韓国民の行動様式21(紛争解決能力3)

中韓両国で秦の始皇帝以来2000年間に及ぶ専制政治下で権力闘争を経て来た「したたかさ」とは、正論を主張する交渉術が優れているのではなく、裏で讒言や賄賂等で相手の足をすくう意味のしたたかさ・狡さ競争です。
日本語で言えば「したたか」ではなく、「卑劣なやり方にたけている」「不公正な人が多い」「卑劣な手段を労することを恥ずかしいと思わない・・これを正義と心得ている社会」という程度の意味になります。
こう言う社会では裁判で負けても相手が政府筋に自分より多く賄賂を使ったから負けたという程度の意識が優先し、道理や裁判に従う意識が育ちません。
判決に対しても・・(相手が裏で賄賂を使ったのではないかなどと・・疑うばかりで)心から納得する心の準備が出来ていません。
実際日本の国宝をお寺から盗んだ事件の判決でも,あるいは日韓条約で解決済みの徴用工の補償問題でも、最近の韓国裁判所の判決は法律家の判決とはほど遠いものがあるように思われます。
韓国の裁判では、今でも論理が正しいかどうかではなく政治的立場に引きずられて判決が出ることを世界中に証明しているのですから、専制君主制下の裁判と同じ状態が今でも続いていることになります。
この辺は薄煕来事件の裁判が、共産党幹部の意向によって前もって答えが決まっていると報道されているの同レベルになります。
(戦士政治下での身の処し方に慣れ親しんでいるということですから,中韓両国は気心が合うでしょう。)
ココで韓国と日本の医療訴訟和解率の話題に戻ります。
2013/08/24韓国民の行動様式8(紛争解決能力2)の続きになります。
医療訴訟での和解率は8月20日に紹介したように、日本の方が韓国よりは圧倒的に高いのですが、これも、5〜6割・・高裁に行って更に3〜4割も和解出来ていると言うべきかこれしか出来ていないと言うべきかです。
先端医療技術の場合どのような治療すれば、どのような過失があるかについて判決を貰いたい・・先例を作りたい意欲が強くなる場合などに絞り込んだ事件が多く提起されていることも影響します。
8月21日に書いた①の事例が多くなっている結果、和解率6割・高裁でも3〜4割も和解するので1〜2審併せて8〜9割前後になっている可能性を考慮する必要があります。
ちなみに高裁で一応の判断が内示されると、ココでの和解率は韓国よりも高くなっています。
8月17日以来紹介している「韓国における医療紛争の動向と問題状況(二・完)」 李庸吉氏の論文で紹介されている控訴審の統計によると、日本の2006年の既済事件260中96件の和解成立ですから約36%ですが、韓国では245件中32件で13%です。
(統計表は場所をとるので引用しませんが、表自体をご覧になりたい方は引用先にご自分で入ってみて下さい)
和解に調停を加えると日本とほぼ同率ですが、高裁まで行ってもまだ裁判所の説得に耳を貸す人が少ないので、根気よく説得してくれる調停に強制的に回付して漸く話し合いが成立する社会レベルだと分ります。
日本のような話し合い社会でも一定率まで判決になる原因を考えると医療は先端技術化と陳腐化の繰り返しですから、一定割合で最新のリーデイングケースが要請される事件があるからです。
先端分野の事件まで全てが和解で終わっていると、内容が公表されないことと、和解条項にはどこがどうという論理的記載をしないのが原則ですから、ブラックボックス化してしまい透明なルール化が進みません。
ですから日本のように互譲の盛んな国でも、一定率の判決の存在は仕方のない到達点と言えます。
先端技術に関連する事件だけではなく、保険の介在も判決率を一定に保つ原因になり易いようです。
日本の医療機関では韓国とは逆にほぼ100%保険加入していますので、保険会社相手になると和解率が当事者の意向よりも低くなる傾向があります。

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