地方自治と国家利益(民族一体性)3

昨日紹介した16年の記事を見ると、地元住民と関係のない活動家が入り込んでいること・地元住民と関係のない全学連が住み着いていた成田空港反対運動が再来したような印象です。
マスコミ・文化人は何かと言うと自己意見の正統性を立証するためにか?「諸外国では・・」と言う紹介が普通です。
ロシアやアメリカで軍事基地の設置やオスプレイなど兵器の配備に付いて、地元の町や市の同意を要する仕組みになっているでしょうか?
新兵器開発の都度地元自治体の同意がないと新規配備ができないのでは、軍の機能が維持できません。
韓国新大統領就任後文在寅大統領は公約である?サード配備を遅らせるために環境影響評価をするという決定をしたことに関して、元々軍事施設の場合には、例外規定になっているという記事が出ていました。
https://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/entry-12282160970.htmlによれば以下の通りです。
「(3)「つい先日まで国防部は、『環境影響評価は必要ない』との立場を明確にしていた。環境影響評価法には、『軍事上の高度な機密保護が必要であるか、あるいは軍事作戦を緊急に遂行すべき時と国防部長官が認め、環境部長官と協議した事項』については『環境影響評価を実施しないことも認める』と定めてある。要するに、最終的には政府と大統領が決められることになっているのだ。」
私には外国の条文自体に当たる能力がありませんが、常識的に見てこういう条文があるのが普通でしょう。
こうした世界標準・・実情を丁寧に紹介してこそ、国民間でマトモな議論になるのですからこれこそがメデイアの職責であり、合理的議論と言えるでしょう。
秘密保護法や共謀罪法案でも集団自衛権でも単に憲法違反とか言う憲法学者や日弁連の反対声明ばかり紹介するのではなく、法案の必要性の有無と国際社会実態や世界の法制を比較紹介して一般国民の議論を深める努力をしてこそ、メデイアです。
朝鮮情勢緊迫後の文大統領が配備決定したと思うとあっというまに配備完了している様子が9月7〜8日頃の日経新聞で報道されています。
以下MSNの毎日新聞ニュースからです。

【ソウル大貫智子】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は8日、米軍の最新鋭迎撃システム「終末高高度防衛(THAAD)ミサイル」の配備について国民向けメッセージを発表。北朝鮮の相次ぐ核・ミサイル発射実験により「かつてない厳しい状況の中で、朝鮮半島での戦争を防ぎ、国民の生命と安全を守るためだ」と説明し、「現状で最善の措置」と理解を求めた。
文氏は5月の大統領選で配備に慎重姿勢を示していたため、支持層から「公約違反」との批判が高まっており、早期の対応が必要と判断したとみられる。
一方、7日に発射台4基を韓国南部・星州(ソンジュ)に追加搬入した際、反発する一部住民と警官がもみあいとなったことについては「大変残念」と遺憾の意を表明した。
韓国ギャラップ社の8日発表の世論調査によると、文氏の支持率は前週比4ポイント減の72%。不支持の理由は、THAAD問題を含む安全保障問題への対応を挙げた人が多かった。」

結果的に軍事施設については特例があったからできたのでしょう。
パク大統領追及時には関連手続きをしなかったのは違法ではなく、政治決断の問題だという公平な報道が出ないのが不思議です。
上記は韓国政治ですが、国内でもこのように客観事実を伏せたまま一方的報道をしょっちゅうしていることが多いのが問題です。
メデイアは周辺必要情報開示を故意に怠って自社思想に都合の良い方へ情報操作しているように思われます。
地方自治といっては、際限のない地域エゴの積み重ねを許してきたのが戦後政治でした。
占領軍にとって最大関心事は日本人の一体感破壊でしたので、精神の岩盤である神社信仰破壊が第一で、政治制度としては自治や地域エゴの奨励が必須だったのでしょう。
アメリカの占領施策の方向が変わって日本の協力が必要になるとアメリカの育てた不合理な自治制度がアメリカにとって邪魔になり中ソにとっては、これをけしかけるのが有効な妨害手段になりました。
占領支配下で左翼思想優遇の結果勢力を持ってしまった左翼系メデイアや文化人が、日本侵略を目指すソ連や中共政権の意を受けて米軍基地妨害目的でより一層自治の要求が強く出してくるようになりました。
昨年10月10日公示予定の総選挙でも、左翼系政党及び希望の党は地方自治権拡大の憲法改正を公約しています。
一方で希望の党は当初「外国人参政権を付与しない」という方針を表明していましたが、第一次公認発表で民進党系公認が6割も占めるようになるとその意見を無視できなくなった結果?外国人・要は在日がそのターゲットですが・参政権付与に前向きに転じたと言われています。
外国人の参政権を付与し、しかも自治体の権限を拡大して行くと外国に関連する政策・主として防衛関連政策は自治体の同意がないと何も出来なくなって行きます。
そもそも自治とは何のためにあるのでしょうか?
身の回りのことについては、地元で決めて行く方が合理的なことは誰でもわかります。
権力者もいちいち口出しするのは時間の無駄ですから、末端組織に任せるのはどこでも同じです。
権利には義務を伴うと言いますが、自治権にも国家一体感の枠を超えない節度が必要です。
弁護士等の憲法遵守義務と時代に合わない憲法改正をした方がいいかを論じることとは別次元ですが、不思議なことに弁護士会での護憲論者は改正反対を理由に憲法擁護義務を掲げて弁護士である限り護憲運動するのは当然であると主張するのが普通です。
左翼文化人が金科玉条のように重視する憲法においても、・・個々人の人権は全体利益の範囲内でしか認められないのが原理原則です。
以下に紹介するとおり、人権も「公共の福祉に反しない限り」認められているに過ぎません。

憲法
第十二条  この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
第十三条  すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
第十八条  何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。」

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