新型コロナウイルス被害と流言飛語3

トランプ政権は発足当初低賃金労働者の入国禁止を基礎にしたメキシコ国境の壁構築やテロ防止名目にしたイスラム系入国規制厳格化という幅広い制限から始まったのですが、ここにきてターゲットを米国覇権に対する挑戦者中国に絞ったように見えます。
政権の煽りに便乗してアジア人と見れば(日本人に)痰を吐きかけたりする国民が多いのは、日頃から現状不満分子が社会に充満しているからかも知れませんし、ナチスの扇動にドイツ国民が便乗してしまったような状態の再現でしょうか?
米国は建国以来、黒人奴隷に始まるとてつもない格差社会化を突き進めてきたのですが、領土拡張と経済成長している限り相応の分け前によって底辺層の不満を吸収できていたのですが、拡大・成長が止まると・・格差拡大路線が行き詰まるのは当然です。
成長の恩恵を受ける中間層の没落→(元中間層を含む)底辺層不満が溜まって来たことがトランプ流ピュリズム政治が台頭する下地ですが、ただ不満のはけ口として弱者集団・・先ずは新規移民削減や不法滞在者摘発強化に向けるのは国内に直接の敵が少なく安全な方向でした。
しかし、インデアン支配地没収と西部への進出(フロンテイア精神と称する支配領域拡張)象徴される受け皿拡張の終了・現合衆国領土確定→中南米の間接支配+フィリピン支配などの帝国主義競争参加を経て、戦後は西欧植民地独立を後押ししながらその後釜に入る・・中東や東南アジア諸国への間接支配拡大により、ずっと勢力拡大路線が成功してきました。
米国支配の構図が崩れ始めてメンツを保てなくなっただけでなく、本国へのリターンが少なくなり内部分配額縮小過程に入ったので、各地に展開した軍事基地の維持費が負担に感じて同盟国という名の間接支配国に相応の負担を求めるしかなくなったのでしょう。
グローバル企業で言えば、ある国に進出した生産設備が採算割れになったので近隣国へ統合するような動きです。
国外駐留軍の駐留コストに見合う利益がない・・間接支配のメリットがなくなってきたから、世界の警察官ではないというようになり、駐留費用分担要求をすれば同盟国への間接支配力がなお揺らぐ結果になります。
ショッピングモールの魅力が減って売り上げ減になったので、出店料率を引き上げたいと言っているような構図です。
オバマ以来はっきりしてきた対外プレゼンス縮小の動きは実力縮小に合わせたものですので、これを継承したトランプ政権はプレゼンス縮小延長で
「今後は気前よく外国人を受け入れるわけにいかない」
という人口政策に一歩踏み出したものです。
米国の方向転換を宣言したのがオバマであり、その実行段階に入ったのがトランプ政権ですので、関係国は米国の方向転換の実行段階に向き合うしかなくなりました。
移民受け入れを象徴としてあらゆる場面で度量の大きさを売りにして来た戦後の米国の立ち位置変更宣言がオバマの発言であり次期政権を担うトランプ氏はその具体化に入ったと見るべきでしょう。
トランプ氏は正面切って国力限界を言いたくないので格好付けのために、アラブ敵視などの口実を探しているだけのことで、人権派の言い分に従って仕方なしにアラブと明記せず全世界に向けプログラム変更をしたかのように装っていますが、本音は全世界に向けてこれ以上の移民入国は困るという意思表示です。
米国の本音は、勢力拡張の限界→今後経済成長拡大しないとなれば分配すべき対象を減らすしかないとする単純論理でしょう。
企業で言えば、構造改革に伴うリストラ・新規採用縮小宣言と採算性の悪い海外営業所や工場の統廃合宣言です。
オバマ氏が「米国は世界の警察官をやれない」というと、すかさず中国・習近平氏オバマとの首脳会談で太平洋を二分して自国が支配するかのような提案をしたのが、米国の尻尾を踏んでしまいました。
長期的にはそうなるしかないとしても、「もっとやれるでしょう・微力ですができるだけのことをさせていただきますので・・」と応じるのが日本的礼儀ですが、中韓はまともにこれに応じて走り出してしまったようです。
このまま一直線に進むとアジアにおける米国の影響力が雪崩を打って崩壊するので焦った米国が世界の警察官を止めるというのは、中東の混迷から手を引くことであって、その分アジアシフトするという方向宣言するしかなくなったのです。
しかしそれはレトリックであって、実際にはアジアでもプレゼンス縮小の動きは急です。
アジアのハブ機能を持つ在沖兵力縮小の動き・・・グアム移転戦略が急ピッチで進んでいるし、駐韓兵力も戦闘力とは言えない規模に近づいているようです。
この本音を見た中国は南シナ海で埋め立て工事を実力行使した挙句に大規模な空軍基地を完成させてしまったようです。
今なお、米国の意向に正面から逆らうと痛いめに遭いますが、(経済封鎖を受けるイランのように)韓国は中長期的にはアジアは中国の勢力圏に入ると見越して中国への擦り寄り姿勢が露骨です。
日本にとって隣国のことなので判り良いだけで、この動きは世界的規模で起きているでしょう。
中国の対米挑戦姿勢が露骨になってくると、米国内で嫌中感情が渦巻くようになってきたのが米国の現状です。
トランプ氏が対中経済制裁に乗り出し、暗闘の域を超えて正面からの抗争に発展したのがこの数年ですが、トランプ氏が再選されなくとも対中標的の戦略が当面変わらないと言われているのはこの理由によります。
この重要段階で米国社会の基礎を突き崩すコロナ禍が起きて(貧困層を直撃すると)新型コロナ発祥の地である中国よりはアメリカ社会の弱点がモロに表面化してきたように見えます。
新型コロナ当初は衛生や医療の遅れたアジア特有の現象と欧米はアジア人を軽蔑していたのですが、武漢で始まり周辺アジア諸国に広がる段階を経て世界的に伝播してみると感染拡大率、死者数で欧米や中東の方が抵抗力が弱い結果が出てきたので、客観的に見れば今や攻守反転状態の筈です。
この現実が明らかになってから逆にアジア人差別が肥大化しつつあるというの意外ですが、自然発生的社会現象としては不自然です。