米中韓の価値観一体性6

アメリカに限らず大統領制は議会・裁判所による控制がありますが、原則が大幅な権限ですから,任期の区切りしか本質的縛りのない制度です。
軍事作戦を考えれば分りますが,古代から、作戦遂行能力は一任した将軍に委ねてプロではない王様が口出ししないのが原則です。
カエザルの故事から分るように、統領制は元々軍制から出発したものでこれを国内政治スシステムに持ち込んだものです。
大統領制は一任・独裁制を原則としていることから、専制・恐怖政治に陥るリスクがあるので、フランス革命以降これを抑制するために三権分立が唱えられるようになりました。
我が国のように元々権力に内在する抑制機構・・内部利害調整した結果ボトムアップして行くシステムが予定されていないことが、ポッキリ折れる革命または王朝転覆を必要とし,結果的に三権分立・・外部から牽制するようになったことが分ります。
議会や裁判所が外からチェックする仕組みですから、一々同輩・豪族間の利害調整・・現在では各地選出同僚議員と相談しながらやって行く前提の我が国の議院内閣制とは本質が違います。
統領制は対等者間の合理的議論の結果、より良い結論を導いて行く能力のない社会・・元は軍事行動で大将や隊長の命令一下、無批判に行動する程度・・これが平和期になると専制政治しか知らない国民レベルの低い社会に適合した政治制度となります。
民主的なのは選任権があるだけで、選任後は(国民にはよく分らないことを前提にした)全面お任せの社会です。
後は法に違反しなければ良いと言う程度の縛りだけで,不都合があっても人気中は我慢しなければならないのが統領制です。
途中の解任権がありません。
王制〜終身制→世襲制の場合、任期がないので、我慢し切れないと暴力による革命あるいは王朝転覆が必要になります。
守銭奴的・金金金の汚職社会の中国経済に比べてアメリカの場合、市場経済・政治献金制度というルールこそ整備されているものの、ルールに従いさえすれば如何に天文学的巨額な給与を取ろうと、公害をまき散らそうと市場競争に勝った方の勝手と言う超格差の結果是認社会である点は同じです。
民主制とは言うものの選任したら圧倒的権力を握る(議会ルールに縛られるものの)点では、中国の専制制と結果は同じです。
民主国家のアメリカと専制の中国とでは、結果が同じでもルールがあるかないかでは大きな違いと言えそうですが、ルールさえ守れば何をしても良い・・極東軍事裁判のようにシロを黒と言いくるめるのに、裁判という手続きを踏んでいる以上文句ないだろうというのがアメリカの価値観です。
中国や専制性の国では権力者であれば、何をしても良いとなる専制制の国との違いはルールに従っているか否かだけです。
専制制の国も専制制(帝王の命令が絶対と言う)というルールがあるのですから,ルール制定過程とその実施過程に民主的チェックが入れるどうかが、議会制民主主義に依るか否かの違いでしかありません。
民意と言っても結局は、多数派支配・・金または力のあるものがルールに従いさえすれば好きなようにやれる社会です。
中国の場合露骨な資金力による直接強制ですが、(日本に対してレアアース禁輸したり、フィリッピンと領有権を争うと直ぐにバナナ輸入制限したりするなど露骨過ぎます)アメリカの場合、資金力に比例するマスコミ利用に依る宣伝活動で民意を間接誘導・大統領選の勝敗が資金力次第になっている現状は結果的に中国と同じです。
(・・武力によるか宣伝力・資金力によるかは別として、兎も角混乱社会を統一出来た勢力は)創業当時の最大勢力の代表者が君主になったものであって、多数派による支配である点は民主国家と同じです。
違いは世襲制か否か・・長期間経過後には、多数派の支持を受けなくなっているかも知れないのに・・と言うくらいでしょう。
この程度の違いでしかないとすれば、大統領制の本質が任期にあることが理解出来ます。

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