不満社会5(余剰エネルギー)

韓国では庶民一般が、何か「怒っても良い(メデイアによる公認?)対象」が見つかるとこの機会に!とばかりに「過激に反応する」事例・セウオール号事件被害者の特権的振る舞い・・被害者集団の過激行動の報道に驚かされます。
韓国による対日慰安婦攻勢以来、日本では「被害者ビジネス」表現が一般化しましたが、韓国の急成長による歪み・・ついていけない弱者の不満が積もり積もっている様子です。
メデイアで何か事件の被害者と公認されると小さな子供が駄駄を捏ねるみたいに暴れまくる気持ちは、一方でなけなしの金をつぎ込んで子供を留学させて国外脱出の夢を子供に托す人の多さにも、自殺率の高さにも現れている共通心理・・目の前の難局を自力解決するより外部環境に頼る国民性を表しています。
西欧列強が押し寄せた19世紀後半以降の国家存亡の危機に遭遇しても、清朝が頼りにならないとなると〜ロシア〜日本に頼り戦後はアメリカに頼っていましたが、中国の将来性が高まると?再び中国に擦り寄り始めるなど要は外部環境次第の国です。
もともと李氏朝鮮の国是を事大(大に事(つか)える主義といい、強大な隣国・宋〜明〜清歴代王朝に仕えて小国の統治権を保障してもらう代わりに朝貢して礼を尽くす」という自己体制保障の思想です。
これ自体戦国時代の地方豪族(小名)が地域覇者の傘下に組み入れられていくの(最後は幕藩体制成立)と、何ら変わらないことですが、事大主義の国として国際的評価として定着したのは19世紀後半以降の国家運営の処し方が右顧左眄しすぎ・主体性のなさがひどすぎたので、国際的に愛想をつかされてこのように言われるようになったのでしょう。
本来の意義は以下紹介の百科事典の意味だったでしょうが、19世紀末以降では大辞林の意味で理解する人の方が多いのではないでしょうか?
https://kotobank.jp/word/%E4%BA%8B%E5%A4%A7%E4%B8%BB%E7%BE%A9-520334

世界大百科事典 第2版の解説
じだいしゅぎ【事大主義】
小国が礼をもって大国に事(つか)えること,また転じて勢力の強いものにつき従う行動様式をさす。《孟子》梁恵王章句下に,斉の宣王が隣国と交わる道を問うたのに対し,孟子は〈大を以て小に事うる(以大事小)者は天下を保(やす)んじ,小を以て大に事うる(以小事大)者は其の国を保んず〉と答えた故事に由来している。 朝鮮史では,李朝の対中国外交政策を事大主義と称する。1392年,高麗王朝に代わって李成桂が創建した李朝は,その前期には明,後期には清に対する〈以小事大〉の礼をもって国号と王位の承認を得て国内の統治権を強化し,定例的な朝貢使(燕行使)の派遣にともなう官貿易によって経済的利益を得,1592‐98年に豊臣秀吉の侵略をうけたときは明軍の支援を得た。

大辞林 第三版の解説
① 勢力の強い者に追随して自己保身を図る態度・傾向。朝鮮史では朝鮮王朝のとった対中国従属政策をいう。 → 事大党
② 全体に対する見通しもなく瑣末さまつなことを誇大に騒ぎ立てる態度。

今回の文政権は、米国と北朝鮮の仲を取り持つという触れ込みですが、複雑な国際交渉の仲介役になるには相応の国際経験と裏付となる国力が必須です。
韓国にそんな能力がないのは明白ですので、取り持つのではなくむしろ点数稼ぎ目的が見え見えです。
文氏のお膳立てのごとく吹聴していた2月末頃の米朝会談があっという間の決裂に終わり、世界的恥をかいたのでその修復のためになんとかトランプ氏との会談を求めて4月11日の会談にこぎつけたようですが、反日の象徴的大行事を欠席してまでしてようやく実現したのになんとわずか2分しか会談時間がなかったと報じられています。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190412-00000012-ykf-int

文大統領“屈辱” 米韓首脳会談たった「2分」 北への制裁解除熱望も成果ゼロ
4/12(金) 16:56配信
ドナルド・トランプ米大統領が、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領との首脳会談で「冷淡」姿勢を貫いた。北朝鮮への制裁解除や、南北共同事業再開を熱望する文氏に対し、トランプ氏は否定的見解を示したのだ。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との3回目の首脳会談についても、急がない方針を打ち出した。米韓首脳がサシで話した時間はわずか2分程度で、踏み込んだ交渉はできなかったとみられる。「大韓民国臨時政府発足100周年」という重要な記念日に、自国を留守にしてまで訪米した文氏だったが、ほぼ、「成果ゼロ」で終わったようだ。

パク前大統領の中国の対日勝利式典(西側諸国では韓国のみ)出席に始まる対中接近〜文政権の反日政策と米国への擦り寄り直しなど・・これこそが現在式「事大主義」の発露というべきでしょうか?
歴代政治家は日本非難ばかりで国民の不満を外らせようとするし、国民もみんなで難局打開へ努力する気持ちがない・・政治家も無理だと諦めているのでしょう。
日本が(江戸時代の経験を活かし)高度成長期の歪みをうまく切り抜けたような是正策がうまくいかない・・基本的な社会の脆弱性・・家庭崩壊?→親の愛情不足あるいは、社会全体の弱者包容力不足がもたらしたものでしょう。
米国(の場合、ホームレス問題を連載しました)も西欧(フランスの黄色いベスト運動やテロ続発)も中国も同様ですが、成長軌道に舵を切りすぎて競争激化による社会の分断・急激な変化についていけない階層の不満が積もり積もってその限界点がきている・・世界中で騒動が増えてきた原因になってきたように見えます。
成長から取り残されて不満蓄積している人たちは、(北朝鮮のように成長していない・取り残されることがない方が政情は安定します)日頃合法生活をしているがチャンスがあると合法非合法の境界をちょっとはみ出したい予備軍になっているというべきでしょうか?
アメリカなどで洪水被害等があると助け合うどころか、略奪等の違法行為蔓延が一般的であり、このためにまず軍が出動して治安維持する姿が普通の報道でした。
日本では自衛隊出動は(助け合いの延長)救護活動目的であって、治安目的ではないので軍の出動といっても意味が違います。

自己実現と社会の関係5(判例時報増刊号)

「逆は必ずしも真ならず」という解説付きでなく、自己実現は崇高なもので最高に尊重されるべき人権という強調だけしている場合、どんなことを表現しよう(刑事民事の違法行為でないかぎり)とも内容審査は許されない?・・(内容如何によらずに「自己実現行為」であれば内容について何らの批判すらも許されないような誤ったイメージを広げる可能性が高くなります。
文化革命当時「造反有理」というスローガンが流行りましたが、以後自己実現であれば、どのような政治運動も許されるかのように振る舞う人が多くなっているように見えます。
精神医学で言うところの「赤ちゃんの万能感」状態が大人に引き継がれているようにも見えます。
私自身個人的には自己実現論・・心理学としてのマズロー理論はそれ自体には(人の内面心理構造としては)直感で共感するところ大(人は死ぬ瞬間まで自己実現に励む存在)ですが、それとは別に芦部教授が私の気にする社会関係論として無理がないかの批判に対してどういう反論をしてきたかも知りません。
また、心理学側面だけで見れば米国と違った国民性・国民レベルを前提にすると日本社会でこそ自己実現に努力する人が多そうで・イチローのようにあくまで求道者精神の発露・・・いつも真面目に自己実現にはげむ日本民族向けには妥当する理論ではないかと思います。
マズローの理論は米国社会をモデルにしているので、日本その他の社会に(日本の場合安全欲求度が高いという違いがあるので米国図式は)妥当しないという批判が強いようです。
私の理解では米国の民度では、求道精神的・・自己実現に邁進する人が逆に少ないので国民支持を得られなかったように思いますが、ここでは横道に逸れ過ぎるのでこれ以上深入りしません。
心理学用語としての自己実現論と憲法理論との関係に戻ります。
自己実現に価値を置く国民性だというかは別として、憲法学者が憲法の基本概念に心理学用語を取り入れるには、心理学→個人内面変化や生きがい・やる気を出させる等の心理側面概念と社会関係の規制のあり方・法概念との架橋をもっと素人にもスッキリ分かるように提示すべきでないかの疑問です。
普通の法学勉強者が理解できるように説明できない概念が広まると、図式的理解で満足している人が増えて行きます。
そうなると末端裾野(これが最大多数です)では本来の意味を外れた外延での利用が増えて誤解を招くリスクが起きてきます。
昨日紹介したように「逆は真ならず」の批判が起きるのは中核利用ではなく「外延」を目一杯広げて利用する法学関係者が多くなったからではないでしょうか。
芦部教授が憲法で保障される表現の自由と自己実現をイコールとして主張していたかを知らないので、(原典に当たっていないので)こういう疑問を書くのですが、芦部説の図式化による誤解が広がっているだけかの疑問で書いています。
ただし、昨日紹介したように学者が批判する以上は芦部説の内容と境界をきっちり研究した上での批判というべきでしょうが。
自己実現説を他の学者が「イコールではない」と批判している以上は、芦部説あるいは正当継承理論では、「自己実現=憲法で保障される表現の自由」と主張をしているとみるべきでしょうか?
Jul 12, 2018「表現の自由(自己実現・自己統治)とは2」を今見直してみると、同署13pには、「第4内容に基づく規制原則禁止に向けて」という節があります。
内容まで入る暇がありませんが、表現行為の内容チェックは許されないという主張のようです。
私も規制が必要という意見ではありませんが、政治運動する以上は政治責任をとるべき・批判対象になるべきという意見で書いていますので、結論自体に反対しているのではありません。
毛利氏論文は規制反対というだけで政治責任の否定を含まないとしても、「内容の是非を議論すべきでない」→無答責論的イメージ増殖に結びつきやすくはなっているでしょう。
私はこの臨時増刊号で表現の自由=自己実現論がいつの間にか主流になっているらしいのに気が付いて衝撃を受けてこのコラムで紹介してきたのですが、上記自己実現論に対する批判論もあるのにこれに反論もしない(ざっと見たので読み損ねているかもしれませんが・・)論文集です。
「すでに決まったことだ」という思考停止状態の学者グループの言いたい放題について、政治責任追求を受けそうな危機感をバネに自己実現論があるのさえ知らない我々世代向けに書いた本だったのでしょうか?
近年の集団自衛権であれ、共謀罪法案であれ反対運動のあり方・・内容議論に入らずに「近代法理違反」とか「平和憲法を守れ」「憲法違反を許すな!」など内容に踏み込むのを許さないかのような標語に頼る運動形態を何回も批判してきましたが、問答無用式議論がはびこるのは自己実現理論という高邁な?憲法論が下敷きにあるからかもしれません。
各種違憲論や反対論自体をおかしいというのではなく、法案の内容・どこが憲法違反かなど吟味する必要があるのではないか?というのがこうした主張に対する疑問です。
私のレベルが低いだけかもしれませんが、プロの弁護士相手に配布されてくる主張を見る限り、どの条文がどういう危険があるか・その危険性排除のために先進諸外国がどのような歯止め工夫をしているが、日本の法案にはこれが足りないのでこの修正が必要だなどの具体的主張を読んだ記憶がありません。
法律家の法案反対運動なのに内容議論を許さないイメージの押しつけばかりなので、不思議な人たちだと思っていましたが、自己実現論(の拡大解釈?)を下敷きにしているとすれば理解可能です。
自己実現であれば何でも許される思想は精神医学での定説を借用すれば「赤ちゃんは自分が世界・宇宙そのもの・全能」と思っているようなものですから、まともな議論・・まともな社会性のある議論にはなりません。
たまたま昨年から高裁判事のネット発信が問題視され、最高裁から懲戒処分(戒告)を受けただけでは済まずに、国会の訴追調査が始まっていると報道されています。
これに対し、裁判官も国民の一人として表現の自由(自己実現の権利がある)と擁護する意見が法律家の間で流布されているようですが、自己実現の一部かもしれないが「裁判官の発言として枠を超えていないかの吟味が必要」というのが国民大方の意見ではないしょうか。
自己実現であればなんでも許されるのではなく、それぞれの「社会的立場に応じて言って良いことと悪いことがある」というのが多くの国民の意見ではないでしょうか?
25日紹介した批判論・・表現の自由と自己実現とはイコールの関係ではないという批判を知らないのでしょうか?

日本独立反対運動 1

高速道路反対運動の頃になると私が勧誘に乗らないのがわかったらしく、あっさりした勧誘程度しか来なくなったので、スローガン程度しか覚えていませんが、地元団地の反対運動(「クルマの出入りが多くなると団地住民が危険だ」というスローガンだったように思いますが・・マンション等の工事反対の戦術としてトラックの出入り→子供の通学が心配というのが定番・通学時間中の資材搬入をしない約束などが普通になりました。
この種の運動の成果か?路地の水道/ガス工事あるいは広い道路での重機使用などでも道路左右に監視員がついて歩行者の誘導をしている・誘導などしてくれなくとも歩行者用の迂回路がきちんとできているのですが・・外国の人が見れば不思議な光景になっています。)が成功したらしく、モータリゼーションが一般化した後に、元は猛反対していた団地住民?自治会?がジャンクションが遠くて不便だということで設置運動をしているとのニュースを見たことがあったので、その前のジャンクソン設置反対運動が成功していたのだとわかりました。
その頃からビルを立てるにも周辺の同意がいる、工場等で新たな設備導入するには公害防止手順を踏み周辺の同意などをつくす必要など、各種実験・・今の自動運転技術獲得競争でいえば、日本では公道実験実施が困難なので、アメリカに行って実験しなければならないなど・・実験すらまともにできないので、国際開発競争に遅れをとる懸念が知られています。企業が最新設備導入にあたり、経済合理性があればまず導入し弊害が起きればその時に考えれば良いという社会と比較すれば、何か新しいことをするには大変な手間や時間がかかりいつも実行が遅くなります。
安全は先に確保した方がいいといえばその通りですが、物事は程度問題・神ならぬ身で100%安全の保証など前もって確保することは不可能ですから(国会議論報道によると)反対の為の反対の傾向が強すぎて、あまりにも微に入り細に入りすぎているのではないかの疑問を書いています。
言論の自由がなく、発表前に許可がいる社会同様に、日本では何かしようとすると、ものすごくコストかかる社会になっています。
キャッシュレス化その他最新技術導入が周辺国よりも日本で進まないのは、何かをやろうとすれば会議では「〇〇が起きると誰が責任を取るのか?いう議論が普通で)なんでも反対論が立ちはだかる仕組みができ上がっています。
選挙で言えば、ネット利用投票ができれば膨大な投開票コストも要らず投票者も手間暇かかりません。
この議論を会議ですると本人確認できない・なりすましがあったらどうする?と反対論が出るのですが、現在だって、公職選挙で言えば投票所に来た人の確認は投票通知書を持って来たかどうかを基本として確認しているにすぎません。
毎年一定時期に郵便配達される国保のカードを狙ったヤクザがマンション郵便受けから取り出して、その人の名義の銀行口座を作りあちこちで多数の携帯購入して、期間限定海外への電話使い放題で5〜6万円でイランや東南アジア人などに売りだしてぼろ儲けしていた事件を担当したことがあります。
名義を使われたのは同じ組員で刑務所服役中でしたので、利用明細が郵便受けに入ってもどうってことのない状態で(もともと残高がゼロ近いので)口座引き落し不能になるまで使えるという触れ込みでした。
このように郵便を受けとった人というだけでは、 本人かどうか不明ですし、私の関与している日弁連選挙で言えば、投票時間にどっと並ばれると受付の人は投票権のない人(登録したばかりでまだ投票権のない人や郵便投票申し込み者などなど・同じ人が2回以上)が投票することのないようにするのが主たる業務のような関心で、名簿チェックに忙しくて、投票に来た人の顔をマジマジみている暇がありません。
ちなみに千葉県弁護士会では800人以上の会員ですので、もともと顔をみんな知っているわけではありません。
多くの人は生命より大切な?お金を引き落とし承諾などパスワードその他の貴重な情報を利便性のためにいつもネット上で開示しています。
相手が限定されているとはいえ、それの漏洩リスクを冒しながら支払いの都度開示しているし銀行や業者も盗まれた情報のリスクを負担しながらネット決済等に応じている・・何事もリスクのない行為はあり得ません。
※追記
以下のニュースが流れていましたので、追記です。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190322-00000056-mai-bus_all

フェイスブック、12年からパスワード閲覧可能 ずさんな管理態勢相次ぎ発覚
3/22(金) 18:55配信
ワシントン中井正裕】インターネット交流サイト(SNS)最大手の米フェイスブックは21日、利用者数億人分のパスワードが暗号処理されず、同社社員が閲覧できる状態で社内システムに保管されていたと発表した。

パスワード制度やキャッシュカードの普及には末端機器で解読出来なければ、(暗号化してない限り)機能しないのですが、暗号化して本部機能に送信して本部機能がそれを解読して即時に○X返信する仕組みになっているので銀行支店員やレストラン店員がパスワードを個人的に入手できなくなっているのですが、本部でのパスワード管理が、暗号化されないまま放置されていたとは驚きです。
このように多くの人は、なんとなく自分のパスワード開示には不安であっても、まさかフェイスブックのようなことはないだろうと一応根拠なく信用していたのです。
車でも事故ゼロはあり得ないのと同様に何事もリスクと便益の兼ね合いですが、メデイアはなんでも新しい挑戦に対してこういうことが起きたら誰が責任を取る式の反対論応援というか報道し過ぎでしょう。
新規性を取るか安全性を取るかは国民消費者の選択に委ねるべきでしょう。
リスクとの兼ね合いで何をやるかを決めるべきなのに、ワクチン接種であれなんであれ、リスクがあったら誰が責任を取るのだという?反対論がハバを効かせすぎています。
これでは何事も前に進みにくい社会になるのは当然です。

日米製造業の違い6(変化対応力1)

中国進出の大手企業は中国の報復が怖いので黙っていますし、同じく中国特派員安全のためにか?・・大手メデイアはトランプ批判一色です。
しかし、例えば関税アップで自国産業保護しても意味がないとか、二国間貿易赤字だけをテーマにするのは間違いとかの批判は、部分部分ではその通りでしょうが、トランプ氏の求めているのは知財強奪をやめろという脅し(取引)に使っているのであって、目先の関税で特定企業を保護しようとしている訳ではない・支持者獲得のためにそのようなレトリックを使っているに過ぎないので、筋違いの批判です。
ウクライナ侵攻に対する対ロ経済制裁で見ればわかるように、制裁によって経済利益を得ようとしていないのに、欧米が損を被ると批判した場合、比較対象が違う事を無視していることが誰の目にも明らかでしょう。
揉め事というのはお互い損になるに決まっているが、かトイtyて相手が無茶をyても何事も穏便にいうばかりではのさばりすぎるので、いつかは「いい加減にしろ!という時期が必要です。
揉めることによってどちらの方にダメージが大きいかで勝敗が決まるので、経済制裁発動の場合、どちらの方が被害が大きいかを計算するのは大事ですが、関税アップや輸入規制すると、自国産業保護が損をするから愚策と批判するのは筋違いです。
大所高所から見るとトランプ氏の対中政策は今の所、サイレントマジョリテイー・・実際には先進国全体の支持をうけているように見えます。
話題が逸れましたが、日本の半導体製造措置の国際競争力・中国韓国の半導体製造装置輸入状況を紹介しておきます。
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2018/1001/efa7580c25d588d6.html

半導体では落ち込んだ日本のデジタル関連財輸出だが、世界貿易においてプレゼンスを発揮している品目もある。代表例は半導体製造機器で、ここ10年、日本が世界最大の輸出国の地位にある。半導体製造機器同様に、産業用ロボットも輸出国として日本は首位を維持している。世界経済の回復に伴い企業が設備投資意欲を高めたこともあり、両品目とも近年の輸出は好調だ。日本のデジタル関連財輸出は2015年を底に増加に転じたが、半導体製造機器はデジタル関連財輸出の増加分のうち2016年は約7割、2017年も約3割分を担うなど、回復の原動力となっている(図2参照)。

ついでですが、18年には半導体装置では中国が輸入額で韓国を抜いたようです。
https://news.mynavi.jp/article/20181207-737115/によると以下の通りです。

日本半導体製造装置協会(SEAJ)ならびに国際半導体製造装置材料協会(SEMI)は、2018年第3四半期における半導体製造装置出荷額が前四半期比5%減、前年同期比11%増の158億ドルになったことを発表した。
地域・国別に見ると、中国市場が、前四半期比5%増、前年同期比106%増の39億8000万ドルとなり、同統計開始以来、初めてトップ国・地域となった。
以前からSEMIでは、2019年に中国が韓国を抜き、世界最大の半導体製造装置市場になるとの予測を述べてきたが、メモリ市場の軟化の影響を受けた韓国勢の勢いが鈍化したこともあり、若干早まった感がある。

BTOB部品輸出で見ておきます。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-07-19/-2025からの引用です。

増島雄樹(エコノミスト)

2018年7月19日 9:07 JST

【インサイト】中国製造2025、日本にとって脅威よりもチャンス

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以上によると消費財や加工品の輸出額自体は長期的に見てそれほど減っていないが、逆輸入が増えた分を部品等輸出増加で補っている印象です。
日本人の多くは「その場限りの仕事をすれば良い」という人が少なく、職に就くと天職と心得えて日本の職人気質というか日本人気質というか自分の仕事に打ち込む人が多いので、そこから次の時代に適合できる素質が育まれている人が多いように見えます。
幸田露伴作の「五重の塔」で描かれる人物像は、創作であり本当のことかどうか知りませんが、これが国民多くの感銘を受けるのは、その気質を尊ぶ国民性があるからです。
江戸時代に培った生真面目な職人気質が、次の明治時代の工業製品製造に能力発揮してすぐ応用できた・(低レベルで満足せずに時計でもレンズでもすぐに世界最高水準のものを作りだせた)のとおなじです。
職人気質尊重の総合力が日本の企業精神そのものとなり、何百年も続く(いろんな変化に柔軟対応できた)企業が多くなっているもとになっているとおもわれます。
石油危機では、ほぼ全量輸入の日本はもうダメだと騒がれたものの、省エネ技術確立で却って世界に先行しましたし、公害発生でも同じです。
基礎技術の蓄積が大きいので時代が変わったくらいでは、柔軟対応能力があるので壊滅的打撃をうけません。

米国の高家賃5とホームレス(IT化)1

ここでいよいよホームレス問題に入ります。
https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/6755によれば以下の通りです。

ホームレス大国アメリカ」の現実 世界覇権どころではない国内の疲弊
国際2018年1月20日
賃金は減り 住宅価格は暴騰

㊤路上で寝るホームレス(ニューヨーク)、㊦行政が設置したシェルターベッド。入居待ちが続いている(2017年、ロサンゼルス)

・・・西海岸を代表する都市ロサンゼルスは・・・前年比で20%増加した(支援機関「LAHSA」調査)。18歳から24歳までの若年層ホームレスは64%も上昇しており、「ロサンゼルス短大地区の学生の5人に1人はホームレス」という調査結果(ウィスコンシン大学)もある。
・・・昨年11月、シカゴ大学が発表した報告書では、ホームレス状態にある学生が全米で少なくとも420万人にのぼり、そのうち13~17歳は70万人、18~25歳が350万人という衝撃的な数値が物議を醸した。
また、約46万人の学生を擁するカリフォルニア州立大学(全米最大)が委託した調査によると、同大学では10人に1人にあたる約5万人の学生が特定の住所を持たないホームレス状態にあり、さらに5~4人に1人にあたる10万人が食べ物の確保ができていない。

1大学だけで学生5万人もホームレスとは、日本では想像もつかない現状です。
ハングリー精神から新規イノベーションが生まれるとは言われますが・・・???。

・・・ホームレス増加の主な理由は、工業の機械化による解雇や病気による失業の増加、実質賃金は増えず家計収入は減っているのに進む物価上昇、とくにリーマン・ショック以来続く住宅価格と賃貸料の異常な高騰である。
・・・(金融大規模緩和・・稲垣注)それによって住宅金利は下がり、住宅への投資を促進したが、余剰マネーがふたたび不動産市場に投機する流れをつくり、不動産価格はリーマン・ショック以前をしのぐ天井知らずの高騰を見せている。
・・・矛盾が集中したのがIT産業で急成長を遂げたシリコンバレーを抱える西海岸で、全米で進む不動産市場のバブル化に、企業進出や労働人口増加による需要増大という条件が加わり、住宅価格は高いところで年平均20%も上昇。高級住宅に暮らす人人がいる一方で、低価格帯でもワンルームの家賃が3000㌦(約33万円)にもはね上がったため、多くの人人が住居での生活を諦め、路上生活をしながら働いている。
「更新手続きでいきなり家賃が500㌦(5万5000円)も上がった」「年収700万円稼いでも家族を養うのが難しい」というほど異常な高騰が家計を襲い、空き地や川縁にはテント村ができ、道路に連なる宿泊用の車両が急増した。時給15㌦(1650円)程度の所得ではフルタイムで働いても、とても2000~3000㌦もの家賃は支払うことはできない。いまや「ホームレス=失業者」という概念は過去のものとなり、工員やショップ店員、技師、教員までが路上や車上生活をしながら職場に働きに出て、シャワーを浴びるためだけにスポーツジムの会員になっている(AP通信)。

19日にアマゾン第二本社誘致運動を取り上げましたが、以下に続く文章によれば、アマゾンの本拠地では全米最高のホームレス発生という実態が背景にあることが分かり分かります。

グーグルやアップルなどハイテク企業の本社が集中し、国内でもっとも平均収入の高いシリコンバレーの大都市が、米国最大のホームレス地帯となっている。
・・・アマゾンやマイクロソフトが本拠地を置くワシントン州シアトル(人口70万人)では、ホームレスが1万人をこえて過去最大を更新し、ホームレス人口が全米ワースト2位になった2015年には緊急事態宣言を発令した。人口が増えた反面、住宅価格が年平均10%上昇し、賃貸価格も六年間で57%も上昇しており、多くの一般家庭が家を失った。「好景気」によって富が集まり、経済活動が盛んになったのは数%の上流層だけであり、多くの人人は低賃金労働のもとで住む家すら失って社会の枠組みからはじき出されている。

以上によれば、ピッツバーグ等製造工場の盛んであった地域衰退・・ラストベルト地帯ばかりメデイアが取り上げていますが、もっと問題なのは高度成長している成功地域でホームレスがどんどん生み出されている状況です。
昔のラッダイト運動の場合、製造業の発展で農奴に近い小作人が中間層に脱皮できて収束できたのは、先進国がこの技術を囲い込み世界の工場として世界中から富を収奪できていたからです。
先進国がマルクスの御託宣のとおり矛盾激化しないで後発国ロシアや中国で矛盾劇化して共産革命や動乱が起きたのは輸出受け入れ国の地位になっていたからであって偶然ではありません。
先進工業国は、先進技術独占による高賃金・中間層の厚み構築・社会の安定・未来への希望社会を作り上げていたのですが、これが後進国を市場とのみ位置付けてきた収奪の仕組みによっていたにすぎません。

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