独裁国家の硬直性と民主国家の柔軟性(オリンピック主会場)1

中国では政府は結果的にどんなに無駄なものであっても計画どおりに出来たことが赫赫たる成果になるし、(修正は社会状況の変化にあわせることであって社会のために良いことですが何故か?)計画の修正に「追い込まれる」と関係者の責任問題になるので、権力崩壊にならない限り修正で来ません。
市場経済・・民主国家の我が国で言えば、オリンピックメイン会場予定の国立競技場の計画が高額過ぎるとして、突如仕切り直しになったのですが、計画の杜撰さもさることながら、計画が悪いとなればすぐに修正するしかないところが民主制の良さです。
その内デザインなど盗用疑惑まで出て来て、公開するといろんな問題が出て来易くて良いことです。
民主制の実質は、市場経済の進展度によってはかるべきだと言う意見を、2015/08/26「中韓政府・組織は誰のため?3」以下で書いてきました。
市場経済=財務諸表その他の透明性ですから、以下民主制と情報公開の重要性に即して書いて行きます。
国立競技場工事費高騰問題は、専門家内では「仕方がないな・・」の繰り返しで、ドンドン膨張して行った(関係者はこう言う変化には、反対し難いものです)のでしょうが、ジョジョに膨らんで行って結果的に巨額になり過ぎていないかの別の視点が必要です。
こう言うチェックは当初から関係していた専門家が発言し難い分野ですから、利害のない国民の目に触れると結果があまりに非常識なことが分って撤回に追い込まれたものです。
予算案化したときに始めて国会に出されて国民が知る仕組みでは、以下に書くように間に合わないので事前情報開示が重要なことが分ります。
審査委員長の安藤氏の発言・・自分はデザインを選んだのであってコストは自分の審査範囲ではないと言う趣旨の発言に驚きました。
専門が違うから当たり前と言えばたり前かも知れませんが、モノゴトは先ずコストがあってその予算内でデザインや大きさ・内部施設の品質レベルを決めて行くものではないでしょうか?
予算を示されてその範囲内の優秀デザイン・コンセプトであるべきであって、予算超過のコンセプトはその1点だけで(審査に掛ける前に)失格させるべきは全ての常識です。
モノゴトをやるには、予算が先ず最初に枠として決まるのが原則的ルールです。
組織になると分り難いことでしょうが、個人で言えば、マンションを買うのに4000万前後の希望を示されているのに仲介業者が1〜2億円の立派なマンションを紹介してこれが素晴らしいと紹介すれば、バカかと思われます・・客が怒るでしょう。
業者から見ても、戸建て新築希望があってもどの程度の予算かを先ず聞いてその範囲で出来る、設計やコンセプトを決めて提案して行くのが普通です。
(贅沢すればいくらでも・・黄金の茶室とまで行かなくとも、高い材料を使い良いものが出来ますが・・)
デザイン大会のような架空のアイデア審査ではなく、具体的工事を予定している場合、価格無視の設計などあるべき筈がありません。
美術館に限らず本社ビル建設その他デザインが斬新で気に入っているが、コストが高くなり過ぎるので、諦めてワンランク下の設計にすると言うことはいくらもあることです。
日本の新幹線工事や原子力発電等の受注競争で負けることが多いのは技術力が劣るからではなく、良いものだが工費が高過ぎることによって負けることが多いのと同じでコスト観念が低すぎないかの問題です。
審査委員会が決めたデザインどおりの設計施工したらいくらになるか誰も分らないで決めてしまうなんて事は、具体的工事を予定するデザイン審査としては、無責任過ぎて許されません。
デザインさえ気に入れば、1000億の予定が、2000億〜3000億になろうと幾らでも提案に合わせて「予算を組みます」と言う決め方では、無責任過ぎます。
ましてオリンッピックは、個人事業ではなく、公費を使う事業ですから、なおさらです。

独裁体制と情報規制3

預金金利が強制的に安く設定されていたことから中国のインフレ(成長)・物価上昇率等からして、預金の実質マイナス金利状態が続いていました。
これでは普通の人(まして中国人は利にさとい特性があります)が高利回りのシャドーバンキングへの投資?預金?に走ってしまったのは仕方のないことです。
規制された低金利では銀行預金が集まらないので、低金利で集まった?特定資金を国有企業中心に貸し出すことから、一般民間企業は殆ど銀行を利用出来ない・シャドーバンキングやヤミ金融に頼るしかないと言われていました。
シャドー・・まさに影のヤミ?高利回り保障の銀行?が発達してしまった結果、今やこの処理が大変なことになっています。
以前書いたことがありますが、中国民間企業は高金利借入金に頼っているので、一定の成長・・毎年前年比何割増の売り上げがないと高利を返せなくなる仕組みです。
これが、7%以上の成長が至上命題になっていると言われていた金利的基礎でした。
リーマンショック以降実質(公表統計が信用出来ないことを書いてきました)マイナス成長に陥って来ると、高金利を払えない・・ひいてはシャドーバンキング自体の経営が成り立たなくなります。
世上不動産バブル崩壊→シャドーバンキング倒産と言う図式で語られてますが、それは引き金になるでしょうが、その前に一般企業へ高利で貸していた資金が焦げ付くこと・・不良債権率の増大で体力消耗が限界に来ていると言うことです。
4兆元投資では収まらずに次々と大型国内投資連続で先送りして来た延命策でも、どうにもならなくなって来て、最近では統計誤摩化しも限界・需要の強制創造・過大投資継続による需要不足の先送りも限界になってきました。
超低利でうまいことしている国有企業や共産党幹部にコネのある企業グループと恩恵のないグループの二局化があっても、高成長期にはみんなが儲かっていたので、気にならなかったでしょうが、マイナス成長になって、バタバタ倒産・夜逃げが増えて来ると、2極化を是正して、市場金利・市場競争一本(公平)化していかないと国内不満が収まりません。
裸官等の巨額収賄が政府公認で大騒ぎになって行ったのも、同じく不公平感のガス抜き・是正圧力に苦しむ構図と見れば理解出来ます。
現在の収賄官僚の大規模摘発は粛正策・権力闘争であると同時に国内不満のガス抜き策でもあることは、周知のとおりです。
本音は、政敵粛清目的ではあっても、習近平周辺も大っぴらに賄賂収受が出来難くなりますから、不正・不透明収入分野は、粛清の嵐が終わった後も、大きく是正されて行くでしょう。
金融システムを正常化・・資金繰りを(コネの有無にかかわらせず)公平化するには基になる銀行預金金利を正常化するしかありません。
これに向けた第一歩として昨日紹介したウオールストリート記事のように昨年から徐々に金利の裁量幅を引き上げて馴らし運転をした上で、その内自由化するつもりでしょう。
(為替取引の変動幅を広げて来たのもこの流れです)
預金金利幅を需要実勢に応じて引き上げて行くと、銀行の仕入れ価格の上昇になるので、裁量の幅を引き上げられても銀行はすぐにはこれに応じられません。
預金金利が実勢近くなって来る→これに比例した融資金利引き上げとならざるを得ません。
国有企業・幹部コネのある企業だからといって、預金金利以下の低金利融資が出来ず、民間との競争条件が金利面で平等になって行き、この辺での経済民主化に資すること・・再編成に発展します。
超低金利貸し付け受けられるかどうかが死活的重要性があるとコネで借りられるかどうかは大きな意味がありました。
預金金利が市場実勢で決まる→貸し付け金利も預金金利の上乗せで貸すしかない・・市場実勢で決まる社会になれば、コネに頼って借りても、コネなしの借入企業も同じ金利であれば、大したありがたみはありません。
これが怖くて(幹部の影響力がなくなるので)国有企業や共産党大幹部が、金利自由化に反対する仕組みです。
日本でも、族議員が業界援助・・補助金削減に反対する・・農林系議員の例で分るように役に立たないと族議員支持のありがたみが失われます。
独裁政権=政権交代が予定されていない政体では、取り巻きの幹部に自然とコネ期待の特権が集中しますが、この特権維持に必須の装置があらゆる分野での規制による不公平チャンス制度です。
何らかの規制があると不透明なサジ加減が起こり、政権幹部周辺とのコネの恩恵が大きくなる関係・・維持には大きな効力があります。
自由化があちこちで進むと幹部の特権が次第に蝕まれて行く関係・・民主化が進みます。
社会の民主化は「民主化が必要」とか賄賂社会がいけないと言う正論だけで公正な社会に進むものではなく、地道な実態関係の変化があってこそ進むものです。
いろんな分野で外資への自由化があるとその取引に従事する人が実際の動き・・需給関係が肌で分りますが、自由がないと、たとえば、金利の動きが実際の資金需給を表さないので、統計を見ないと分らなくなります。
他方で民間企業がアングラ的シャドーバンキングに頼っていると本来の金利実勢が分り難くなります。
一方でいろんな公式統計は政府が操作し放題の傾向になるのがソ連や解放前の中国であったし、現在中国も同様・・独裁国家の特徴ですが、一部国外企業に解放している分、ウッチャーがその気になれば個別観察可能になっている程度です。
ホットマネー規制だけではなくいろんな分野での自由化・資本自由化、金利自由化、為替取引の自由化等々・・が進んでいないと、ウオッチャーの個別観察情報だけであると、部分からの判断になってしまうので、中国の本当の経済実態が大づかみで分りません。
それが中国の狙いでもあるでしょうが、ホットマネーを解禁すると全体の傾向を分り易く表し易いので中国は怖いのではないでしょうか?
明治時代までの漢方医の診断では、帝王の身体・玉体に直接触れるのは恐れ多いので直接脈が取れないので、糸脈による診断方法しかなかったのと同様で、タクシーで通りかかった工場敷地に輸入鉄鉱石が利用されずに積み上がっているなどの、偶然的現象把握から推測するしかないので、却っていろんな憶測がはびこります。
私のコラムでの中国経済の危険性・・ひいては政治暴発の危険性に関する懸念も、憶測の一種・・部分現象から全体を推測するものでしかなく根拠が薄いことも確かです。
正確な情報・統計がない結果、流言蜚語がはびこって(今風に言えば、百家争鳴で論壇を賑わして良いことですが・・)社会が混乱する原因になります。

独裁体制と情報規制2

中国は1980年ころから「竹のカーテン」と言われる閉鎖社会から解放に転じたとは言え、一党独裁政権時のママですから、独裁制維持のためには情報統制するしかありません。
経済統計・環境統計・事故による被害発表等々全ての分野で意図的にデタラメ発表していて、国民を含め幹部以外には結果的に秘密主義(賄賂やコネによる優遇措置や特権を知られたくないのが独裁制の本質)を維持しています。
(本当にデータがデタラメなのか外部発表用との二重〜3重帳簿式なのかまでは分りません・・ソ連の場合、ゴルバチョフによれば権力者も実態が不明だったと言われていますが・・。)
秘密を保つには味方から先ず欺く必要があると言いますので、積極的にデタラメ情報にしているのでしょう・・そうすればどんな腕の良いスパイが潜入しても、本当の統計を探せません。
統計だけ誤摩化せても現場に外資が入って来ると外資も経済動向を読まないと生産能力の増減や販売計画を立てられないので自然と経済状況に詳しくなり、外資駐在員等を通じて外部に漏れて行くのは防げません。
イオン等物販系が大量に進出するとイオンその他スーパーなどの売上動向・中国の消費動向などが日本に(理論上は)伝わります。
ただ、マスコミさえ抑えておけば、関係者だけの口コミに終わり、(日本の技術者等は口が重いので、家に帰っても聞かれないと中国の状況を自分からは言いません)イオンが1社だけ負けているのか全体の消費減退動向かまでは分りませんので、大規模な情報伝達は防げます。
文化大革命時にも細切れ的情報があってあったのですが、マスコミ報道の基本が賞讃一色だと日本人の大方がその宣伝どおりに受け取っていたのではないでしょうか?
今朝の日経新聞朝刊には大量出店していたイオンが北京で次々と閉店している状況が出ていましたが、マスコミが報道しないと無関係者はこう言う実態を知る機会がありません。
イオンも失敗していることを自分から宣伝しません。
ホットマネーを自由化すると相場の乱高下を招く傾向があって、世界の耳目を集めてしまうのでこれを規制せざるを得ない・・大規模な情報拡散を恐れていることになります。
中国が外資進出を求める以上は、そこから一定の情報が漏れるのは仕方がないとしてもそれは多寡が知れている・・日本(に限らず世界の?)マスコミさえ抑えて大規模な情報化拡散さえ防げれば良いと言う基本方針を開放政策決定時に決めたのでしょう。
中国が世界のマスコミ支配・・浸透に熱心な理由でしょう。
強いライオンやトラはしょっ中びくびくしていないことを見ても分るように、ハリネズミのようにびくびく警戒心満杯の動物は弱いからです。
中国は、何もかも隠したい心理・自由な行動を規制したがる傾向が強烈ですが、預金金利でさえまだ自由化出来ないほど経済が弱体で、1カ月ほど前に預金金利の設定可能幅を少し広げた程度です。
以下はウオールストリートジャーナルの日本語版の記事です。
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2015 年 6 月 4 日 12:36 JST
 【北京】中国人民銀行(中央銀行)の盛松成・調査統計局長は、銀行預金金利の上限規制撤廃に近づいていることを明らかにした。第一財経日報が4日付で報じた。国内金利の完全自由化に近づくことになる。
 報道によると、盛局長は「預金金利の上限撤廃の時期はそれほど遠くないとみている」と述べた。
同局長は最近のフォーラムで「中国の金利自由化に向けた次の段階は、預金金利の上限を適切な時期に撤廃することになろう」と話した。
人民銀行は昨年11月以降、政策金利である銀行貸し出しおよび銀行預金の基準金利を3回引き下げる一方、銀行預金金利の上限を基準金利の1.1倍から1.5倍へ引き上げた。

6月4日付き発言で大ニュースのようですが、近いうちに預金金利を自由化することになるだろうと言う程度です。
解放後既に30年以上も経過していると言うのに預金金利でさえ自由に出来ない・・この程度の弱い経済でデタラメ統計を前提に世界の強国だと威張っているのですから、お粗末な実態・・矛盾している部分をマスコミは一切報道しないで新しいビルがドンドン建つ目立つことだけ報道して来ました。

独裁体制と情報規制(ホットマネー)1

ホットマネー流入禁止は、言わば体温計を使うな、クルマのスピードメーターの取り付け禁止みたいなものです。
体温計を見なくとも体調悪化を防げる訳ではありませんし、メーターさえ見なければ、スピードが出ていないことにはなりません・・・本末転倒の政策です。
ホットマネーは相場に損益がモロに左右される資金のことですから、ホットマネー運用者の経済状況認識と予測が自ずから鋭くなってあわてて動くので、言論の自由がなくもの言わずともその動きから経済状況が素人・一般に拡散されます・・言わば経済動向ウオッチャーの関与禁止・・経済動向の外部漏洩禁止と同じです。
言論禁止の極まった形として、大惨事が発生したときに、大惨事発生を知られないために現場周辺を立ち入り禁止にしていると、報道の自由が保障されていても現場に行けないと報道出来ません。
今回の長江での客船沈没事故では大惨事自体はすぐに世界に知られてしまいましたが、事故が知られた後は政府報道機関しか周辺立ち入りできず政府機関の宣伝・・政府はこんなに頑張っているなどの宣伝しか報道されない状況になっています。
ホットマネー規制は報道規制している独裁国家の手法・・政府に都合の悪い事件報道をさせないのと同じ手法を経済界に及ぼそうとするものです。
報道規制しても実際に起きた事件がないことにはならないし、経済実態が悪くなっているのを国民に知られるまでの時間を稼げるだけで、駄目になった経済が良くなることもないし、ジリ貧になるのは同じです。
ホットマネー取引規制していても、金融その他現実取引している人は肌で分りますし、皮膚感覚で分る庶民による手持ち資金の国外逃避が始まれば経済界が浮き足立つ結果は同じです。
じりじり逃避資金が増えて来ると株価維持・買い支えのために財政出動しても、資金が続かなくなるので、中国の海外借入金が増えて来た原因かも知れません。
ホットマネーによる煽り立てがなくとも、支払能力がなければいつかは露見します。
半年〜1年後後の危機を察知してホットマネーが売り逃げを図り、売り浴びせられるのは、不都合を先送りしたい債務者には悪夢でしょうが、情報隠蔽は半年〜1年先につぶれるのを知らないで新たに貸し、投資し続ける人の被害を拡大することになります。
現在で言えば、庶民が危機状態を知らされずに政府勧誘によって株式投資に誘導される・・情報を得ているグループはこの間にリスク資産を高値で売り逃げすることが可能となっていることを見れば、情報隠蔽の恐ろしさが分るでしょう。
韓国のセウオール号沈没事件では情報のない客は船室待機を命じられて、そのまま放置されて大量死亡して情報のある船長や船員は先に逃げてしまったのもこの一例です。
6月2日ころの長江での客船沈没事件でも、船長や機関長が真っ先に逃げて助かっています。
期間長は職務柄、船の機関室・・奥まったところにいるのに何故真っ先逃げられたか(操作ミスなら真っ先に知り得る立場です・・)報道を見て、最初に感じた不思議でした。
ホットマネー流出入規制社会とは、特定情報にアクセス出来る特定の人(特権階層)だけが情報に従って予め自己利益を守るために行動出来るし、アクセス出来ない人は逆の楽観情報を意図的に振られて目前に迫っている危険に気が付かずに危険な投資その他に参入させられ、安心して踊らされてしまう社会です。
危機が迫った瀬戸際になって、始めて緊急対応が出来るだけ・・インサイダー取引を国が推進している社会・・このような情報格差社会を政府が強制して良いかどうかの意識・・その国の姿勢でしょう。
公正な競争を奨励する自由主義社会においては、競争の結果(勝敗の結果)格差が生じるのは論理必然ですが、格差を恒久化せず、出来るだけ速やかにその是正を図り、是正期間の短縮を図ることが求められていますが、政府が率先して不公正情報操作をして格差を形成しようとする社会は問題です。
イラクの元フセイン大統領に始まって現在中国の江沢民元主席周辺、共産党大幹部周辺、独裁社会ではその取り巻きが極端に良い思いを出来る社会になっていたのは情報格差による論理必然です。
強い者が(賄賂のとりたい放題を象徴として、)やりたい放題をして来た結果、何兆円と言う海外資産隠しが横行するなどの巨大な格差が中国で生じているのです。
独裁制=情報規制社会ですから、「民をして知らしむべからず」式になるのは理の当然です。
ホットマネー規制は経済面での情報規制の象徴(金利自由化規制・A株B株と言われる資本市場参入規制その他の多くの規制はその下部規制になります)であり・・独裁国家の本質であることが分ります。
上記のとおりホットマネー規制その他の多種多様な規制の結果、すぐには経済状態が外部に漏れ難いのが中国社会の現状ですが、日本人投資家が一刻も早く知りたいのは知りたいのは、経済の先行き・・進出予定業種の先行き見通しや金融界にとっては、中国借入金の支払不能・・デフォルトリスクです。
解放前には政府首脳の失脚などは天安門広場で並んでいる高官の顔ぶれ変化や立つ位置から政変を推測する時代が長く続きました。
最近でも、薄煕来や周永康の失脚などは長い間行事の表面から消えていろいろ憶測されていた挙げ句に大分経ってから裁判するとか取り調べ中と公表された程度です。
今でも北朝鮮高官失脚説が将軍様と一緒にテレビ映像に出なくなったとか言うことから推測を逞しくしています。
こういう国では、経済は人間の動きの基礎ですから、経済の動きだけ切り離して情報公開する・・一党独裁で市場原理導入するのは無理があります。

成長と独裁の限界4

従来韓国は北朝鮮と言う目の前の敵がいたし、米軍が駐留して睨みを利かしていましたので、民主化した後も何とかなっていました。
米軍は治安強化の後ろ盾と言う面だけではなく、民主化のコーチ役を果たした面も大きかったでしょう。
この5〜10年くらい北朝鮮の国力衰退が激しくなって、アメリカ軍存在意義(米軍自体がプレゼンスを縮小しています)も低下したし、北の脅威・危機感強調で国内を引き締められなくなったことが韓国政治の大きな変化でした。
韓国大統領は制度上民主化した御陰で一応民意による政権(・・実質任期のある独裁制であること繰り返し書いてきました)ですからスタート時は正当性があるので、最初の半分はどんな政治をしても(自分たちで選んだ以上は何とか盛り立てようとする人が多いので)何とかなります。
アメリカ大統領制も同じで、大統領制→多くが素人政治家ですから(・・この辺も以前書きました)時間の経過でボロが出て来るのが普通です。
オバマが史上最悪の大統領と言われるようになっているように、アメリカではいつも中間選挙以降苦しくなります。
任期制の場合、途中で不人気になっても残任期中(1年前後レームダック政権と言われながらも)だけ持ちこたえれば良いので、その点共産党政権の永続を前提していて、いつまでも持ちこたえる必要のある中国共産党とは違って楽です。
また国民からしても、最悪の大統領・独裁者と思っても、もう少しでやめると決まっていればそんなに激しく抵抗する必要がありません。
やめてから汚職などの追及出来るのが分っていれば、任期中生命の危険を冒してまで激しく反抗する必要がありません。
実際、これまでの韓国大統領はやめると殆ど例外なく追及されてきました。
李大統領はこの教訓に懲りて任期後半は恨みを買う内政よりも反日に軸足を移して、今回の反日騒動の基礎を作りました。
御陰で退任後追及を受けない唯一の大統領になりそうです。
朴現大統領派就任直後から、内政そっちのけで反日告げ口外交ばかりですから、国内で恨みを買うことはまりないでしょう。
朴大統領は就任直後から自己保身のために内政をやらないで反日一辺倒をしているとすれば、国民のための政治をするためではなく、自己保身のために大統領になったかのようです。
中国は解放後一定期間経過で低成長化が始まり分配の裾野拡大による誤摩化しではどうにもならない段階が来ているだけでも大変なのに、バブル崩壊リスクが迫っているので大変です。
習近平政権は、前政権が少し引き締め始めていたのを、故意に放置して御祝儀相場的に不動産バブルの再現・底入れを目指したことが報道されていました。
これを囃して投機筋が再度不動産投資をするので今年の春先ころには息を吹き返すかのように日本マスコミは報道していましたが、実態はどうにもならなくなってきた様子が出て来ました。
8月27日の勝又氏のブログによれば、末端の不動産販売指数が落ちているのに不動産投資が伸びている経済矛盾が指摘されています。
末端販売数と価格下落が進んでいる=在庫が急膨張しているのに造成や新築投資の方だけが伸びていること自体経済原理に反していますが、いくら権力を持ってしてもこの矛盾を押し切ることは出来ません。
矛盾の強制は、時間の経過でどうにもならなくなるのは目に見えています。
政府が業者や金融機関を救済して更に投資させて「バブル崩壊はないよ!」と宣伝し、実際ドンドン新築マンション工事をやっても、これに騙されていたのは日本のマスコミだけ・・もしかしたら中国政府に協力して片棒担いでいたのではないでしょうか?
私は中国国民が政府に騙されて、もっと買うこともあると思って業者や金融機関を助けて国民に損をさせる政府と言うテーマで書いてきましたが、杞憂に終わるかも知れません。
在庫ばかり膨らむ結果になったのは、中国国民はしたたかで政府の業者救済・下支え政策に騙されてマンション等を買い進まなかったことによるようです。
中韓両国は何もかもうまく行かなくてどうして良いか分らなくなって来たので、外部に敵を求める・・アメリカに挑戦するにはリスクが大き過ぎるので、専守防衛に徹している安全な反日で共闘することにしたと思われます。
韓国は軍事政権から民選の大統領制に移行し形式上民主化したことになっていますが、これまで国会先進化法等で書いているように国会があっても実態は強行採決ばかり・・結局は独裁政治と変わりませんでした。
セウール号沈没事件のときの韓国大統領の空白の7時間を朝鮮日報だったかの報道を転載した産經新聞ソウル支局の報道が何らかの罪にあたるとかで支局長に対する検察への召喚(出頭したのは4〜5日前のことです)を命じたり、自国に都合の悪いテキサス親父の慰安婦報道をYouTubeの強制削除していること・・あるいは韓国人自身が戦前の日本統治が良かったと言うと袋だたきなって殺されるような社会です。
韓国の中学生が「竹島は日本の領土だ」と発言して逮捕されたようです。
韓国の民主化の実質を見ると、民主化の程度は中国とほとんど変わっていないのは、民度や国内困難の程度が似ているからです。

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