異文化尊重と人権4(国際標準3)

排ガス規制や建築あるいは保健衛生規制その他いろんな規制がありますが、それらは原則国内での違反規制であって国外で日本法違反建築をしても日本の建築法規違反や、排ガス規制処罰対象ではありません。
よその国で日本の建築規制に合わない(例えば耐震基準)建築工事しようとその国の耐震基準で適法であれば良いことです。
労働法規も国民を守るための法制度ですから国ごとに違って良いことですし、上記の通り各種規制法は皆同じですが、(殺人行為はどこの国でも処罰されますが、本来国ごとに別で良いのですが、殺人や泥棒などはどこの国でも処罰の必要性が同じになっているというだけの結果であって、だから処罰程度(死刑のある国や鞭打ち刑のある国など)や刑罰程度も国によって違います。
国外で日本の労働法基準以下(日本の最低賃金以下など)で雇用すると不正競争になるのかな?
不正競争という概念は広いので何でもなりそうですが刑事罰対象にするには、「不正行為」というだけではなく具体的な要件事実を法に書いてあるものだけが処罰対象になるはずです。
よその国で日本の残業規制や最低賃金以下の過酷?労働批判は国外処罰規定までは同法にないと思われますが、これを強力に批判するのは実質的競争阻害運動になります。
不正競争防止法を念のために見ると外国公務員に対する賄賂罪が規定されていますが、労働法規違反や低賃金や非衛生などの処罰規定はありません。

不正競争防止法 (平成五年法律第四十七号)

(外国公務員等に対する不正の利益の供与等の禁止)
第十八条 何人も、外国公務員等に対し、国際的な商取引に関して営業上の不正の利益を得るために、その外国公務員等に、その職務に関する行為をさせ若しくはさせないこと、又はその地位を利用して他の外国公務員等にその職務に関する行為をさせ若しくはさせないようにあっせんをさせることを目的として、金銭その他の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をしてはならない。
以下外国公務員の定義等省略

現地の環境・労働法規その他の各種法規を守っていても日本国内法規あるいは国内価値水準に適合しなければならないのでは、(環境汚染や汚職その他やり放題・・規制のゆるい中国等新興国では、)日本企業の発注先企業にのみ先進国基準を要求するのでは、競争上ものすごく不利になります。
ただし、今や親企業だけではなく子会社の道徳違反や環境無視も親企業の価値観の表れとして批判される時代になっている事実は受け入れるしかないでしょう。
そうでないと汚れ役を現地企業や子会社を作ってそこに押し付けて大手企業は綺麗事を言ってれば良い事になります。
国内法で言えば産業廃棄物違法投棄頻発が社会問題になって以降、産廃法では、末端の怪しげな業者に丸投げによる責任逃れを防ぐために途中どの業者が関与したかに関わらず、(マニフェスト・インボイスが連続していても)違法投棄が発見されれば、排出元・・建築業者等がその虚偽記載に関与していなくとも最終責任を負う仕組みになっています。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)(昭和45年12月25日法律第137号)

第十九条の六 前条第一項に規定する場合において、生活環境の保全上支障が生じ、又は生ずるおそれがあり、かつ、次の各号のいずれにも該当すると認められるときは、都道府県知事は、その事業活動に伴い当該産業廃棄物を生じた事業者(当該産業廃棄物が中間処理産業廃棄物である場合にあつては当該産業廃棄物に係る産業廃棄物の発生から当該処分に至るまでの一連の処理の行程における事業者及び中間処理業者とし、当該収集、運搬又は処分が第十五条の四の三第一項の認定を受けた者の委託に係る収集、運搬又は処分である場合にあつては当該産業廃棄物に係る事業者及び当該認定を受けた者とし、処分者等を除く。以下「排出事業者等」という。)に対し、期限を定めて、支障の除去等の措置を講ずべきことを命ずることができる。

要するにマニフェスト等の書類完備があっても、実はそのマニフェスト記載が虚偽(正規の処理場へ搬入していなかった場合=文書偽造?)、ゼネコン等排出者にはそれを見抜けなかったことに過失がなくとも(有名な豊島事件では原告側は、排出者は処理業者委託に際しての慎重な調査義務があったなどの管理責任を問う法律構成で訴訟に持ち込み和解に至ったようです。)上記事件のように過失を認定しなくともこの条文で「支障の除去等の措置」命令を出せることになっています。
「支障の除去措置命令」とは違法に投棄された産廃の除去命令です。
何年かのちに途中の山林に投棄されていることが判明すると何も知らなかったとしても排出元に最終責任が来るのですから、建築業者等は日頃から信用できる業者に発注するように心がけるしか無くなります。
また経済的にも大手の場合、連結どころか関連企業の不祥事が命取りになる例が出てきています。
日本のバブル崩壊後の金融危機の回顧記事が最近日経新聞でシリーズ的に出ていましたが、1週間ほど前だったか?長信銀の 元副会長だったか?の回顧記事で本体は危機ではなかったが、子会社に問題があったことの発見が遅れたような意見が出ていました。
昨年あたり大騒ぎになった東芝の(倒産騒ぎ?)問題も、結果から見れば米国のウエスチングハウス社を買収して子会社に取り込んだところ、その会社の大幅赤字が屋台骨を揺さぶる結果になったものです。
フェイスブックの信用ガタ落ちの始まりは、研究資料として個人情報利用を許したロンドンの研究者がロシア関連に情報を横流しして選挙介入に利用された疑惑がその始まりでした。
それが今や、アップルやアマゾン、マイクロソフトなど大手企業にも個人情報を利用させていたことが判明しているらしいです。
(日経新聞12月27日朝刊6p Financial Taimesのコラム等の転載記事によります)
フェスブックの不祥事はミスではなく意図的?経営者の金儲けになれば、個人情報保護など気にしないという意識も問題というステージに発展しているようです。

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