたとか、ある資格を若い頃に得ているというだけで終生安閑とできる時代ではなく、働き方のレベルアップが日々要請される社会になるのは、技術革新のサイクルが早くなり日進月歩である以上・・我々の世界でも法令改廃がひっきりなしです・・仕方がないでしょう。
これからは、いろんな資格は運転免許証のように一定期間経過で再テストが必要な時代が来るべきかも知れません。
もちろん企業人も例えば10年ごとに再スクリーニングが必須の時代が来るべきです。
01/19/10終身雇用と固定化4(学歴主義3)」等の連載で定年延長ではなく、およそ10年程度に短縮すべきだと書いたことがあります。
人手不足で業容縮小するしかないほど困っている社会なのに、労働分配率にこだわり省力化投資を目の敵にする?マスメデイアのイメージ論調は、どのような社会を理想としているのでしょうか?
「人手不足対策の工夫するな!ただ困っていろ!」というのでは、日本社会が困ってしまいます。
いろんな企業で人手不足のために、業態縮小(閉店時間切り上げや配達時間限定•回数減など)を余儀なくされている企業の状態が日々報道されています。
たとえば以下の通りです。https://jp.reuters.com/article/japan-labor-shortage-idJPKBN19E0JA
2017年6月23日 / 15:44 / 6ヶ月前
焦点:広がる人手不足が企業活動圧迫、潜在成長率ゼロ試算も
東京 23日 ロイター] – 人手不足で生産やサービスを制限するケースが運輸業だけでなく、製造業も含めて広がりを見せてきた。このまま労働力不足が継続すれば、2030年には日本の潜在成長率はゼロ%ないしマイナスに落ち込むとの試算もある。

上記記事ではゼロ〜マイナス成長予測を書いています。
今の好景気循環は、国際競争に勝っていて競争力が高待っている状態で注文に追いつかない・.増産できない状態がそのまま続くと想定していますが、人不足→賃上げ競争による労働者奪い合いだけで終始していると、国全体で見れば増産対応ができません。
しかも、この方式に委ねると賃上げ→製造その他のコストが高くなりすぎて結果的に競争力低下・・注文が多くて納品待ちが続くのではなく、そのうち競合国に負けて注文がへっていく動的な面を軽視しています。
ゼロどころかマイナス成長になってしまうのが原則でしょう。
多分メデイアの論旨は、だhしめえtふぁら外国人労働者を早く大量に入れろということでしょうが、人件費競争をしている限り国民一人あたり所得が上がりません。
しかもて賃金労働として引き入れるとその家族・次世代の底上げ教育が必要で却って
トータルコストが上がります。
最近少年院で外国人少年比率が上がっていると言われています。
だいぶ前から書いていますが、子供の日本語能力が低いので、子供社会に馴染めないし社会人になり損ねているし家に帰っても親は殆んど日本語が話せない(親子の意思疎通もままならない)という状態で、どうして良いか分からないママ少年院を出て行く状態が言われています。
弁護士会としては今後福祉と連携していかないとどうしょうもない状態という議論が起きています。
学校現場ではだいぶ前から、日本語の殆んど分からない子供に対する教育の仕方について問題になっていますが、外国人の安易な(数万円人件費が安いからということで)雇用は社会に対して大変な負荷をもたらす危険をメデイアは何故か報道しません。
サービスを含めた商品供給が従来比2〜3割増えても人員を同率増やすのではなく、数%増で間に合うようなシステム構築などの成否が生き残りの明暗を分けます。
こうした工夫→システム刷新実行には数年単位の時間がかかるのでその間人材不足になるのでしょう。
この場合従来100人の仕事が120人必要になっても従来どおりの100人で賄えるようになると各人の給与を何割か上げる余地が企業に生じます。
従来基準で120人分の仕事が100人でこなせるのは省力化投資の結果でから支払わずに済んだ20人分の人件費のうち省力化投資の方に多くが吸収されますが、少しは賃上げ要因になるでしょう。
それでも、売り上げ増2割に対する労働分配率が下がることになります。
省力化投資にある程度比例して国全体で言えば総人件費・.労働分配率が減って行きますが、個々の労働者の所得水準が上がり国民は幸福です。
その代わりに20人失業するのでは困りますが、好景気下で拡大基調の現在、例えば好調な物流系で100人雇用が必要な時に省力化投資で80人で済むというだけで、解雇する訳ではありません。
雇用の奪い合いが緩和されるだけのことで、今では他産業でいくらでも募集があるので、その心配がありません。
人手不足の今こそ、このように省力化投資に邁進・誘導し構造転換させていくチャンスではないでしょうか?
スーパーレジが自動化されるとレジ要員が大幅減ですが、その空いた要員を別の部署の作業に振り向けられるようになるほか、新規採用が減った分は人手不足の他の業界の応募者になっていくでしょう。
こうした循環の結果、社会全体で人手不足解消される点が、企業の省力化投資の損益分岐点・均衡点になるでしょうから失業者が溢れる心配は論理的にはありません。
上記のためには人材市場が合理化(流動化に耐えるように)されていることが重要です。

都民ファーストの実態1(組織不備・人材不足?)

小池旋風の支持基盤は、もともとメデイア連合の推す鳥越氏に対する反発・・反メデイア連合であって、メデイアの推す民進党支持母体・護憲勢力とはまるで逆方向の運動体でした。
小池旋風の原動力はなんであったかを11月1日に書きましたが、この期待を裏切ると支持・小池旋風のエネルギーを失うのは当然です。
小池フィーバーの原動力を維持するにはこの原動力・支持母体の拡大発展・・これを全国規模に発展させる努力が必須だったのですが、都議選圧勝後せっかくの支持母体の冷遇・逆に動き始めました。
民進党との全面合流→民進党に乗っ取られる不信感が高まってからの極左?排除論表明では遅すぎたし、しかも都議選後わずか2ヶ月で都知事選時小池支持の中核を果たした保守系地方政治家の内部排除が進んでいる実態が漏れ始めました。
今回の総選挙は突然の解散なので選挙準備期間が短かすぎるとしきりにメデイアが報道し、「解散の大義がない」と批判していました。
逆に短期決戦の場合、新党の政策吟味も何もせずにメデイアの圧倒的「よいしょ」報道で「選挙の風」フィーバーを作り出せば(選挙がおわってから「あれは民進党の生き残り策だった」となっても選挙結果は変わりません)その勢いで選挙の方向を決めてしまえる有利さがありました。
短期に小池フィーバーを起こすメデイア+小池氏の思惑・・戦略から今回の騒動が始まったのですが、すでに第一次ラウンドの都知事選〜第二ラウンドの都議選を経ている点でメデイの起こしたフィーバーの結果に対する検証期間があったことが大きな誤算だったと思われます。
都政の運営を始めると小池都知事当選前よりも小池氏独断の密室決定が増えてしまい党内議論さえ許されない状態・・以前よりもひど過ぎないかという批判が起き始めた・・都民ファースト創設メンバーの不満が出たことです。
この種の不満はその都議の元々の支持組織内で公然と言われていたでしょうから、メデイアが報じなくとも徐々に都民浮動層に広がります。
このような不満が蓄積しチョロチョロと漏れ始めている時に民進党全面合流決定が出ました。
合流という名の全面合併ですから、都議会で起きていることの全国版になることは容易に想像がつきます。
今回の総選挙ではメデイアと小池氏の仕掛けたトリックが露骨すぎたので、いかに選挙運動期間が短期間とは言え、多くの国民はすぐに虚構性に気がついてしまいました。
アイドル歌手を売りこむようなメデイアの作り上げる虚像にそのままホイホイと乗る国民がどれだけいるのかと見ていましたが、結果は周知の通りでした。
メデイア宣伝に簡単に乗らない日本国民レベルの高さに感心していますが・・逆から言えばメデイア界の宣伝次第でどうにでもできる時代が終わった印象です。
このシリーズでは小池氏の国政進出に横たわる問題の深さが、「排除の論理」を強調するだけではごまかし切れなくなったことを書いてきました。
小池氏の主張のデタラメさ(流行語さえ器用に使えばいい態度?)の一つである「都民ファースト」に戻りますと、他国の内政にまで手出し、口出ししているアメリカと違い都知事がこれまで他県の県政に介入して都民の税金を使ったこともありません。
どこの知事でも地元のために頑張って来た(・・その方策としてここは国に協力した方が良いか盾ついた方がいいか特定の県と共闘した方が良いかの塩梅はありますが)のですから、都民ファーストと強調する意味が不明・・・結果的に地元のためになろうとなるまいと・是是非ではなく「何でも国や関係他府県の政策に反対する」という政治スタンスぐらいしかイメージできません。
近隣の迷惑を考えずに真っ先に地元利益の主張をするのは、一見勇ましいもののストレートな主張の仕方は日本的政治のイロハからすれば拙劣なやり方ですが、この程度の政治家がふさわしい都民レベルであればそれも民主主義でしょう。
しかし、日本全体をどうするかという国政選挙に出る以上は、都民ファーストの主張は都民以外の国民からすれば、不愉快な標語でしょう。
都民ファーストの対語は端的にいえば「よそがどうなろうとよその面倒まで見たくない」という事ですが、これを唱える政治家が、国全般に目配りする国政担当者になりたいと旗揚げするのは矛盾しています。
都政ファーストで相応の実績を上げてから今度は地方政治の経験を生かして国政の立場で・というならばまだ分かりますが、まだ「リセット」するという掛け声で大混乱を起こした結果があっただけで、いまだに築地の移転時期さえ決まっていない状態です。
都民ファーストの主張は、従来以上に国の政策にノーを言うイメージですが、都知事になったばかりの人間が国家全体の運営者になる名乗りをあげるとその関係はどうなるのか?弁護士で言えば双方代理をするような関係で、全国に目配りしなければならない国政代表と相容れない立場です。
小池氏は、この1年の都政で築地移転問題でいかにも過去の決定過程・・石原元都知事に問題があったかのような思わせぶりな大騒ぎをしたものの結果的に高齢者イジメをしただけに終わり、オリンピックも似たような疑惑らしいもので大騒ぎしていましたが、結果的に何をどうしたいのか不明のまま元の計画通りにやることになった印象で、結果的に移転時期が遅れただけのように見えます。
都政を透明化すると言って立候補したのに都知事就任後は、個人的ブレーンとの密室決定を強行する独善的姿勢・公的決定システムをないがしろ・空洞化する不透明な言動が目立ちます。
これを強行するために7月の選挙で圧倒的議席を得た都議会与党が黙って賛成するだけという無茶な議会運営のイメージが伝わってきます
国政に関しても内部留保に課税するなど掲げる公約は全て素人目に見ても無茶過ぎるというか、素人目にも詰めの甘いその場しのぎ的公約が多すぎました。
いわば実現可能性のない無茶クチャな公約を宣伝した民主党が政権獲得後どうにもならなくなった民主党政権の焼き直しです。
民主党政権より酷いのは、政党を作ったと言いながら党内の組織・役職もはっきりせず、政党説立準備を進めてきた若狭氏をコケにして、小池氏一存で「私が代表になる」というと即時にその通りに決まってしまう・・機関決定なくいきなり小池氏が意見を発表するとそれがそのまま党の公式意見になるなどのイメージが広がりました。
無茶な党運営をしているのは・・組織立ち上げ直後で組織運営経験もなく人材も揃わないし、実務が間に合わないこともわかりますが、会社を作ったばかりで設計部門も下請けも作業員も揃っていませんが、やる気だけありますから私に任せてビルを建てさせてくださいと言ってくる建設会社のようでは国民は困ります。
古来から「勇将の下に弱卒ナシ」と言いますが、勇将一人で大軍と戦えません。
野球でもサッカーでも監督一人で戦えるのではなく、第一線で働く選手その他の人材・・組織でなり立つものです。
政治の場合にも多くの協力者がそれぞれの立ち場で一体感を持って根回しして物事が動いて行くのであって、党首1人の虚像をマスメデイアが作りあげても意味がありません。
そこがアイドルや銀幕のスターの場合、虚像さえ売り込めばいいのとの違いです。

社内人材育成と雇用流動化

組織内で能力開発して行く社会と組織に入る前に資格を取得しておく社会との違いは、国民が役に立つように民度向上に努力して行く社会と,国や社会にとって利用出来る技術・資格をピープルが持っていなければ企業から追い出して自分で職業訓練を自費で受けて身につけない限り企業は相手にしない・・国単位で言えば,人民を入れ替えて行く社会・・人を利用するべきコマとしか見ていない社会に対応しています。
関ヶ原後に領地が大幅に減っても家臣を抱え続けた毛利家や上杉家同様に,社内失業を抱える社会では、新規事業に転換しても従来職種の人材を何とか役立てようと社内訓練に必死になります。
人民を商品同様に扱かって来た社会では人民の既存能力を分り易くする・画一商品・・トヨタ車と言うブランドで一定の評価が出来る・・これを商品としての人間に応用したのが資格制です。
日本では底辺労働に一般化しているクルマ修理の一級整備士2級整備士、溶接工、玉掛け,各種◯◯工,運転手などであり,これらの古典的?最高クラスが医師、弁護士と言うところでしょうか?
これら資格制の特徴は,各分野でピラミッド型になっていて近代以前の身分同様の固定化が事実上図られていることが特徴です。
医療関連で言えば白い巨塔で知られるように教授~医師を頂点に各種検査技師や薬剤師、理学療法士、看護師(これも細かい階級があります)歯科の場合,衛生士などピラミッド型で,資格さえ取れば看護師から医師になれるとは言え,資格変更実例が皆無に近いでしょう。
現場系の資格は単純画一的職務が多いので転職しても直ぐ使い物になる・・転職が簡単ですが,その代わり雇用主にとっても簡単に代替可能=社内訓練期間が短くて済むので長期雇用のメリットが少なく非正規化になりやすい・・・バス運転士の過労が問題になっているように、元々医師弁護士などの高給労務を除いては人件費が安いのが特徴・・裁量性の高い中高所得向けの職業ではありません。
弁護士でさえこの約20年前からの大量合格制度開始の結果、もしかしたら,私が知らないだけでパート的雇用の弁護士になっている人が生まれている可能性があります。
医師の世界では早くからアチコチの病院を時間で掛け持ちのアルバイト・非正規医師がいくらでもいます。
昨年事務所で経験した例では,一級建築士でも非正規・・特定現場終了まで数ヶ月間の期間限定雇用に応募して働いていました。
資格のない総合職・中間管理職の場合,企業文化の違いや裁量の範囲の広さに比例して企業別個性が強いので、同業種間の転職さえ難しいのが普通です。
ピープルの既存能力・有資格利用対象とする欧米型社会の真似をした雇用流動化論は、新卒採用→社内訓練で一人前にして行く日本社会では,企業個性に応じたスキルになっているので,中間層のままでの転職は非常に困難・・結果的に中間層の底辺層への転落誘導政策になり兼ねません。
1〜2週間ほど前に書きましたが,新たな機械装置の導入があっても社内講習の場合,従来機種との変更箇所だけ学べば良いので修得するのは容易ですし実務をやりながら実践的に身に付き易いものです。
いま社会的に必要とされているのは,最先端技術について行けないで振り落とされた人に対する再教育の必要性ですが,一番慣れた職場でちょっとした部分変更について行けない人が職場に関係ない職業訓練校「学校」で習った程度で身につけられる筈がありません。
ダメなものはダメだと言うのではなく,社外に簡単に弾き出さずに先ずは企業内で部分変更の講習会・練習会を開いて・・実際にやっているでしょうが・・新システムや方式について行けるような暖かみのあるやり方が重要です。
我々弁護士会で言えば,しょっ中法令の改廃や運用が変わりますので,この種の講習会がしょっ中ありますが,変化する「講習会について行けない」からと,他の分野・・税理士その他の職業に挑戦すれば良いと言うのは無茶です。
社内講習・変化について行けないで社外にはじき出された人は,同業他社への就職を狙っても少しずつ使っている機械も違って,なお慣れるのが大変ですから,余程ランクを落とすしかないでしょうから、(クルマ組立工でもトヨタ系から日産系に行けば勝手が違います)転職社会・人材流動化を目指すのはアメリカ型・・企業努力をあまりしないで,弾き飛ばし易い社会を作ろうと言うに等しいことになります。
欧米では身分制度がなくなっても、その代わりに企業別ではなく職能別組合が発達するなど,今でも職能・階層別・資格社会ですから転職が簡単な代わりに、階層固定・レベルアップの困難な社会構造です。
資格・与えられた職分・分業にこだわる傾向から職場から資格外に広がる新たな工夫が生まれ難い社会構造になっています。
November 16, 2016「民主主義の基礎4・信頼関係3(governmentとは?1)」以来,ガバメントとピープルとの関係・・支配、被支配の対抗関係を書いて来ましたが,両者が対抗的関係で相互に隔絶して来た・・ひいてはピープルの方は自己防衛のために・・「自分の職分はここまで、それ以上の仕事をする義務はない」という権利強調に走るようになります。
同僚が残業していても,自分の仕事が終わっていれば気にしないでさっさと変えると言う「ドライな」関係がマスコミでもてはやされますが,別に立派なことではなく黙って働けばいくらでも働かされて来た被害の歴史に対する自己防衛意識が強いからでしょう。
日本人が仲間を置いて帰れないのは、「同胞意識・みんなで頑張ろう」と言う意識がある・・日本の場合,集団・組織は元々「家の子郎党」の(血族)集団で成り立っているのでトップと末端とは運命共同体であって,支配と被支配の対抗意識ではないからです。
欧米では,governmentを構成する支配階層とピープルの間には対抗・・緊張関係であって、同胞意識・一体感がありません。
中国や朝鮮で言えば、士大夫・ヤンパン層と庶民との文化・意識の隔絶が普通であったのと同じです。
ピープルのレベルを引き上げて自分たちに近づける工夫をすれば,自分らの支配的地位を危うくするので避けたい意識があります。
これがアジア、アフリカに対する接し方・・日本の場合には現地人が自分でやれるように懇切丁寧に教え込むので喜ばれますが、欧米や中国は「お前らに出来る訳がない」と差を強調する目的で現地インフラ整備してやる?方式との違いです。
日本企業がプラザ合意その他で何やかやとイチャモンをつけられては,欧米市場から閉め出され始めた結果、生産基地として東南アジア展開(迂回輸出)するようになると、パンドラの箱があいたように世界中の新興国の産業勃興が始まりました。
日本が行くまで欧米は何百年も支配していながら現地人には格差の大きさを強調して絶望感を与える努力ばかりで、(この辺はシンガポール元首相が日経新聞連載の「私の履歴書に書いてるとおりです)何らの技術移転もしていなかった・・日本の台湾や朝鮮半島統治との根本的違いです。
欧米では古代から選良とその他(ピープル)とを差別する長年の潜在意識があって)ピープル・中間層のレベルアップさせる努力をするよりはレベルの低い労働者のままでより効率よく働ける方式を考案した・・これがベルトコンベアー方式で始まるアメリカの改革です。

地方自治制度の悪用1(僻地・末端の重要性2)

昨日から地震災害で紹介したように、地方の決定・自然災害がサプライチェーンを通じて全国波及する時代です。
原発稼働の可否は立地する市町村・・僻地だけに利害のあることではなく、経済合理性や環境破壊の有無は言うに及ばず、国防政策や日本の将来の産業構造を規定する全国的関心のある事柄です。
学問的も、全国原発停止以降原子力関係学科の志望者が激減しています。
1地域住民の賛否や・・(ドサ廻りになっている)数人の末端裁判官の意見で国家の枢要事を決めて直ぐに国家意思として強制力が出る仕組みがあるのは制度的に無理があります。
この辺は沖縄の基地問題の議論も同様で、国防に関する決定を地元沖縄の意見で決めようとする運動自体おかしな議論です。
裁判官で言えば、地方小単位の社会に関係のある決定権者として、地方に赴任しているに過ぎないのにタマタマ全国的テーマが地方の管轄になると、俄然(上級審の結論が出るまで原則として効力が出ない本案訴訟手続があるのに、これをしないで即時効のある仮処分決定するのは)全国民に影響のある決定権を行使するのは権限乱用です。
内乱罪等国家的影響のある事件は高裁から始める特別規定がありますが、原発や軍事基地のあり方など1つの裁判結果が全国に影響を及ぼすことが明らかな事件は、高裁ではなくとも大規模庁に専属する仕組みにする・・あるいは原則として仮処分を許さないなどの配慮をすべきでしょう。
世界中どこの国で、国家的関心事である軍事基地の設置に関して地元自治体の同意を必要とする→地元裁判所で一次的な決着がついてしまう国があるでしょうか?
軍事基地や原発は、国全体のためにあるものですから、その基地や施設が国全体のためにある・・その地域だけのものではないのは当然です。
実際原発規制委は全国を管轄にして審査しています。
沖縄の基地移転については海面の埋め立てが必要なために県知事の許可や承認にかかっているので、国が県知事の承認がないと埋め立て出来ないと言う変な法制度がガンになっているようです。
ソモソモ民間が公有水面を埋め立てるには、(勝手に出来るでは困るので)許可がいるのは当然としても、地方で許可しても国家の大局からみて不都合なときには、国が取り消せる制度設計が本来です。
地方自治制度と国のあり方の基本問題ですが、国の決定の可否を自治体が最終判断出来る・・逆の制度設計は無理があります。
いわゆる「法の間違い・・不備」を衝いているのがこの種事件一般のあり方です。
民間または同格の公共団体(喩えば隣の県が隣の県内の海を埋め立てるのは埋め立て地の県の同意が要るなど)が行なうときだけの制度であるべきでした。
国が決める場合地方の意見を聞かねばならないと言うのは分りますが、地方が国策の最終決定権を持つのは統一国家の制度としては無理があります。
地方自治は、戦後憲法(アメリカの押し付け)で出来た制度で、その前には官選知事制度でしたから、知事の許可の権限=国にの命令次第だったので矛盾がなかったのです。
地元民の民選になる都知事が最終決定権を持ったままにしておくのは、国家意思の一体性からして無理があります。
アメリカは、将来日本が言うこと聞かなくなれば、政府と地元の対立さえ起こせばにっちもさっちも行かなくなるように、(武力不保持条項同様に)時限爆弾のようにアメリカが置き土産として残した仕掛けだったかも知れません。
何しろ尖閣諸島情勢緊迫により、自衛隊が遠くから駆けつけるのでは・・時間的に不利なので最寄りの島に駐留するにも地元民(大人だけで言えば千人前後?))の賛否をとっていましたから、(公明党の言うように外国人にも地方自治体への参政権を与えると・・実際以下に紹介するとおり基地賛否の住民投票には外国人にまで投票権を与えています。)イザとなれば中国系の勢力浸透は簡単です。
ウイキペディアによると以下のとおりです。
  与那国島
人口1,745人、年平均気温23.6℃、年間降水量2,363.5mm。石垣島からは124kmの国境の島で、台湾宜蘭蘇澳港までは111km

以下は与那国島と防衛問題に関するウイキペデイアです

2014年3月31日、国と与那国町との間で町有地を貸す契約が正式に結ばれた[25]。2014年4月19日、小野寺五典防衛大臣出席のもと、沿岸監視部隊配備のための着工式典が開かれた[26]。2016年には、200名弱の自衛隊関係者が与那国町に駐屯すると見られる。
2014年9月7日投票の与那国町議会選挙で、町議会は誘致派が3人、反対派らが3人となった。誘致派が議長となったため、議長を除く議席構成では、反対派が多数となった。反対派らの賛成多数で、自衛隊誘致の賛否を島民に問う反対派が主導する住民投票条例が可決され[27][28]、2015年2月22日に陸上自衛隊沿岸監視部隊配備の是非を問う住民投票が実施された。
この住民投票に法的拘束力は無いものの、与那国町の住民投票条例は町長と町議会に対して「投票結果を尊重」するよう求めている[29]。誘致反対派の要求により、この住民投票での投票権は中学生以上の未成年者や永住外国人にも与えられた[30]。この住民投票には、有権者1276人のうち1094人が投票し投票率は85.74%。開票結果は、賛成632票、反対445票で、賛成派が多数を占めた[31]。しかしながら反対派は納得せず、工事差し止めを求める裁判を起こすことを検討している[30]。
反対派住民30名は武力衝突による平和的生存権の侵害や電磁波による健康被害の恐れを根拠に駐屯地の工事差し止めの仮処分命令申し立てを行ったが、那覇地方裁判所は2015年12月24日付けで却下した。決定理由として、武力衝突に至る恐れがあることを認める資料がないことや、電磁波の強度が法律の基準値を下回ることを挙げた[32]。住民3名はこれを不服として即時抗告したが、福岡高等裁判所那覇支部は2016年2月19日付けで却下した

※上記決定によれば「武力衝突のおそれがないこと」を理由の1にしているのですから驚きです。
武力衝突のおそれがあれば自衛隊基地の存在が許されないと言うならば、まんがではないでしょうか?

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