ネット炎上とスラップ訴訟・言論封じ2

非武装論の左翼系が攻撃目的の弁護団・常備軍を抱えているのに、右翼系が非武装論反対・・「武装こそが独立の要」と主張していながら、自分を守る(専守防衛武装勢力)弁護団結成の必要性に意識が行っていないのは矛盾しているようです・・医者の不養生とも言いますが・・。
裁判されて慌てて個人資金で弁護士依頼しているのでは、国土を侵犯されてから慌てて軍隊を養成しているようで話になりません。
かなり成功している有名フリージャーナリストでも、裁判資金として何億円も別枠で用意している人はいないでしょうから、日本中で5000万円前後の損害賠償請求の大量裁判すると脅かされたら(500〜1000万円程度の裁判資金では対応不可能ですから)1も2もなく黙ってしまうしかありません。
左翼系弁護団は全国津々浦々にいますから全国で訴訟展開しても出張コストがかかりませんが、フリージャーナリストが個人的に知っている弁護士に頼んだ場合、沖縄から鹿児島〜北海道の釧路まで全国での事件対応を考えれば分るでしょうが、東京から往復する飛行機代にも1000万(1つの裁判あたり僅か10万円ですから)では全く足りません。
最近盛んなヘイトスピーチ規制論も刑事処罰がなくとも規制法が出来さえすれそれを根拠にドンドン賠償請求訴訟に巻き込む武器となる・・裁判攻撃の武器入手目的と見れば分りよいでしょう。
年間100カ所のデモでヘイトスピーチしたと訴えれば100カ所の地裁や支部で大量裁判が出来る理屈です。
(同じ場所で10回やれば裁判の場所同じと言うだけであって、発言内容も毎回微妙に違うでしょうから、証拠調べも違って来るし、スピーチごとに打ち合わせもする必要がある・・スピーチした時期も違うので、同じ裁判所に1〜2ヶ月遅れで順次10件訴えられると進行が微妙にズレます)事件としては別の事件・10件の手間です)
右翼系は概ねマスコミ反対者・一匹狼系ですから組織援護システムがありません・・ネットで頑張っている個人ジャーナリストが、ヘイトスピーチしていないと主張して争うには100カ所も対応しきれませんので勝てる裁判でも負けるしかなくなります。
1件5000万円(本来の請求額は数百万でしょうが懲罰的目的と称して朝鮮人学校事件のように千万単位の請求もあり得ます・・植村記者事件では3600万円?)払えと言う裁判をあちこちでされた場合、仮に弁護士費用何億の準備があっても負けてしまいます。
スラップ訴訟されると弁護士費用さえあれば良いのではなく、弁護士との打ち合わせ時間がないと裁判出来ないので、裁判中は裁判準備に忙しくて(100件が月に1回裁判があると休日を除くと1日平均4件前後ですから裁判準備が間にあわないばかりか)次のデモや新しい取材旅行や資料読み込みをやっているヒマがない・・収入源が断たれてしまいます。
これがアメリカで既に現実化しているスラップと言われる訴訟を利用した言論封じらしいです。
植村記者に対する捏造批判フィーバーが名誉棄損訴訟提起によってピタット止まったように見えるのを見れば、スラップの威力が明らかです。
2チャンネルの場合には事業を売ってしまっておしまいでしたが、個人ジャーナリストの場合自分の命を売れませんから裁判で負けた賠償金を生涯払い続けるしかなくなります。
在特会の元会長が、京都の朝鮮人学校関係の賠償金支払に参った感じで話していたのを記憶している人が多いでしょうが、言論空間の争いを訴訟戦略にずらせて来る戦いにどう対応するかは、深刻な問題です。
次々と訴訟されると事実上言論戦ができなくなる仕組みです。
国家の存立には平和的交渉ばかりではなく一定の自衛軍が必要なように、自由な言論で戦うにも相手が言論の場で戦うよりは訴訟戦術で潰しに来る場合に備えて自衛組織(弁護団養成)を構築しておく必要が分ります。
討論会で相手の質問に答えずに別の話題に切り替える狡い人がいますが、これを極端にしたものです。
「話せば分る」と言っても相手が問答無用で刀を振りかざして来れば、こちらも刀で切り返さないと殺されてしまい、話すヒマがなくなります。
商人は商品の品質で勝負すれば良いことですが、品質が良くても途中沈められたのではどうにもなりませんから、重商主義時代以降は、国力=航路の安全保障のためには海軍力が必須だったのです。
今は裸の軍事力よりは先ずは法的紛争・・戦闘能力が言論戦の勝敗を分ける時代です。

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