日本の経済状態が悪いのか?(生活保護増加)

社会保障と言うものは、本質的にみんなの助け合い精神・・国民合意によって成立しているものであって、何でも「憲法に書いてある」「法律に家族の資力要件を書いていない」今の制度がこうだと濫用するようになると国民は納得出来ません。
遡っての議論・・子供や兄妹はどの程度まで親・兄妹の面倒を見るべきか・・逆から言えば年収に応じて月何万まで出せばそれ以上は他人のお金(税金)で面倒見るベキと言うような議論こそ(不正受給や在日けしからん論では、解決にならないでしょう)が必要です。
受給支援運動が激しくなると、これに比例して国民不信を前提の制度に変更するしかない・・申し込んで来る以上は余程苦しいのだろうと言う性善説・・国民の自主判断に任せられなくなります。
「法が要求していない質問するな、調査するな」子供に資力あっても「拒否するな」と言う運動が進むと・・性悪説による厳しい検査制度を法で整備する必要が出て来ます。
国民世論が子供の資力に関係ない「一旦支払っても求償する必要がない」と言うならば必要がありませんが・・そのためにも国民世論に従った国会審議・・法改正手続が必要です。
生活保護受給権擁護運動がイキナリ高まって来た政治背景・・特定政治勢力の意図とどう言う関係があるのかを含めて私には全く分っていません。
門外漢の私にとっては生活保護援助運動がイキナリ出て来たかのように見えますが、・・それなりの背景・準備があって出て来たのでしょう。
日弁連や単位会で生活保護援助・・援助システムがいつの間にか動き出しているのですが、これの仕掛人がどこの誰か分りませんが、かなり前から準備して来た結果でしょう。
関係者は生活に困っている人が増えて来たから、人権擁護を職責とする弁護士会が救済しているだけだと言うのかも知れません。
マスコミが宣伝・誘導するように、本当に日本の国民生活の窮乏化・・生活水準下落が起きているのか疑問です。
安倍政権前の過去20年間を「失われた20年」とマスコミによって宣伝されていますが、この間の技術革新等によって実質生活水準が感覚的に約2倍に上がっていることをこのコラムで繰り返し書いてきました。
私の感覚でしかないので本当のところは分りませんが、従来経済危機が起きると「有事のドル買い」と言ってドルが上がって日本円が下がったのですが、この20年ほどの間にこの基準が変わっています。
リーマンショック直後の円高や今年の年初来の新興国や中国危機による経済大変動に際しても、「危機時の対ドル円高」と言う国際的認知・市場の動きです。
特に今回はアメリカの利上げによってドル高になったことが、人民元暴落含み=経済破綻が現実化して来たことが世界経済波乱原因になっているのですが、対ドルでは、アメリカの金利上げに対しても日本円だけが下がらずに上がっています。
アメリカはリーマンショックの傷が癒えたとして、金利引き上げ時期を狙っていましたが、引き上げると弱小国(とりわけ中国)の経済が持たない・・・判断から、1回延期しました。
言わば経済強国の金利政策が、世界経済をストレートに支配出来る構図を前提にしています。
金利は、お金を貸したり預ける相手の信用力で微妙に上下するものですから、信用のないモノ(組織)はより信用力のある人よりも高い金利でないと貸して貰えませんし投資もしてくれません。
国の信用力によって格付けと言うか必要な金利があるので、金利の高い順に信用のない国と言うピラミッド型の順位が出来上がっています。
これを人為的にある国の中央銀行が金利を上げ下げすると、実際の順位と合わなくなるのでこの実態に合わせるために国際的資金移動が始まります。
100カ国中の80番の順位の国が金利を上げ下げしてもその前後の順位国しか影響がありませんが、世界トップ(実は2位)のアメリカが上げると3位以下の国にとっては大変です。
それまでのアメリカとの金利差が1〜2%高で均衡を維持していた国にとって0、98%差になると資金流出が始ります。
これがイヤなら自分も金利を上げれば良いのですが、そうすると国内景気が持たなくなるリスクです。
ブラジルは大分前から不景気のために金利を上げるに上げられずに、ずるずると通貨が下がって(最近まで3割も下がったと言われています)参っていますし、弱小国とは(国土面積や人口のことではなく)こう言うジレンマのある国のことです。
運転資金に窮した企業が高利貸しに手を出すと余計苦しくなってつぶれるしかないのですが、弱小国はこうして高金利に追い込まれることになります。

上海株暴落〜通貨切り下げ2

昨年来の経済実態悪貨に伴う相場観では、確かに人民元が割高に維持されていると見られていましたが、(だからこそ外資の流出が続いているのでしょう)ここに来て3連日切り下げ決意をするに至った動機が何か?背景事情は何かと言うことでしょう。
基準金利同様に為替相場の方も効果が出るのに半年くらいかかりますから、毎日のように1〜2%切り下げても資金繰りが直ぐにどうなるものではありません。
他方で資金流出加速の方は、日々発生するので大変です。
もはや中国は無茶苦茶・・死に物狂いとしても常規を逸し過ぎたその場しのぎの政策(と言えるかな?)発動です。
「こんなことをしても恥をかくだけでどうなる訳ではない」と言うプロ(人民銀行関係者)の意見が通らないほど、公式統計に現れない経済破綻の緊迫度・内部政局が緊迫していると思われます。
マスコミ・エコノミストは中国、韓国礼賛一方ですから、6月の上海株相場暴落時の売買禁止などを果敢な金融政策と評価していて株式売買規制も大したものだ・・日本の山一証券救済と本質は変わらない何故批判するのだと言う意見が結構出ていました・・私のようにバカにする意見は皆無でしょう。
中国のやり方は対日外交政策であれ、国内政治のやり方に始まって、全て暴力的と言うか、腕力剥き出しの強引過ぎる政策ですが、今回は、国内政策に留まらずに、露骨な輸出拡大政策ですから国際的波紋が大きくなります。
株式の強制売買停止は主に国内投資家が売り損ねて損しているだけですが、(結果的に国内不満は爆発寸前でしょうが・・)これが為替切り下げ競争に波及して来ると貿易競争相手は甚大な影響を受けます。
鉄鋼や石化製品等特定商品の出血輸出・低価格での輸出でさえ、国際相場の撹乱要因で困っていた・・この関連で国際秩序破壊者としての中国の問題点を「資金枯渇7資金枯渇7(出血輸出と借入1)」2015/06/11〜「中国の国際ルール破り4」〜2015/06/16「(人としての価値観未発達3)、2015/08/06「秩序破壊と社会の停滞・退化1」以下で連載してきました。
これが為替切り下げ競争になると、中国製品全般的値引き競争宣言と同じですから大変です。
中国周辺国は、領土問題等で中国の乱暴な行為に対する反発があっても、資源等を大量輸入してくれるので仕方なしに我慢していたことを10日に書きましたが、中国の爆買いが収束してあまり買ってくれなくなった上に通貨切り下競争を挑まれると、競合する東南アジア諸国に大きなマイナス影響が出てきます。
(ここ連日周辺国の為替相場や株価に大影響を与えています・・東証でも東南アジア進出企業関連株の下げが大きいのはこの結果です。)
今後中国の輸入が更に減り、逆に輸出競争を仕掛けて来ると、折角建ち上げたばかりのベトナム等の工場設備の稼働率が下がる・・周辺国の中国への遠慮意識が低下する方向に働き、迷惑行為に対する政治反発がストレートに出易くなります。
為替切り下げによる輸出競争は、ダンピング競争と同じになるので国際社会では禁じ手ですが、中国にとってはこれまでこのコラムで書いている出血輸出→一定期間経過で企業倒産段階が来て・・限界に来たので、為替水準自体を落として、国を挙げての出血輸出延長を狙ったのでしょう。
出血輸出は特定企業の失敗(見込み仕入れや生産の見通しミス)の後始末で、その企業の自己責任ですが、為替切り下げは輸入物価の上昇を通じて国民全部に損失を負担させて行くので、・・生活水準の2%切り下げ強制と同じになります。
(我が国失われた20年間と言われるものの、為替が切り上がって、国民が約2倍の豊かな生活を享受して来たと言う意見を繰り返し書いてきました)
中国は、経済活動の縮小で輸出減以上に輸入減の方が大きくなっていて、黒字が増えているのですから、(この辺は韓国と内情が同じです)ここで輸出拡大を狙う人民元安政策は韓国同様に間違っています。
韓国の場合、ウオン安操作によって、貿易黒字の蓄積が出来ましたが、これに比例して国民の貧困化が進んだ結果、借金まみれの国民・国外脱出願望や売春婦輸出増になっていることは周知のとおりです・・。
人民元安により輸出は拡大しても肝腎の輸入価格値上がりによって・・内需が減ってしまい、ますます大変なことになる筈です。
これに加えて元切り下げが表面化すると、冒頭に書いたように資金流出を招き当面の資金逼迫も生じます。

上海株暴落〜通貨切り下げ1

中韓と仲良くすべきかのテーマに戻ります。
日経新聞朝刊の経済論壇だったか、経済教室だったかには、6月3〜4日ころから「日韓関係は冷静になって仲良くすべきだ」と言う論文が、論者を入れ替えながら(結論が同じで)連載されていました。
その前には、中国主導のAIIB参加の必要性を誘導するかのような論説が続いていたことを批判的に紹介しましたが、それが終わると今度は韓国と仲直りの必要性の連載です。
ホントに日本の国益のための報道をしているのか、中国、韓国系の人材がマスコミに根を張っている結果なのか理解に苦しむ人が多いのではないでしょうか?
真実は誰にも分らないとしても、中韓が困り始めて中韓が何とか日本と修復したい状況になるとイキナリ中韓と仲良くしようと言い出す政治家やマスコミは基本的信用をなくしています。
論説の正しさを理解するには、前提になる中国や韓国の経済状態の客観的把握が重要です。
6月1日と2日に「勝又壽良の経済時評」5月18日付き記事からの引用で、中国が、07年からの短期間に27兆ドル(この数字単位は翻訳間違いである可能性があると書いてきました。。
・・(原稿はその頃に書いておいた先送り分です・・)
かりに3桁違ったとしても2700億ドル・・約30兆円)も対外借金を増やすとは尋常ではない規模ですが、中国は過剰生産力削減命令またはこれ以上の市場淘汰に任せると政権が持たない印象です.
上海株大暴落がその後に起きましたが、政府の強制介入・・売買強制停止や刑事処罰の強迫で小康状態ですが、経済実態の悪化を政府の力で長期的に誤摩化し切れるものでありません。
ここ数日の動きを追います。
8月10日の日経朝刊では、前年同期比1〜6月の業種別指標が掲載されていたので、これを11日のコラムに紹介したばかりですが、翌8月11日には、人民元基準値2%の切り下げ発表です。
7月輸出額が前年比8%減少に危機感(外貨不足の心配?)を感じた結果、発表直後にこの打開をすると表明していた結果が「2%強制切り下げ」と言うことらしいです。
8月12日朝刊3pには中国ではここ半年間で矢継ぎ早と言うか泥縄式の経済底入れ政策が続いていることが表になって出ています。
金融緩和は昨年から始まっていましたが、今年に入ってからは、2月、3月、4月、5月と毎月のように基準金利を下げていてもどうにならなくなって、(基準金利を半年に1回変更しても連続切り下げあるいは切り上げと報道するのが普通・・金融政策は間接効果期待ですから、効果が出るのに半年前後かかります・・これを毎月変更するのって金融政策の態をなしていないのではないかと思うのが普通の解釈ではないでしょうか?
12日夕刊には11日に続いて12日にも人民元基準値1、6%の連続利下げが発表されていました。
8月13日日経朝刊3pによれば、7月の一日あたり平均鋼材生産量が、前年同月比1、9%減、自動車も11、2%減(乗用車に限れば、26、2%減)発電量も2%減、消費小売り総額が、10、5%増と伸び率が前月比0、1ポイント下がったと書いています。
長江沿いに林立する重慶市の高層ビル群の空き室率が50%に迫るとも書いています。
いわば総崩れ状態ですから、これでは7%%成長に届かないではないか?と言うのが新聞の小見出し?ですから、不思議な意見です。
この統計から見れば、7%に届くかどうかよりは、マイナス何%になるかの議論をすべきではないでしょうか?
8月13日に仕事から帰って夕刊を見ると、今日もまた人民元1、1%の切り下げ報道です。
中国政府に言わせれば、相場の実勢に合わせただけ・・自由化を進めているだけと強弁するのでしょうが、それならば政府が強権的に基準値を毎日決めないで為替相場の自由に任せておけば良いことです。

独裁体制と情報規制(ホットマネー)1

ホットマネー流入禁止は、言わば体温計を使うな、クルマのスピードメーターの取り付け禁止みたいなものです。
体温計を見なくとも体調悪化を防げる訳ではありませんし、メーターさえ見なければ、スピードが出ていないことにはなりません・・・本末転倒の政策です。
ホットマネーは相場に損益がモロに左右される資金のことですから、ホットマネー運用者の経済状況認識と予測が自ずから鋭くなってあわてて動くので、言論の自由がなくもの言わずともその動きから経済状況が素人・一般に拡散されます・・言わば経済動向ウオッチャーの関与禁止・・経済動向の外部漏洩禁止と同じです。
言論禁止の極まった形として、大惨事が発生したときに、大惨事発生を知られないために現場周辺を立ち入り禁止にしていると、報道の自由が保障されていても現場に行けないと報道出来ません。
今回の長江での客船沈没事故では大惨事自体はすぐに世界に知られてしまいましたが、事故が知られた後は政府報道機関しか周辺立ち入りできず政府機関の宣伝・・政府はこんなに頑張っているなどの宣伝しか報道されない状況になっています。
ホットマネー規制は報道規制している独裁国家の手法・・政府に都合の悪い事件報道をさせないのと同じ手法を経済界に及ぼそうとするものです。
報道規制しても実際に起きた事件がないことにはならないし、経済実態が悪くなっているのを国民に知られるまでの時間を稼げるだけで、駄目になった経済が良くなることもないし、ジリ貧になるのは同じです。
ホットマネー取引規制していても、金融その他現実取引している人は肌で分りますし、皮膚感覚で分る庶民による手持ち資金の国外逃避が始まれば経済界が浮き足立つ結果は同じです。
じりじり逃避資金が増えて来ると株価維持・買い支えのために財政出動しても、資金が続かなくなるので、中国の海外借入金が増えて来た原因かも知れません。
ホットマネーによる煽り立てがなくとも、支払能力がなければいつかは露見します。
半年〜1年後後の危機を察知してホットマネーが売り逃げを図り、売り浴びせられるのは、不都合を先送りしたい債務者には悪夢でしょうが、情報隠蔽は半年〜1年先につぶれるのを知らないで新たに貸し、投資し続ける人の被害を拡大することになります。
現在で言えば、庶民が危機状態を知らされずに政府勧誘によって株式投資に誘導される・・情報を得ているグループはこの間にリスク資産を高値で売り逃げすることが可能となっていることを見れば、情報隠蔽の恐ろしさが分るでしょう。
韓国のセウオール号沈没事件では情報のない客は船室待機を命じられて、そのまま放置されて大量死亡して情報のある船長や船員は先に逃げてしまったのもこの一例です。
6月2日ころの長江での客船沈没事件でも、船長や機関長が真っ先に逃げて助かっています。
期間長は職務柄、船の機関室・・奥まったところにいるのに何故真っ先逃げられたか(操作ミスなら真っ先に知り得る立場です・・)報道を見て、最初に感じた不思議でした。
ホットマネー流出入規制社会とは、特定情報にアクセス出来る特定の人(特権階層)だけが情報に従って予め自己利益を守るために行動出来るし、アクセス出来ない人は逆の楽観情報を意図的に振られて目前に迫っている危険に気が付かずに危険な投資その他に参入させられ、安心して踊らされてしまう社会です。
危機が迫った瀬戸際になって、始めて緊急対応が出来るだけ・・インサイダー取引を国が推進している社会・・このような情報格差社会を政府が強制して良いかどうかの意識・・その国の姿勢でしょう。
公正な競争を奨励する自由主義社会においては、競争の結果(勝敗の結果)格差が生じるのは論理必然ですが、格差を恒久化せず、出来るだけ速やかにその是正を図り、是正期間の短縮を図ることが求められていますが、政府が率先して不公正情報操作をして格差を形成しようとする社会は問題です。
イラクの元フセイン大統領に始まって現在中国の江沢民元主席周辺、共産党大幹部周辺、独裁社会ではその取り巻きが極端に良い思いを出来る社会になっていたのは情報格差による論理必然です。
強い者が(賄賂のとりたい放題を象徴として、)やりたい放題をして来た結果、何兆円と言う海外資産隠しが横行するなどの巨大な格差が中国で生じているのです。
独裁制=情報規制社会ですから、「民をして知らしむべからず」式になるのは理の当然です。
ホットマネー規制は経済面での情報規制の象徴(金利自由化規制・A株B株と言われる資本市場参入規制その他の多くの規制はその下部規制になります)であり・・独裁国家の本質であることが分ります。
上記のとおりホットマネー規制その他の多種多様な規制の結果、すぐには経済状態が外部に漏れ難いのが中国社会の現状ですが、日本人投資家が一刻も早く知りたいのは知りたいのは、経済の先行き・・進出予定業種の先行き見通しや金融界にとっては、中国借入金の支払不能・・デフォルトリスクです。
解放前には政府首脳の失脚などは天安門広場で並んでいる高官の顔ぶれ変化や立つ位置から政変を推測する時代が長く続きました。
最近でも、薄煕来や周永康の失脚などは長い間行事の表面から消えていろいろ憶測されていた挙げ句に大分経ってから裁判するとか取り調べ中と公表された程度です。
今でも北朝鮮高官失脚説が将軍様と一緒にテレビ映像に出なくなったとか言うことから推測を逞しくしています。
こういう国では、経済は人間の動きの基礎ですから、経済の動きだけ切り離して情報公開する・・一党独裁で市場原理導入するのは無理があります。

中国バブルの本質3(新興国経済2)

フリーのジャーナリストが、数週間の旅行観察程度でも、社会のムードを読むには有効ですが、その先、企業内実のデータに基づく微妙な変化を読み、紹介するには無理があります。
深圳特区などの大規模工場群のあたりをタクシーで走り回ったら、少しは印象がつかめるかも知れませんが、広大な敷地の塀の外からの観察では隔靴掻痒の感がします。
倒産して閉鎖されている工場については、通りがかりに見れば分るでしょうが、(これもタマタマうまくその工場正門前を通りかかった場合だけです)2〜3割減産しているかどうかなどの変化は分らないでしょう。
市街の雰囲気を逸早く報道するウオッチャーの役割は貴重ですが、この方向性をある程度理解したら、(ムード報道は何回聞いても仕方がないので、)その次にはこれを裏付けるデータから迫る報道が欲しいものです。
素人は慾が深いと言われればそれまでですが・・。
国内景況感把握に関しても、年または数ヶ月遅れの統計が出るのを待つよりは最先端感覚・直感に頼る街角景気把握が重視されていますが、直感把握の後ではその直感を裏付けるデータ報道が欲しいのと同じです。
この辺はフリージャーナリストの手には負えない・・商事会社など海外展開している企業実務家の方が詳しいでしょうから、彼らのネット(企業名を知られたくないならば匿名で且つ業界情報で)参加が望まれます。
中国、韓国、インドネシア等々国別で(政府統計ではない)業界別にその国での月別売上高推移など具体的データを知りたい人が多いでしょう。
先進国のバブルとは、均衡の取れた種々雑多な産業群がある中でオランダのチューリップ・・日本の不動産バブルのように特定分野で急激な需要(仮儒)拡大した現象を言うものです。
中国の場合17日から書いて来たとおり、経済全般の不振=過大供給能力化の結果、(不動産需要は経済全体の動きを反映し易いので)不動産や株式バブルが目立っているだけですから、先進国のバブルとは違います。
中国は図体が大きいだけであって、外資導入に始まる一斉開花式の新興国型経済で成長して来た点では同じですから、不動産業や株式相場等に限定せずに同時並行的に各種投資が一斉に(輸出目的=内需無視の過大投資)行なわれて来ました。
新興国型経済は外資流入によって新規成長した分野では、成立目的から言って、国内需要目的ではないので、内需から見れば、過大になっている本質があります。
この辺は新興国としては老舗ですが、韓国産業界が内需無視の外需依存体質になっている・・国民が貧困に喘いでいて、売春輸出に励まざるを得なくなっているのに、貿易だけ黒字になっているのと同じです。
新興国では外資導入に際して、ひ弱な内国産業が壊滅するのが怖いので、輸出製品製造目的を条件に進出許可することが多いので、経済特区では元々国内需要に整合していません。
バングラデッシュの巨大な縫製工場が時おり報道されていましたが、これらは当初から輸出目的であって、内需のために巨大工場が生まれているのではありません。
バングラデッシュ等に移転した生産分、中国の大規模縫製工場では仕事がなくなっている筈と言う印象付けで終わらずに、バングラデッシュやベトナムの報道にあわせて中国縫製工場業界の生産量推移のデータが欲しくなるのが普通です。
新興国型経済では、外資導入目的が輸出産業育成にシフトしているので、ひとたび輸出競争力が損なわれるとあらゆる分野で過大投資問題=いわゆるバブル崩壊(本来のバブルではない・・大規模景気変動の一種であると言うのが私の意見です)が始ります。
植民地経済時代のプランテーション農業経済の脆弱性が問題であった歴史の繰り返しです。
これを防ぐために内需型経済への変換が必要であると言う意見が一般的ですし、抽象的にはそのとおりです。
家内工業から始まって内需・・地域需要を満たしてから近隣県に進出し、更に自社の属する関東や九州等の地域全般に販路を伸ばして全国メーカーになって、その余力で輸出力もつけて行った・・段階的に発展して行くのが日本や世界の先進国の発展形態です。
20日に書いたとおり、この段階を飛ばしている新興国では、いきなり内需転換と言われてもこれに見合った産業構造になっていません。
日本の高度な消費者向けに日本人が指導して日本向けホーレンソーなどの洗浄や包装をして出荷して行くやり方(衣類その他も皆同じです)で、元々中国国内需要向けに生産した経験がありません。
中小企業から大きくなった企業が倒産したら経営者は元の中小企業・・自分で「昔取った杵柄」で物造りを再開出来ます。
(大工さんやペンキ屋が大きな会社にしてから、倒産しても、元の職人に戻ったり年齢が高くなって現場が無理ならば、監督などやれます・・原点に返れば良いのです)
中国等新興国では経営者が、何の技術経験もなく資本さえあれば、日本から大規模機械化した工場設備を導入して日本技術者から機械操作をおしえられて生産を始めただけで従業員も流れ作業しか経験していません。
日本のように段階的発展の経験がなく、国内需要向けでなく、画一的低レベル品を作るために立地した大規模工場が、内需型・・きめ細かな多品種少量生産にイキナリ切り替われる訳がありません。

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC