経済不振と排外行動のツケ3

クリミア編入だけで終わりにせずに欲を出したのかな?あるいはこの程度でやめると政権が持たないと思ったのか?ウクライナ東部分離独立→割譲を視野に介入を続けるから、却って泥沼に足を取られる結果になる可能性が出て来ました。
クリミア編入のように短期決戦ですと欧米の応援や経済制裁は間に合いませんが、長期化してきてバックに欧米がついて軍事援助が始まる内戦状態になって来ると長期化・泥沼化して行くのが普通です。
シリその他アラブの春で書きましたが、外部勢力の後押しがあると内戦が簡単に終息しなくなります。
ロシアは経済が悪くなる一方で、華々しい成果もなく泥沼の戦争が続くと(兵に駆り出される国民の方は溜まりませんから・・)却って民心の離反が始まります。
日本の場合、中国戦線が泥沼化しても最後まで国民が頑張れたのは、アメリカが宣伝して来たように国民の目をそらすために軍部の独走で侵略戦争を始めたのではなかったからです。
アメリカの策略で戦争に引きずり込まれた民族消滅の危機感による自衛戦争でしたから、戦線がどんなに泥沼になっても戦況がどんなに不利になっても、不利になればなるほど最後まで銃後の家族を守りたい一心・・特攻隊だけ特別ではありません・・精神で民族一丸になって頑張りました。
日米戦争をアメリカは「正義のための戦い」と虚偽宣伝していますが、実は世界大恐慌後の経済不振打開のために、日本を標的にして巧妙に戦争開始に追い込んで行ったものです。
私たち子供のころアメリカはニューデイール政策の成功によって景気回復していたと教えられて育ちましたが、それは真っ赤な噓で、アメリカはずっと不況からの脱出が出来ず苦しんでいてたので、一国も早く対日開戦することによって戦争経済化→内需拡大による不況脱出が望まれていたのです。
今ではアメリカは対日戦争を開始することによって、漸く不況から脱出して景気回復出来たことがデータ上明らかになっています。
アメリカの場合無駄な支出でも、スベテ国内産出で間に合う・・今でこそ原油など国策上輸入していますが、当時は石炭、鉄鉱石、原油その他全て国産で使い切れない状態でしたから、いくら戦争によって資源を使っても輸入が増える訳ではない・・輸入資金を必要としない強みがありました。
ケインズ理論がそのまま妥当する社会だったのです。
アメリカは生産能力過剰で困っていて・・これが不況です・・軍艦・戦車や航空機がいくら日本に破壊されても、その分生産増出来て却って喜ぶような社会構造になっていました。
元々余っていて使い道がないのですから、資源を無駄に使っても良いし、戦争の結果、占領地が広がれば資源売却先になって販路が増えるだけです。
話題がそれますが、戦後・・即ち私たちの少年期には、日本がアメリカの物量作戦に負けたと言う意味で「なんて言ったってアメリカでは海にトウモロコシを棄てた方が儲かる」社会らしいからそんな国相手に戦っても勝てる訳なかったよな・・」と言われて育ちました。
ケインズ理論は国内に有り余る資源を持っていればこそ成り立ちますが、ほぼ全量輸入に頼っている日本その他の国ががそのまま真似したらギリシャのように経済危機やデフォルトになってしまいます。
アメリカの例を見れば、経済不振打開のための排外行動は一石2鳥の効果があったのですから、経済不振打開のための排外行動は必ずしも失敗するとは限りません。
この意味では超大国且つ資源大国アメリカに対する歯止めがない・・好きなときに好きな相手を標的にして戦争開始できることになります。
これのモデルケースが産軍複合体が起こしたとされる湾岸戦争に始まる対イラク〜アフガン戦争と言えるでしょう。
冷戦が終わり・・平和の配当と言って大喜びしていた分、軍事予算削減で軍需産業が困っていたからです。
ただし、正規軍同士では超大国に対する歯止めがないのですが、ゲリラ相手では必ずしも大国がいつも勝てるとは限らないことは、ベトナム戦争の失敗でイヤっと言うほど経験していることでした。

経済不振と排外行動のツケ2

中国は本当の軍事行動を起こして負けたら政権がつぶれてしまうので、尖閣諸島でちょっとだけちょっかいを出して、国内では反日暴動を起こしてみて・・、様子を見たと言うところでしょう。
韓国と違い中国は一応逃げ道を残しているので、大人の行動をしていると言えます。
逃げ道を残しているつもりとは言え、やってみるとこれの効果がない・・むしろ反作用の方が強くなって国内的に格好がつかなくなって(却って恥をかいてしまったでしょう)困っていることも事実です。
さしあたり、何らか意趣返しをしないと収まらないので、自分は表に出ないで背後で応援する・・韓国の日本批判に歩調を合わせて恩を着せておくことにしたのでしょう。
韓国に歩調を合わせても中国には大した利害がないので方針転換が簡単としても、その代わり中国にとって、韓国に歩調を合わせても国内不満そらしにはほとんど効果がないことでもあります。
(安重根の記念館を作っても中国国内政治にメリットはほとんどないでしょうから、対日関係では将来のマイナス効果だけ抱え込むことになりますが、その程度のことをしないと反日暴動して格好がつかなくなっている中国政府としては、何らかの意趣返しをしたいと言うことでしょう)
中国は裏で応援する分には方針転換に柔軟性があって有利ですが、韓国は正面切って日本批判をして歩いているので、どうやって終わりにして良いか分らないので困っています。
政治家の世界は言質を取られないように多様な決定の選択肢を残しながら発言するものですし、まして国家を代表しての発言ならばなおのことですが、韓国政治家はこの原理が分らないか、未熟なのかも知れません。
これまでいつも最後には、(裏で韓国がぺこぺこして来て「日本が表向き謝ってくれないと政権が持たないので何とか協力してくれ」と言って来て)日本が表向き謝る形で解決してくれていたので、何十年もこれにこのやり方で成功して来たので今回も繰り返しが利くと誤解して始めてしまった失敗と思われます。
今回韓国は官房長官談話を悪用して海外攻勢をかけた・・禁じ手を使ってしまった以上は、今後日本が表向き謝った形にしてくれと土下座して謝って来ても、そのビデオを公開して良いと言わない限り、どんなに頼まれても、もはや二度とこう言う裏取引に応じることはできません。
アメリカも裏では内々こうした解決を強要して来ていると思いますが、こう言う解決を裏で強要して来たアメリカ自身が、国際的には、「日本政府が謝っておきながら今更否定するとは・・」と言う韓国の論法に同調してアメリカ議会では慰安婦決議までしていると思います・・ことで、日本人は怒っています。
この裏工作を暴くための「検証作業」を韓国もアメリカもいやがっているのです。
歴史事実の実証研究を拒否しているのが韓国であり、アメリカです。
如何にアメリカの強要が裏であっても、今回は国民の怒りは半端ではないので、今の政府はこれに応じることは出来ないでしょう。
プーチンは鮮やかなクリミア編入程度で喝采を浴びて直ちに矛を収めていれば、プーチンの鮮やかな一方勝ちで終わったでしょうが、そこで終わりに出来なかった(国民はそれでは納得しなかったのでしょう・・)のがプーチンの誤算です。
ウクライナの泥沼紛争に足を取られていると、国費の無駄遣いが続くので国内経済が良くなるどころか余計内需不振・・国民の苦境が拡大しますし、欧米からの経済制裁効果・・これは時間がかかりますので・・長引けばボデイーに利いて来てプーチンの方が参ってしまいます。
軍事費に税金を使えば軍需産業は潤いますが、同じお金を使うならば内需拡大用の公共工事・・インフラ整備にお金をばらまいた方が関連産業が多く広く恩恵が行き渡る外に、(古い公共施設を新しくするだけでも利用者の利便性が上がります)出来上がった立派な設備を多くの国民が使えて恩恵を受ける層が広がります。
日本の場合真珠湾攻撃だけで終わりにしたくとも自分で終わりに出来なかったのですが、(アメリカは日本が「窮鼠猫を噛む」挙に出るの待ち構えていたのですから・・終わりにはしてくれません)プーチンの場合クリミアだけ編入して終わりにで来たのですから、さっさと終わりにしてしまえば、遠くの欧米は手も足も出なかったでしょう。
中国はこの様子を見ているので、本気でやるときは尖閣諸島を奇襲攻撃で占拠して、それ以上一切攻撃せずにいて、日本が奪回のために攻撃するのが悪いと言う変な論法で死守する方針で来ると思われます。
世界は事なかれ主義ですから、そうなるとさしあたり休戦を要求して来て、日本は占拠されたままの既成事実を受入れざるを得なくなる可能性があります。
日本は現地駐屯軍をおかない限り無人ですから中国による奇襲占拠を防ぐ方法がないことを以前書きましたが、この結果自衛隊は昨年から離島奪回作戦の上陸演習を米軍と繰り返しています。
尖閣諸島維持するには、休戦を要求される前の短期間奪回作戦の成否にかかっているからです。

経済不振と排外行動のツケ1

最近突然噴出したクリミアやウクライナ紛争も、ココ1〜2年の資源・原油価格の値下がりによるロシア経済の悪化によってプーチン政権が苦境に陥っていることが背景にあると言われています。
解説を読むとそれなりの長い確執もあったのでしょうが、あっさり武力侵攻に踏み出すのはそれなりに差し迫った動機があったと見るべきでしょう。
シリア問題等国際交渉ではオバマはプーチンにやられっぱなしの印象ですが、オバマ大統領には恥をかかせたかも知れませんが、国際会議の主導権を握って国際的に得点を稼いでも、経済停滞が始まったロシア国民には何の意味・メリットもなかったと言うことでしょう。
国内不人気挽回にはどこの国でも、国粋主義的領土拡張主義が最も手っ取り早い手段です。
プーチンは速攻でクリミアを占拠してすぐに領土編入してしまうその手際は鮮やかでしたが、その瞬間だけは国民は喝采するでしょうが、実際の景気が悪くて月末の支払に苦しんでいる人や失業者はすぐに現実に戻ります。
泣いている赤ちゃんにミルクをやらないで大きな音を出して瞬間的に泣き止むのを期待しているようなもので、お腹の空いている赤ちゃんは、一瞬驚いて泣き止むもののすぐにまた泣き始めます。
不満の基礎を取り除かない排外行動は、絶え間なく起こさないと国民の関心をそらし続けられません。
プーチン政権は、絶えず国民の関心を集める事件を必要としていたためにクリミア編入の成功で手じまいに出来ず、引き続きウクライナ東部騒乱を煽る必要があったのでしょうか?
とは言え、ただでさえ経済が悪化しているのに、騒乱に軍事介入または背後での援助を続けると軍事費負担もバカになりませんし、欧米による経済制裁が利いて来てもっと経済停滞が進むので、国民の不満がよりいっそう強くなりかねません。
排外行為による国民の興奮は一時的なものですから、膠着状態が長引いた場合、経済苦境拡大による政権ダメージの方が強くなってしまいます。
苦しいから目くらましに始めたのに、対外紛争拡大によって軍事費の膨張によって、なおいっそう国民経済は苦しくなって行きます。
排外行動で愛国心を煽って国民の目をそらせるやり方はその間に経済好転する見通しがあれば別ですが、上記のように事件が終われば、その間に実体経済が好転していない限り不満がまた出て来ます。
しかし、経済好転の見通しがないから排外行動に打って出るしかなくなった状態で始める以上は、短期間の排外行動でその間に経済が好転している筈がありません。
赤ちゃんで言えばミルクを貰わないままびっくりさせられて一時泣き止んだだけですから、その間にもっとお腹がすいています・・大きな音が止めばまたもっと大きな声でな泣き始めます。
補給するミルクがない以上は、もっと大きな音を出して赤ちゃんをびっくりさせるしかない・・一旦国民不満のはけ口に排外行動を始めると際限ない対外軍事行動の拡大を続けるしかない・・終わりのない戦いになり兼ねません。
韓国の場合・・軍事行動を起こさないで日本の悪口を世界中で宣伝しているだけですから、まずいと思えば(日本が謝って来たからと言う口実を設けて・・多分水面下で朴大統領の顔を立てられるような形を付けてくれと言うお願いが来ている筈です)これをやめれば良いと言う安易な考えで始めたものでしょう。
慰安婦問題の河野官房長官談話もこう言う形で応じてやって来た結果ですが、・・この談話を利用して来る・・禁じ手を使って来る国ですから、今回は表面上顔を立ててやる解決をすることを日本国民は許さないでしょう。
韓国大統領は引っ込みがつかなくなって今回は勝手が違って困ってしまい、「毒を食らわば皿まで」と言うことで、反日批判で歩調を合わせられる中国接近を図ったと言えます。
国内不満そらすために直接的な排外行動を起こすと、終わりのないことになる傾向があると書いたことの韓国政治版です。

ウクライナ政変7と経済停滞2

英仏7年戦争が原因でフランス革命が起きたと書いてきましたが、中ロ等の後進国でもフランス革命時のフランスと同程度に国民経済が進化して来ていると、(原始的経済にとどまる北朝鮮とは違い・・)経済不振を誤摩化すために排外行動をすれば、より一層経済が損なわれてしまい、却って国民不満が高まる一方になるリスクがあります。
今のロシアや中国は、7年戦争当時のプロシヤオーストリヤレベルの自給自足経済ではありません。
2国間だけならば10対1の国力差の場合、双方同率のダメージを仮定すれば、大きい国にとって経済のダメージ率はそれほどではありませんが、道義に反することをして国際的経済制裁を受けると、相手とだけの関係では10対1の比率でも、逆に100対10の関係になることがあります。
まだ本格戦争・・本格経済制裁が始まってもいないのに、この可能性のリスクだけで昨日書いたようにロシアではこの1〜3月までの3ヶ月間で昨年1年間の合計資本流出よりも多くの資本流出が始まっていますが、逆にウクライナは西欧諸国からの支援が期待できる関係です。
ところで、現在社会では企業が損をするのを待って株価や債券相場が変動するのではありません。
例えば、来年または再来年の大幅損失が予想されれば、損をしてから株価が下がったり、債券価格が低下するのではなく、予想された時点で株価や債券(企業の社債)が大幅値下がりします。
儲けが出てから変動するのではなく、儲けが予想されるだけで相場が上がります。
現在のプーチン政権の苦境は新興国景気の停滞=資源価格下落/輸出停滞によるものですが、戦争になる→ロシアの資源輸出が更に停滞するのが必至・・さらに景気悪化する→株価値下がりが見込まれるとなれば、金融資本家は、一刻も早く株や債券を売って逃げ出したくなるのは自己保身のために当然の行動です。
ドイツ等の西欧諸国の企業やトヨタ、日産など既に進出した産業資本家は直ぐに逃げられないまでも、売れ行き不振を見越して生産を縮小したり新たな投資計画を中止したり抑制に動きます。
今回のウクライナ紛争が現実化すると日本がロシアからの輸入予定で進んでいた各種プロジェクトは西側の結束上、中止か先送りを余儀なくされるのは明白です。
この種の案件は、日本よりも関係の深い西欧諸国との関係ではかなりあると思われます。
この穴埋めを中国がになえるかどうかとなりますが、中国も従来必要な限度で買っていたものですから、イキナリ必要以上に大量に輸入を増やす=無駄な買い物を大量には出来ないので無理があるでしょう。
生産計画の見直しは実際に経済効果が出るのは半年単位先ですが、発注の見直し等は直ぐに関連産業・下請けに伝えられますので、金融資本に比べて即効性がないとしても、心理効果は直ぐに出ます。
この行動形態は外資に限らずロシアの民族資本家でも・・天然ガスの売れ行きが見込めなければ生産拡大や物流関連投資を停止して様子を見たり、生産縮小するしかしない点は同じです。
ソ連崩壊後のロシアは自給自足的社会から、西側諸国の経済原理を持ち込んで新興国の仲間入りした・・国際金融・産業資本を受入れている以上は、この経済原理から逃れられません。
計画経済のときには、在庫がふくれあがっても(国民に隠して)一定期間無理して生産を続けられたでしょうが、長期的無駄な生産継続が遂にソ連崩壊をもたらしたことが記憶に新しいところです。
比喩的に言えば、日米よりも多くの◯◯生産という統計のために需要がないのに生産継続していても(統計も誤摩化していたことが明らかになっていますが・・)いつかは無理が来ます。
如何に政府べったりの人材(プーチンの腹心)ばかりを送り込んでいるとは言え、ある程度民営化しているので、売れないものを営々と生産し続けることは不可能になっています。
逆に腹心である彼ら経済人の影響を受け易くなっているからこそ、プーチンは経済停滞を無視できず、必死になっているのです。

ウクライナ政変6と経済停滞1

アメリカが警察官役を下りると言えば、直ちにこの機会とばかりに相手が無防備ならばこのスキに・・・とばかりにイキナリ攻めて来る傾向のある周辺国が多いときには、このリスクに備えるべきでしょう。
再軍備派の主張では、無防備平和主義という理想論では実際にはどうにもならないという主張が中心でしたが、保革共に理想論という概念自体が間違っています。
周辺に腕力で不当な意見を強制したいとか泥棒や強盗をしたい・・日本国民を連行して奴隷にしたいと公言して国民教育している国がひしめいているときに、無防備平和論は理想ではありません。
日本国民が丸腰で国内で生活できているのは治安が良いからであって、しょっ中追いはぎや喧嘩が絶えない社会であれば、自衛のために集団で歩いたり武器を持って歩いたり自宅に厳重に鍵をかけるようになるのが理想です。
理想とは実態に適合した合理的な意見を言うべきであって、実態を無視した意見は非合理論であって理想論ではありません。
世に言う理想論は各種の与件が100%そろえばこれが良いという架空の議論であって、現実政治に関する議論は現実に存在する条件あるいは実現可能な条件を前提にすべきです。
ある日突然外国軍が押し寄せて再びシベリアに連行されるのでは叶いませんから、突然の侵攻を防ぐにはイザというときに備えて一定の軍事力保有が必要です。
今回のウクライナ・クリミア紛争によって、各種経済制裁・・先行き成長低下を恐れた金融資本家によるロシアから資金引き揚げが加速し始め、今年のロシア経済は大きな打撃を受けそうです。
3月30日ころの日経新聞ではロシアでは昨年から景気下降(資源輸出の停滞化)や新興国からの資金逃避傾向(アメリカによる金融緩和縮小予想)による資金流出が続いていたのですが、今年に入って3月までの流出資金量が昨年1年間の合計を越える6〜700億ドル(正確な数字を忘れました)の資金流出があったと書かれていました。
紛争が長引けば、ロシア経済が資金流出のダメージを受けて大変になるだけではなく、ロシアに巨額投資・進出している西欧企業も当然儲け損なう外に(あわてて引き上げれば・・叩き売りすれば当然株価や債券等は大幅に相場が下がりますので)評価損を受けます。
西欧はロシアに対するエネルギー依存だけではなく、資本・企業進出等経済的に大きく深く関与しているので、ロシアとの対立激化は双方にとって大きな痛手になります。
ロシアは西欧も損をするので厳しい経済性差が出来ないだろうと多寡をくくっている面もあって却って戦火が拡大する危険をはらんでいます。
最貧国と言うか破綻国家に近いウクライナに対してEU(準)加盟条件として、EUはこれまで厳しく緊縮を求めていたものの、ロシアとの綱引きの行きがかり上うるさい条件を引っ込めて(緩めて)巨額援助をするしかなくなったので、なお経済負担が大変になります。
以上を見ると第一次〜第二次世界大戦で相互に傷を負い西欧全体が地盤沈下したのに続き、今回の紛争が激化・長期化すれば、直接戦火を交えずとも西欧とロシアは更に大きな経済的困難・・地盤沈下に陥るように見えます。
プーチン氏自身の自己保身効果で見れば、経済不振による支持率低下で早晩失脚するよりは、民族意識を高揚させて一時的でも支持率を上げる方が先決と読んで、長期的効果による国民の損失まで考えていられないという計算だったでしょう。
ケネデイの始めたベトナム戦争もブッシュの始めたイラク戦争もその都度支持率は上昇しましたが、その後アメリカの国力低下の原因になっています。
結局彼らはいずれも自己保身のために国民全体の利益を犠牲にした政治家と言えます。
独裁国家では失脚後生命の危険があるので、国民の利益を犠牲にしてでも民族意識を高める方向・・対外軍事力行使へ動き易い・・こうした傾向が強く出るので、自宅近くに暴力団事務所があるようなもので近隣国にとっては、危険な国です。
もめ事を起こさないように近所の人がよけて歩くので、暴力団員が偉くなったような錯覚を起こしているのが中国指導部と言えましょう。
韓国は中国のように軍事力で日本を威迫できないので、虎の威を借る狐のたとえどおりに日本の誹謗を繰り返して国民の鬱憤ばらしに精出して支持率低下を食い止める基本方針で戦後60年以上もやってきました。

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC