国外就職2(韓国8)

昨日最後に見たところによると移民熱というよりは、アジア通貨危機によって貿易立国の重要性覚醒→英語の必須化になったようです。
(せっかく苦労して身につけた英語を活かした移民熱につながったのかな?ただしこの部分は私の根拠ない憶測であり上記には書いていません・・念のため)
優秀な順・・親の投資額がこれに比例するので、生活費を切り詰めて教育した子供が一人前になると海外移民では結果的に富の流出にもなります・これが何世代も続けば、民族衰退の危惧が起きるのが普通です。
政府が海外就職に奨励金を出すというのですから正気の沙汰とは思えませんが、失業で放置するよりはマシ・日本企業でスキルを身につけてから帰国・還流してくれれば儲けものという、もっと長期のスパンもあります。
日本で江戸時代に町家の娘がお屋敷奉公にでて礼儀作法や文化を学び、現在中小企業の後継者を大手に就職させて経営技術等を身につけさせてから、事業承継させるのと同じ感覚です。
中国や韓国の米国留学生がすぐ帰らずに現地就職して10〜20年以上働いて帰国して自国産業の中核を担うようになれば、安く技術導入できます。
日本や米国の企業が膨大な費用をかけて社内教育してようやく果実回収段階・・中堅になってから逃げられるのでは大損失です。
韓国としては安い投資のつもりかも知れません。
以下は東洋大学の論文です。
グローバル化に対するトランスナショナル・草の根からの分析・・「国境を跨ぐ家 族の実態」の観点からの分析論文で専門家はこういう視点で研究しているのかと刮目させられます。
https://docs.google.com/document/d/1B_k-2lcstvNhZWWRqkWpEo0Evf1mJlU7NLjlDEZOEak/edit#
hakusanjinruigaku15_073-093_OCR(1).pdf

韓国の移民現象に見る跨境的生活 : 国境を跨ぐ家 族の実態 (<特集>跨境コミュニティにおけるアイデ ンティティの継続と再編)
著者 井出 弘毅  2012-03

1 は じめに
本稿では,トランスナショナルな動きを見せる韓国の現状の一端についてとり上げる。まず 韓国におけるトランスナショナルな現象について先行研究や統計等からその概略を示す。
次に・・・以下示唆に富む素人にも面白い研究ですが、ここのテーマとずれますので割愛します。

II 先行研究の検討
・・・・・移民という現象を見ていく上で,ホスト社会のプル要因だけではなく,韓国内のプッシュ要 因の双方に目を配る必要があるだろう。例えば「住み慣れた国を離れ,異国の地へと移り住ん だ人々に注目することによって,むしろ当時の韓国の文化,制度を見て取ることが出来る。な ぜならば,彼らが祖国を後にしなければならなかったということそれ自体が,当時の韓国が文 化的・制度的に大きなひずみを抱えていたということの証明であるからである」[野口2005: 237]との指摘は重要である。
またより詳細に,「北の脅威,政局の不安定,暴騰する不動産価 格,急増する犯罪,環境汚染,劣悪な公的教育,高い私的教育費負担,50代で使い捨てにされ る雇用の現状など」[池2003:27]韓国内の社会問題を移民の理由とする視点も重要である。 さらに,いわゆる「キロギアッパ」という言葉に示される母子の海外留学も上げることがで きよう。この「キロギ」とは雁のことで,「韓国では昔から家族愛や父性愛の象徴とされている」
[李2007:218]。「アッパ」とはお父さんのことで,これらを合わせると雁のお父さんという 意味になる。これは最近の韓国における英語教育重視による動きで,母親と共に子どもが幼い うちからアメリカやカナダなど英語圏に留学し,それを父親が韓国本国で働いて経済的に支え るというものである。この「キロギ家族は『外貨の浪費』および『家族の崩壊』の恐れをはら んでいることから深刻な社会問題と見なされ」[李2007:218]ており,特に本国に残された父 親の孤独がクローズアップされることが多い。この現象の背景としては,IMF危機以後の「英語資本論」という言葉に示される英語力への憧れや,情報化により支えられる別居家族間のコ ミュニケーションツールの充実,「家族間の衝突や葛藤を回避する方法として機能」することな どがあげられている[李2007:224-227]。
また移民ではないが,出国する動きとして国際養子があげられる。韓国は1999年から2008 年までの10年間で合計15,967人の児童をアメリカに養子として送り出している。
2010年は 863人で,これは世界で第4位である4)。

III 韓国におけるトランスナショナルな現象の概要
1 外向きの現象(出移民と出国者)
・・・ 時代による移民先 のトレンドの変遷を辿ることができる。全体としては出移民は,1976年をピークに,1986年 に一度増加したが,その後ずっと減少してきている。
・・・・ここ最近は海外移民が急減し,年間1,000人 を下回るようになった。
・・・・2000年代の初めまでは年間1万人以上であったが,一転2003年から昨年までの10年足ら ずの間に90%も急激に減少した。
・・・・以下略
2 内向きの現象(入移民としての在韓外国人と結婚移住者)
・・反対に韓国への入移民について見てみよう。まず在韓外国人の増加があげられる。図4 を見ると,在韓外国人が90年代以降急増しているのが分かる。外国人住民は現在1,265,006人 であり,これは全住民登録人口の約2.5%を占めている5)。日本の場合は2,134,151人で全人口 に占める割合は約1.7%であり6),日本と比べ韓国は短い期間に外国人が急増しており,全人口 に対する割合の点では既に日本を追い抜いている。
・・・・・・最後に,先述した出移民の減少と同じ期間に海外から永住帰国した在外韓国人の数を見ると, 03年の2,962人から4,199人に41.7°/・増加している7)。
いわゆる還流現象が見られる。 ここから言えることは,「脱韓国」を図る国民の急減と,海外移住者の還流の増加である。か つて活発に行なわれた海外への移民が減少し,逆に一度出た者が帰ってきている。これについ ては,「韓国の経済力と国としての力が向上したなか,世界経済危機などによる経済状況の悪化 を受け,韓国と先進国間の格差が相当部分解消されてきたため」と分析されている8)。

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