国家的事業と自治体の拒否権5(原発の可否は国政で!)

現在日本の法制度は何重にも地元自治体の協力を必要とするようにシステム化されていて、1つの事業についてある部分では地元の村や町の許認可・例えば国道を通すのに小さな公園や小学校の移転が必要な場合など重層的な地元自治体の協力がないとどんな国策も進まないようになっています。
3日ほど前に新潟県知事選挙で反原発派?知事が選挙に勝ったと報道されていてこれに迎合するように近くに学校があって、これではいくらなんでも危険だ、無理だと言う尤もらしい意見が流布しています。
そんな些末なテーマは、原発をどうするかの議論で決着がついている話のすり替えまたは蒸し返し論です。
成田空港の例を書いて来ましたが、日本に空港が必要でありどこに立地するかが国政の場で決まった以上、その空港予定地内の道路や公園を廃止するのは当然の原理です。
あるいは境界ギリギリに保育所などあれば、これを移転するのが本来です。
決まってから、計画地内あるいは直ぐ近くに道路、小学校や幼稚園があるからダメ、民家が空港内では困ると言う議論すること自体が馬鹿げていると言うか、論理すり替え・・新たな知見に基づいて考え直す必要があるならば、国政の場で議論すべきことです。
ダム工事や自衛隊基地その他国策的計画の場合、計画地周辺に民家も道路も何もない土地は普通に想定出来ません・・当然予定に入っているのが普通です。
工業団地計画でも、敷地内だけではなく周辺住民の危険を防ぐために国道等からの取り付け道路まで計画するのが普通です。
国政の場での決定段階で地元代議士が道路のつけ替えなどで住民にはこう言う不便が起きるとか、学校も移転する必要があるから困るとか逆に誘致する立場の人はその程度のマイナスは良いからそれでも地元産業振興のために誘致するかを決めて運動して来た結果でしょう。
今回のオリンピック会場経費問題もそうですが,誘致する方(会場までの道路整備など知られています)も審査する方も共に相応の周辺整備負担を考えて行動しているものです。
もしも原発近くに学校があって危険ならば地元自治体が移転すべきことであり、これを(補償交渉で「この範囲まで保障して欲しい」と言う議論までしたら誘致出来ないと思って黙っていたのか・)しないで今になって、「近くの学校が危険だから原発反対」と言うのは議論のすり替えです。
仮にどちらの責任でないとしても(津波のような大災害が想定されていなかったと言うならば、津波の危険があるならば原発がなくと移転すべき問題であり)保障の問題でしかありません。
危険でないと思っていたが大津波を想定すれば危険と言う判断に変わったとするならば、学校の移転などの対応を変えれば良いことであって(間違っていたとすれば、当時誘致運動していた人の責任であり、その分の保障をもらっていたのに移転しかなった場合もあり得ます?)そこからイキナリ原発をやめなければならないかの問題にはなりません。
ある場所で交通事故多発しても、すぐに通行止めにしないで、信号設置やカーブミラー設置などいろんな対応があるように、学校が近いのが危険と言う意見に変わったならば、学校移転を議論すれば良いことです。
柏崎原発のデータは以下のとおりです。
  着工 1978年12月 運転開始 1984年11月
着工後約40年経過と言うのですから、・・その前の計画や賛成反対運動の時間を考えると50年くらい前からの議論です・・原発後に学校が出来たのか前からあって5〜60年間誰も問題にしなかったのか?当時から危険性が問題になっていながら、誘致に決まったならばその直後に移転すべきだったでしょう。
学校は昔からある(筈・・原発設置後に作ったならば作った自治体の見通しミス)なのに、今になってイキナリ反対材料として言い出した印象があります
前からあった場合「何故学校そのままの前提で誘致したのだ」と言う内部責任追及の問題・・自治体の当時の責任者・・誘致活動した政治家などのミスを、何故交渉相手の政府や東電の所為にするのか不明です。
日本政府が外国と損な約束していたとしても、それは内部責任追及の問題であって次の担当者が引き継ぐしかありません。
オリンピック会場設営経費が高くなってしまった分を国際オリンピック委員会で補填してくれとは言えないのが普通です。
もしも現状の学校が危険ならば学校を移転すべきで、今まで問題がないとして移転しなかった地元自治体の責任を論じるべきです。
空港計画で言えば、計画区域内に道路や公園・小学校があるから空港作るなと言うのではなく、国政の議論で空港の必要性と設置場所が決まった以上は、国政決定に従う義務・・自治体は計画区域内に公的施設が邪魔にならないように移転すべきであって、(相応の保障は当然)公的施設や公園・保育所があり村道が走っているコトを理由に計画に反対出来る・公園や道路廃止手続などサボタージュが許されるのでは、国政は何も出来ない・・統一国家とは言えないでしょう。
この原理はダム工事(集落丸ごと水没する場合さえあります)でもゴルフ場開設(民営の場合公益性が低いので所有者同意が必要・・収用出来ません)でもみな同じです。
自治体が反対すれば国政が滞る前提でこれを悪用することを羞じない人材が増えて来ると、これを狙って国政上の議論で負けた政党が特定地方に人を集めて反対させる邪道がはびこります。
日本の人口1億数千万人として、僅かに0,001%でも意図的に集めれば過疎地では相当な影響力があります。
10月17昨日紹介した与那国島の住民投票の例で言えば、外国人の投票まで入れて賛否の票差が約200票ですから運動員が直前(3ヶ月前)に300人も移住届を出していれば反対結果になる仕組みです。
特定組織が3〜500人規模のキャラバン隊をいくつか組織して専従化させれば、問題のありそうで賛否拮抗している自治体を狙って、移住(住民登録だけ?)巡業?して行けば僅か数百人でもキャスチングヴォートを握れるので次々と決議を成立させることが可能です。
国政選挙では、補欠選挙を除いて全国一斉ですから、2重3重の投票権行使が出来ませんが、全国一斉でない自治体選挙や住民投票では、「ズル」が普通に行なわれている印象です。
国策(国会決議)で多数の支持を得られなかった政党支持層が、日本全体人口の0、01%以下でも、ある時期めがけて過疎地の特定の町やムラに数百人も集めれば大勢力になります。

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