民度と政体10

外資導入して外資の指導とおりに製品を作るだけならば、どんなレベルの国民でもちょっと指導すれば出来ますが、その段階が過ぎて今度は自分で考えて行かなければならないとなれば、モロに政治家・・この輩出基盤になる民度レベル次第になります。
この4〜5年の中国の政策決定は、やればやるほど墓穴にはいる・・拙劣な政治効果を露呈しています。
失敗の誤摩化しのために対外強行姿勢を強化するしかない状態に陥っているのは、模倣・単純製造段階を通過しつつあることによる複雑対応能力欠如による結果が出て来たのです。
反日暴動をすれば資金流出が始まり、今になって資金不足に陥ったので日系企業を呼び戻そうとしてもうまく行きませんし、レアース禁輸も却って大損したばかりか、国際信用を毀損しました。
軍事拡張・近隣威嚇行為も中国から見れば、「どうだ誰も反撃出来ないだろう!」と満足しているつもりかも知れませんが、ヤクザが肩を怒らせて良い気になっているようなもので、決して長期的に得な行為ではありません。
まして世界の警察官?のアメリカが駆逐艦を出して来ると黙ってしまい、直後のASEANの会合では話し合いで・・・と言い出したのは、警察が来るとイヤ脅かすつもりはないですよ〜普通に話していただけですよ!」と言い訳しているようなもので、みっともない限りです。
結果から見れば中国の威信?信用を大幅に毀損してしまい・・相手が弱いと見れば何をするか分らない「怖い国」のイメージ払拭には、長期にわたって莫大な投資・・持ち出しが必要になり、目先威張れたかも知れませんが結果から見れば、大損でしょう。
政権の政治能力は、民度以上のことはありません。
日本の場合、早くから反日暴動をされた御陰で世界のどこよりも中国脱出を始めていたので、中国経済失速による傷が浅くて済んでいます。
日本の穴を埋めるために進出した韓国やドイツ・欧州諸国は対中取引比率が高くなっている分、中国経済失速の影響をこれからマトモに受けることになるでしょう。
AIIB対TPPの図式ですが、アメリカはグーグルの撤退を契機として、日本は反日暴動を契機として、早くから中国から足を洗う方向で準備が進んでいたのに対して、その穴埋め勢力として遅れて欧州諸国と韓国が進出した・・この構図の反映です。
IMF体制は、これまで書いているようにエリ−ト集団による空理空論による運営でしたから、アジア諸国の実態に合わず(特にアジア通貨危機に対する処方箋が)世界の信用を落としました。
言わば、実際政治を無視したNGOの「提言」で国連経済社会理事会が空疎な勧告を濫発しているの同様で、IMFも実態政治を理解しない点は同様ですが、・・理事会勧告は無視出来ますが、IMFの場合、実際の資金移動の決定権を握っているので、事実上の強制力を持っていたことが怨嗟を招くことになりました。
アジア危機でのIMFの失敗を見ると、経済学者グループの人材が実際政治を動かす決定をするのは無理があることを表しています。
経済学者の説明は「無限大にある不確定与件が一定ならばこうなる」と言う理論ですが、環境条件が一定のことなど実際世界にある筈がないのに、モノゴトを単純化している思考方式です。
与件一定を前提にする思考方式は、理論分析には必要な道具概念ですが、これをそのまま無限の変化可能性のある現実経済に当てはめて政治をするのは無理があります。
彼らは元々そう言う無限の変化可能性を相手に思考し、決定する訓練を受けていません。
秀才と言うのは、一見頭が良さそうですが、学校秀才を生み出すテストも言わば複雑系の人間よりは単純思考・・無駄なことを考えない人間の方に有利に出来ていますし、学者になってからも上記のように単純思考の訓練しか受けていないのです。
こう言う人やグループが現実政治を動かすと無理がでます。
TPPも当初アメリカ1強で無茶な運営がされる恐れ・・社会経験のないエリートの考えの押しつけ・・これに従わないと直ぐに訴訟されてしまう・・訴訟社会のアメリカが強引な運営をするのではないかと弱小国が怖がっていました。

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC