家計債務膨張3(韓国15)

韓国で不動産バブルが繰り返された実績を5月4日紹介の第一生命https://diamond.jp/articles/-/190478?page=5
のグラフ引用の続きで見ていきます。

ソウルの不動産価格

足下のインフレ率は低水準で推移しており、中銀は今後も緩和的な政策スタンスを維持する方針を掲げる一方で、先行きの政策決定の判断材料に、同国の景気と物価に加えて家計債務の動向、主要国の貿易政策及び金融政策、新興国の金融・経済動向などを挙げるなど、家計債務の動きに敏感になっている。
足下の景気が力強さを欠く展開となっているにも拘らず、利上げに踏み切らざるを得ない状況は、中銀も別の意味で『板ばさみ』状態に見舞われていると言えるだろう。

上記不動産価格のグラフを見ると、アジア通貨危機以降01年から02年にかけて約20%の急騰〜05年にかけて20%急落し、05年から7年にかけて約25%弱の急騰を演じ、07年のピークから09年にかけてまた約25%以上も下がり10年に5%ほど盛り返したもののまた低下に転じ、以後低迷したままでしたが15年から上昇に転じ現在も上がり続けていることがわかります。
これが実態経済に連動していれば健全ですが、実態経済不調を隠すために不景気が来る都度不動産価格の上昇を誘導している・・・庶民から資金吸い上げをしているとすれば庶民は貧しくなるばかりでその咎めが蓄積していきます。
韓国国際収支のデータを見ておきましょう。
世界ネタ帳からです。
https://ecodb.net/exec/trans_image.php?type=WEO&d=BCA&c1=KR

上記によると第一回不動産急騰期の01〜02年は、国際収支黒字がゼロ%近辺に落ち込んだ時期です。次の05年〜07年にかけての不動産急騰期は同時期の国際収支低下始まりと連動しています。
16年からの不動産持ち直し・・・18年からの急騰も、16年からの国際収支低下開始および19年1〜3月期のマイナス成長と連動しています。
マイナス成長になっているのに、19年1月の第一生命論文で「足下のソウルの不動産価格が前年比で二桁%の高い伸びとなる」というのですから異常事態です。
この連動関係を見ると日本のバブルと違い、資金が潤沢すぎてバブルになっているのではなく、苦しいときの逆張り・・庶民の資金吸い上げに頼っている状態が窺えます。
政府はマイナス成長を緩和するために「必死になってエンジンをふかしている」・・・資金不足分を国民から吸い上げるのに躍起と見るべきでしょう。
国民の方は乾いた雑巾を絞るように絞られるだけ絞られて借金を増やしてGDP成長に協力してきたが、それでも実体経済の落ち込みを補えなくなって、ついにマイナス成長に落ち込んだとすればたいへんです。
日本は戦時中、軍事用の鉄不足のためにお寺の鐘まで供出していたことが知られていますが、韓国では国民からの搾り取りが限界に来たと言うことでしょう。

資源下落とロシア経済3

ロシアの輸出額。GDP。原油生産量、外貨準備額の推移を順に引用しておきます。
発行体体・著者が不明ですが、以下にグラフが出ていますので、引用しておきます。 https://jp.tradingeconomics.com/russia/foreign-exchange-reserves”>

ロシア 輸出額

Russia Exports
ロシア – 国内総生産

Russia GDP

ロシア – 原油生産

Russia Crude Oil Production

外貨準備額

Russia Foreign Exchange Reserves

上記グラフによれば、2015〜6年ころを比較するとGDPが原油等資源価格急減に比例して約半減していることがわかり、18〜19日に書いてきたロシア人学者や東京三菱の海外駐在員情報の意見等と傾向がほぼ合致していることが分かります。
一方で外貨準備が逆に上がっているのは、18日紹介したロシアの経済学者グリエフ氏(後に亡命)が言う通り、国民(内需)にしわ寄せがいっていることを表しているのでしょう。
ロシアルーブル急落・半値になれば輸入品価格は2倍になりますので生活必需品・消費財の輸入が出来ない→貿易黒字→外貨準備増加です。

資源下落とロシア経済2

昨日見た久保庭眞彰氏論文では、ロシアの対外強硬姿勢は苦し紛れの真逆で2000年代に入ってからの油価高騰によって、ソ連時代の債務を返し国内再構築や軍の近代化(サイバー攻撃能力が飛躍的にアップしているのはその象徴?)が進み余力が出たことによるという趣旨のようです。
そう言われれば、その間のGDPが約2倍になっているということは国力2倍ですから、ソ連崩壊後失っていた自身を取り戻したい気持ちもわかります。
もともと西欧と仲良くやる予定ならば、ウクライナ侵攻もクリミヤ併合などを起こす必要がなかった・・もともと関係悪化を承知の行動だったという意見のようです。
ロシアはソ連崩壊後の混乱を収拾しようやく体力がついたので、民主化や人権重視方向にかじを切るのではなくその自信が強権支配や周辺侵攻.旧ソ連圏諸侯の盟主としての地位復活方向へとなったという解釈のようです。
言われてみると、中国も同様で豊かになれば欧米型人道主義・穏健な話し合い解決社会になるという期待が外れ、逆に中華の栄光復活を唱え内政的には強権支配補強・対外的には膨張主義満足のために豊かさを餌・・周辺国への開発資金の大判振る舞いをして浸透していく方向へ突き進んでいます。
豊かになった分を国民配分しないでで国民が納得するのか?いうことですが、10の儲けのうち1〜2割しか国民分配しなくとも解放前に比べれば国民は豊かになったことを実感できるのでしょうし、残り資金を権力周辺支持基盤に手厚く配り、国民監視のためや周辺国威嚇の軍事費に使っても国威発揚・・ロシアがソ連崩壊の惨めな記憶払拭に必死なのと同様に中国はアヘン戦争以来の屈辱の歴史を挽回するためにお金を使う事には国民同意があると言えます。
先進自由主義諸国では、分配が足りないという絶えざる批判にさらされているので労働分配率が上がる一方で、メデイアの煽る要求に応えるための各種施策・保育所増設・職業訓練など資金需要が増える一方ですが、他方で増税拒否キャンペインですから、概ね財政赤字に困る社会ですが、強権支配社会ではそのような不満を煽る仕組みがないので分配の不公平について権力者は気にする必要がほとんどありません。
民主国家でメデイアが国民不満を煽るのを前提に、メデイアの自由がない中露も同じ結果になると考えるのは間違っています。
全体成長を引き下げても、平等が主眼である筈の共産主義国家で極端な内部格差が当然視されているのは、パラドックスですが、そんな事は気にしない掛け声だけの主義主張の象徴です。
「共産主義・計画経済→国家意思貫徹=独裁政治必須社会のように見えますが、ロシア革命後約100年の歴史を結果から見れば、「共産主義だから自由のない強権政治になる」というよりは「強権政治をしたいがために共産主義が便利だからイデオロギーを借用して来た」だけのように見えます。
上記久保庭論文の意見は一般と違った角度からの分析で個別事象については傾聴に値しますが、グラフを見るとGDP成長率も少ししか下がっていませんが、原油価格が半分になってGDP・すなわち国力も半分になったというのが、一般的理解ではないでしょうか?
こうなると専門家の作ったグラフなのに昨日まで紹介した意見や明日紹介するグラフと違いすぎてどちらを信用して良いのか分からなくなります。
そこで上記著者が何となく偏ったロシアひいき専門家の疑いがありそうなので経歴を見ておきました。
久保庭氏の論説がネット評論家の元外交官馬淵氏のように何があっても「ロシア良い式」の意見開陳者の経済学者版かな?と見えるので、その故郷・出自を探ってみました。
http://www.ier.hit-u.ac.jp/~kuboniwa/about.html

久保庭 眞彰自己紹介
1972年
横浜国立大学経済学部卒
博士(経済学,第166号) 一橋大学
名誉博士(Dr.h.c.) ロシア科学アカデミー中央数理経済研究所
1987年
ソ連科学アカデミー中央数理経済研究所客員研究員
1990-91年
カリフォルニア大学バークレー校・ハーバード大学客員研究員
2005-2006年
レオンチェフセンター客員研究員
http://www.ier.hit-u.ac.jp/~kuboniwa/about.htmlによる自己紹介です。
研究歴
大学院時代は、ソビエト数理経済学の理論的調査や分権的最適計画メカニズムに関する数理経済学的研究を行いました。
一橋大学着任後は、時代の変化と研究リソース環境の変化に対応して、理論的最適化モデルの性能を計算機シミュレーションによって確かめる作業や、産業連関表を利用したソ連・東欧の静学的・動学的多部門実証分析を行うことに重点を移しました。
ソ連崩壊後から現在にいたるまで、市場経済への移行に直目して、
(1) ロシアや新興国諸国の経済成長と国際石油価格・交易条件・交易利得・エネルギー効率の変動の関係についての現代的時系列解析、
(2) 産業連関表等を利用した新生ロシアや中央アジアの経済・産業構造分析、
(3) 新興国とBRICsの比較経済研究、
(4) ロシアの財政連邦主義や金融・証券制度に関する統計的・制度的分析、
(5) EU・アジア・BRICs国際産業連関表を利用した各国間経済リンケージの分析、
(6) ロシア・中国・中央アジアの鉱工業生産、GDPの歴史的遡及統計推計、
(7) 環境経済
に関する教育・研究を試みております。

その他海外歴がありますが、レオンチェフセンターレオンチェフセンター自体が、「レオンチェフが幼少期から大学卒業まで(1906~1925年)を過ごした故郷サンクト・ペテルスブルグ(旧ペトログラード・レニングラード)に,改革派の拠点の1つとして1991年に設立された研究機関・・)学問の故郷・郷愁が旧ソ連圏にあるような印象です。

資源下落とロシア経済1

資源輸出に頼るロシア経済の現状を見ておきましょう。
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=14-06-01-23

ロシアの国情およびエネルギー資源 (14-06-01-23)
2016年01月
・・・ロシアは鉱物、森林、水産など豊富な天然資源を有する国家で、特に石油と天然ガスの生産・輸出に関しては世界トップレベルのエネルギー大国である。
ロシアはこれらのエネルギー資源を背景にエネルギー輸出大国に成長、エネルギー産業はロシア総輸出額の6割以上、連邦予算歳入の4割以上を占める同国最大の産業である。
しかし、国際経済市況に左右されるなど不安定要素も多く、エネルギー資源輸出依存から脱却する経済姿勢が問われている。

http://www.bk.mufg.jp/report/ecostl2014/20140901_ldnreport.pdf
Economic Research

海外駐在情報 BTMU Focus, London Naoko Ishihara
September 1, 2014
The Bank of Tokyo-Mitsubishi UFJ, Ltd.
Economic Research Office (London)
ロシア経済にみられる資源エネルギー収入依存の功罪
ロシア経済と資源エネルギーの関係をみると、ロシアの実質GDP成長率は、原油価格の伸びにほぼ沿う形で推移しており、資源エネルギー市況がロシア経済へ与える影響の大きさが端的にみてとれる(第1図)。
また、資エネルギーの存在感が最も明確に現れているのは輸出で、輸出総額の7割近くを占める(第3表)。2000年から2013年にかけて、ロシアの資源エネルギー輸出は6.6倍増加し、輸出全体を大きく押し上げた。
この間の輸出数量と価格の変化をみると、数量では1.0~2.4倍であったのに対し、価格は4倍以上に上昇し、輸出額の大幅な増加をもたらしたことがわかる。
また、2005年以降の変化をみると、原油と天然ガスの輸出数量が頭打ちとなっており、近年になるにしたがい、価格の変動が輸出額を左右しやすくなってきたことがみてとれる。

資源がロシア経済に占める比率・・先ずは輸出に占める資源比率を見ておきましょう。
世界ネタ帳によるロシア輸出内訳表です
http://ecodb.net/country/RU/trade/

基本情報
輸出品目
燃料・エネルギー製品 70.6%、金属および同製品 7.7%、化学品 5.8%
輸出相手国
オランダ 13.3%、イタリア 7.5%、ドイツ 7.0%
輸入品目
機械・設備・輸送機器 48.5%、化学品 15.9%、食料品・農産品 13.7%
輸入相手国
中国 16.9%、ドイツ 12.0%、アメリカ 5.2%
出典: JETRO (%)は金額の構成比を表す。

資源輸出が総輸出の7割ということでしたが、上記のとおり資源関連製品(現地加工の石油半製品など)を含めるとほぼ100%になっています。
同じ量を輸出しても手取りが(資源価格下落とルーブル価格下落によって)約半分になると国家財政だけでなく、国民総所得自体も半分・生活レベルが半分になります。
昨日紹介した元ロシア人学者のいう通り、同じお金で「以前2袋買えたのに今(14年頃)では1袋しか買えない」実態・・生活水準が半分に下がっているのですから、いくら言論統制しても(国内的には不満表明できないだけで)国民不満の蓄積は大変なものでしょう。
GDPが半分になっても国民等しく半分になるのではなく、強権政治下では必然的に政権に近い順に良い思いをする傾向が強まりますし、軍や治安関係予算配分が多くなる傾向があると、その分民生分野の配分が平均以下になります。
まして対外威嚇を始めると軍事関係への予算配分が多くなり、そのアンバランスが極まっていきます。
この結果?ロシア国内の老人や弱者の生活苦の実態が時々報道されています。
なぜか2014年の記事ばかりで最近のネット記事がすぐには出てきませんが、以来約4年経過で原油価格はバレル当たり50ドル前後で停滞したままですし、その間にウクライナ侵攻等があって、経済制裁が強化される一方ですから、国内不満はもっと深刻化しているはずです。
他方で、原油下落効果や経済制裁効果も兵器輸出が伸びているので大したことがないという以下の論文もあります。
以下のグラフを見るとGDPはそれほど下がっていないように見えます。

対ロシア経済制裁は効いたのか?-久保庭 眞彰

2017年12月16日 ロシア
対ロシア経済制裁は効いたのか?-久保庭眞彰
経済制裁のロシア経済へのマクロ的影響
図1に見られるように、経済制裁の効果の観測を難しくしている要因は、経済制裁開始のすぐ後の2014年の第4四半期から、油価の大幅下落が生じたことに大きく起因している。ロシア経済成長は、油価の動向に大きく依存する。油価下落により、2014年末から成長率大幅減速が生じたのであり、経済制裁の影響とはいえない。ロシアでは長期的に見て、10%の油価上昇(下落)は約2%の国内総生産(GDP)成長率上昇(下落)をもたらす。
ところが、図1の直近期間については10%の油価下落は約0.5%のGDP成長率下落をもたらすにすぎない。製造業生産についても同様である。従って、経済制裁と油価下落の下で何らかの要因が成長率の一層の下落に歯止めをかけているのではないかという疑問が生じる。

図1 ロシアのGDP成長率と原油価格

図1 ロシアのGDP成長率と原油価格

出所:ロシア国家統計局、国際通貨基金(IMF)、筆者によるGDP季節調整を基に筆者作成
ロシアの企業と消費者への影響の大きい、ルーブルの対ドル為替レートと油価の動向についてはどうであろうか。
直近の2014年から2017年までをサンプルとする回帰分析によると、ルーブル価値(対ドル為替レートの逆数:ドル/ルーブル)は油価10%下落により6.8%下落する。回帰の当てはまりも優れている(自由度修正済み決定係数は0.96)。従って、為替レート下落に影響したのは、油価下落がほとんどで、経済制裁の影響は見られない。為替レートについては、油価変動を相殺するような対抗要因は観察されない。
3.結び
以上に見たように、今のところロシアに対する経済制裁は目に見える形では作用していない。もともと超優良銀行・企業とそれら主導の優良プロジェクトに関する経済制裁なので、特定の個人を狙った制裁はともかくとして、経済分野別の経済制裁は有効性が初めから疑わしいものがあった。欧州がロシアからの石油・ガス輸入禁止措置を取れば経済制裁は実効性を持つが、それはEUなどの自殺行為ともなるので、冷戦時代にもなかったことである。返済の確実な超優良企業へのファイナンス禁止措置は、米欧日の政府系ならびに民間の金融機関・企業(特に国際協力銀行(JBIC))にとっても利益はない。
2000年代に入って油価の持続的上昇という天恵と域内引き締めの影響によって、対外債務削減・軍事生産近代化・域内統一という一連の難題をクリアすることができた。
遅れていたサイバー戦の備えもでき上がりつつある。ここで、プーチン大統領は一層の民主化・開放化ではなく、NATOと対峙するロシア核大国の軍事的プレゼンスの確保に走った。NATOと対峙しなければ、ウクライナのEUへの接近の妨害やクリミア黒海艦隊へのてこ入れも不必要であろう。
近隣外国の同胞支援を訴えれば、ロシア民族主義が一挙に盛り上がることはプーチン大統領によって明確に自覚されている。第2次世界大戦の対ドイツ苦境下で最後にスターリンがロシア国民に懇願したのも「ロシア死守」ということで「社会主義死守」ではなかったのである。
この強固な解き難いロシア民族主義の伝統にプーチン大統領は守られていると同時に縛られている。
[執筆者]久保庭 眞彰(一橋大学名誉教授)

未成熟社会4(ロシア原油下落)

未成熟社会4(ロシア原油下落)

今後中国の高度成長が低下し賄賂を出せなくなる・・いわゆる都市戸籍と農民戸籍の差別〜一人っ子政策に反しているために生じた無戸籍者など日常的に人間扱いされていなかった層・数億人?にとって、医療その他生活の最低サービスすら賄賂を出せないと受けられなくなるなど大変な状態になると思われます。
結局は、公的サービス水準をどこに置くかによってくるでしょう。
10月19日にロシアの平均年齢のグラフで見たように恐怖政治をやめて国民生活の自由化を進めると却って混乱する社会であることから、エリツインからプーチン(第一次大統領就任・2000年〜2008年)の一強独裁的強面(コワモテ)政治に戻り、治安悪化を止める方向に舵を切って成功しました。
プーチン氏は大統領職連続任期2回限定の憲法を守るため、2008年任期満了とともに部下のメドベージェフ氏に次期大統領を譲り、(その間自分は首相になって事実上実務の全権を握って)同氏の任期満了を待って再び大統領に返り咲き12年から第二次大統領就任〜現在に至っています。
プーチン氏の強権的政策開始と同時頃に運が良くちょうど原油価格の上昇トレンドが始まりと重なったことが彼の強運で長期政権を維持出来ている基礎原因になります。
ちなみにエリツイン氏は、ソ連崩壊後の大混乱を乗り切る最も大変な矢先にアジア通貨危機)98〜99年)の大波乱と原油その他資源安をまともにかぶったことが不運でした。
19日に紹介したソ連平均寿命の最低期は1994〜5年ですが、下記原油相場グラフを見れば底値の頃が、エリ ツインの任期とほぼ重なっています。
本日のウィキペデアによれば以下の通りです。

「ボリス・ニコラエヴィチ・エリツィンロシア語: Борис Николаевич Ельцин、1931年2月1日 2007年4月23日)は、ロシア連邦政治家で、同国の初代大統領(在任: 1991年 1999年)である。ロシア連邦閣僚会議議長(首相)も歴任した。大統領在任中にソ連8月クーデターに対する抵抗を呼びかけロシア連邦の民主化を主導した評価と共に、急速な市場経済移行に伴う市民生活の困窮、ロシアの国際的地位の低下、チェチェン紛争の泥沼化、強権・縁故政治への批判もあった。」

この15年以上のロシアの復活はプーチン氏の手腕のように見えて実は原油その他資源価格トレンドによるとした場合、下記グラフの通り、2013〜4年に原油価格がピークを打って急激に下がり始めたのがプーチンには痛手です。
平均寿命が急落するような大混乱を収拾して欲しい国民の当面の願望に合わせた強面(コワモテ政治)で成功したのであって、プーチンは・複雑な利害調整で成功した経験がありません。
治安回復後急激な原油価格上昇による豊かさ到来に助けられてきたメッキが剥がれる局面が始まっています。
この数年で頼みの原油価格下落によって、やむなく?国民不満をそらすために?無用なシリア介入やクリミア併合・ロシア伝統の外延政治に戻って行かざるを得なくなった懐具合が見え見えです。
原油価格の推移はhttp://ecodb.net/pcp/imf_group_oil.htmlによれば以下の通りです。

この15年以上のロシア経済の復活はプーチン氏の手腕のように見えて実は原油その他資源価格トレンドによるとした場合、上記グラフの通り、13〜4年に原油価格がピークを打って急激に下がり始めたのが痛手です。
平均寿命が急落するような大混乱を収拾して欲しい国民の当面の願望に合わせて登場したプーチン氏が強面で成功したのであって、プーチンは複雑な利害調整で成功した経験がありません。
治安回復後急激な原油価格上昇による豊かさ到来に助けられてきたメッキが剥がれる局面です。
この数年で頼みの原油価格下落によって、やむなく?国民不満をそらすためにロシア伝統の無用なシリア介入やクリミア併合・外延政治に戻って行かざるを得なくなった懐具合・内政困難度合いが見えます。
http://toyokeizai.net/articles/-/180689によれば原油価格とロシア経済との関係は以下の通りです。
ケネス・ロゴフ : ハーバード大学教授
2017年07月27日

「ロシアの経済学者グリエフ氏(後に亡命)が、司法などの制度が脆弱なままでは、資源輸出依存のロシア経済が変わる望みはないと主張していた。あまりに多くの決定が1人の人間によって行われていたからだ。同じ会議で私は、大規模な改革が行われないかぎり、エネルギー価格の急落は深刻な問題を引き起こすことになると力説した。
かくして、原油価格は暴落した。現在の市況(7月上旬時点で50ドル以下)ですら、2011〜2012年ピークの半分に届かない。輸出の大半を石油と天然ガスに頼っている国にとっては大打撃だ。
ロシア規模の不況が民主主義の西側諸国で起きたとすれば、政治的に乗り切るのは極めて困難だったろう。だが、プーチン氏の権力は、まるで揺らいでいない。
国営メディアは失政を覆い隠すために、西側からの経済制裁を非難したり、クリミア併合やシリアへの軍事介入への支持をあおっている。たいていのロシア人は、学校教育や国営メディアによって、西側諸国のほうがひどい状況にあると信じ込まされている。残念ながら、そのような情報操作は改革への処方箋とはなりえない。」

こんな苦しい時になぜウクライナ紛争を起こし、クリミヤ併合するのか(純粋経済的に見ても軍事行動は巨額経済負担です)というと、この紛争で愛国・民族主義を煽て目を外に向けるだけではなく、クリミア併合に対する欧米による不当な経済制裁という問題設定をして苦しいのは「欧米の不当制裁」という悲憤慷慨を煽る仕組みに利用しているのです。
・・北朝鮮も不当な経済制裁を煽っていますので、経済制裁ではどうなるものでもありません。

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