新型コロナウイルス被害と流言飛語4

解決困難な問題が起きると社会内弱者に標的を求めるのが一般的傾向ですし、政権担当者はこの機会に政敵に標的を振り向ける傾向がありますが、今回コロナを理由に対中感情悪化させる意味が非合理すぎます。
中国発であるのに開き直るとは何事か!と多くの人が思ったでしょうが、それによる嫌な国だねと言う悪印象と国を挙げて中国非難しなければならないか・・嫌中感情を煽るのとは別物であるべきです。
大統領が敵視発言すると、国民がそのままなびく・・なんでもユダヤ人が悪いというナチスの主張の再来のような不気味さを感じます。
論理的に見れば飛躍のある無茶な扇動が、そのまま膨大な底辺層に反映され行動に移される社会になっているとは驚きです。
韓国による慰安婦攻撃激化最中には、日本でも嫌韓感情激化している時には、坊主憎ければ袈裟まで憎い式の過熱ぶりでしたが、米国では基礎的でしょう。
それだけ米国大多数の人たちにとって米国が苦しくなっているからでしょうが・・躍進するアジア人が諸悪の根源と映っている・思い込みたい願望があるのでしょうか?
戦前の(排日運動が嫌中運動に切り替わった?)黄禍論の焼き直しでしょうか?
翻って日本人の素朴な感想ですが、私の事務所に来た人がなぜこんなに欧米でコロナ禍がひろがるのですか?と世間話が出てくるのですが、彼らにはなんら欧米人に対する悪気がないのです。
むしろ先進国としての尊敬・先入感を前提に、医療や保健衛生の進んでいる筈の先進国で何故?という素朴な疑問です。
日本にいて、欧米でのアジア人差別が起きているというニュースを時に見かける程度の普通の人が、差別を受けた逆反応で意趣返しで言っているようには見えませんが、欧米人から見れば自分たちが差別意識丸出しでアジアのコロナ騒動をバカにしていた負い目があるので、今になると自己弁護に苦しんでいる状態でしょうか?
アジア人同士の会話を知れば、中国発のコロナ騒動を衛生環境の悪いアジア特有の伝染病だと言う先入観でアジアを見下していた誇りをイタく傷つけられ、格好つける必要があるのでしょうか。
底辺層の心理を利用してトランプ氏のWHO批判になったのかもしれません。
事務所に来た人が逆差別意識による疑問ではなく、ただ疑問を述べただけですが、不思議なことが起きると誰もが何故だろうと原因を探りたくなります。
これに対する識者の解説がないので、あとは素人の思いつき放題となるのは仕方ないとも言えます。
識者の公式見解は、コロナの特質もわからない以上は、民族別の強弱があるかどうかも不明・・なぜイタリアで猛烈な勢いで増えたかニューヨークはどうだなども合理的説明不能なので、(高齢者が多いからとか、格差社会だからなどなど)ああじゃないかこうじゃないかの憶測に委ねるしかない状態です。
最近の解説(今朝日経新聞朝刊)では中国、韓国、台湾香港では中東症候群(マース)やサースでひどい目にあったので防疫シスステムが整備されていて、すぐに実行に移せばよかったのに対して、過去に痛い目にあっていない日本や先進国がシステム化されていなかったのでドタバタ対応になった・・遅れを取ったというもののようです。
根拠不明の、大混乱時において人種差別的意見が幅を利かす社会とそうでない社会の差が生じます。
鬱屈者の多い社会では何かある都度社会の弱者を標的にしたがる・いじめっ子心理と同じでしょう。
人種的不満がある社会では何かあると弱い立場の人種を標的にして、諸悪の根源みたいに何でも結びつけたくなる傾向が下地にある社会では、何か大きな災厄があると人種差別運動に繋がりやすいのでしょう。
日本は人種的偏見が少ない社会のように見えるのは、日常的不満が少ない社会・・鬱屈している人が少ないからか?とノーテンキ的に考えたくなるのが私の傾向ですが、見方にによっては人種的集団を標的にしないだけで、個々人間の陰湿なイジメがあとを断たない(この発生率が国際標準より多いか少ないかを知りません)ことや、何かあっても異人種相手の標的探しにならないのは目に付く移民集団が存在していないからかも知れません。
現在在日韓国人が標的になりやすいのは、母国の反日政策が強烈すぎることによる反作用であって、集団としての存在感が大き過ぎるせいではないでしょう。
嫌韓感情の高まりに比例して在日韓国人が民族衣装着用などで民族性を誇示しなくなったのは賢い対応です。
他方でコリアタウンと称して存在を誇示するのは、民族派を刺激するマイナス行為でしかないように見えますが、メデイアはヘイト行動は憂慮すべきことだと言いながら、何のために宣伝するのか不明です。
日本社会に永住したくて住んでいるならば、民族出自をあえて誇示する必要がないはずと思うのは私の偏見・理解不足でしょうか?
弁護士会にも在日系がいますが、自分からいちいち在日系を誇示するようなことをしていません。
普通に仕事をして結果的に信用を得ていけば良いことで、実際に人柄、仕事ブリが良いので周りから大事にされています。
同じ日本人でも「郷に入れば郷に従う」精神で、地方の移転した人が自分は都会から来たとひけらかす必要はありません。
コロナ被害の現状で言えば、今後一巡2巡すればどういう結果になるかも不明ですし、原因不明である以上は人種別のウイルス対応力強弱をいうのは時期尚早ですが、原因不明の場合には結果から見たくなるものです。
疫学的方法と言われるもので多くの科学発展の基礎であり、不合理とは言い切れません。
まだまだ第二波があるかもしれないので現状が結果とは言い切れませんが、現在の到達点から見れば、欧米系人種(広く言えばコーカソイド)中心の社会がアジア人社会に比べて圧倒的多数の被害発生になっています。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58620330Z20C20A4I00000/

コロナ感染者、米国で100万人突破 世界の3分の1に
2020/4/29 4:02 (2020/4/29 7:33更新)
米ジョンズ・ホプキンス大学によると、米東部時間午後6時半(日本時間29日午前7時半)時点で101万717人となった。世界の感染者数は約311万219人で米国が3分の1を占める。米国に次ぐスペインは約23万人、イタリアも初めて20万人を突破した。死者数は全世界で21万6808人に達し、米国では5万8365人に上っている。

新型コロナウイルス被害と流言飛語3

トランプ政権は発足当初低賃金労働者の入国禁止を基礎にしたメキシコ国境の壁構築やテロ防止名目にしたイスラム系入国規制厳格化という幅広い制限から始まったのですが、ここにきてターゲットを米国覇権に対する挑戦者中国に絞ったように見えます。
政権の煽りに便乗してアジア人と見れば(日本人に)痰を吐きかけたりする国民が多いのは、日頃から現状不満分子が社会に充満しているからかも知れませんし、ナチスの扇動にドイツ国民が便乗してしまったような状態の再現でしょうか?
米国は建国以来、黒人奴隷に始まるとてつもない格差社会化を突き進めてきたのですが、領土拡張と経済成長している限り相応の分け前によって底辺層の不満を吸収できていたのですが、拡大・成長が止まると・・格差拡大路線が行き詰まるのは当然です。
成長の恩恵を受ける中間層の没落→(元中間層を含む)底辺層不満が溜まって来たことがトランプ流ピュリズム政治が台頭する下地ですが、ただ不満のはけ口として弱者集団・・先ずは新規移民削減や不法滞在者摘発強化に向けるのは国内に直接の敵が少なく安全な方向でした。
しかし、インデアン支配地没収と西部への進出(フロンテイア精神と称する支配領域拡張)象徴される受け皿拡張の終了・現合衆国領土確定→中南米の間接支配+フィリピン支配などの帝国主義競争参加を経て、戦後は西欧植民地独立を後押ししながらその後釜に入る・・中東や東南アジア諸国への間接支配拡大により、ずっと勢力拡大路線が成功してきました。
米国支配の構図が崩れ始めてメンツを保てなくなっただけでなく、本国へのリターンが少なくなり内部分配額縮小過程に入ったので、各地に展開した軍事基地の維持費が負担に感じて同盟国という名の間接支配国に相応の負担を求めるしかなくなったのでしょう。
グローバル企業で言えば、ある国に進出した生産設備が採算割れになったので近隣国へ統合するような動きです。
国外駐留軍の駐留コストに見合う利益がない・・間接支配のメリットがなくなってきたから、世界の警察官ではないというようになり、駐留費用分担要求をすれば同盟国への間接支配力がなお揺らぐ結果になります。
ショッピングモールの魅力が減って売り上げ減になったので、出店料率を引き上げたいと言っているような構図です。
オバマ以来はっきりしてきた対外プレゼンス縮小の動きは実力縮小に合わせたものですので、これを継承したトランプ政権はプレゼンス縮小延長で
「今後は気前よく外国人を受け入れるわけにいかない」
という人口政策に一歩踏み出したものです。
米国の方向転換を宣言したのがオバマであり、その実行段階に入ったのがトランプ政権ですので、関係国は米国の方向転換の実行段階に向き合うしかなくなりました。
移民受け入れを象徴としてあらゆる場面で度量の大きさを売りにして来た戦後の米国の立ち位置変更宣言がオバマの発言であり次期政権を担うトランプ氏はその具体化に入ったと見るべきでしょう。
トランプ氏は正面切って国力限界を言いたくないので格好付けのために、アラブ敵視などの口実を探しているだけのことで、人権派の言い分に従って仕方なしにアラブと明記せず全世界に向けプログラム変更をしたかのように装っていますが、本音は全世界に向けてこれ以上の移民入国は困るという意思表示です。
米国の本音は、勢力拡張の限界→今後経済成長拡大しないとなれば分配すべき対象を減らすしかないとする単純論理でしょう。
企業で言えば、構造改革に伴うリストラ・新規採用縮小宣言と採算性の悪い海外営業所や工場の統廃合宣言です。
オバマ氏が「米国は世界の警察官をやれない」というと、すかさず中国・習近平氏オバマとの首脳会談で太平洋を二分して自国が支配するかのような提案をしたのが、米国の尻尾を踏んでしまいました。
長期的にはそうなるしかないとしても、「もっとやれるでしょう・微力ですができるだけのことをさせていただきますので・・」と応じるのが日本的礼儀ですが、中韓はまともにこれに応じて走り出してしまったようです。
このまま一直線に進むとアジアにおける米国の影響力が雪崩を打って崩壊するので焦った米国が世界の警察官を止めるというのは、中東の混迷から手を引くことであって、その分アジアシフトするという方向宣言するしかなくなったのです。
しかしそれはレトリックであって、実際にはアジアでもプレゼンス縮小の動きは急です。
アジアのハブ機能を持つ在沖兵力縮小の動き・・・グアム移転戦略が急ピッチで進んでいるし、駐韓兵力も戦闘力とは言えない規模に近づいているようです。
この本音を見た中国は南シナ海で埋め立て工事を実力行使した挙句に大規模な空軍基地を完成させてしまったようです。
今なお、米国の意向に正面から逆らうと痛いめに遭いますが、(経済封鎖を受けるイランのように)韓国は中長期的にはアジアは中国の勢力圏に入ると見越して中国への擦り寄り姿勢が露骨です。
日本にとって隣国のことなので判り良いだけで、この動きは世界的規模で起きているでしょう。
中国の対米挑戦姿勢が露骨になってくると、米国内で嫌中感情が渦巻くようになってきたのが米国の現状です。
トランプ氏が対中経済制裁に乗り出し、暗闘の域を超えて正面からの抗争に発展したのがこの数年ですが、トランプ氏が再選されなくとも対中標的の戦略が当面変わらないと言われているのはこの理由によります。
この重要段階で米国社会の基礎を突き崩すコロナ禍が起きて(貧困層を直撃すると)新型コロナ発祥の地である中国よりはアメリカ社会の弱点がモロに表面化してきたように見えます。
新型コロナ当初は衛生や医療の遅れたアジア特有の現象と欧米はアジア人を軽蔑していたのですが、武漢で始まり周辺アジア諸国に広がる段階を経て世界的に伝播してみると感染拡大率、死者数で欧米や中東の方が抵抗力が弱い結果が出てきたので、客観的に見れば今や攻守反転状態の筈です。
この現実が明らかになってから逆にアジア人差別が肥大化しつつあるというの意外ですが、自然発生的社会現象としては不自然です。

米国領土拡張・人口吸収政策の限界3と対中攻撃

失業率の上下にビクビクしているのは中国よりアメリカの方です。
周期的に存在する景気変動による失業率増加程度は時の政権支持率に不利に働く程度でしょうが、長期低迷・・歴史上経験のない事態に突入してくると、United States 「連合」を組む意味があるのか?Unitedのタガが緩むリスクの方が大きいでしょう。
米国自身の弱みを中国の弱みにスリかえて国際宣伝しているように見えます。
連合国United Statesの解体を防ぐにはUnited States創設の原初にもどり外敵が必須・・外敵向けの一致団結を訴えるしかない・星条旗の元に参集する状況作出が過去の米国政治でした。
今回の新型コロナウイルス禍がどういう形で収束するか不明ですが、いつもアクセルを吹かし続けないと生き残れない・・あくせくした成長社会モデルが終わりを告げて江戸時代のような落ち着いた社会・・安定社会に戻る印象を受けますが、いかがでしょうか?
安定社会・・成長を追い求めない歴史経験がないのが米国の特徴です。
米国は第二次世界大戦後、朝鮮戦争に始まり(これは北朝鮮による一方的侵略によるものでしたが・・)その後もベトナム戦争など絶え間なく戦争をして国民の亜kん芯を引きつけて来ましたが、アフガン〜イラクに始まる中東へ侵攻は出口が見えず撤退するしかない状態です。
次なる標的は米中対決ですが、相手が大きすぎて軍事衝突に踏み切れません。
トランプ氏の意を受けた政治好きの人は中国脅威論・・・中国が生物兵器製造に失敗して工場から武漢市内に漏れたのが原因とツイッター等で広め・5Gのような先端技術の中国締め出しの既存方向をさらに拡大してマスク製造のような低賃金国特化生産品でさえも中国に頼るのは危険だと煽っています。
中国側も負けずに事もあろうに報道官が(記者会見での公式意見ではないものの個々人のツイッターが厳しく政府に規制されている中国で、報道官の個人意見とはいえこのような重大発言を公開したのは、政府中央の許可・・非公式発言をさせたと見るのが国際常識です)アメリカが中国でウイルスをばら撒いたと言い返しました。
アメリカの猛反撃に驚いたのか?報道官なのに3週間ほど全く表に顔を出せないでいて、ようやく報道官としての登板では個人的義憤で表明したと釈明し政府と関係ない個人の意思かのような発言です。
この義憤とは、日本の海上保安庁役人が義憤で尖閣諸島での中国の横暴な行動を画像で公開した事件を想起させる表現です。
中国人民にとっては、アメリカが国内政治上駆け引きのために中国という敵を意図的にでっち上げているという義憤があるのでしょう。
中国報道官のツイッター公開は、日本で言えば真珠湾攻撃を政府として行ったことで、ルーズベルト大統領が待ち焦がれた対日宣戦布告の口実にされたようなものです。
これに怒った米国の反応・米国・トランプ政権は敵を求めていたので待ってましたと言う反応に驚いた中国はその火消しに必死でしたが、中国政府の政治感覚はこの程度のものか?と政治能力を世界中が認識したようにも見えるし、日本の真珠湾攻撃のように政府が表立って反論しないで報道官の個人ツイッターでやらせた分だけ大人の対応が進んでいるとも言えます。
いずれにせよ米国の攻撃目標にされると怖い!と再認識した人が多いでしょう。
米国は続けて中国の生物研究所からの流出でないか?と言うネット風聞を政府高官が公式にこう言う風聞があると取り上げたことが報道されていました。
さらに追い討ちをかけるようにマスクその他医療機器部品等を中国に頼るのは危険だとか言って国内回帰を言い出して欧米ではこの動きが一般化してきました。
さらにはWHOが中国に偏りすぎているのを検証するまで基金拠出を停止したりと、対中攻撃策繰り出しが矢継ぎ早です。
日本庶民の方は、流言飛語・・社会に否定的影響を与える根拠ない情報バラマキはいけないとしても希望を持たせる拡散ならいいだろう式の庶民の知恵中心のようです。
・・「納豆を食べる人は感染しない」とかお茶が良いとか、お国自慢が出てくるかと思えば、ちょっと科学的な意見?BCG接種した国との違い(納豆菌がウイルスを食ってしまうというのも科学論の一種でしょうか?)によるなどの、ちょっとした知的装い論程度です。
米国メデイアの場合は、トランプ氏が目の敵にする民主党系のメデイアはお得意の格差批判の我田引水が目立ちます。
アメリカの感染被害が多いというが、本来のアメリカ人は強いのだ?という白人擁護を兼ねた?格差社会論・・貧困層が感染や死者の大多数を占めている→民主党政権の国民皆保険制度創設が必須という主張に結びつける論をばら撒きます。
人種差別に結びつけたい人は、格差社会批判の発展形?で今回の被害拡大は黒人が圧倒的に多い・「奴らは・・もともとどうしょうもない奴らだ!と言いたい?ような非難攻勢も言われるようになりました。
武漢での新型肺炎拡大初期には、アジア人特有の感染症であるかのような欧米の人種差別的意見が流布されて、欧米では黄色人種系アジア人というだけで露骨な差別を受けるようになっていると報道されるようになっていました。
3月中旬以降イタリアを筆頭に欧米の方が感染数、死者ともに圧倒的に多くなるとアジア人蔑視がなくなったのかと思っていたのですが、このコラムを書くために検索するとこの傾向は4月になって、逆にアジア人と見ると嫌な顔をしてそむけたり露骨に席を立つ人が多くなっている・「アジア系女性が一人で買い物に出ると危険」とすら言われ夫婦同伴で買い物するしかないような日本人在住者のレポートがあります。
特にトランプ氏が「中国ウイルス」と言うようになってから、逆に激しくなった傾向があるようです。
日本の嫌中系ネット記事で「ザマーミロ」的記事が多いですが、日本人在住者も中国人と間違われて危害を受けそうな社会になっている状況が報告されるほどの嫌中感情の過熱ぶりです。
こうなると5Gに代表される科学技術や経済で中国に押され気味のアメリカの対中不満が、(これまで連載してきたように米国建国以来の膨張主義のDNAの限界がきただけのとですが)市民の不満はけ口として何でも中国を八つ当たり対象にしたい口実にコロナを利用する政権の扇動に乗る人が増えているおそるべき社会になりつつあるようです。
ナチスの扇動にドイツ国民が便乗してしまったような状態になりつつあるのでしょうか?

米国領土拡張・人口吸収政策の限界2

これはいわゆるワスプを満足させたでしょうが、奴隷に変わる低賃金労働力として受け入れられた新流入人口はあくまで生産要員・牛馬→黒人奴隷→低賃金労働と代替品にされたままで、その恩恵のおこぼれしか与えられていません。
アメリカ独立後次々と新規参入者が入って来るので誤魔化しが利いたのですが、下積みが入ってこなくなり万年下積み・・ニューカマーのままでは不満がたまるのは当然です。
成長期の頃・・新規店舗続々開店・・急拡大中企業の場合数年すると新入社員が部下になり何年かでどこかの店長という夢のような?就職説明会が普通でした。
企業拡張が止まって何年たっても新卒採用がなく自分が新米ペーペーのままという時代が来た場合を想像すればわかるでしょう。
この結果今の格差不満に発達したものです。
当初は、牛馬よりマシなレベル程度低賃金労働力(これが家畜同様待遇の黒人奴隷誕生の経済的背景)・黒人奴隷導入に始まり、今の中国のように低賃金国を脱し工業化離陸すると・アフリカ系超低賃金奴隷労働力不要になりワンランク上のアイルランドなどの西欧系労働力が入り続いてアジア系労働力移入が始まりました。
4月20日引用した「アメリカ合衆国の歴史」からの引用続きです

19世紀後半からヨーロッパで人口が急増し、食糧難が頻発した。
このため新天地アメリカを目指して多くの移民が発生した。1880年代からは南欧や東欧からの移民が増加し、彼らは都市部で未熟練労働者として働いたため、低所得者として都市中心部でスラム街を形成した。
彼ら新移民はカトリック・正教会やユダヤ教信者であったため、それ以前からの旧移民との間で偏見と摩擦が起こり、しばしば抗争に発展した。
こういった新移民にフォード・モーターが技術・言語教育を施し、大量生産方式に組み入れていった。また、清や日本からも移民が発生した。
急増した日本移民は低所得労働者として都市各地で活動したため、人種差別感情に基づいた、彼らに対する排斥運動が起こった。

4月19日に大陸横断鉄道建設に必要な労働力は中国人労働者が担ったことを紹介しました。
これが中国人苦力(クーリー)の誕生であり、これに続く日本人労働者の参入が始まると白人労働者の職を奪う・黄禍論誕生となり日本人排斥法の誕生です。
排日移民法 ウイキペデイアの解説です。

排日移民法(はいにちいみんほう)は、1924年7月1日に施行されたアメリカ合衆国の法律の日本における通称である。正確には1924年移民法(Immigration Act of 1924)、またはジョンソン=リード法(Johnson–Reed Act)であり、日本人移民のみを排除した法律ではない。この法律では、各国からの移民の年間受け入れ上限数を、1890年の国勢調査時にアメリカに住んでいた各国出身者数を基準に、その2%以下にするもので、1890年以後に大規模な移民の始まった東ヨーロッパ出身者・南ヨーロッパ出身者・アジア出身者を厳しく制限することを目的としていた。
独立した法律があるわけではなく、既存の移民・帰化法に第13条C項(移民制限規定)を修正・追加するために制定された「移民法の一部改正法」のことを指す。
特にアジア出身者については全面的に移民を禁止する条項が設けられ、当時アジアからの移民の大半を占めていた日本人が排除されることになり、アメリカ政府に対し日系人移民への排斥を行わないよう求めていた日本政府に衝撃を与えた。

排日移民法は現在のトランプ氏によるアラブ系標的の移民規制と同じです。
アメリカは領土拡張に応じた国内生産拡大に必要な低廉労働者確保のために移民労働者に長年頼ってきたところ、徐々にアジア人が増えてくる危機感を背景にして第一次世界大戦後の不況が始まったことで国内失業問題が起きた時以降黄禍論をあおったことや戦後日本の急速な大国化に対する警戒心・現在対中警戒心を煽っているのと同じ流れによります。
アメリカは増収分の労資分配には慣れていますが、マイナス成長の痛みの分配経験が乏しいと思われます。
日本は同胞社会ですので大災害等があると助け合い精神が本能的に湧き出す社会ですが、米国の場合警察権力が無能力化したと見るとすぐに略奪が起きるので軍の出動が最初です。
格差社会が批判されていても、今だに国民皆保険制度が成立できないのがその象徴でしょう。
要は利害調整能力がない・利益の分配ばかりで、損失負担・利害調節機能が弱い社会です。
アメリカは自己の弱みを相手に類推する・中国は選挙もない・正統性がないので利益分配で政権が何とかなっている・・7%成長が生命線で、7%以下になると人民の暴動を抑え込めなくなるといい、19年頃からは6%成長が生命線とも言われましたが、ジリジリと成長率が下がってもどうもなっていません。
多くの批判論は批判論者の内面鏡です。
ロシアはクリミヤ併合による欧州からの経済制裁を受けて農産物輸入ができなくなっている時であるにも関わらず、数年前にトルコとロシア関係が険悪化した時に、トルコへの観光客削減や農産物輸入削減の実行をしました。
この時に貧者と富者のどちらが経済制裁に抵抗力があるかという意見を書きましたが、貧しい方は直接的な生存の危機がない限り南方のおいしい果実や花が入荷しなくとも、貧しさにもともと慣れているので耐性が強く経済制裁の打ち合いには貧しい方が強いと書きました。
結果はその通りになり、トルコがすぐに屈服して宿敵ロシアへの接近策が始まり中東・シリア解決混迷原因の一つになって現在に続いています。

USA=領土拡張と人口吸収政策の限界1

米国に戻ります。
国際競争優位が米国団結・UNITEDのメリットであり、その果実を得る手段としてグローバリズム推進だったのが、対中競争で優位性を失っていくと留学生に始まり上位層の流入と底辺労働者双方の流入が縮小します。
トランプ氏の移民制限はランク分けして技能労働者優遇政策ですが、国力の将来性がなくなってからのランク分け流入期待は(移民の方も選ぶ権利があるので)現場労働力でさえ二流人材3流人材化していきます。
連合UNITEDの本質・利益がある限度で連合を組むものですから、言わば現金な関係です。
国の成り立ちは国家構成員同士の絆の成り立ちでもあります。
メリットで集まった人間関係は利に聡く脆弱です。
日本の縄文時代あるいは伝統的国家は、地元にない特殊品だけの例外的交易によって地域を運営してきた社会ですので、いわゆる鎖国制度はどうってことのない社会ですが、アメリカの場合建国当初から地元にないものの交易でなく、人の移動を含めたグローバル展開によって経済が回ってきた社会・・国内の需要以上のものを生産しないと回っていかない社会です。
アメリカンファーストというのは「外国から物品を買ってやらないぞ!という脅しにはなりますが、本当に鎖国競争になると米国の方が中国よりも国内基盤が脆弱です。
1929年大恐慌からの脱却は、TVAで知られるニューデイール政策によったかのようにアメリカは宣伝していて、高校時代の英語教科書英文でこれを賛美するような英文を授業で習った記憶でしたが、実は対日戦争開始成功による戦時経済化によってようやく経済下降を食い止め、日欧に対する戦後復興援助(輸出増)によってプラス成長になったものでした。
ナチスが軍需産業化によって経済成長下のと似ていませんか?
大恐慌に関するウイキペディアの記事からです。

1936-38年にはGDP比5.5%の財政赤字を解消した。しかしこの1937年の財政支出大幅削減予算により1938年は不況になり、実質GDPは11%下がり失業率は4%上昇し[35]、「ルーズベルト不況」と呼ばれることになる。
アメリカのGDPは1936年に恐慌前の水準に回復したものの37年不況により再び34年の水準まで逆戻りして、1941年まで恐慌前の水準に回復することができなかった[36]。ニューディール期間中財政支出赤字の対GNP比が10%を超えた年は2度である。アメリカ経済の本格的な回復はその後の第二次世界大戦参戦による莫大な軍需景気を待つこととなる。
太平洋戦争が起こり、連邦政府はようやく見境のない財政支出を開始し、また国民も戦費国債の購入で積極財政を強力に支援した。1943年には赤字が30%を超えたが失業率は41年の9.1%から44年には1.2%に下がった[37]。しかしダウ平均株価は1954年11月まで1929年の水準に戻らなかった。

戦後世界の工場が壊滅したが、戦禍を免れた米国だけが工業製品や食料・資源供給国になって突出した国力を誇れたのです。
戦前の大恐慌対策は世界中がブロック経済化による国際貿易量の急激縮小でしたが、トランプ氏のアメリカンファースト政策は米国だけの孤立化政策です。
モンロー宣言の時代にはまだ米国の規模が小さく南北アメリカ内で交流すれば孤立しても成り立ったでしょうが、今は中南米も世界経済に参加していて、米国と一緒の経済圏に止まる保証はありません。
(中国ソ連が孤立しても70年間も頑張れたのは交易経済にそれほど頼っていなかったからですし、国土の狭い北朝鮮も同様で、領土の広さではありません。)
トランプ氏はアメリカンファーストと言ってモンロー主義の再来をイメージしているようですが、中南米は棍棒外交で米国に散々苦しめられてきたので米国と心中する気持ちはありません。
TPPの創立的メンバーがカナダ、メキシコを含め太平洋沿岸の中南米で、米国が脱退してもそのまま進める方向・ついに米国抜きで発効してしまいました。
米国が無茶すれば足元の南北大陸内でも孤立する方向が確定し、モンロー主義の再来どころではありません。
日本はTPPのほか日欧FTAや東アジア地域包括的経済連携RCEPなどをドシドシ進めて行く方向なので、戦前のような孤立化はしないと思われますが、自国の力に恃みすぎる米国の方が長期的に孤立化が進むように見えます。
一見米国べったりに見える安倍外交は、巧みに上記各経済協定を推し進めているほか、中国にも恩を着せているので、米中対決がどうなろうとも米国の顔を立てながら、米国の国際経済仲間入り・復帰の筋道を立ててやる重要な役割を担うことになりそうです。
安倍総理が習近平の国賓待遇招待に踏み切るかのような姿勢を示していたことに対して右翼の安倍離れを起こしていますが、日韓慰安婦合意が後で役に立ったように、同様に政治というものは後々の効果も考えて複々線の行動が必要です。
NITED・連合とは、主として利によって一時的に結びつく関係を言いますが、成長期待がなくなれば米国留学希望が減るように、北米大陸内の連合を維持するご利益がなくなれば、軍事連合など組む意味がない・United Statesである必要があるか?と思う米国民が増えるでしょう。
ここで米国が独立後破竹の勢いで拡張を続けられた要因を見ておきましょう。
独立時の東部13州が今の領域になるまでの目覚ましい領土拡張によって、豊かな資源を入手したもののこれら資源を利用しきれない少ない人口・・労働力不足に困る状態が続いていました。
国土急拡張に人口が追いつかなかったのです。
低廉な労働力導入政策・・移民受け入れ国として世界に門戸を開くイメージアップに成功し、一方で人口の急拡大で国力増大・白人の生活レベルが飛躍的に上がり続けた満足感を国民に提供することによって、国家運営がスムースに進んだからではないでしょうか。

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