米国の中国攻勢→ファーウエイ副会長逮捕の衝撃5

結局は中国自身が経済原理に応じた投資に戻るしかないのですが、現在では国内企業債務膨張が限界にきているだけではなく、失業率増加に直面しているはずですがそれらが報道規制で表に出ません。
中国の債務問題は過剰設備→過剰生産→国外出血輸出→世界中の生産秩序破壊(漁業で言えば、乱獲と同じ)あるいは南沙諸島の埋め立てなど中国が「のたうち回る」のに追われて世界は鉄鋼の出血輸出規制とか領土侵害対応など目先の対応に追われてきました。
本来震源地の中国が経済不振を正視しないで目先を変えて誤魔化そうとしていたことが原因ですから、(鉄鋼出血輸出の場合、一定期間続けばその企業が倒産しますので国際圧力で縮小したのではありません・・政府が赤字補填を続ければ続きますが、その分国内で債務が累積していきます)内部的には倒産や債務超過が拡大の一途をたどっているはずです。
たとえば以下の通りです。
https://forbesjapan.com/articles/detail/24130#

2018/11/29 06:30
中国の債務問題、対米貿易戦争より重大な理由
米中の貿易戦争は、金融市場に大きな不安をもたらした。だが、この問題もいずれは収束を迎えることになるだろう。メキシコとカナダとの貿易問題と同じように、米政府が終わらせることになると考えられる。
一方、中国の債務問題は、米国には終わらせることができない。この問題は中国、そして世界の経済に大きな問題をもたらす可能性がある。つまり、中国にとって最大の問題は、貿易戦争ではない。国内外にバブル経済の危険を招きかねない、自国の債務の増加だ。
中国の政府債務の対GDP比は、公式には47.60%という低い比率だ。だが、その数値を“非公式に”把握するのは簡単ではない。それは、政府が貸し手であり、同時に借り手でもあるためだ。国有企業(SOE)と郷鎮企業(TVE)が国有銀行から借り入れをしているように、政府の一部門が別の部門に融資をしている。
それでも、いくつかの非公式な推計は発表されている。例えば、国際金融協会(IIF)は先ごろ、中国の政府債務の対GDP比は300%に達するとの見方を示した。
ギリシャとの類似点

以下省略しますが、先進国と違い貸し手が国であり、借り手も国有企業等であることから、最終的に債務カットと言っても市場原理的処理が難しいことが紹介されています。
いつ経済破綻してもおかしくない国際常識下にある中国が目くらまし的に今度は対日紛争激化させること自体が、ストップ安の引き金・・経済大混乱の引き金になる時代です。
習近平政権は自国が率先して大混乱の引き金を引く勇気がないが、国内経済の行き詰まりから目を背けるために南沙諸島の強行埋め立てや尖閣諸島侵犯行為、あるいは一帯一路計画→2025年製造強国計画など矢継ぎ早に行い国威発揚に舵を切ってしまったのですが、これが世界中の反発を受けてうまくいかず困りきっている状態でしょう。
地域大国は周辺小国相手に脅したり見栄をきっているうちは「花」ですが、世界大国の虎の尾を踏んでしまうとナチスのように限界が生じます。
習近平は政権維持のために苦し紛れの国威発揚政策の繰り返しですから、本気で米国の覇権に挑戦するまともな世界戦略があってのことではないので、いきなりトランプ氏にドスを突きつけられても、これに対する慎重な手当を用意しているはずがありません。
ここでアメリカと一騎打ちの勝負に出る蛮勇があるか?ですが、トランプ氏に25%関税を課された当初すぐにアメリカからの輸入品に同額の関税をかけるなど、一見強気に行動していたのですが、実はこけ脅しに過ぎなかったので、12月1日の首脳会談で全面降伏・・90日間猶予申し出になったように読めます。
90日間猶予の内容については、
https://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/day-20181206.html

2018-12-06 05:00:00によれば
この休戦条件は中国にとって極めて厳しい内容です。これまで、中国が問題の存在自体を認めなかった5つの分野が検討課題に挙がり、結論を出すことが求められました。
5分野は、下記の通りです。
1.米企業への技術移転の強要
2.知的財産権の保護
3.非関税障壁
4.サイバー攻撃
5.サービスと農業の市場開放

このテーマについて90日間以内に解決策を提案できない・米国が納得するような提案がない限り、追加関税やむなしということですから、勝俣氏の指摘によれば、これまで技術移転強要などないとしていた中国が上記5点の解決策を提案するしかないと追い詰められたようです。
この首脳会談時点では、習近平は知らされていなかったのですが、ファーウエイの副会長逮捕が同時に行われていたのです。
米国を「適当にごまかして先延ばしするのは許さないぞ!」というトランプの意思表示にもなったでしょう。
習近平は「国内政治の矛盾をごまかすための対外違法行為やり放題ができなくなる・・」と、国内矛盾が、まともに迫ってきます。
もともと苦しかったから国民不満を外に向けるために国威発揚政策を始めたのですが、これが逆にアメリカの逆鱗に触れて経済制裁を受けると国内威信が下落する上に国威発揚政策発動前よりも もっと国内経済が難しくなるので、二乗倍になって矛盾激化します。
国内政治的にどうにもならない結果、1日も早くアメリカと手打ちしなければ、ファーウエイその他企業製品採用禁止などの制裁効果が効いてきますので、ほぼアメリカの主張を丸飲みしてでも(・・・例によって、約束だけして結局うやむやして守らない伝統的手法)合意に漕ぎつけるのが当面の目的でしょう。
謝り謝って?米国の制裁解除あるいは先送りをさせられればさしあたり表向き成功ですが、実際の譲歩を伴う(例えば対米輸出削減を飲まされると)以上は、今でも国内経済が苦しいのに謝り続けた挙句に今よりもっと経済が苦しくなっていくと政権を維持できるのでしょうか?
傷ついた習近平の威信をどう回復するかを考えるでしょう。
北朝鮮が現支配体制(金一族の専制支配)維持の保証が対米交渉の最優先事項であるように、彼らにとっては国民のための政治よりは、権力維持・・保身が最優先事項です。

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