格差社会の構造(米中と日本社会の違い)2

中国歴代皇帝は遠方の巨大な国が誼を通じて来たという(信じていなかったでしょうが・・・騙されたふりをして?)相応のお土産を与える仕組みが千年単位で続いていたようです。
ですから日本の遣隋使や遣唐使などもほんのちょっと手土産を持って行けばその何倍もお土産をもらえるという結果になっていたのです。
朝貢といい、朝貢に来る諸国を属国のようにいう人がいますが、平和関係にるという程度の関係だったようです。
今でも外交関係を結ぶと大使が原則として相手国の元首との謁見をするのが原則ですが、その儀式を朝貢と言っていたように思われます。
日本は遣隋使や遣唐使を送っても朝鮮族のように冊封される関係になっていません。
テーマがそれましたが、中国では何千年ものあいだ、政府高官は自己の地位維持に汲々として相手から自国がバカにされるか、どうかなど気にしない国益より私益優先の生き方の社会です。
この種のことを世界中でしていただけでなく、昨日紹介したように事もあろうにアメリカ国内で、中国贔屓の議長との誼を本国にひけらかす目的で現地総領事が行ったようですが、いくら親中派の議員でもこんな露骨な文章をもらってそのまま議案提出するわけにはいかない・・度肝を抜いたでしょう。
これがトランプ氏の目に触れたのか?不明ですが、世界中で行なっていることが逆鱗に触れたのが今回の対中口撃騒動の影の主役のようです。
要するに宮廷内の権謀術数に慣れているものの、世間がどう思うか・・多様な目を読む経験がない中国人材の弱点が表面化したものです。
自由主義には独占の弊害が生じるとしても、だからと言って、独裁が良いのではなく独占禁止法という例外制度であるいは貧困の発生については労働者の団結権や争議権などの諸権利を認めたり、各種保険・福祉制度の充実などで対応する方がしなやかです。
さしあたり中国政府・官僚の宣伝競争の行き過ぎが原因で世界孤立化が進む状態になり、中国始まって以来生き抜く大事な知恵と思っていた行動ルールが世界に通じない過ちに気付いて内部は大騒ぎの状態でしょう。
同時に行われた中国政府報道官個人名による「今回のウイルスは米国軍人が撒き散らした」という意見表明も「こんなことを言えば米国が怒るのでないか?」などの配慮に気が回らない・・同じように。上層部の覚えを気にした点取り競争の結果だったのでしょうか。
上記の通り国際世論を読む能力はないとしても、中国の方が被支配者になった経験豊富な分だけ、米国よりもある程度国際政治適応能力が高い可能性があるかもしれません。
戦後は竹のカーテンで欧米との自由競争条件対等化=発展のチャンスを自ら閉ざしていたし、今はまだ共産主義政治→独裁による桎梏がブレーキになっていますが、共産主義政権が倒れ民主化され米中競争条件が同じになれば、こういう意味では、日本保守系ネットでは中国共産党政権の破綻期待が強いですが、共産党政権が倒れて民主化すると中国の国力発揮の制約がなくなり、さらに上がることになります。
中国が民主化されて人の道・道義を守ってくれるならば、(日本はもともとトップを目指す国はないので)どこが世界のリーダーになっても良いことであれば別に矛盾しませんが・・保守系ネット世論はそこまで割り切っていないように見えます。
ただし国際政治は専制政治に向かないので、(弱者の無言の意向を読み取る能力が中国にない点では米国とどっこいどっこいですので)複雑な国際情勢の読みではトランプ氏同様に日本の政治家を頼る必要が高いでしょう。
日本のネット論者の立ち位置を見ていると日本民族のためにという視点よりは、ともかく韓国、中国憎しという熱意中心のように見えます。
ネット言論人もいろいろですが、時には「アメリカが味方になるから日本の勝ち」「文政権はアメリカに見放されているからザマー見ろ」みたいな意見が散見され、正義の基準など問題にしないような意見もあります。
真の愛国者は正義が自国にあるかどうか及び、現実の国際政治の動向に即しているかが重要です。
正義が日本にあるのに不当な国際力学で正義が通らない場合憤るのは自由ですが、日本に正義がないのに米国の支持が日本にあるから・というゴリ押しをするようでは、長期的にみて日本を危険に追い込みます。
韓国も無茶を言う国のままでは隣国として困ったものですが、もともとそういう民族性だったのか、戦後米国が日本の背後で足を引っ張る存在を必要としてそそのかされてたので、虎の威を借る狐として正義に反する主張を繰り返す習性が身についただけかもしれません。
今になって韓国が米国に梯子を外されると、正義に反する主張をしてきた分に比例して苦難が待っているでしょう。
正義に反したごり押しをしていれば、自分の社会に大きな無理を抱えたままになる・・権力に媚びて無理が通る社会になってしまうと、自国社会の道義を歪めてしまうので結果的に発展が阻害されるので、本当の意味の競争相手・日本にとって脅威にならない点は同じです。
日本も自国主張が正義(時期にあっているかを含め)に合致するかどうかが重要で、米国が味方してくれるからという基準で強気に出るのは危険です。

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