共謀罪と組織犯罪防止条約1

近代法に反すると言うだけの法制定反対論は、結果的にそんな規制は必要がないと言う結果を期待しているとしか思えません。
繰り返し書いていますが、単なる参考意見に留まらず政治運動をする以上はそのもたらす結果から考えて行くべきです。
そうとすれば、この条約が成立しかけている段階で頑張るべきであって、成立後14年も経過してしまっている現在になって、規制内容が近代法の精神に反すると言う理由だけで、国内法整備に反対し続けることがどのような政治結果を目指していることになるのでしょうか?
国内法整備義務に応じられない・・異議を唱えて日本だけが条約から脱退しろ・・そんな勝手なことが世界経済に組み込まれている現在社会でも通用するとでも言うのでしょうか?
日本は既に2000年ころにこの条約に署名し国会承認も終えているのに、対応する国内法整備を条約に反して怠っている状態で14年も経過しています。
その結果、日本が犯罪組織に寛容過ぎるという国際勧告を何回も受けている状態にあるようです。
・・国際常識から孤立していることをしょっ中訴えることのスキな弁護士会や左翼文化人はこれを公平に公表していません。
ことしに入ってフランスの大手銀行(バリバだったか?)が、テロ・犯罪組織だったかに融資〜銀行取引をしていたと言うカドで1兆円規模の罰金支払い命令を受けて国際ニュースになっていましたが、これ以上日本の取締が緩過ぎると日系銀行も1兆円規模の罰金を科されるリスクが現実化しています。
1年〜半年ほど前にみずほ銀行系列組織(日本信販系)が暴力団関係に融資していたことがニュースになりましたが、国内ニュースで終わる保障がない不安・・こんなことを繰り返していると、いつアメリカによる金融制裁対象にならないかの不安が現実化していることが確かです。
20年ほど前に大和銀行がアメリカで不正取引が摘発されて、国際業務から全面撤退となって、今では銀行自体がなくなっていることを想起しても良いでしょう。
今では日本だけが勝手に世界基準に反して国際業務を出来ない時代です。
共謀罪新設に対する反対論の中核は「近代法の精神に反する」と言うだけのようですから、国際社会で共通化している時代精神の変化に対応出来ていないことを自ら暴露しているようなものです。
(現在社会は近代社会ではないのですから、現在社会が必要としている法制度の必要性を正面から議論することが必須です)
国際社会では近代法の精神を十分理解しながらも新しい時代に対応するべく苦心して議論を尽くした結果、このような国際法規順・・国際条約が生まれて来たと思われます。
日本の法学者や弁護士だけが、西欧で発達した近代法の精神を知っている訳ではありません。
近代法精神確立の本家である欧米主導で決まって来た国際標準・・組織犯罪防止条約の履行が「近代法の精神に反する」と言うだけでは、「何を言ってるの?」と思うのが普通ではないでしょうか?
日本の法学者や弁護士が、国際社会で進行中のテロや組織犯罪防止対策が、近代法の精神に反すると批判することが自明であると主張するならば、西洋その他先進国が、何故近代法の精神に反する筈のテロ対策の合意をするに至ったのかの議論・・必要性論を紹介した上で、実際の社会状況(立法事実)を前提にしても、そんな対策が不要と言う意見ならば、その論陣を堂々と張るべきです。
法律は、現実社会に必要な道具であって机上の空論のための道具ではないのですから、法律論の優劣はその意見を現実社会に適用すれば、人権を守りながら社会が合理的に回って行くことが出来るか否かの問題です。
災害弱者を救済するためにはプライバシーに配慮しながら、救助関係者に災害弱者の情報を与えておく必要がある・・他方でどのようにすれば、この情報が悪徳業者等に漏れないかの具体的作業システムが問題になっているのが現在社会です。
このように、モノゴトは「知る権利・プライバシー権・思想の自由を守れ」「弱者救済」などの観念論だけでは、解決出来ないようになっている・・具体的議論をして決めて行くのが現在社会です。
この緻密な作業を全くしないで「近代法の精神に反する」と言う抽象論ばかりでは、そもそも法律論を戦わせるべき一般的論争ルールにも反しています。

日米平和条約の不存在1

アメリカが飽くまで非を認めない限り、日米はまだ真の意味で和解していないことになります。
(それをアメリカが一番良く知っているから復活した日本の報復が怖くて戦後日本の力を殺ぐことならば、何でもすると言う最大の仮想敵にして来たのです)
日米間では独立状態での本来の平和条約が結ばれていない・・原爆と占領下で強制された条約しかない・・一種の戦争状態のままですので、「仕返しをするべし」という気運がその内に盛り上がって来ると厄介です。
敗戦国日本に押し付けた欧米の国際条約の有効性論理によれば、戦争の結果による条約を無効としてその結果獲得した領土等全て無償返還すべしというのですから、日米・あるいはサンフランシスコ平和条約は占領下で行なわれたのですから、日本側がいつでも無効宣言出来る関係です。
どんな大国もいつかは衰退して行くのですから、アメリカが自分のやって来た非人道行為について知らんぷりしていて、相手ばかり批判する・・原爆投下責任や戦後処理の不当性批判等を力づくで抑える政策をとり続けるのは持続可能性がなく、将来に禍根を残す政策です。
アメリカが日本批判を中韓両政府にさせて、その逆張り数々の戦争中の非人道行為を謝らないままで、戦争を早く終わらせるために都市住民を包囲して丸焼きにしたり原爆投下して何が悪い?と開き直りに固執し続けていると最悪です。
日本が将来優位に立ったときには、アメリカ中の都市住民を包囲して次々と焼き殺しても、核攻撃しても(戦争を早く終わらせるために)許されるというアメリカの大好きな報復論理展開論を誘発し兼ねません。
実際には大多数の日本人はそうした報復の循環・連鎖を好みませんので、何事でも許し包容する文化を育んで来たし,報復を断ち切る智恵を縄文・弥生時代から蓄え実践してきました。
ですから、ココではアメリカが最後まで謝らないとしても、多数の世論はそうはならないでしょうが、一定数の跳ねっ返りが騒ぐ事態が来るのを心配をしています。
アメリカは日本の報復を極度に恐れているから日本を最大仮想敵国にして来たのでしょうが、早く謝ってくれさえすれば日本は許せるし、真の同盟関係になれます。
アメリカがある程度力のあるうち・・日本よりある程度優越している関係のうちに、平和裡に謝ってくれて解決しておくのが、双方にとってベストだと思います。
優越している方が謝るのでは沽券にかかわるというのは、度量の狭い小人の考え方です。
アメリカが上位者である内に率先して謝ってくれると、下位者の日本は感激するので効果が大きいのです。
悪いことや失敗して相手がまだ気が付かないからと知らんぷりしていると、却って修復の機会を失うことがあるので、我が国では失敗したら相手に指摘され非難される前に率先して謝るのが古来からの智恵です。
会話の開始の前に先ず・・「済みませんが・・」と一種のお詫び言語が入るのは、その典型パターンです。
アメリカは日本に比べて文化度が数千年〜数周回遅れの国であると何回も書いてきましたが、潔く謝る智恵がない・・度量が狭いのが難点で、今後国力衰退に伴ってこれが大きなネックになって来るでしょう。
大きな声で自分の主張をすることしか経験がない点では、韓国、中国と同レベルですがこれでボロをあまり出さないで来られたのは、国力が桁外れに大きかったからに過ぎません。
アメリカが今後相対的強者の地位に転落し始めると、今までのような単純意思表示では外交が難しくなりますが、アメリカは経験が乏しいので自力で対応すればこれからはボロ続出になるでしょう。
日本と一日も早く和解して真の同盟関係を構築し、日本のしなやかな外交力・経済力で補完してもらうのが、アメリカが世界の覇者の地位を少しでも長く維持し続けるための最良の道です。
アメリカは、中韓を利用してわざわざ自分から日本を敵対関係に追いやっている余裕がなくなりつつあることを理解すべきです。
もしかすると最近少しずつ分り始めているような兆候・・中韓両政府の靖国問題・慰安婦問題/南京虐殺提起等に対して迷惑そうな受けとめ方が増えて来た様子が見えます。
しかし、兆候で誤摩化すのではなく、はっきり謝ってしまえば日本人は納得するし、心底からの信頼関係・・日本は誠実ですから固い同盟関係になるでしょう。
謝ってしまえば、中韓が靖国参拝等を批判する論拠をなくしてしまいますが、謝らないままである限り、中韓がココをついて来る都度日本人はアメリカが謝りたくないから陰で慰安婦問題等を次々とでっち上げて唆しているとの疑いが強まらざるを得ず、不幸な(心底に不信感のある)関係が続きます。

日米安保条約2(アメリカの世界戦略1)

日米安保条約は実質占領政策の延長条約にも拘らず、建前上独立国として守ってやるのだから基地を無償で使わせろ、高度軍備の開発を必要がないと禁止した上で駐留経費を日本が持つべきだと言って巨額防衛分担金を徴収してきました。
家康の親の死亡後に今川が事実上三河の国を支配下において岡崎城を占領して城代をおき、その経費をとっていた故事を想起させるやり方です。
支配・隷属下におくが今川軍が守るのではなく,何かあると三河兵に先鋒を命じて一番危険な役割をさせる・・現在で言えば片務的な安保条約を相互条約に変えて自衛隊が米軍を防衛出来るように変更しようという動きと同じです。
日本軍が先鋒をやってみて、負けたら米軍が後ろ盾として出て行ってやるという建前ですが,航空母艦なしに500kも飛んで行って戦えば、自衛隊機はもの凄いハンデイですから,余程の戦力差がないと戦えば負けるに決まっているのですから,アメリカの真意が信用出来ない状態になってきます。
安保条約や関連条約は契約・条約とは言え、実質日本占領を誤摩化し日本独自の軍備増強を阻止し,あまつさえ費用を強取するためのシステムに過ぎません。
戦後否定された筈の欧米による植民地支配の形を変えた合法化を狙ったものでした。
昨日から書いているように、日米安保条約は、戦前の対等間の条約とは防衛条約の本質が変わっていることが明らかですが、識者は・・過去のことを良く知っていて目の前のことを見ないタイプのことですが・・眼前の事実・支配服従関係にある実態を無視して過去の幻影で物知り顔で論じていることになります。
アメリカは日本の反抗・・報復を恐れて軍備充実の邪魔をして来たばかりか、巨額の防衛分担金を戦後70年間近くもむしり取っていながら、イザとなれば日本防衛義務を果たす気持ちがない・・自分の国は自分で守るべきだと言うならば、何のための防衛条約だったかとなります。
(安保条約本質は米軍長期占領の合法化・口実に過ぎないのですから、日本を守る気持ちがないのは当然と言えば当然の結果です)
米軍は日本に対して兵器供給して来たと言うでしょうが,日本の場合自力開発が認められていないから,仕方なしに米軍からの供給に頼っていただけであって,自由に開発出来れば,中国などに負けるような装備状態に陥ることはあり得ません。
イザとなって協力しないのでは,保険に入っていたのに火事になったら自分で家を建て替えなさいよ!」と言って保険金を払わないようなものです。
詐欺だから過去の提供した資金を全部返せとの問題も起きてきますし、自分が約束を果たせないならば、少なくとも中国の脅威に備える限度での、日本の軍備充実・貿易に必要な限度での拡大を邪魔しないのがスジでしょう。
アメリカが経済力の衰退に伴って世界中の警察官役を果たせなくなって行くならば、地域ごとのパートナーを決めてパートナーの協力を得て行かない限りその地位を保てません。
このような単純なことすら決められないでアヤフヤな態度を示しているから、中共からまさに「鼎の軽重を問われる」事態になったのです。
習近平に西太平洋を中国に明け渡すのかの決断が迫られているのですが、オバマ政権は世界中から指摘されているようにかなり無能なので何も決められない状態が続いています。
この空白・無能さを衝いて中韓が同盟関係に向かい始めました。
日本の選択肢はただ1つ・・アメリカの衰退した分を順次穴埋めする方向(戦力の充実・・アメリカが西太平洋の安全を保障するための空母を維持出来なくなったならば、日本が代わりに建造・維持するとか)に進むしか自国を守る方法はありません。
日本が最近ヘリ数機の発着可能な巡視艇を進水させたことを、中国が大きく取り上げているのはこうした事情によります。
中国の場合爆撃機や攻撃機の発着可能な航空母艦を就航させたと自慢しているのに対し、我が国は警察分野の保安庁の巡視艦に過ぎない・・登載出来るのも対航空機戦闘を想定したものではなく、監視機能中心のヘリコプターに過ぎません。
それでも大騒ぎしている中国を見ると、(イザとなれば日本は直ぐにも中規模の航空母艦製造能力があることを知って)自身の本音が垣間見えます。

日米安保条約1(航空母艦の役割3)

航空母艦がないままですと仮に現地遭遇戦をやろうとして出掛けて行っても、相手が一旦逃げてしまうと、4〜500km余計飛んで来ている日本の飛行機は現地に長くとどまれないので、少し追いかけ回したり探すくらいが関の山で直ぐに那覇基地に引き返すしかありません。
引き返すときに1昨日書いたように、追撃されたら大変ですし、仮に追撃されないまでもその間にまた占領されればイタチごっここですから、こんな消耗戦を続けられません。
これを5〜6回も繰り返していて「また逃げるのだろう」とうんざり気分になったところで突如反転して来て戦闘を仕掛けられると気が緩んでいる僅かな差が不利な結果になります。
戦闘開始をするか否か,どこで始めるかの場所すらも相手のイニシアチブにかかる・・ゲリラ戦になると、10倍の兵力があっても不利な戦いを強いられます。
占領された離島を奪回するには、日本自体が航空母艦を持って現地常駐して対峙するか、米軍の航空母艦が参戦しないと不可能なことになります。
現在の日米奪還作戦の訓練は、米軍が本当に共同参戦してくれるのか不明のママ、もしかしたら実際には機能しない訓練を気休めのためにやっている可能性があります。
米国は同盟国の義務を果たすかのようにお茶を濁しているだけで、米軍は実際には何もする気はないし、自衛隊は何も出来ないで終わる可能性があると想定しておく必要があります。
何もしないということは、中国軍が沖縄本島周辺を除く離島を総嘗めにして占領してしまってもただ見ているだけ・・韓国に占領されたままになっている竹島のようになることを意味します。
例によって、アメリカはアジアでの紛争拡大を望まない・平和を望んでいると言って「話し合い解決しなさい、もめ事を大きくしないで・・」というのがアメリカのスタンスでしょう。
日本政府は「いつでも話し合いの門戸は開かれている」と逆に言い訳しなければならない変な立場に追い込まれ現状固定して行きます。
これでは、日本は世界の笑い者・・惨めな結果になります。
アメリカが日米同盟による同盟国の義務を果たすには、占領自体を阻止する共同作戦を実行すべきですし、これが出来ないならば日本軍の・装備(航空母艦)充実の(協力しないまでも)邪魔しないことではないでしょうか?
アメリカの真意は必ずしも明らかではありませんが,第二世辞世界大戦時同様に真意は米中結託があって日本を中国に蹂躙させる密約がないとは言い切れません。
日本の軍備増強を阻止して弱体化したままにしておいて,あるときイキナリ撤退してしまい戦備の整わない日本が大負けするパターンを狙っていないとは限りませんので注意が必要です。
相互防衛条約とは紛争当事国がまず率先して戦い、不足を補うのが原則であるから日本がまず負けても戦う気概を示すべきだというもっともらしい意見がときどき聞かれます。
負けてから、助けてもらえるという意見です。
しかし、日米同盟の場合は日本の再軍備を事実上禁止して来た歴史がある上に、米軍が日本全土を我が物顔に基地として優先使用している現状から見て、その代わり、アメリカが守ってくれるものだと日本人多くが信じて来たのは誤りではありません。
いわゆる識者が訳知り顔で言うところの過去の伝統的条約の場合,確かに同盟国が諸種の援助をするだけで必ずしも一緒に戦う訳ではありませんが、その代わり日英同盟の例でも分るように防衛分担金を負担することはありませんし、日本の軍備増強に協力することがあっても阻止したこともありません。
ましてや日本国内に好きなように基地をおかせることもありません。
戦後普通になった基地を提供する方式・新たな武器開発を禁止されている場合は、同盟国とは言っても実質は支配服従の関係ですから、その代わりに自国を守ってくれることを前提にしています。
昔から,同盟条約がなくとも、占領軍が占領してる以上は領民を守れないと支配者が権威喪失してしまいました。
動物の世界でもリーダーがリーダーたる能力を発揮出来ないと直ちにその地位を追われる仕組みです。

 損害賠償リスク7・原発賠償条約

日本人はみんな「困ったものだね」というだけで(暴動を起こしたりせず)静かなものですが、外国からの請求となれば避難区域や請求を膨らますことはあっても遠慮して少なめ請求というのはないでしょうから、天文学的数字になるのは目に見えています。
アメリカの弁護士などは、少しでも魚介類に放射の汚染が見つかれば日本相手に巨額賠償訴訟を起こすチャンスをうかがって虎視眈々としているとも言われます。
ちょうど日経新聞8月14日の朝刊(このコラムは14日に書いています)1面ど真ん中に大きく、「原発賠償条約加盟へ」と出ていました。
私のような関心に基づく心配をしている実務家が多いから、この動きになったのでしょう。
この条約の目的は国際基準で賠償額を決めて行き、法外な請求を受けないようにしようとするものらしいです。
何かあると中国当たりから法外な請求が来そうで心配ですが、それを防ぐ目的の条約ですが、逆の意味もあって条約加入によって法外に安くおさめようとしている我が国の現在のコスト計算根拠自体が国際基準であぶり出されることにもなるでしょう。
例えば、日本では被害実態を少なく見せるために最初僅か3kmの避難、次いで20km、30kmと広げてきましたが、外国の場合、日本へ全額請求出来るとなれば初めっから広めに避難させるのが普通でしょう。
フランスやドイツの場合、何と東京でさえ危険として大阪へ大使館機能を直ぐ移転しましたが、外国からの請求の場合これが参考になります。
このシリーズの冒頭・・August 9, 2011「原発のコスト1(輸出リスク)」に書いたように今後国内のみならず海外からの巨額賠償請求が起きる可能性が高いのですが、海外からの賠償請求は海外の裁判所に提起されるでしょうから、日本政府の権力による高圧的・一方的な基準は通用しません。
総損害に関する具体的積算数字が公表されない・・・原発関連学者が正確な数値計算して公表すべきでしょうが、(当面は概算数字でも発表すべきです)誰もこれをやっていません。
原発関連学者・・科学系だけではなく、原発をやめたらコスト的に大変なことになるという経済学者・エコノミストこそ、一旦事故が起きたときの被害総額を積算して、それを稼働中の原発コストに上乗せして火力よりも安いと言う積算根拠を示すべきでしょう。
賠償コスト(運送会社で言えば交通事故処理コスト・・不確定なので、一般的には保険利用で損害・支出を固定化しています)を損益計算に計上しない会計処理で黒字の事業計画を公表されても、粉飾そのもので誰も信用しないでしょう。
経済学者は、条件的因果関係まで可能性のある損害は全部積算して(緻密な計算は間に合わないとしても概算計算くらいは早期に公表すべき学者としての義務があるように思いますが・・・)国民に公開すべきですが、この大事なときに何故沈黙しているのでしょうか?
変数が大きすぎて何の結果も期待出来ない為替の予想や今後の経済見通しなどどうでもいいこと(あたった試しがないので・・)には、しょっ中意見が新聞などに出ますが、脱原発か否か・・長期的国策を決めるための重要な要素であるコスト計算に限って何故、誰もしようとしないのでしょうか?
・・今回は現在現に起きている総損害の把握をすればいいので、不確定な成長予測や為替予想などよりも源に存在する客観的事実把握が中心で確定的・・信頼性の高い調査が出る筈なのに、これを誰もしていない様子です。
「原発をやめたらコストアップで大変なことになる」という産業界の大合唱が正しいかどうかに関して、学問的にどうなのか発言するのが経済学者の責務ではないでしょうか?
よほど原発関連業者の反発が怖くて、学者の誰も発言出来ないほど思想統制が行き渡っているのでしょうか?
自己の思想良心に従って研究発表する勇気ある学者が一人もいないのでしょうか?
学者と言ってもどこもかしこも研究費を企業からもらっているひも付きが中心で、そうした学者ほど偉いことになっている学会の弊がここに現れたとも言えます。
良心に従って、実態調査・研究したくとも、その調査研究費(アルバイトなど実労調査人員が必要です)がどこからも出ないと手も足も出ないのかも知れません。
机上の空論という言葉がありますが、今の研究は、自前で・足で調査するのではなく、各種統計が出そろった数年後のデータ分析しかやっていないのかも知れません。
これでは遅すぎるので自分の足(アルバイトを使ってでも)で緊急調査・・・国のような全面的統計は当面無理なので当面サンプル調査して、ラフな結果でも良いので、大方の方向性の分るような概算計算を発表すべきではないでしょうか?

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