不祥事発覚と企業体質1

フェイスブックの情報漏洩の例を見ると「一事が万事」というか、最末端不祥事発生は単なる例外的不祥事に過ぎないか、企業方針として元々個人情報を軽視してきた・倫理軽視の基本的体質が露呈したにすぎないかの見極めが大切です。
検査マニュアル無視や品質偽装問題その他これまで露呈した多くの問題は業界標準的運用・「(この程度は大目に見るというか?・必要以上に短すぎる賞味期限表示同様に「少しくらい問題がない」というような)意識が蔓延している・・自社だけではなく業界で皆がやってるから・・」という意識・不正をしている意識鈍麻から起きていることが耐震強度表示その他各分野で露呈していて次々と同業種間で同種偽装が発覚しています。
日本の誇る高品質の信用はどうしたという批判が聞かれますが、法規制や社外向け品質基準の提示は掛け声だけで実態が追いついていないことを皆が大目に見ていたのを、(実態能力より厳しめの規格にしてそれを目標に進化するという暗黙の合意成立する場合もあります・法的にこれを明確化しているのが公布後施行日まで数年置いて現場が追いつくのを待つとか、当初基準が緩めにして数年ごとに基準数値を徐々に引き上げるなどが合理的ですが、消費税の思考当初のように、年商一定額以下(これも次第に下がっています)は大ざっぱな納税で良い・消費税納付義務を緩める・いわゆる「益税」などの緩和措置もありました)
政治資金規正法などでは急な意識変化についていけない分野ですので、当面多めに見るという暗黙の合意があったように思われます。
当面の暗黙合意に過ぎないのに政治家が「多めに見ることになっている」という意識のまま、法制定あるいは規則強化後10数年も安住しているとある日突然パッシングを受けてうろたえることになります。
辻元清美氏が新人議員の時に土井たか子衆院元議長から伝授された方式でやっていたら、政治資金規制法違反だったかの詐欺罪だったかで実刑判決を受けて服役した事例がこれに当てはまるでしょうか?
我々弁護士会でも、意外に高齢会員が懲戒される事例が増えていますが、法令の変更だけではなく、どの程度まで弁護士がやるべきかの境界が動いています。
弁護士大量供給時代に入って約15年以上経過すると当時若手のサービス過剰?が「可哀想」の対象であったのですが、今や大量合格以降に弁護士になった会員の半数以上になってくると、彼ら若手の弁護サービスが標準的サービスと思われるようになる・・逆に若手同様のサービスをしないと義務違反の不満が出てくるようになってきました。
耐震偽装や、車部品の品質偽装などでは
「法規格以上のスペック提示だから法規違反ではない」と言う声も聞かれましたが、そうは言っても「約束通り」にしろという期待・法意識の合理化が背景にある・民度が上がってきた結果ともいえるでしょう。
不祥事発覚当初は現場個人責任か企業体質によるのか見極められないから、ほんの一例でも不祥事が出れば、日頃の体質・企業倫理姿勢が出たのではないか?との疑いを持ち厳しく批判をするのは合理性があります。
フェイスブックのザックバーガー氏の基本体質、個人情報などに関心を持たない点を昨日紹介した Financial Taimesの意見が厳しく批判しています。
ただし、中国や新興国への生産移管は、元々日本や先進国よりも、衛生基準が低いことや労働条件劣悪・賃金水準が日本より安いこと・品質も日本より数段落ちる前提での生産移管です。を常識的前提でコスト減を目的に国外進出するものです。
それなのに、低賃金〜非衛生環境でこき使っていると批判されるのは企業にとっては・消費者は「中国製であれば品質基準はこの程度」という納得で買っているのではないか?という立場とすれば心外でしょう。
仕入れ業者は、少しでも安いものを仕入れたいから、「安かろう悪かろう」を承知で仕入れているのですが、末端消費者はそれを知らされていません。
私の家でも生協の配達を頼んでいますが、毒餃子事件が起きて生協が中国の工場で作った餃子を仕入れていたことを報道で初めて知ったものです。
最近では生産地表示義務が徹底されていますが、表示さえ正確であれば国民は納得で買う以上、一定の諦めがあります。
「ある程度汚いのは知っているけど半値以下だし安いから良いか」と買った人は少しくらい衛生基準が悪くても中毒事故にさえならなければ「そんなもの」という諦めがあり、怒りません。
(とはいうものの「毒餃子」となれば驚くでしょうが)
現地国にとっても先進国基準で賃金を払って欲しいし、冷暖房完備・衛生的に行き届いた環境で働かせたいが、それでは工場誘致できないので、「先進国に追いつくまでは低賃金でも我慢するので工場進出して欲しい」という妥協でなりたっているものです。
これを中国は汚いと世界中で宣伝されるのは、恥ずかしいし嫌なものでしょう。
不正競争防止法で、どの程度まで国外違反を許さないかは民意をバックにした国会で決めるべきことであって、なんの民主的裏付もない(もしかしたら中国から資金を得ているかすら不明の)NGOが国連にも持ち出して日本批判する資格があるか不明です。
ただし、賄賂を要求に応じないという評判自体良いことですが、それをしないと受け入れう現地企業より不利に扱われれるという意味では内外不平等の原則を受け入れたという中国の国際約束に反します。
衛生・品質基準が日本企業は特に厳しいというブランドイメージが中国国内で定着すれば、日本への輸出基地機能としては利用できなくとも、逆輸入や第三国への輸出基地としての工場進出が終わって中国国内市場での販売目的の進出の時代になると品質ブランド定着が有利に働く面もあります。
MGOによる日本企業批判(反日目的?)運動が、今の訪日中国人観光客の爆買いに繋がっているとすれば、何が幸いするかはわかりません。
先進国では日本だけエネルギーの国外依存度が高かったせい石油ショックで大変ではあったものの、その結果省エネ対策が最先端になって今国際競争j城有利になっているし、左翼による公害反対運動が厳しかったおかげで環境規制対応力で世界に先駆けることができたこともあります。
汚職関連も同様で、中国人上司の指示や部下の進言で賄賂提供に日本人が関与すれば日本人だけ日本の警察に検挙され処罰される仕組みだとかわいそうです。
特に後進国では国際標準な合わせるために、先進国なみの厳しい法令を施行して先進国の体裁を整えるものの実際には摘発しない・・運用が緩やかという例が多いのですが、(中国の知財関連法はその最たる例です)誰も守れないし、守らなくて良い法令でも後進国では作っておけば、政府が処罰したい人物や企業に対しては(習近平が政権を握ると汚職で検挙粛清した)規制違反で処罰できる仕組みです。

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