国家的事業と自治体の拒否権6(一坪地主運動)

自治体には自主性が重んじられるからと言って、国で決めた開発方針に逆らって、開発予定地の学校や道路付け替えなどに応じないのは「自治の本旨」に反していませんか?
国会で十分な審議をして折角決議しても全国〜広域規模の施設が必要な施策について、その計画地の1つの自治体が反対すると政策実行出来ない不思議な国家制度となっています。
たとえば、全国〜広域規模の新幹線や高速道路は、・・誘致競争しているので政党による反対がない=問題が起きていないだけ→もしも与野党で新幹線や高速道路敷設に関して意見対立あったた場合、その予定沿線の一部にでも野党系首長がいると前後数百kmの工事が貫通しなくなります。
こう言う運動をしている野党は、与野党一致の政策以外は何も出来なくて良いと言う考えによるのでしょうが、これでは自治体が独立国になっている・・友好国・連合の関係と同じで統一国家内の自治体とは言えません。
ソモソモ民主主義制度とは意見が対立する前提で違った意見・・議論を尽くした上で多数決で決める前提で成り立っています。
その議論の結果評決で負けた以上はその結果に従い次の選挙で雪辱するのが民主主義の原理です。
スポーツでも何でも一定のルールで試合して負けた以上はその結果に従うべきです。
昨日アメリカ大統領選最後の討論会の模様が報じられていましたが、(マスコミのでっち上げテーマかも知れませんが)最終討論会の大きなテーマは「選挙結果に従うかどうか」が大きなテーマであるとして掲げられていました。
ブッシュ氏に選挙で負けたゴア氏も相応の言い分があったでしょうが、「敗軍の将兵を語らず」で不満を言っていません。
スポーツで相手が卑劣っぽい勝ち方をしたときに負けた方にマイクを向けるとこれには答えず、「私が弱かっただけです」と答えるのが普通です。
負けてもグジグジ言うのは、アメリカでも嫌われているからこそ,このルールをトランプ氏が守りそうもない印象を強調するためにこう言うテーマを民主党系マスコミが大宣伝していると思います。
成田空港の例で言うと最大野党社会党が反対して1坪地主運動を推進したのですが,全国の国民が支持していない・・選挙で負けた結果をイレギュラーな方法で国策実施段階で妨害をするのは民主主義ルールに反しています。
「飛行機は騒音があるだけで何の国益もない金持ちの贅沢品に過ぎない」と言う政策のママ(私が弁護士若手の頃にこう言う理由で反対運動参加の勧誘を受けていたことをこのコラムの始め頃に紹介したことがあります)でいたら、日本経済はどうなっていたかと思う人の方が多いでしょう。
多分当時の社会党や共産党も飛行機の有用性を知っていたでしょうが、「日本人に飛行機にさわらせない・絶対に作らせない」と言うアメリカ占領軍の置き土産を代弁していたのだと思われます。
https://docs.google.com/document/d/1B_k-2lcstvNhZWWRqkWpEo0Evf1mJlU7NLjlDEZOEak/editからの引用です。
「 一坪地主 」 とは土地登記簿上の名義人 ( 地権者 ) を増やして、土地収用手続きを煩雑化させる目的で作られたものですが、三里塚・芝山連合空港反対同盟が、空港内の地権者から土地を購入し昭和41年(1966 年)に始めました。一時は約1,260 人におよびましたが、成田空港が開港すると約 400 人に減少しました。
昭和 58 年(1983年)に反対同盟は、2期工事阻止をねらい再度「 一坪地主 」運動を始めた結果、平成7年(1985年)には約1,400人に増えました。
社会党 ( 現社民党 ) も空港反対闘争の一環として、組織的に 「 一坪地主 」運動を推進しましたが、当時の土井たか子委員長も 一坪地主になりました。空港建設に反対し妨害行為をしながら、彼女と社会党 ( 現社民党 )員たちは、訪朝、訪中の度に成田空港から出入国していました。
ある時成田空港へ帰国した土井党首に対して、 カメラの前で テレビ記者からその矛盾点を追求されると、記者を無言でにらみ付けただけで何も答えませんでした。( 正しくは 答えられなかった のでした )
公の立場にある政党の党首が 成田空港を常に利用しながら 反対派の 「 一坪地主 」 に名前を連ね、空港建設工事を自ら妨害するという矛盾や、その愚行を テレビの視聴者の前に露呈した結果になりました。」
土井党首が答えられなかった問題はマスコミで大きく報道されたので、記憶されている方も多いでしょう。
「飛行機製造絶対禁止政策」の結果飛行機技術者が新幹線製造研究に方向転換したことは良く知られているとおりです。
このような激しい反対運動の連続の結果、今頃、ホンダや三菱の国産旅客機が漸く離陸出来るかどうかと言うほど国産旅客機製造が遅れてしまいました。
統一地方選挙制度であればこう言う「ズル」を防げますが、地方選挙・・例えば今回の新潟知事選や東京都議会選挙は時期がずれているし、各種反対決議等は時間差があるのでいわゆる「プロ市民」が巡業的に何回でも参政権?を行使出来る制度設計になっています。
例えば国民の1%しか支持されていない勢力でも活動家率が高いと、これを組織してあちこちの選挙の都度移動して行くと・・仮に100カ所に移動すると全く移動しない人から支持を受けている政党に比べて100倍の得票が出来ます。
以上によれば自治体選挙結果は実は当てにならない・全国一斉の国政選挙での得票率こそが本来の国民意思の現れと言うべきでしょう。
活動家が押し掛けて来て投票しても、彼らがいなくなれば、もう一度選挙し直せば良いかと言うとそう簡単には行きません。
アメリカのグランデール市の慰安婦像設置と同じで、集中的運動期間を決めて一度勝てば良いのです・・その後中韓系移民がどこかへ行ってしまっても一旦設置されてしまった像は簡単に撤去されません。
ダムでもロケット基地でも公民館でも一旦建設されれば、再決議をして簡単に撤去出来ませんし、あるいは一旦撤去され、否決されててしまえば、再設置の機運は(空港でも工業団地、港湾整備でも反対運動が激しくて予定が立たなければ・・事業家は別のところに進出してしまうので)簡単に再度の機運が盛り上がりません。
自衛隊基地や原発立地・空港設置やダム工事の可否も同じで1回否決してしまえば、その後活動家がいなくなっても、計画そのものを一旦頓挫させたり、施行を長引かせて時機遅れにしてしまえれば或る国策反対論者としては、目的を達することが出来ます。
与那国島の基地問題で言えば、レーダー基地を設置するかどうかで小田原評定を続けているうちに中国に占領されてしまえば議論不要になります。
成田空港も何十年も計画完成を遅れさせ、その後拡張が必要になっても簡単でない(上記のとおり拡張工事が必要になると又一坪地主が増えました)結果、国際ハブ空港の地位が韓国に移ってしまいました。
先進的産業発展計画も「◯◯があったらどうするのだ」と言う反対ばかりして、実験用地買収に反対しているうちに国際的先端技術開発競争に負けてしまいます。
与那国島の例で言えば住民投票条例は6年前に出来ていると言うのですから、長い間掛けた争点だったこと・・あるいは成田空港の例で言えば、野党が反対している国策決定後実現までには何十年もかかる我が国の実態が分ります。

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