アメリカの指導力15(引き蘢りのリスク3)

アメリカは,紛争が起きても巻き込まれるのはイヤだ・・自分の兵力を直接派遣出来ないと宣伝して自国財政負担を減らしつつ、アジア諸国に兵力強化をけしかけて、表向きは日本やフィリッピン等の味方のフリをして緊張を煽れるだけ煽り続けることになるでしょう。
アメリカにとっては,この期間が長引けば長引くほど経済的メリットがあるし、兵器供給を絶たれると中国と対立しているその国は直ぐに参ってしまうので,アメリカの不快感に敏感に反応するしかない・・アメリカの支配欲が満たされる関係ですから,裏で中国に適当に連絡しながら、アメリカが巻き込まれるような本当の大戦争ならない程度にけしかけ続けるのでしょう。
1919年には既に対日戦争計画策定されていたことが最近分って来たように、2100年ころになると2000年代初頭に結んでいた米中密約の公文書が公開されるかも知れません。
米中が裏で結託してしまうリスクが高まると、中韓を除くアジア諸国は、不当な要求でもアメリカに一定の配慮をするしかない・・これがいつもアメリカがトクして来た関係です。
TPPも含めて当面これで収まるのでしょうが、ヤクザのマッチッポンプみたいなことを繰り返して行くと、次第にアメリカの信用が失われて行きます。
アメリカが何をやってもうまく行かなくなった場合でも、イキナリの全面引き揚げや中国との太平洋2分割に走るよりは、徐々に軍事援助削減・・交渉ごとで譲れなくなること等から始まるでしょうから、その補完を徐々に日本が引き受ける段階(・・結局は米軍縮小の代わりに日本に兵器を多く買わせて儲けること)が予想されます。
アメリカは金儲けばかりであまり当てにならないとなると日米勢力圏にとどまるか、韓国のようにアメリカの先はないと見て一足飛びに中国にシフトするかの競争が起きてきます。
多分、裏ではアジア諸国に対して中国からの切り崩しが激しくなっているのでしょう。
政治は信頼が第一ですから、(政治家が病気を秘中の秘にするのは先がないと思われると周囲が言うことを聞かなくなるからです)近い将来アメリカが政権(パックスアメリカーナ)・・国際警察力を投げ出す可能性があると分ると、先を争って中国の軍門に下る動きが加速してしまうでしょう。
これを見越して韓国は中国シフトを始めたのですから、露骨過ぎる難点がありますが、一応これも1つの「利口な?」選択肢です。
アメリカは兵器購入先が減るのは困るので、イキナリ投げ出さずにそれなりの引き止め努力はするでしょう・・。
上杉謙信が小田原を攻めたことがありますが、しょっ中関東に来ると北関東の諸将がどちらに着いて良いか分りませんが、もう来ないとなれば競って北条方に帰属するようになります。
日本は元々信義を守る国民性ですから、アメリカが落ち目になったからと言って手のひらを返すようなことはしません。
まして、まだまだ山賊的で粗暴な(権力を握ると何をするか知れない怖さ)中国の支配を受けるのはリスクが大き過ぎるので、アメリカには今後50年くらいは相対的強国として世界の秩序維持責任を分担して(投げ出さないで)頑張って欲しい立場です。
その間は,高い兵器でも買い続けるしかないでしょう。
アメリカは国際信義など問題にしない国であるとしても、世界の警察権を投げ出すのが少しでも長引けば、その間に日本の自衛力充実期間があるしインドや東南アジア諸国も成長するでしょう。
またその間、アメリカの補完勢力として日本の軍備拡張にアメリカも協力するしかない(金儲けになるし)でしょうから、この間に日本の自衛力や国際発言力が強化されます。
1月24〜25日以来書いて来たように、米中は国民の価値観が共通で体質的に親しみがあるので、日本に陰で助けてもらうことによって日本がジリジリと発言力や軍事力を強化する・・次第に政治面でもアジア諸国のアメリカ離れが進むことにどこまで精神的に耐えられるか、途中で中国に投げ出してしまうリスクを頭に入れておく必要があります。

アメリカの指導力低下14(引き蘢りのリスク2)

自衛しないで警察に任せて下さいと言ってたのに、イキナリ引き上げますから今度は自分で自衛して下さいと言われた場合、日本やアジア諸国は慌てて拳銃等を仕入れて射撃練習から始めるような立場になってしまいます。
アジア諸国が自衛出来るようになるまで、当面・・まだ数十年は無能な主君を盛り立てる忠義な家老のように・・母親が幼い子供を励ますようにしっかりとサポートしてやるしかないでしょう。
近いところでは、TPP交渉が挫折するとアメリカが太平洋秩序を主導して行くことに自信喪失に陥らないか心配しています。
まずは、アメリカの無能力が際立ち過ぎてあまり恥を書かないようにTPP交渉では裏からじっくり支えてやるしかないでしょう。
ケネデイ大使も恥をかいて引き蘢ると反日勢力の一人になってしまうリスクがありますので、そうならないようにする必要があると2014/02/08「アメリカの指導力低下11」で書いたことがあります。
最近ネットで見た記事では(信憑性が不明ですが・・)政治経験を全く問題にしないで,アメリカ大使は選挙資金集めの功労順に決めているような内容で,アルゼンチンだったかその他の国の大使就任の議会証言でそれぞれ赴任予定の国に行ったこともないと言う人が何人も選任されているようです。
オバマ政権のレベルと言うべきか、アメリカのレベルがこんなものですから本当に対等者間に近い国際交渉をやろうとなれば,大変なことになります。
アメリカの担当者自身があまり無茶・・低レベルで参加諸国の議事をまとめる能力がなさ過ぎると、日本が裏方で支え切れなくなってTPPが決裂までも行かないで漂流してしまう可能性さえあります。
そうなると、まさにアメリカは(元々成金で大きな顔をしていただけですから、粘り腰の持ちこたえ能力がありません)簡単に自信喪失してしまい、「ボクやめた!」とアメリカ大陸に引き蘢りたいと言い出すリスクを否定出来ません。
大陸に引き蘢るということは、結果から見れば,「西太平洋秩序には口を出しませんので、中国の好きなようにして下さい」ということになります。
1月25日ころから書いて来たように、アメリカは元々体質的・価値観共通的に親日ではなく親中の国ですから、自信喪失すれば日本に任せるよりは中国を選ぶ方向へ進むと見ておいた方が無難です。
アメリカが交渉で自国権益を譲りたくないときに、国際交渉が決裂=警察官役を下りるし中国に任せることになるが「それでも良いのか!」と最後にアメリカが日本等を脅す可能性もあります。
現在の具体的交渉で言えば、アメリカは自国の弱い自動車の関税ゼロ化プログラムには絶対反対だが農産物だけ日本が譲れと言う一方的交渉態度です。
相手に要求するばかりではフェアーな交渉とは言えませんが、アメリカとはこういう国です。
韓国の自分勝手で無茶な交渉態度と似てきましたが,世界中で信義・・道理の通じる国が如何に少ないかと言うことです。
過去のモンロー主義のように完全に引き蘢るだけではなく、多分中国に裏で繋がると見ておいた方が良いでしょう。
当面は中国と日本やアジア諸国の対立激化を煽ればアメリカの出番が増えるし,何よりも高額兵器をドンドン売れるのでアメリカにとっては大きな利益です。
ちなみに世界競争力のある産業は、アメリカにとっては軍需産業程度しか残っていません。
(アップルのような新産業が生まれていますが,国民の多くが働ける製造技術で書いています)
日本やアジアにドンドン兵器を買わせるとそのうちに自前で持つようになるのではないかと心配する必要はありません。
戦闘機まがいのものを1機や2機作れるようになっても最先端兵器の総合体系にはとても及ばないでしょうから、ちょっとでも抵抗する素振りを見せればその他の兵器供給ストップすれば、たちまち参ってしまうようなレベルの供給してくれるだけです。
これまで日本はアメリカの最先端?兵器に莫大な購入資金を投じてきましたが,戦後70年近くも買い続けても今だにF15クラス戦闘機1機だって自前で作る能力がありません。

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