共同体意識の萌芽1(アマゾン第二本社誘致拒否)

私のような考え・何のための企業誘致か・現在の住民にとってメリットがあるか?の意見が出てきたのが、アマゾンの第二本社移転誘致反対騒動です。
新住民移入企業誘致に異を唱えた(人が入れ替わるのでは住民にとってなんのメリットもない)のがニューヨークへのアマゾンの第二本社誘致反対運動で、反対運動の盛り上がりによって、アマゾンはニューヨークの第二本社設置計画を撤回しました。
https://wired.jp/2019/02/16/amazon-wont-build-hq2-new-york-city/

アマゾンがニューヨークの第2本社を断念したことで、浮き彫りになった「不都合な真実」

アマゾンがニューヨーク市に設置を決めていた「第2本社」の計画を撤回した。30億ドルにも上る税控除や優遇措置が地元住民の不利益になると主張してきた反対派の動きを受け入れたかたちだが、そこからは企業進出にまつわる「不都合な真実」も浮き彫りになる。

https://wired.jp/2018/02/04/amazon-hq2-newark/
2018.02.04 SUN 08:00

貧困都市ニューアークが、「アマゾン第2本社」の最終候補地に残った理由
・・・失業率の高い貧困都市は、いかにアマゾンの興味を引き、“決勝戦”へと勝ち進んだのか。
・・・人口約28万人のニューアークは失業率7.9パーセントで、ほかの19都市の平均の約2倍にもなる。貧困率も最も高く、全人口の3分の1近くが貧困ライン以下にある。ニューアークを含むエセックス郡は、ニュージャージー州で最もホームレスが多い。つまり、アマゾンが約束している経済発展の恩恵を最も多く得ることができるのは、ニューアークかもしれないということだ。
同時に、アマゾンに差し出そうとしているものも最も多い。最高70億ドル(約7,710億円)に上る州税と地方税の優遇措置だ。20都市が公表している金銭的インセンティヴのなかで最も規模が大きく、アマゾンが投資を約束している50億ドル(約5,510億円)をも上回る。
70億ドルの減税と引き換えに雇用促進を期待
雇用が奪われ、住宅が高騰するリスク
ニューアーク市民、特に低所得者や失業者といった貧困層が、アマゾンから恩恵を得られるのかを疑問視する声もある。
ニュージャージー反貧困ネットワークのエグゼクティヴディレクター、レニー・コウビアディスは「アマゾンがやって来たら住居費が急騰し、低所得者は転居を余儀なくされるでしょう」と指摘する。
テック企業が集まるサンフランシスコなどの都市では、すでに同じことが起きている

大企業本社や億万長者の誘致に成功すれば逆に新住民(本社勤務のエリートサラリーマンが)我が物顔に振る舞い、高家賃でも払えるでしょうが、技能レベルで対応できない旧住民多数が底辺層に没落していく→高騰する家賃を払えずにホームレス化していくのが普通です。
アマゾン第二本社誘致すれば地元に25000人の雇用が生まれるという試算ですが、どの階層の雇用が生まれるかが重要です。
ハイテク関連で地元対応可能人員が仮に50人しかいない場合、残りが他所からやってくれば住宅高騰〜物価は上がりますが他方で地元民が働ける仕事は従来通りの下層労働しかないと悲惨です。
街は繁栄しますが、繁栄を謳歌できる(高額家賃に耐えられ、高級レストランや高額エンターテイメントを楽しめる)のは高額所得の新住民であり宅配配送運転手や皿洗いなどをする旧住民ではなく弱い順にホームレス転落です。
住民のための政治か都市繁栄のための政治か?の選択です。
私はこのコラム開始以来移民受け入れ反対論を書いてきました。
先端技術受け入れのための移民であっても、それは明治維新当時のように短期間で欧州に帰ってもらった御雇外国人制度の知恵に学ぶべきです。
ゴーン氏のように居座って支配者になったような態度を取られる・課長以上全てよそ者社会では、日本人は納得しないでしょう。
香港、シンガポールや米国諸都市は、住民がそっくり入れ変わっても都市が繁栄すれば良いという思想で動いているようですが、こういう政治って国民や住民のための政治と言えるのかの疑問が噴出して、ニューヨークで反発を受けるようになったので大ニュースになったのです。
移民で成り立っている米国でさえニューカマー拒否のエポックになるでしょうか?
豪州では、一定額以上の資産を有する中国人を「いいわいいわ」で受け入れて来た結果家賃が高騰し住みづらくなってその反動が起きているようです。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28500370T20C18A3000000/

豪州の投資家向け移民制度は米国に比べ緩い。12年には連邦債などに約5億円を投資すれば永住権の申請資格を与える制度を導入した。取得者の87%が中国人だ。足元で加速するヒトの流入は地域社会にも波紋を呼ぶ。
シドニーの中心部から北へ約10キロメートルのチャッツウッド。中国系住民が34%を占め、中国語の看板を掲げた食品店が並ぶ。中国文化を教える教育機関「孔子学院」があり、中国語のミニコミ誌も5種類を数える。1990年代後半から中国系移民が急増。古くからの住民は「街は急激に変わった。ハリケーン来襲のようだ」と話す。
想定を上回る中国系移民が押し寄せ、古くからの住民との摩擦が強まる豪州。「多文化主義」ゆえのジレンマが強まっている。
(シドニー=高橋香織)

大手新聞ですから、おとなしい書き方ですが・・。
豪州でも新移民(主に中国系)の我が物顔の振る舞いに、不満の動きが始まっています。
トランプ氏や豪州の不満は移民=異民族に向けられていますが、アメリカの場合、国境の壁で解決できない国内移動により新住民に追い出されて次々とホームレスに転落する人の増えるアメリア人の不満はどこに向けていいのか、どの政治家がこれを代弁するのかが見えません。

国際孤立化とメデイアの責任1(社会意識変化と内閣の責任)

4月15〜16日の米英仏によるシリア空爆問題以来、ロシア対トルコの歴史等横にそれましたが日露戦争以降の日本に戻ります。
当時に日本に対する欧米のイメージはアジアの小国が粗暴な大国ロシアに抵抗する判官
びいき世論が西欧世界で出来上がっていました。
ポーツマス条約に関するウイキペデイアの記事中の注で米大統領の熱烈な日本支持を示す部分を引用しておきましょう。
(ポーツマス条約関連と7博士意見書は3月末頃と4月1日頃シリーズで書きましたので全体については上記をお読みください)


^ セオドア・ルーズベルトは「(日本への)同情が欠如している」として駐韓米公使の選任を変更したこともあるほどで、日本海海戦の際も一日中そのニュースだけを追い、ルーズベルト自身「私は興奮して自分の身はまったく日本人と化して、公務を処理することもできず終日海戦の話ばかりしていた」と、その日のことを振り返っている[5]。

第二次世界大戦時のフランクリンルーズベルト大統領時代には「被害者中国vs加害者日本」という構図に入れ替わってしまったことになります。
日本のネットではフランクリンルーズベルトの個人的資質ばかり問題にしていますが、アメリカ人が一方に熱狂的支持とその反作用としての熱狂的反感を持ちやすい単純民度を背景にしていると見るべきでしょう。
卑近な例では大統領候補の演説に総立ちで熱烈歓声をあげる単純な感情吐露の光景ですし、日常的にはスーパースターをいつも求める気質です。
日本人のようにほどほどに楽しみじっくりと鑑賞する気質ではありません。
こういう単純な民族を如何にして味方に引き入れて敵視されないかはすごく重要なことですが、日本は幕末開国の最初からアメリカの好意に頼っていたので、維新以降もこの関係が続いていたので戦前はこの関係が自然にあるものと過信していたので失敗したのです。
学校では戦時中の(鬼畜米英教育の影響か?)黒船来航やペリーの粗野な態度その他マイナスイメージばかり教えられますが、実は列強の中でアメリカが一番好意的だったから幕府も維新政府もこれに頼ったのです。
何の見返りもなく幕末に小笠原諸島を(戦後もすぐに奄美列島をかえし、沖縄も返しました・・・物事には相応の政治効果期待を否定できませんが、露骨な領土欲を示さなかった)無償で日本に引きわたした事一つとっても、その他列強の対応と違っていたので日本はアメリカに頼ったし・咸臨丸の航海その他遣欧使節などまずはアメリカ経由で予備知識を仕入れてからという流れでした・・(アメリカに行ってみると条約改定交渉には全権委任状が必要と教えられて慌てて日本に取りに戻ったたことがその一つです)アメリカの好意的後ろ盾がその後の運命・・植民地支配を受けなくて済んだ原因です。
戦後教育では、不平等条約ばかり問題にしていますが、当時としては独立国日本の独立を前提に日米和親条約をその後の条約モデルにしてもらえたので、(アメリカの威力背景で)ロシアその他どう猛な国の厳しい要求を拒めたし、どこの国とも戦争にならずにすみました。
以下に紹介しますが、21ケ条の要求もアメリカの動向を重要視していましたが、それまでの親日的態度に甘えて次第に日本離れしていくアメリカの真意を読み違えたのです。
戦後はこの失敗に気がついたので日本叩きが進んだプラザ合意頃には、日本車をハンマーで叩き壊すテレビ画像が流れるような危機状況下で日本国民が感情的に反発することなく、これを背景に中曽根総理がロンヤス関係構築を図ったのは先の戦争による貴重な教訓を活かしたことになります。
戦前も官僚や為政者は、国際世論の変化を意識して米欧の国民世論を刺激しないように徐々に修正対応していたことは、対支21ヶ条要求による袁世凱政府との取り決めがベルサイユ条約で国際的承認を受けていたにもかかわらず、国際世論の変化に合わせてせっかく取得した山東省権益を放棄したり、並行して海軍軍縮交渉に応じたり、満州事変以降の現場の暴走に対して戦線不拡大方針を決めるなど現実対応に務めていたことがわかります。
これまで見てきた日露講和条約に対する7博士意見書のような実態無視・国際世論無視の過激一方のメデイア世論や美濃部の天皇機関説事件の推移が象徴するように、(これまで紹介した通り学問は学問の場で決めつことだとか、政府答弁はその都度真っ当な意見でした)何かある都度メデイアの煽りに合わせた内閣総辞職の繰り返しになり、結果的にメデイアが煽りさえすれば内閣総辞職になった結果、その後メデイアの煽りが政治方向を決めていくようになったのです。
なんらの見識もない・・表層の短絡的理解聞き齧り的意見しかない各部門での2〜3流人材の寄せ集めであるメデイア界が、上っ面の一方的な方向を煽っては政局を決めてきた・・戦後メデイア界はこの味を占めた経験を忘れられないように見えます。
最近では財務省次官のセクハラ疑惑を大騒ぎして担当大臣辞職を求めるかのようなイメージ報道が盛んです。
今朝の日経新聞春秋欄では、総理がこの際(ウミを出し切るというが)この1週間だけで、文科省大臣が公用車を利用して白昼ヨガに通っていたという報道や防衛省の下請け企業が水増し請求していた事案が発覚しているなどを引き合いにして「切開手術」を必要とするなどと主張し、如何にも政局(内閣総辞職)になることを期待するかのようなイメージ主張が出ています。
しかし、森かけ問題発覚当時の文科省次官の風俗店の常連であった事実や、テレビ朝日による女性記者を利用したハニトラ疑惑スレスレの情報収集が行われてきた事実も明らかになってきました。
テレビ朝日が担当女性記者によるセクハラ発言被害の訴えを無視してさらに夜間酒席での単独会食に送り込んでいた事実を見れば、もともとハニトラ的会話を期待していたテレビ朝日の情報収集方法が日常的であったことが明らかです。
ところが他メデイアが一切これを問題にしない・ネット報道中心になっている事実を見れば、メデイア界揃って同様の取材方法を常態化していたと推測されます。
メデイアは次々と旧来基準の事例が出ていることを引き合いにしていかにも内閣の首でも取ったような勢いですが、旧来の社会意識があったところでいきなり「これで良いのか?式のキャンペイン」を張った場合、過去基準事例を探せばゴロゴロ出るのは当たり前です。
まだいっぱいあるからこそ、社会意識の変革がテーマになるのですから、事例がゴロゴロ出たからと言ってなぜ内閣の責任に結びつけるのか?
こうした実情を見ると現行内閣の政治スタンスの責任というよりは、社会意識の変化・・公私ケジメやセクハラ・パワハラの水準が変わってきたのに官僚機構(特に中高年齢者)が追いついていないということでしょう。
社会意識変革の必要性をあげる・警鐘を鳴らすのはメデイアの役割として正しいでしょうが、政府が旧基準で正しいと開き直るならば、政府批判もありでしょうが、政府が「うみを出し切る」といって次々と事例が出たら、なぜ政府が責任を取る必要があるのか論理不明です。
それはそれとして中高齢者も社会意識変化に合わせる必要性を論じる意味がありますが、これまで厳格だったのに現内閣が故意に基準を緩めた結果というならば内閣の政治責任ですが、過去長年の幅広く行われていた慣習(いちいちトップが明言しないと末端が動かないのでは組織は成り立たない・・忖度も同様です)が社会意識に合わなくなったということであれば、それと現内閣総辞職の必要性とは関係のないことです。
社会意識変革の必要性をあげる・警鐘を鳴らすのはメデイアの役割として正しいでしょうし、政府が旧基準で正しいと開き直るならば、政府批判もありでしょうが、政府が「うみを出し切る」といって次々と事例が出たら、なぜ政府が責任を取る必要があるのか論理不明です。

憲法学とは?1(国民意識との乖離)

昨日紹介したのは、平成26年の内閣府調査なので左翼系にとってが色眼鏡でみる余地があるとしても、自衛隊縮小論が国民の2、6%しかいない状態は実感にもあっているように見えます。
まして平成26年から約3年以上経過の間に北朝鮮による日本上空通過のミサイル実験や中国の挑発・つい先日も中国の攻撃型原子力潜水艦が尖閣諸島の接続水域を潜行のまま航行した事件がありました・・が厳しくなる一方ですから、迎撃ミサイルや、レーダー装置やスクランブル対応が増えるので人員増などの増強必要論がもっと増えているでしょう。
今でも憲法学者の7〜8割も自衛隊違憲論(縮小どころか廃止論でしょう)になっている・・国民・民族意識と全く逆方向の基本思想(実質的憲法観)を持っている憲法学者とは何者か?何を研究する学問か?となります。
数学や物理の場合には、100対1の少数意見でも正しい答えは正しいのですが、憲法・民族のあり方(年末から書いてきた「実質的意味の憲法」)がどうあるべきかのテーマについて、専門学者の7〜8割の意見が国民97%の意見と真逆の結果を示すとはどういうことでしょうか?
憲法学とは何を研究する学問でしょうか?
憲法条文の形式的意味の「国語?」研究者であって、あるべき民族精神・「実質的の憲法」の研究者ではないのでしょうか?
学問は「民意と関係がない・民意におもねないのが学問だ」この憲法が実態・民奥意識に合わないかどうかは民意で決めればいいことで、学者は現憲法の形式文言を理解し、その限界を言うだけだ」実態に合わないから「変更の必要があるかどうかは政治家の問題」という逃げの論理でしょうか?
法律や規則を最先端実態に合わせて作ってもすぐに時代遅れになる結果、現場で不都合だとしても、法がある限り「悪法も法なり」として公務員や産業界では仕方なしに従っていることがいっぱいあって、その不都合が実務官庁や関連業界が政治を動かし次の改革の原動力になります。
あるいはある規則などを制定運用して見て、数年後その結果を見て修正していくことを予定されている法令がいっぱいあります。
憲法学者も「国民には自分の生命や財産を守る権利があり、自衛権が必要と思っているが、今の憲法に書いている以上不都合としても学者としては正しいことを言うしかない・節を曲げるわけにいかないから違憲と言っている」だけという人もいるのでしょうか。
1月17日に書いたように解釈合憲という考え方がある・ABCDの解釈のなかで合憲になる説が一つでもあるならば、合憲になる説を取り、合憲になるような運用を求めていけば良い・他の説では違憲になるからと言って厳しく自説での運用を求めれば足りるのではないでしょうか?
法令でも担当者に裁量兼があるのが普通ですが、裁量範囲を逸脱すれば違法になるから、担当者は気を使って裁量権を謙抑的に行使しているのですが、違法な裁量権の行使自体を法は想定していません。
仮に裁量行為の違法(ミス)があれば、行政服審査請求→行政訴訟によって是正される仕組みです。
「違憲行為をできる恐れがある」という意見が正しければ、裁量権を逸脱した(違憲)行為の差し止め請求ができる理屈です。
物事は具体的状況によりますから「自衛のために必要か否か」その時の事案に応じて対処方法を判断する必要があるでしょう。
現在でも警官の発砲が妥当であったかが具体的事案に即して判断されるのと同じです。
上記の通り、裁量行為であっても行為によっては違法な裁量もありますが、そもそも法の解釈については、17日に見たとおり、ABCなどいろんな考え方・説があります。
合憲説根拠のあらましは、「国家存続のためにある憲法が国家存続の基礎である自衛行動できないとは考えられない」という一般論の外に、憲法自体に国民の生命維持・幸福追求権が明記されていることなどが挙げられていて、憲法全体を見た解釈として合理性があり、箸にも棒にもかからないような荒唐無稽な意見ではありません。

憲法
第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

戦後70年、警察予備隊〜自衛隊発足後で約60年間で見たら、自衛隊が違憲になるような危ない運用をしていませんし国民の97%もそれを認めています。
警官が職務質問できるとむやみに検束され、拳銃を持つと国民がむやみに殺される心配が日本の国では実際的でないのと同じです。
憲法学者にとっては「公務員は権限を乱用するもの」という思い込みがあるのでしょうか?
そういえば最近激しくなってきた立憲主義運動では、権力監視が近代立憲思想のキモであるという主張が目立つようになりました。
専制支配の中国などでは必要な議論でしょうが、肝心の中国で主張しないで(私が弁護士になった昭和40年代でからずっと、中ソの原爆実験やひどい公害発生には何も言わず、日本産業発展の阻害になることには熱心でした)これを日本に持ってきてありがたそうに高説を垂れても、古来からお上を信用してきてひどい目にあったことのない日本国民にはしっくり来ないでしょう。
酷い政治をしてきた中国や朝鮮とでは歴史が違います。
上記の通り、合憲解釈が可能で・その枠内の運用が実際に長期間行われてきた実績があるのに、いまだに自衛隊の存在だけで違憲になる説を採用して、国民の生命財産を守ることも出来ない説を取る憲法学者が7割以上もいること自体が不思議です。
憲法学者の大方は、自衛隊の存在意義を97〜98%もの国民が認めている国民意識に反する価値観を持っているのでしょうか?
意識は国民と同じだが「不都合かどうかは、憲法改正するかどうかの政治問題だ」とするならば、不都合な実態に精通しているはずの専門家として、上記関連業界同様に不都合な憲法に対する改正運動に精出すはずですが、逆に憲法学者と護憲運動が大きく結びついているイメージがメデイアで流布しています。
ただし自衛隊違憲論者の中で改憲論必要と改憲反対がどういう比率になっているかの統計をみたことがない(弁護士会のチラシ等では改憲反対傾向の講演会ばかりなので、改憲賛成派学者がどのくらいいるのかすら分かりません)ので、実はメデイアのイメージ報道がフェイクの可能性があり、実態を知りません。
憲法学者多数か少数意見か不明ですが、一方で「憲法には人類普遍の原理」(・・多分「平和主義」を言いたいのでしょう)があるので、この原理は変えてはいけない」という主張も合わせています。
自衛隊合憲論が多数そうなので今度は、「平和憲法の思想」だけはは守ろうとする二段構えの主張のようです。
最近活発化してきた「近代立憲主義」の啓蒙活動?は、学問的主張のように見えて(高尚な理論の理解能力の低い私の場合)憲法改正反対意識をじわじわと浸透させる運動のような印象を受けます。
しかしか彼らが守ろうとする「平和の思想」自体がはっきりしない・彼ら独特の非武装思想のように見えます。
中国等日本隣国の重武装・核実験に反対運動どころか戦後ずっとノーコメントで、日本だけの非武装平和論ですから、公平な思想とは言えないでしょう。
思想ならば日本だけに適用があるのではなく、世界中に普遍的であるべきです。

集団自衛権に対する国民意識(設問によって回答が変わる)

集団自衛権に対する国民意識(設問によって回答が変わる)

ところで、17日に見た通り朝日新聞調査回答者中自衛隊合憲論者だけで見れば、集団自衛権は違憲という意見が19人中8人で過半数に足りないのですが、朝日新聞はもともとの違憲論(違憲運動している者の回答率が高くなるのは当然です)を合わせて7割が集団自衛権を違憲と言っていると発表していたことが17日の紹介記事でわかりました。
このカラクリを知られたくないから?朝日新聞は基礎になる自衛隊合憲違憲のデータを第三者に指摘されるまで公開しなかった疑いが持たれます。
アンケートの一般的方式/ルールで言えば、「前問で『自衛隊合憲』と答えた人のみ次の問い(こういう場合にも合憲ですか、違憲ですか?という問い)に答えてください」とするのが普通の方式です。
朝日の調査では、前問で「自衛隊違憲」と答えた人にも、次の問い(集団自衛権の合憲違憲)に答えさせていることになります。
前問で違憲回答した人に、次問で集団自衛権の合憲違憲を聞けば違憲の回答になるのが論理的帰結です。
虚偽報道ではないとしても国民を誤解させかねない調査報道の仕方ではないでしょうか?
正確には自衛隊合憲論者の半分近くが違憲と言っているという発表であるべきですし、自衛隊を合憲と考えている8割の国民は自衛隊合憲論者がどう考えているかを知りたがっているのです。
元々の自衛隊違憲論者が集団自衛権になおさら反対しているのは当然すぎますから、彼らが(違憲論者が)違憲と考えているか知りたい国民は滅多にいません。
学者相手ではない集団自衛権賛否の一般的調査では以下の通りです。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39362によれば以下の通りです。

2014、5、26 髙橋 洋一
5月19日の産経新聞「7割が集団的自衛権を容認」、12日の読売新聞「集団的自衛権、行使容認71%」、19日の毎日新聞「集団的自衛権 憲法解釈変更…反対56%」、4月22日の朝日新聞「今国会で憲法解釈変更『不要』68%」
集団的自衛権行使に積極な二紙では賛成が多く、消極的な二紙では逆に反対が多いという、絵に描いたような世論調査結果だ。
もっとも、その理由は明快だ。
世論調査の際、集団的自衛権の定義の違いと答えに「最小必要限度」を入れるか、どうかである。
まず、集団的自衛権の定義では、産経・読売では「密接な関係」「反撃」となっているが、毎日・朝日では「同盟」「戦う」と表現が違っている。
ただし、「日本への攻撃とみなして」は共通だ。答えに「最小必要限度」を入れるかについては、産経・読売は、「最小必要限度」の限定的な行使を含めているが、毎日・朝日は含めず二者択一だ。
必要最小限度」を入れるか否かで結果は変わる
集団的自衛権については、そもそも論から考えたほうがいい。4月28日付(→こちら)と先週の本コラム(→こちら)において、国際法では、国家間の個別的・集団的自衛権は国内の個人間の正当防衛と同じで、英語では自衛も正当防衛もともに self defenseということを紹介した。
日本の刑法36条をみれば、「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない」(第1項)と、他人を守ることも含まれており、これは世界共通だ。この「他人」を「他国」と置き換えれば集団的自衛権である。もちろん、個別的・集団的を問わず自衛でも、正当防衛で過剰防衛になっていけなのと同じように、いろいろな制約がある。この意味で、集団的自衛権(もちろん個別的自衛権も)は、「必要最小限度」で限定的なものだ。
こうした国際法の観点から見ると、産経・読売のほうがまともにみえる。毎日・朝日の集団的自衛権は、戦争そのものととらえているのではないか。正当防衛を認めず、人に反撃を加えるだけで、傷害罪・殺人罪を適用するといっているのに等しい。」

上記によると、一般国民は、集団自衛権であっても質問方法によっては7割も必要としているというのです。
もしも自衛隊そのものの合憲・違憲の世論調査をすれば、合憲意見がその上を行くことは明らかです。
このように調査設問するには、具体的条件設定の重要性がわかります。
自衛隊違憲合憲の意識調査では、周辺状態の危険性は常識ですからメデイアが設問方法でごまかせないから、実態に合わせた常識的意見になっているのではないでしょうか?
朝日新聞や憲法学者は(無制限に戦争参加できるかのような質問形式)前提なしの違憲論を宣伝しているように見えます。
ところで、国民の8割が自衛隊合憲と一般化されていますが、ネット検索する限り(検索能力が低いから)メデイアの世論調査結果がなかなか出てきません。
内閣府による自衛隊に関する意識調査の変遷です。
https://survey.gov-online.go.jp/h26/h26-bouei/gairyaku.pdf

(2) 日本の安全を守るための方法
問13 では,あなたは日本の安全を守るためにはどのような方法をとるべきだと思いますか。
この中から1つだけお答えください。
現状どおり日米の安全保障体制と自衛隊で日本の安全を守る
平成24 年1月     平成27 年1月
82.3%   →   84.6%
日米安全保障条約をやめて,自衛隊だけで日本の安全を守る
7.8 →      6.6%
日米安全保障条約をやめて,自衛隊も縮小または廃止する
2.2% →      2.6%

ようやく内閣府の調査が出てきましたが、(ちょっと古いですが)これによれば上記の通り国民の97%以上が自衛隊存在を前提に回答していることからも自衛隊違憲論は少数であることが推測されます。
一般的に国民の自衛隊支持率は8割以上と言われていますが、どこにデータがあるか世論調査がネットには簡単に出てきません。
政党では共産党しか違憲主張がないのに国民の2割も違憲論があると言う一般化自体おかしいように思っていましたが、上記調査では自衛隊縮小論が2、6%となっており、この中には自衛隊違憲論者多数と見るべきでしょうが、国民の2割もいません。
以下に紹介する共産等プラス社民党支持率とほぼ一致しています。
https://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_pol_politics-support-politicalparty

政党支持率、自民は28.1%=時事世論調査※記事などの内容は2018年1月19日掲載時のものです

希望の党の評価(東京10区の選挙結果)

民進党や共産党は相手を批判するのは慣れているが政策を練り上げる・利害調整能力不足・・そもそも調整の経験がないのが特徴です。
「草の根の意見を大切に!」とスローガンだけは立派ですが、自分らは頭が良いと思い込んでいる・・前衛思想が基本ですから、バカな庶民意見など問題にしない基本が染み込んでいます。
「正しいことは正しい・だからこれを理解しないのは無知蒙昧なだけ・そんなバカな奴の意見など聞いても仕方がない・・押しつぶせばいい」というだけの単純論理・レーニン〜スターリンに連なる政敵抹殺・粛清正当化体質です。
銃口から権力が生まれるというテーゼです。
日本にもそういう脳構造の硬い人が一定数いるのは当然で、(安全・綺麗な社会といっても一定の犯罪が存在するように民度というのは比率の問題です)これが唯我独尊的政党の岩盤的支持基盤です。
三派系全学連の内ゲバ〜浅間山荘・連合赤軍事件も、意見の違う相手を受け入れない基本体質が行き着いた結果お互い・・殺し合うしかない・スターリン粛清の小型版になったものです。
この種の脳構造の人たちにはもともと違った意見の存在を認められない脳構造ですから、利害調整する気がないので独裁体制=恐怖政治に親和性があることが分かります。
共産主義国家=共産主義という一つの思想で統治する主張ですから、共産主義以外の思想を許さない・・独裁制になりキリスト教その他の宗教禁止したのは論理必然だったことになります。
独裁政治を主張する政党が政権を取れば独裁政治するのは当たり前です。
エリートによる指導を前提とする独善思想に凝り固まっているグループ・政党の高学歴信奉‥・党幹部や代議士候補に高学歴思考・医師・弁護士等を優先する体質もその表れです。
安保法制や特定秘密保護法関連のシリーズでも書きましたが、「憲法学者多数が違憲と言っている」という宣伝を繰り広げて、「素人は黙ってろ」と言わんかのように一般人にまともな議論をさせない思考停止誘導の政治活動方法も同根です。
安倍総理が東大卒でないことをメデイアなどでしきりに揶揄していたのもその現れでしょうし、希望の党結党騒動もメデイア応援によるスローガン・パフォーマンスだけの選挙・真面目な議論抜きの姿勢が顕著でした。
「欧米の言論の自由や民主主義.人道思想は日本列島では古代から行ってきたことに西欧が数千年以上も遅れて気がついて自慢している滑稽なものである」という意見を繰り返し書いてきましたが、わが列島民族の多くは未熟さを自己証明しているような(ポピュリズム)甘言・スローガン程度には簡単に踊りませんので、欧米の真似をしたら進んでいるかのように振る舞うイメージ頼りの政党は短時間の経過でジリ貧になるしかありません。
合理的政策提示能力のないメデイア合作によるムード幻想ふりまきにの氾濫に国民がすぐに冷めてしまったものの、慌てて作った公約は「自分の党はどういう経済政策をする」「何をする」という具体性のない空疎さから、やむなく安倍政権打倒とかアベノミクスは失敗などの批判しかなくなっていました。
使い古した「森加計問題」を言うしかなくなった時点で選挙せんを「投げた」と見るべきでしょう。
希望の党にも公約があったのですが、あまりにも幼稚すぎてメデイアも報道できなかったし希望の党の立候補者自身恥ずかしくて支持者説明できない状態が続いていました。
せいぜい伝わってくるのは「リセット」するとスローガンだけでした。
この後で公約政策集の一部を紹介しますが、読んで見ると何か主張しても言いっ放しで実現するべきプロセスを説明できない・幼稚園児が将来「〇〇になりたい」というのと似ています・・この程度のことしか言えない集団が、政党を名乗るのは無理があります。
幼稚園児の夢と違い政治家の発言に重みがあるのは、それが具体的政治に直結できる準備が済んでいる前提があるからですが、政党の公約でありながら実現性のないことを言うのでは(割安メニューだけ書いてあって店内に入ると料理提供の準備のないレストランのようで)虚偽広告・不正商法と変わりません。
ムード戦略が失速していく中で追い詰められた最後の奇策が、政策を決めないママでの希望の党への合流でした。
小池氏はこの1年間都政を停滞させた印象しかなくて何をしたか不明のまま都政そっちのけ・・実績を示す時期が来たのでそこから食い散らかして逃げる印象をまず受けたのは選挙結果を見ると私だけではなかったようです。
11月9日に紹介した文春の意見も同旨ですし、支持率急低下にたまらず11月14日ついに代表辞任表明に至ったのですが、小池氏の合理的実現性のないメデイア受けだけ狙った行動・我欲が目立ってしまった旗揚げは、その弱点を狙った老練な?民進党政治家に利用されて民進党系議員の延命に寄与しただけの結果になりました。
メデイアがしきりに小池氏を老獪な政治家と宣伝しますが、これまでメデイアの意向に沿って振り付けによって踊っていただけ・・地元密着がなくとも選挙には強かったに過ぎなかったように見えます。
小池氏は・・ドロドロした地元利害調整に汗を書いたことがない・これが身近な政治家(自民党都連)の間で人望のないと言われてきた理由でしょうし、利害調整の必要な政治家としての能力は素人政治家の域を出てない・・大差がなかったのではないでしょうか?
だから自民党政治家に比べれば稚拙な民進党系議員にすら「赤子の手をひねるかのように」手もなく利用されてしまったのです。
何よりも都内の小選挙区で惨敗どころか、これまで小池氏が連続当選して来た本拠地の選挙区で小池氏が都知事選立候補以来協力して来た元自民党の代議士若狭氏を立候補させたのに、若狭氏を大敗・落選させてしまったのですから、都民は小池氏も若狭氏も自民党員であるから当選させて来たにすぎない・個人支持・信望がほとんどなかったことが分かります。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD%E7%AC%AC10%E5%8C%BA

解散日:2017年9月28日  投票日:2017年10月22日
当日有権者数:470,938人 最終投票率:52.95%(前回比:-0.61ポイント)

当落 候補者名 年齢 所属党派 新旧 得票数 得票率 惜敗率 推薦・支持 重複
鈴木隼人 40 自由民主党 91,146票
37.4%
―― 公明党
鈴木庸介 41 立憲民主党 70,168票
28.8%
77.0%
若狭勝 60 希望の党 57,901票
23.7%
63.5%
岸良信 62 日本共産党 20,828票
8.5%
22.9%
小山徹 42 無所属 2,107票
0.9%
2.3% ×
吉井利光 35 幸福実現党 1,744票
0.7%
1.9%

当日有権者数:人 最終投票率:34.85%(前回比:-18.71ポイント)

当落 候補者名 年齢 所属党派 新旧 得票数 得票率 推薦・支持
若狭勝 59 自由民主党 75,755票
60.3%
公明党
鈴木庸介 40 民進党 47,141票
37.5%
生活者ネット社会民主党
吉井利光 34 幸福実現党 2,824票
2.2%
    • 若狭は比例東京ブロック単独から鞍替え

上記2回の選挙を見れば分かるように、東京10区に出た自民立候補者は前回の選挙に出ていないので、小池氏と若狭氏の離党→希望の党結党により、今回の選挙で急遽他の地区から来た飛び込み・・現地に接点のない人と思われますが、それでも小池氏の盤石の地盤であったはずの10区で若狭氏を圧勝しています。
鈴木ハヤト氏に関するウィキペデアによると以下の通りです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%88%B4%E6%9C%A8%E9%9A%BC%E4%BA%BA_(%E6%94%BF%E6%B2%BB%E5%AE%B6)

2014年、経済産業省を退職し、同年12月2日、第47回衆議院議員総選挙に比例東京ブロックから自由民主党名簿第25位で出馬して、初当選を果たす。
2017年の第48回衆議院議員総選挙で自民党公認候補として東京10区から出馬。都民ファーストの会を支援するため自民党を離脱し、希望の党の公認候補となった若狭勝に比例復活も許さず、小選挙区初当選を果たした。セガサミーホールディングスの里見治総帥の娘婿である[3]。

上記によれば、鈴木氏は文字通り1年生議員で、しかも小選挙区では出馬すらできていない・・比例単独立候補で前回の自民党大勝の余禄で当選できた程度の人に見えます。
この程度の知名度のない若手が、小池氏の生え抜き側近として脚光を浴びている若狭氏相手の選挙区に飛び込んで圧勝したことにな
ります。

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