米国の中国攻勢→ファーウエイ副会長逮捕の衝撃5

結局は中国自身が経済原理に応じた投資に戻るしかないのですが、現在では国内企業債務膨張が限界にきているだけではなく、失業率増加に直面しているはずですがそれらが報道規制で表に出ません。
中国の債務問題は過剰設備→過剰生産→国外出血輸出→世界中の生産秩序破壊(漁業で言えば、乱獲と同じ)あるいは南沙諸島の埋め立てなど中国が「のたうち回る」のに追われて世界は鉄鋼の出血輸出規制とか領土侵害対応など目先の対応に追われてきました。
本来震源地の中国が経済不振を正視しないで目先を変えて誤魔化そうとしていたことが原因ですから、(鉄鋼出血輸出の場合、一定期間続けばその企業が倒産しますので国際圧力で縮小したのではありません・・政府が赤字補填を続ければ続きますが、その分国内で債務が累積していきます)内部的には倒産や債務超過が拡大の一途をたどっているはずです。
たとえば以下の通りです。
https://forbesjapan.com/articles/detail/24130#

2018/11/29 06:30
中国の債務問題、対米貿易戦争より重大な理由
米中の貿易戦争は、金融市場に大きな不安をもたらした。だが、この問題もいずれは収束を迎えることになるだろう。メキシコとカナダとの貿易問題と同じように、米政府が終わらせることになると考えられる。
一方、中国の債務問題は、米国には終わらせることができない。この問題は中国、そして世界の経済に大きな問題をもたらす可能性がある。つまり、中国にとって最大の問題は、貿易戦争ではない。国内外にバブル経済の危険を招きかねない、自国の債務の増加だ。
中国の政府債務の対GDP比は、公式には47.60%という低い比率だ。だが、その数値を“非公式に”把握するのは簡単ではない。それは、政府が貸し手であり、同時に借り手でもあるためだ。国有企業(SOE)と郷鎮企業(TVE)が国有銀行から借り入れをしているように、政府の一部門が別の部門に融資をしている。
それでも、いくつかの非公式な推計は発表されている。例えば、国際金融協会(IIF)は先ごろ、中国の政府債務の対GDP比は300%に達するとの見方を示した。
ギリシャとの類似点

以下省略しますが、先進国と違い貸し手が国であり、借り手も国有企業等であることから、最終的に債務カットと言っても市場原理的処理が難しいことが紹介されています。
いつ経済破綻してもおかしくない国際常識下にある中国が目くらまし的に今度は対日紛争激化させること自体が、ストップ安の引き金・・経済大混乱の引き金になる時代です。
習近平政権は自国が率先して大混乱の引き金を引く勇気がないが、国内経済の行き詰まりから目を背けるために南沙諸島の強行埋め立てや尖閣諸島侵犯行為、あるいは一帯一路計画→2025年製造強国計画など矢継ぎ早に行い国威発揚に舵を切ってしまったのですが、これが世界中の反発を受けてうまくいかず困りきっている状態でしょう。
地域大国は周辺小国相手に脅したり見栄をきっているうちは「花」ですが、世界大国の虎の尾を踏んでしまうとナチスのように限界が生じます。
習近平は政権維持のために苦し紛れの国威発揚政策の繰り返しですから、本気で米国の覇権に挑戦するまともな世界戦略があってのことではないので、いきなりトランプ氏にドスを突きつけられても、これに対する慎重な手当を用意しているはずがありません。
ここでアメリカと一騎打ちの勝負に出る蛮勇があるか?ですが、トランプ氏に25%関税を課された当初すぐにアメリカからの輸入品に同額の関税をかけるなど、一見強気に行動していたのですが、実はこけ脅しに過ぎなかったので、12月1日の首脳会談で全面降伏・・90日間猶予申し出になったように読めます。
90日間猶予の内容については、
https://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/day-20181206.html

2018-12-06 05:00:00によれば
この休戦条件は中国にとって極めて厳しい内容です。これまで、中国が問題の存在自体を認めなかった5つの分野が検討課題に挙がり、結論を出すことが求められました。
5分野は、下記の通りです。
1.米企業への技術移転の強要
2.知的財産権の保護
3.非関税障壁
4.サイバー攻撃
5.サービスと農業の市場開放

このテーマについて90日間以内に解決策を提案できない・米国が納得するような提案がない限り、追加関税やむなしということですから、勝俣氏の指摘によれば、これまで技術移転強要などないとしていた中国が上記5点の解決策を提案するしかないと追い詰められたようです。
この首脳会談時点では、習近平は知らされていなかったのですが、ファーウエイの副会長逮捕が同時に行われていたのです。
米国を「適当にごまかして先延ばしするのは許さないぞ!」というトランプの意思表示にもなったでしょう。
習近平は「国内政治の矛盾をごまかすための対外違法行為やり放題ができなくなる・・」と、国内矛盾が、まともに迫ってきます。
もともと苦しかったから国民不満を外に向けるために国威発揚政策を始めたのですが、これが逆にアメリカの逆鱗に触れて経済制裁を受けると国内威信が下落する上に国威発揚政策発動前よりも もっと国内経済が難しくなるので、二乗倍になって矛盾激化します。
国内政治的にどうにもならない結果、1日も早くアメリカと手打ちしなければ、ファーウエイその他企業製品採用禁止などの制裁効果が効いてきますので、ほぼアメリカの主張を丸飲みしてでも(・・・例によって、約束だけして結局うやむやして守らない伝統的手法)合意に漕ぎつけるのが当面の目的でしょう。
謝り謝って?米国の制裁解除あるいは先送りをさせられればさしあたり表向き成功ですが、実際の譲歩を伴う(例えば対米輸出削減を飲まされると)以上は、今でも国内経済が苦しいのに謝り続けた挙句に今よりもっと経済が苦しくなっていくと政権を維持できるのでしょうか?
傷ついた習近平の威信をどう回復するかを考えるでしょう。
北朝鮮が現支配体制(金一族の専制支配)維持の保証が対米交渉の最優先事項であるように、彼らにとっては国民のための政治よりは、権力維持・・保身が最優先事項です。

米国の中国攻勢→ファーウエイ副会長逮捕の衝撃4

チャイナプラスワンが始まり、人海戦術的工場生産パターンの威力がなくなると、労働力はいくらでも送り出せると豪語していた余剰人員の宝庫であった大都市周辺〜奥地に至る農民工供給地域の就職難・失業増加はどうなっているのかが気になるところです。
新規雇用がないどころか一旦就職していた農民工の帰郷が増えている姿・・・北京か上海郊外か忘れましたが、農民工の多く住む貧困地域のバラック街が突然ブルドーザーで押しつぶされて住む場所のなくなった農民工家族の呆然とした模様が時々ネット報道されていましたが、報道規制の結果最近は報道できないのかもしれません。
念のため検索して見ると中国ではすぐ削除されているようですが、日本のネットでは残っていたようです。
http://www.alertchina.com/archives/5729944.html

2017年12月15日
北京で出稼ぎ者らの強制退去再開、市トップの辞任要求も
北京市朝陽区十八里店郷地区で13日未明、バラックが焼けて住民14人が死傷したことで、同市大興区で同日午後、当局が再び強制的な違法建築撤去と、住民の出稼ぎ労働者らの追い出しを始めた。暴力的な手法に批判が高まっており、清華大、北京大、中国人民大など名門大の教授と市民84人が連名で北京市トップの蔡奇・共産党書記の辞任を求める書簡を交流サイト(SNS)に掲載したが、直ちに削除された。米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)が14日伝えた。
北京市大興区西紅門鎮で11月18日に違法建築のアパートが焼け、27人が死傷した。当局はまもなく違法建築の撤去と、「低レベル人口」と呼ばれる住民の強制退去を始めたが、「人権侵害」として抗議活動などが起き、市民からも批判の声が挙がったため、作業が一時沈静化していた。
しかし、再び暴力的な強制退去が始まったことで、市民の批判が再燃。大学教授ら84人が公開書簡を発表し、共産党と大衆の関係を悪化させたなどとして、蔡書記の辞任を求めた。

上記は必ずしも失業者群のバラックではないようですが、北京等では農民工は「低レベル人口」と呼ばれる厄介者になっているようです。
大都会に何十万人もまとまって失業者〜準失業者がいると政治不穏の温床になるので強制帰郷政策なのでしょうが、・・大量失業の受け皿になっている農村地域の疲弊こそ中国政治の不安定要因というべきでしょう。
失業帰村者を抱え込むと地方政府の財政が持たなくなるので不満吸収のために地方政府による土地供給の独占→土地バブル演出→潤沢な売却金収入の錬金術を繰り広げてきたようにも見えますが、毎年一定率の価格アップによる演出は、そのうち年収倍率の関係で購入資力の限界を超えるので、そのごまかしも限界がきたようです。
地方政府の債務(融資平台・地方政府傘下の投資会社)を中央政府は保証しないという原則・・地方に負債を押しつけているので中央政府の財政赤字は少ないというのが公式説明でしたが、昨年あたりから地方政府債務救済を実施しているという情報がかけ巡っていました。
一方で連鎖デフォルトが起きないように国有企業等の債務の資本化政策も大々的に実行されています。
債権を資本に名称変更しても金融界にとっては、回収できない点は同じですから焦げ付き債権を焦げ付きと表示しない一種の粉飾を国家規模で行なっているようなものです。
この点は15〜16年の上海株暴落に対して株式売買規制をしたのと同じ手法です。https://nikkeiyosoku.com/crash/shanghai/中国株暴落の歴史

過去、中国株の暴落は、2007年~2008年の世界同時金融危機を除くと、2015年6月のチャイナショック、2016年1月の大暴落の2つでしょう。
2015年6月12日から始まった株価の大暴落。約1か月の間、上海証券取引所のA株が下落しました。 上海総合指数は、約1か月で5166.35から3507.19まで下落して、約32%もの下落幅を記録しています。
中国政府の対策
最初、当局は空売りを規制し、大手の投信と年金基金に株価の購入を迫り、株を購入するための基金も設立しました。 更に、持ち株比率5%を超える株主の株の売買禁止と1300社における株式の取引停止など対策を打ち出しましたが、下落を止める効果はあまりありませんでした。

株式売却禁止すれば株価が下がりませんので、そんな株式でも帳簿上では売却禁止前の相場での資産価値があるでしょうが、換金したい人にとってはゼロと同じです。
先祖代々の土地や家宝のようにお金に変えたくない資産もありますが、(美術品の場合保有して日々堪能できるだけでも価値がありますが、株式の場合これを眺めることに価値はありません)上場株式の特徴はいつでも市場で換金できるところに本質があるのですから、売却禁止したのでは、国家権力によって株式としての価値ゼロを強制しているようなものです。
自由主義国ではないから、権力で商品価値を強制できるという本質・・どう猛な牙をむいたということでしょうか?
ロボット導入に舵を切った中国経済に戻しますと、新興国と低賃金競争しているのでは、将来がないのでローエンド製品中心の社会構造をセカンド〜ハイエンド製造社会へ構造改革していく決意が習近平の中国2025計画なのでしょうが、ロボット導入さえすれば良いわけではないでしょう。
人間の方がすぐにハイテクを駆使できるヒトばかりに変化(多分世代交代がないと)できないので、ついていけない余剰人員が溢れ出る社会危機が起きてきます。
日本でも昭和恐慌時に帰郷する農村出身者が増えて地方が疲弊し、これを背景に青年将校の決起につながったことが知られています。
中国企業自体も利を求めて東南アジア等に工場進出するようになっているので、国内現場労働系労働者に関しては急速に人員不要化・雇用減が進んでいます。
これを緩和するためのインフラ投資(現場労働需要が生じます)でしょうが、需要無視で鉄鋼その他生産設備増強しては赤字輸出で世界秩序を撹乱し、利用者のない鉄道建設等では赤字が膨らみこれらも限界がきているイメージでした。
この先送りのためかに国外での不要不急なインフラ工事押し売り推進=一帯一路計画+資金不足補填のAIIB設立だったでしょうが、砂漠地帯の中央アジアその他で需要のないインフラ工事をしても、そのコスト=中国に対する返済不能債務拡大ですから国際批判を受けるようになって八方塞がりです。

米国の中国攻勢→ファーウエイ副会長逮捕の衝撃3

ところで、今や中国人民の多くが国際経済に深く大きく組込まれていますので、国際物流〜金融取引その他が全面ストップする緊急事態に於いて、その対策を放置して対日戦争などにかまけてしている場合か!と言う非難の方が大きくなるリスクが高まります。
12月15日の日経新聞朝刊12pでは、延滞カードローンが1兆4000億円になっていると紹介されています。
上記記事ではカードローンを使ってスマホ決済しているというイメージ解説ですが、住宅ローン延滞を先送りするためにカードローンに手を出す人が多かった日本でのサラ金事件全盛時の経験によると、住宅ローン延滞予備軍(不動産バブル破裂の兆候)でもあるかもしれません。
その他企業債務や、地方政府債務など大口は(統計が信用できないので)闇の中ですが、車の販売台数(これは以前書いたように外資との合弁が多い販売統計なので、誤魔化しが利かない)が今年は販売減少になっています。
https://www.marklines.com/ja/statistics/flash_sales/salesfig_china_2018

2018年11月 販売台数速報
11月の中国新車販売は前年同月比13.9%減の254.8万台
・中国汽車工業協会は11日、11月の中国の自動車生産・販売データを発表した。
・2018年11月、自動車生産・販売の前月比はいずれもやや増加し、前年同月比の減少幅は依然として顕著であった。1-11月の自動車生産・販売の前年同期比は引き続き減少し、減少幅は1-10月に比べて拡大している。

数日前の日経新聞には、トランプ氏による対中高関税により、衣料品製造注文がバングラデシュの工場に集中したので特需に沸いているという記事が出ています。
専門家?の意見の多くは、「関税を25%あげるとアメリカ人が高いものを買うことになり国民が損をするだけ」というのですが、ユニクロ等の世界企業は、アメリカ向け製品の縫製をバングラ等へ振り向けるのでアメリカ国民は25%高い製品を買うことにはなりません。
中国が困れば部品等輸出の日本企業が困るという宣伝がしきりに行われていますが、組立工場立地が新興国に流れるだけのことでそれほどのことはありません。
サプライチェーンが変わるまでの移行期間の問題ですが、25%にあげるのはだいぶ前から宣伝しているので消費者の駆け込み需要対応だけでなく、企業の生産地変更対応が進みます。
13日の日経新聞15pではサムスンの中国でのスマホの売れ行き不振で天津工場閉鎖の報道が出ていますが、内容を見るとサムスンの18年の世界生産の4割前後をすでにベトナムで製造していると書いています。
対中関税が高くなるという動きが出てから慌てて他国の土地買収や許認可交渉→進出するのではなく、すでに東南アジア等にある工場敷地内の増産余力内の増産(残業をふやすなど)やラインの追加投資すればいいだけですから、意外に素早く対応できる時代です。
サムスンの工場閉鎖報道を見ると反日暴動以来チャイナプラスワンの動きが、日本企業だけでなく世界規模で進んでいる実態がサムスン関連報道でもわかります。
東南アジアへシフトした分中国の衣料品工場に限らずアップル等組み立ての生産が減っているはず→そうした総合結果が、車等の国内消費減に現れているのです。
GDP統計だけ増えていると言っても、誰も信用しないでしょう。
以下の通り、勝又氏は卸売物価指数は信用性があると言うのですが、同氏https://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/page-3.htmlによると以下の通りです

2018-12-11 05:00:00

中国、「景気変調」11月卸売物価上昇率はほぼ「2年前の水準」

『日本経済新聞 電子版』(12月9日付)は、「中国の卸売物価、11月2.7%上昇」と題する記事を掲載した。
(1)「中国国家統計局が9日発表した2018年11月の卸売物価指数(PPI)は前年同月比2.7%上昇した。上昇幅は前月(3.3%)より0.6ポイント縮小し、16年10月以来2年1カ月ぶり低水準になった。前月比でも0.2%下落と7カ月ぶりに下落に転じた。国際的な商品相場の下落が波及したほか、販売不振の自動車なども下落した」
(2)「PPIを業種別にみると、石油・天然ガス採掘や石油加工で上昇幅が大きく鈍った。原油の国際相場の下落を映した。自動車、製紙や非鉄金属は前年比で下落した。個人消費の低迷が物価にも及び始めた公算がある。中国のPPIは過剰生産能力が原因で12~16年まで前年比で下落しつづけた。中国政府が16年初めから、鉄鋼や石炭を中心に生産設備を強制的に廃棄したことで16年9月に前年比で上昇に転じ、それ以降はプラスを維持している」
PPIの値下がりは、企業の売上に反映してくる。輸出需要の低下が、PPIを押し下げている面もあろう。したがって、米中貿易戦争の激化が、与えている影響は広範囲にわたっている。ファーウェイ副会長逮捕で、中国が激昂して対抗する余力はないと見るべきだろう。

カード債務増加問題も重要ですが、ここでは反日暴動以来の日本企業の中国脱出・チャイナプラスワンの始まりで深圳などで大規模工場閉鎖の嵐が吹き荒れていたのに失業者がどうしたかのニュースはさっぱり流れてきませんが、労働者・消費者の懐が限界にきているのではないかの関心を書いています。
改革開放後の中国の急激な躍進は、低賃金労働者供給が無尽蔵にあるという点が強みでしたが、自信を持った?中国が急激に人件費引き上げたことと、反日暴動の結果政治リスクが高いこともわかったので、低賃金労働ならば政治リスクのないバングラ、ベトナムその他の新興国でも同じ・・という流れが反日暴動で勢いがついたので、中国が人海戦術による世界の工場を維持するのは無理になりました。
新興国東南アジアと競争するためには、中国政府は高付加価値化とロボット導入に切り替えるしかなくなり、この数年では日本製ロボット輸入が高水準で推移してきました。
バングラなどへのシフトで数万人単位で働く縫製工場などの閉鎖→失業増加にとどまらず、チャイナプラスワンの影響を受けないその他工場でも、(無人コンビニに象徴されるようにサービス業でも)ロボット化による労働者削減が急激に始まっています。
https://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/insight/jp180926.pdf

中国の「爆買い」で増加する日本の産業用ロボット輸出
1018年9月26日
2017年以降、日本の資本財出荷は輸出向けで大幅に増加している。品目別にみると、中国向けを中心に産業用ロボットの輸出が急増していることが主因

以上の記事に入るとグラフ等で詳細説明されていますが引用しませんので、関心のある方は直接お読みください。
こうなると反日暴動前の現場労働者の仕事先がどうなったかの関心です。
政府統計はあてにならないにしても(懐が苦しくなれば)現場の消費は落ち込むでしょう。

米国の中国攻勢→ファーウエイ副会長逮捕の衝撃2

日本政府はオーストラリアなどのように名指しして禁止しないが、事実上この5社製品が採用されない方針のようですが、これでは法的効果が不明瞭になりますし、(契約に〇〇製部品限定」と書いているのに、中国製部品を組み込んでいても民事契約違反でしかなく、)規制違反でないので刑事処罰対象にはなりません。
こうして企業から調達する製品に中国5社製品が紛れ込んで(今の電子技術では、機器にこっそりと組み込んでおくと自動的に情報を抜き取れる仕組みのようですから、)国防情報や企業秘密が事実上筒抜けになっても違法ではないことになります。
時あたかも12月15日の日経新聞第1面には、フェイスブックでスマホに掲載する手続きする前の原稿段階の多数の写真を外部関係者が閲覧できる仕組みになっていたことが判明し、大ニュースになっています。
フェイスブックは意図的に特定政治的グループに見せたのではないでしょうが、こういうことが政治的に利用されていてもわからないのでは困ります。
スマホ利用者は、相手に見せて良いと思う写真や動画だけ送信しているつもりですが、現地で撮影した時点で実はフェイスブックに(もしかして送信予定原稿も)全部届いていて、その中で指定した写真等(完成稿)だけが送信されているのではなく、撮影や原稿下書き段階で全部フェイスブックに届いていて、その中の指定原稿や写真だけが、指定した相手に送信される仕組みのようです。
前提として全部の情報が事前にフェイスブックに届いていて、そのうちの指定情報だけを指定された人にフェイスブックが送信する役割のようですが、電話で言えば混信して別の人に電話がかかるようなミスが起きる場合もあれば、事前に送信されている膨大な情報(その他下書きや送りたくない写真等)がヘフェイスブックにそのまま残っている・・誰かが見られることになっている現実を多くの人は知らないか、気にしていない(私だけかな)でしょう。
このように企業側で(特定の者しか見られない)遮断装置がちょっとしたミスで特定外のものに解除になると世界中に拡散する脆弱なものですから、この装置に侵入したり解除機器を極秘に仕組んでおけば企業機密・最新技術情報や、国防機密、政府首脳の会話記録など筒抜けです。
例えばこのコラムの原稿もグーグルサービスを使っていて、自分で独自に保存していませんからアップデート前の原稿がグーグルの「気分次第で?」誰が見る資格があるかが決まっているのは当たり前です。
気分次第ではなく、普通は機器の管理補修等のため以外に開くのは許されないルールがあるはずですが、ミスであろうと意図的であろうと、無制約に個人情報が外部に流れたりあるいはいつでも特定政治勢力が秘密裏に収集できるのでは困ります。
中国政府による世界的機密情報抜き取り・・サイバーテロ行為が疑われるようになったのは、中国にとって大打撃です。
いわば泥棒するような人を仲間に入れたくないような心境が世界に広がっています。
日本では直接的採用禁止をしないようですから、せいぜいアメリカの逆鱗に触れて日本国内企業はファーウエイみたいにアメリカに行った時に検挙されるのが怖いので事実上自粛するのを期待するしかないことになります。
(日本国内法違反で日本自身が規制できない)
このように事実上の規制と法的規制とでは、強力さがまるで違いますので産経の主張は日本も直接禁止すべきと言うのでしょう。
確かに法的効果は劇的な違いがありますが、日本の社会は何でも刑事罰で脅すのではなく、モラルの定着によって、国民が皆で守る社会です。
中韓のように不買運動などしなくと慰安婦騒動や尖閣諸島問題以降国民は黙って、中韓への旅行が激減し韓国製品と聞いただけでそっぽを向く習慣になっています。
国民あげて中国は怖いという印象が定着していますので、ファーウエイ製をコッソリ使っていたとバレたらその企業の国内販売が危うくなるでしょう。
(もともとソフトバンクは何となく中韓贔屓で怪しい!というわさがそれとなく広まっていましたが、)ファーウエイ事件をきっかけに日本の通信業界では、ソフトバンクのみが中国製を組み込んでいると言うネット上の噂が広まると、次期企画の5Gのみならず4Gの既存設備も急遽北欧製に取り替えると発表せざるをなくなったのは、国民意識を無視できないからです。
https://www.sankei.com/economy/news/181212/ecn1812120026-n1.html

日本でもソフトバンクが携帯大手で唯一、現行の4Gでファーウェイ製の基地局を、同じ中国の中興通訊(ZTE)製とともに採用。5Gでも共同開発を行う。
調査会社のMCA(東京都千代田区)によると、ソフトバンク向けの出荷は年々増え、17年度はソフトバンクの調達額の6割弱を占めたとみられる。ソフトバンクはファーウェイ製品を排除する方針で、MCAの天野浩徳代表は「ソフトバンクにとっても打撃だ」としている。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38878170T11C18A2MM8000/

ソフトバンク、既存基地局もファーウェイ製排除
2018/12/13 14:00
日本経済新聞 電子版
ソフトバンクは現行の携帯電話の通信規格「4G」の設備について、華為技術(ファーウェイ)など中国製の基地局をなくす方針を固めた。北欧の通信機器大手エリクソンとノキアの製品に順次置き換える。次世代通信「5G」でも中国製を排除し、北欧2社に発注する。世界で広がる中国製通信機器排除の動きが、日本企業の設備投資に影響を及ぼし始めた。

中国贔屓とみられていたソフトバンクも正面切って、違法行為をしているという証拠もない以上は、「アクまで中国製を使う」と開き直れないと判断したのでしょう・・。
世界中が中国製締め出しに走るようになると中国経済はガタガタです。
習近平政府としては反米で国民を煽ることもできず、困り切っている状態でしょう。
今になると中国が米国と親密な安倍政権に助け(打開策のアドバイスや仲介)を求めることはあっても対日攻撃の戦端をみづから開くなどの冒険は不可能な状態でしょう。
このシリーズ原稿は15〜6年頃に書いておいたものですが、まさに安倍政権はこのための布石を打ってきた成果が今になって明白に出てきた事になります。
安易な攻撃を誘発するような無防備・・ウクライナのように即日占領されるような弱さでは困りますが、一定の守りをするとともにその先は国際政治力学を構築しておくことが重要です。
中国にとって日本には近代の歴史上1回も勝ったことのない強国ですから、日本が一定の守りさえ固めた上で、国際的応援団を用意しておけばロシアによるクリミヤ併合のように短期間で決着が着きません・・。
中国が機会を見て日本侵略をしたい時に世界から少しでも悪く見られている方が良いので、そのための反日宣伝を陰に陽に日頃から国際的に進め、いざという時には日本の守りが弱い方が良いので、この下準備として反日活動家を日本国内に潜伏させておく「草」として利用しているのでしょうか。

米国の中国攻勢→ファーウエイ副会長逮捕の衝撃1

12月1日には中国最大の国際企業ファーウエー創業者の娘の副会長がカナダ空港で突然逮捕されたことで、米中関係は緊張状態です。
なぜカナダで逮捕されたかの疑問について18年12月9日日経朝刊では、約1年前から米国の捜索を感知した同女は米国へ入国しないようにしてきたことが報道されています。
だからこそ、米国の要請で犯罪人引き渡し条約のある第三国での検挙になったようです。
https://www.asahi.com/articles/ASLD83VL2LD8UHBI01F.html
米ニューヨークの裁判所が8月にはすでに孟氏の逮捕状を出していたことも明らかになった。孟氏は以前、米国をよく訪れていたが、米当局が華為の捜査を始めたと17年春に気づいて以降、華為幹部は米国訪問を避けるようになったという。

ここまでやられると中国は必死です。
https://www.msn.com/ja-jp/news/world/

中国、華為幹部逮捕で米大使呼び出し 逮捕状撤回求める
2018/12/10 08:42
[北京/オタワ 9日 ロイター] – 中国外務省は9日、米国のブランスタッド駐中国大使を呼び出し、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]の孟晩舟・最高財務責任者(CFO)がカナダで逮捕されたことに「強く抗議」するとともに、孟容疑者の逮捕状を撤回するよう求めた。
「米国の行為は中国国民の合法的かつ正当な権益を著しく侵害しており、極めて悪質だ」とした上で、中国の厳正かつ正当な立場に留意し、逮捕状を撤回するよう求めると述べた。
さらに「米国の行動次第で中国はさらなる対応をする」とも述べた。

よその国の司法手続き無視で自国民を容疑の有無に関わらず釈放要求するのでは、相手国の主権無視も甚だしい主張です。
こんな馬鹿げたことをこともあろうに世界最強国の米国相手に身の程わきまえず主張して公表するしかないほど中国政府は追い詰められているのでしょう。
ファーウエアー副会長逮捕で興奮した中国ではアップル不運動を呼びかける動きも出ていますが、全面ドロ試合になると困るのは中国の方です。
副会長の保釈決定が出たようですが、この騒動を機に米国政府機関の中国5大企業の採用禁止が決まったようですし、ニュージーランドやオーストラリアなどでもこれに追随するようです。
日本は中国製を名指し禁止こそしないものの、事実上不採用方針が報道されていてファーウエイ製品を2割ほど採用しているソフトバンクも順次北欧製に入れ替える予定と昨日あたりの新聞で報道されていました。
目前に迫っている5Gシステムに一旦組み込んでから、米国による制裁(イラン制裁同様で米国指定禁止企業と取引すると 米国法違反→米国内で企業活動できなくなるだけではなく、国外行為でも刑事処罰の対象になる・・)が発動されると大変な損失が生じるので、今から組み込むべき機器の発注先を変えておく必要に迫られているという動きです。
こ事件は「逮捕された中国人個人が釈放されて解決」という意味ではなく、中国経済に甚大な影響を及ぼす事件の始まりです。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018120700251&g=pol

中国・華為製品の使用中止を=米、日本など同盟国に要請-報道
政府は7日、米国が政府機関などとの取引を禁止している中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)の製品を、各府省庁や自衛隊が使う情報通信機器の調達から排除する方針を固めた。2社の製品に関しては、中国政府の不正な情報収集などに用いられているとの指摘が絶えず、安全保障上の観点から判断した。
米国で8月に成立した国防権限法は、全ての米政府機関や米政府と取引する企業を対象に、ファーウェイなど中国政府と関係のある企業の商品を使うことを禁じている。
菅義偉官房長官は7日の記者会見で「政府機関のサイバーセキュリティーの確保はますます重要になっている」と述べるにとどめ、中国2社の排除を明言しなかった。一方、政府高官は「名指しはしないが、危ないところからは買わない」と明言した。
岩屋毅防衛相は、2社の製品が防衛省で使われていないと記者団に明らかにした上で、「万全を期すことは当然だ」と語った。

https://www.sankei.com/world/news/181208/wor1812080003-n1.html

ファーウェイ排除 同盟国として共同歩調を
2018.12.8 05:00
政府が安全保障上の観点から、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)の2社を、政府調達の対象から事実上排除する方針を固めた。
中国製通信機器、部品を通じて、政府や軍事、産業、研究機関の機密情報が盗まれたり、マルウエア(不正プログラム)を送り込まれたりする懸念が米国など各国で広がっている。
米国は8月成立の国防権限法で、今回の2社を含む中国ハイテク企業5社の製品や部品の政府調達を禁じた。2020年8月には5社の製品、部品を使用する企業が、米政府と取引すること自体が禁止される。
オーストラリアやニュージーランドは、国内の5G整備への華為製品の使用を禁じた。英国では政府がZTEの製品不使用を民間に呼びかけ、秘密情報部のヤンガー長官は最近、華為の5G参入を排除すべきだとの考えを示した。同盟国として米国と問題意識を共有している。
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日本は明確に足並みを揃(そろ)える必要がある。政府調達では、対象社名を示さなければわかりにくい。さらに、5G整備や企業による製品、部品の使用から中国5社を排除するよう促すべきだ。
日本が中国からのサイバー攻撃に脆弱(ぜいじゃく)であれば日米同盟は弱体化する。中国は尖閣諸島(沖縄県)を奪おうとしている国でもある。中国通信機器大手の排除は、日本自身の守りに欠かせない。

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